公益財団法人 大原記念労働科学研究所
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大原記念労働科学研究所
The Ohara Memorial Institute for
Science of Labour

G7倉敷労働雇用大臣会合に向けて

本年5月開催のG7広島サミットに先駆けて、4月22,23日に倉敷市でG7労働雇用大臣会合が開催される。倉敷市がG7労働雇用大臣会合を誘致するに当たって決め手になったのは、今からおよそ100年前に大原孫三郎によって倉敷労働科学研究所が設立され、地域をあげて労働生活環境の改善に取り組んできたことだと伊東香織倉敷市長からうかがって、労働科学に関係する者の一人として大変誇らしく思った。

早速倉敷市では大臣会合の成功に向けて官民一体となって開催支援に取り組むため、G7倉敷労働雇用大臣会合推進協議会が設置され、経済団体や労働組合、市民団体が幅広く参加して昨年11月10日に協議会がスタートした。協議会では会長である伊東市長以外にも小野田知子厚生労働省準備室長からも伊原木隆太岡山県知事からも労働科学発祥の地であることがG7労働雇用大臣会合の倉敷開催決定の大きな要因であったことが披露され、大原記念労働科学研究所としては全力を挙げて大臣会合の成功に向けてご協力する旨申し上げた。

伊東市長は協議会の活動について、公式プレイベントとしてノーベル化学賞受賞者の吉野彰博士に基調講演をお願いして、労働雇用に関するシンポジウムを開催すると表明された。それ以降、労働科学研究所では倉敷市と連携して準備を進めてきた。

3月30日にG7倉敷労働雇用大臣会合開催記念シンポジウム「持続可能で働きがいのある社会を目指して~未来に向けて作り上げる私達らしい働き方~」が倉敷市民会館で開催され、約1100名が参加した。吉野博士の基調講演に加え、労働科学研究所からの特別講演「倉敷で生まれた労働科学」、「働く人のサステナビリティ」をテーマとする地元有識者によるパネルディスカッション、現代版労研饅頭をつくる「働くあなたを食で応援」プロジェクトの高校生・大学生による成果発表という中身の濃いシンポジウムになった。シンポジウムの最後に伊東市長は「人への投資の加速」などを求める倉敷宣言をとりまとめた。

生産年齢人口が減少するなか「人」の重要性はますます高まり、人的資本への投資を加速し性別や年齢にかかわらず本人の意欲・能力に応じて活躍できる環境を整備することはG7各国に共通の課題である。コロナ後が展望できる今、来るべきG7労働雇用大臣会合ではこれからの労働や雇用に関する有意義なコミットメントが世界に発信されることを期待している。

あわせて、G7倉敷労働雇用大臣会合を契機に倉敷では経済の活性化やより良い労働生活環境を求めて、働く人や企業、若い人たちが変革に向けた挑戦をこれからも続けていくことであろう。労働科学研究所も精一杯応援を続けていきたい。

(2023年4月理事長 濱野潤)