理事長挨拶
新たなステージへ
新年あけましておめでとうございます。旧年中に賜りましたご支援ご協力に厚く御礼申し上げるとともに本年も変わらぬご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
新生労研の10年
労働科学研究所は2015年に川崎の土地建物を処分し、累積債務を一掃するとともに、桜美林学園のご協力により東京都心に研究拠点を確保し、名称も大原記念労働科学研究所と改め、新生労研として再出発しました。新生労研の10年間で所員のスリム化、経費の見直しを行うとともに諸制度を改善するなど経営改革を進めてきました。その結果、それまでの万年赤字体質を払拭し、新生労研スタート以降連続黒字を確保し、財務基盤の安定を図ってきました。研究面では、企業・団体からの委託調査により喫緊の諸課題についての研究に尽力してきたほか政府からの要請にこたえて様々な政策課題への貢献も重ねてきました。また百周年記念事業として「働き方の未来を50人が読む」調査や地域との連携事業に取り組むことに加え日本労働科学学会をスタートさせるなど産学協働にも力を注いできました。
事務所移転
この度桜美林学園による千駄ヶ谷キャンパスの撤収、新宿キャンパスへの諸機能集中などの事業再編に伴い、労働科学研究所は桜美林学園外に新たに事務所を設置することとしました。10年にわたり東京都心に研究拠点を提供いただいたことに対し、桜美林学園には心より御礼を申し上げます。なお、千駄ヶ谷キャンパス(労研本部)からの移転は本年春を、新宿キャンパス(研究拠点)からの移転は本年夏を目途としています。
新たなステージへ
今後は新生労研の10年の歩みを踏まえて新たなステージに入っていくことになります。
第一に研究の深化と対象領域の拡大です。これまで手掛けてきた分野では労働力の希少化やDXの進展など近年の労働環境の変化に適合した研究を深化させるとともにこれまで手の届かなかった分野に果敢に挑戦し、研究の幅を広げていきます。所内における技能の継承や人材育成はもとより労研の誇る研究ネットワークもさらなる活用を図ります。
第二に労働現場にソリューションを提供するための汎用ツールの開発・編集と普及です。労働科学研究所に蓄積されたノウハウを利用しやすく手頃な形でパッケージ化することによってはじめて大企業、中小企業を問わず全国の最前線の労働現場に労働科学の成果を行き渡らせることが可能になり、ひいては産業社会の発展に貢献することができます。
第三に労働科学をグローバルにまたローカルに広く展開していくことです。労働科学研究所の歴史は国際協力の歴史といって過言ではありません。これまで世界の先進的な知見を我が国の風土に合わせて有効活用し、我が国の経験を諸外国に伝えるとともに学んできました。この流れを止めることなく加速していきます。同時に国内でも労働と生活の場である地域で労働科学を実践していくことが今後の労働科学の発展には欠かせません。
令和7年1月1日 濱野 潤

理事長 濱野 潤