公益財団法人 大原記念労働科学研究所
公益財団法人
大原記念労働科学研究所
The Ohara Memorial Institute for
Science of Labour

所長挨拶

ごあいさつ

新所長の就任にあたり

前任の坂本恒夫所長の勇退に伴い、2024年(令和6年)4月1日より、伝統ある大原記念労働科学研究所の所長に就任いたしました。私自身は経済学、なかでも産業組織論や中小企業論といった分野を専門としておりまして、「労働科学」についてはこれまでそれほど関心を払ってきませんでした。しかしながら専門柄、中小企業の経営者やそこで働く人々と多く接する機会を持ち、人々の「働き」や「仕事」に少なからず関心を持ってきた者として、新たな学問分野や研究者たちに接することができ、自身の学びをも広げることのできる非常によい機会をいただきましたことは感謝の念に堪えません。

「インクルーシブな社会」の到来

厚生労働省が2024年1月に発表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」によれば、我が国で働く外国人労働者数は初の200万人超え、外国人を雇用する事業所数も約319,000事業所となり、平成19年の届出義務化以降、過去最高を更新した、と発表されました 。これとは対照的に、国内の働き手は長年にわたり減少を続けています。内閣府によれば、我が国の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8716万人をピークに減少を続けており、2030年頃には6000万人、2050年頃に5000万人に、そして2070年の生産年齢人口は約4500万人になると予測されています。すでに「外国人がいなければやっていけない」企業や事業所は珍しくなくなっており、外国人のみならず、女性や高齢者、障がい者といったさまざまな人々がそれぞれの特性を活かしながら協力し合うインクルーシブな社会は目の前に到来しています。

ますます広がる「労働科学研究」の役割

インクルーシブな社会の到来とともに、当研究所定款にも述べられている「事業経営の健全化、労働する者の福利の増進及び社会福祉の向上発展に資するため」の当研究所の使命や果たすべき役割はますますその幅を広げているように感じます。とくに働く場における「多様性の受容」は大きなテーマです。いろいろな課題はありますが、当研究所に関わってくださっている多くの人々のご協力をいただきながら、これまでにも増して、①労働の安全・衛生の科学的研究の深化・拡大、②桜美林大学をはじめとする学界との連携、③国際的評価に応えられる研究成果の実現に邁進する所存です。

今後とも、よろしくお願いいたします。

令和6年4月1日  堀 潔

所長 堀 潔

所長 堀 潔