公益財団法人 大原記念労働科学研究所
公益財団法人
大原記念労働科学研究所
The Ohara Memorial Institute for
Science of Labour

インドネシアで感じたこと

はじめに

研究部と国際協力センター所属の佐野です。産業保健分野を中心に様々なプロジェクトに関わっており、国内外の労働現場に貢献できる力を身につけるべく日々努力しています。

さて、国際協力センターでは労働科学の研究成果を社会へ還元すべく、アジアを中心に様々な活動を行っています。今回は国際労働機関(ILO)からの委託を受けて、インドネシアのパーム油農場および工場を対象とした10日間の研修を行いました。内容に関しては研究所の普及誌「労働の科学」に掲載予定ですので、ここでは研修中にインドネシアで印象に残り面白かった点について、写真を交え「ざっくばらん」にご紹介したいと思います。

 

インドネシアで面白かった三点

★遠い印刷屋

street of Indonesia

インドネシアの街並み

早朝からのトレーニング・終了後の打ち合わせ・明日の準備等々、現場スタッフは朝から晩まで働き詰めです。また、日本であればコンビニエンスストアに置いてあるようなコピー機もないため、急に必要となった資料を印刷するのも一苦労になります。トレーニング終了後、頼んでいた印刷物を取りにスタッフと向かったのですが、スタッフから「疲れてどこの印刷屋に頼んだのか、わからなくなった。」と伝えられ、スタッフと共にホテル周辺を長い時間かけて歩き回る破目になりました。スタッフも精一杯頑張っているのだなと感じるとともに、日本から印刷機を整えて持参する必要性をひしひしと感じました(持って行ったのですがインク切れ)。

★コーヒー

coffee in Medan

メダンのコーヒー

トレーニング開催地のメダンはパーム油の他にコーヒーが有名です。
現場訪問のお願いに伺った企業で出されたコーヒーが美味しく、あまりの美味しさに、「どこで買えるのか」と工場長に聞いたほどでした。
工場長が気を利かせてその後の研修では大量のコーヒーを準備してくれました。それが、非常に濃く、また大量の砂糖を入れたコーヒーは、蒸し暑いインドネシアの気候にマッチして疲れも吹き飛ぶ味でした。

★通訳

training

トレーニング風景

インドネシアでは英語-インドネシア語の通訳が常に付いてくれました。経験も豊富で人間的にも素晴らしい通訳でした。研修では、その内容等について日々変更を求められるため、資料のインドネシア語への翻訳を毎日のようにお願いするのですが、嫌な顔一つせず対応してくれて本当に有り難かったです。その気持ちから、感謝の意を伝えると「昔、自分が通訳に付くはずだったトレーニング講師が、突然病気で動けなくなったため、自分が代わりに講師としてトレーニングしたこともあるから、このくらいの変更は大丈夫」と励まされました。彼の臨機応変さにも驚くと共に、何が起こってもおかしくない現場の凄さを実感しました。

おわりに

こうして自分にとって全く新しい土地で、アジアの人々と研修を行い、現場での様々な課題に共に立ち向かっていく経験は振り返ってみると楽しく貴重なものでした。また、小さな積み重ねを通じて気持ちが通じ合う過程は現場の困難さを乗り越える力にもなりました。 「楽しい」だけに終わらせず真に現場の力になる研修ができるよう、今後も経験を積み重ねていきたいと心を新たにした次第です。

(研究部 佐野 友美)