所長挨拶
ごあいさつ
「働き方改革関連法」の施行
2019年(令和元年)4月1日、「働き方改革関連法」が施行され、企業は時間外労働の上限規制、年次有給休暇の5日取得義務化、同一労働同一賃金など、新しい労働環境作りに取り組むことになりました。
2007年の世界的金融危機までは、英米をはじめとして日本でも、大企業はステークホルダーの中で特に株主にすべての利益を収斂する「株主価値経営」を実践してきました。労働者はROE,効率化政策の削減・減量化の対象とされ、長く厳しい冬の時代を過ごしたということができます。
労働の安全・衛生の時代の幕明け
共通価値、ESG、SDGsなどのポストリーマンショックの経営は、環境、社会、ガバナンス、そして持続性には配慮するものではありましたが、労働者、従業員を対象にしたものではありませんでした。しかし、この働き方改革が議論されて、ようやく日本でも「健康優良経営」、ヨーロッパでよく議論されるEHS(環境・健康・社会)が取り上げられ、労働そのもの、および労働環境の改善に強い関心が寄せられるようになりました。
伝統を継承し研究の多様化・国際化を目指す
このような時機に、労働現場を重視し、労働の安全・衛生を研究の柱とする本研究所の所長に本年7月1日就任しました。前所長の酒井一博先生は「労働科学」の本格的な研究者であり、この分野に深い造詣と、研究所への熱き愛情で所員をリードされました。分野が異なる私には、果たして前所長のような役割を果たせる自信はありませんが、濱野 潤理事長の支援と所員の方々の協力の下、①労働の安全・衛生の科学的研究の深化・拡大、②桜美林大学をはじめとする学界との連携、③国際的評価に応えられる研究成果の実現に邁進する所存です。
どうかご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い致します。

所長 坂本 恒夫