公益財団法人 大原記念労働科学研究所
公益財団法人
大原記念労働科学研究所
The Ohara Memorial Institute for
Science of Labour

プロジェクト1:「維持会とのコラボレーション「働き方の未来を50人が読む」」

はじめに

1921年7月に倉敷労働科学研究所として設立された当研究所は、2021年7月に設立100周年を迎えました。百周年記念事業プロジェクト1では、約50名の労働科学分野の研究ならびに企業経営、管理に係る有識者からご意見を頂く企画に取り組んでいます。

1.未来の働き方をテーマに年1回の調査を行います

労働科学分野の研究ならびに企業経営、管理に係る有識者、さらに、当研究所の維持会員の皆様方の中から労働現場の安全衛生や働き方に精通している方、約50名に年1回、その時々の働き方に関する質問紙調査にご協力を仰ぎます。その結果を集計・分析して社会に提供し,産業界の抱える諸課題の把握と問題解決の糸口を探っていきます。
調査テーマは①労働科学の視点、②社会状況の視点、③技術開発活用の視点から、労働科学あるいは産業安全衛生に関する現在と近未来の重要な社会的課題を設定します。調査は、その時々のトピックスを扱う項目と、毎回同じ内容をお聞きする定点調査項目によって構成します。

2.調査結果を広く公開・発信いたします

頂いた回答の分析を行い、概要(速報版)については、当所web、雑誌にて広く公表します。維持会員の皆様には、「労働の科学」誌にて報告書全文(詳細版)をご欄いただけます。また、恒例行事の「秋の維持会サロン」でも、調査結果から何が読み取れるのかを有識者らが深堀りします。
継続的に調査を実施し、「働き方の未来」を読み続けることによって、皆様と共に、労働科学の視点から世の中に広く貢献したいと考えています。

3.現在公開している調査結果はこちらです

調査は、2つのパートで構成しております。第1回調査では、パート1では、第1回調査のトピックスとして、リモート・ワークは働き方・暮らし方を変えるかを取り上げました。リモート・ワークは働き方・暮らし方を「変える」との回答が大勢を占めている反面、異論も少なからず見受けられました。大原記念労働科学研究所では、経営と管理ならびに安全や健康の視点から「リモート・ワークは働き方・暮らし方を変えるか」「リモート・ワークは万能か」「リモート・ワークの功罪」の3つを論点として分析をすすめ、詳細版を取りまとめました。今後もリモート・ワークの改革・改善に向けた労働科学視点からの提言の発信、リモート・ワーク推進支援のためのツール提供等を行っていきたいと考えています。
パート2では、定点観測調査として、5つ領域について質問しました。働き方改革の指標からは「働き方改革は進む」、産業の安全と労働者の健康の指標からは「重大(死亡)災害は減るが、労働者の心身の健康状態は悪化する」、就労者数の動向からは、「雇用労働者の多様化は進む」、IT投資とリモート・ワークの指標からは「IT投資は拡大、リモート・ワークは拡大中であるが、爆発的な拡大にはならない」、東京への一点集中の指標からは「当面、東京への転入傾向は続くが、5年後の転入傾向は弱まる」などの傾向が読み取れました。そのほか、自由記述からも、労働科学的視点による興味深い回答が多数得られています。

2022年度第2回調査結果の詳細版は11月に公開し、秋の維持会サロンでも取り上げる予定です。