理事長挨拶
104回目の創立記念日を迎えて
104回目の創立記念日を迎えました。厳しい経営環境の下ではありますが、労働科学研究所は一歩一歩前進しています。
新生労研10年の成果
労働科学研究所は2015年に川崎の土地建物を処分し、累積債務を一掃するとともに、桜美林学園のご協力により東京都心に研究拠点を確保し、名称も大原記念労働科学研究所と改め、新生労研として再出発しました。新生労研の10年間で経営改革を進めて経常黒字を連続して確保し、それまでの万年赤字体質を払拭して財務基盤の安定を図ってきました。研究面では、企業・団体からの委託調査により喫緊の諸課題の研究に尽力する一方、政府からの要請にこたえて様々な政策課題への貢献を重ねてきました。競争的研究資金による研究を着実に進めるとともに日本労働科学学会をスタートさせ、産学協働にも力を注いできました。こうした成果を挙げることができたのは、ひとえに関係各位のご支援ご協力の賜物であり、あわせて所員が心を一つに力を合わせて奮闘してきたことによるものです。
新事務所開設
時あたかも10年の節目にあたり、これまでお世話になった桜美林大学千駄ヶ谷キャンパス、新宿キャンパスから離れ、本年8月1日から新たな事務所を文教の地・大塚に開設します。リモートワークの良さとリアルワークの良さを兼ね備えたハイブリッドワークに相応しい新時代のオフィスがアクセスの良い地に出現します。お近くにおいでの際はぜひお立ち寄りください。あわせて桜美林大学町田キャンパス内にスペースをお借りし、労働科学研究推進のためのラボ(実験施設)を新たに設置します。
新たな10年の挑戦
新生労研10年の成果を踏まえ、次の10年に向け更なる挑戦を目指します。
第一に研究面では、研究内容の深化と対象領域の拡大です。これまで手掛けてきた分野では労働力の希少化やDXの進展等近年の労働環境の変化に適合した研究を進化させるとともにこれまで手の届かなかった分野に果敢に挑戦し、研究の幅を広げます。所内における技能の継承や人材育成はもとより労研の誇る研究ネットワークも更なる活用を図ります。
第二に経営面では、収益源の多様化と収益の柱の創出です。労研は従来から企業・団体からの委託調査研究と維持会収入を収益の二つの柱としてきました。安定した所の運営に向けて収益源の多様化を進め、経済活動の繁閑や外的環境の変化を受けにくい財務構造を目指し、収益の第三の柱の創出に積極的に取り組んで参ります。
第三に労働科学をグローバルにまたローカルに広く展開していくことです。労働科学研究所の歴史は国際協力の歴史といっても過言ではありません。企業活動がグローバル化し、国民生活も世界との結びつきが日一日と密接になっているなか国際協力をさらに拡充していきます。また、労働と生活の場である地域における労働科学の実践は近年成果を挙げつつあり、この流れを加速してまいります。
労働科学研究を通じて社会に貢献すべく、所員の知恵と努力を結集していきたいと願っています。今後とも引き続き関係各位のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
令和7年7月1日 濱野 潤

理事長 濱野 潤