正しいマスクの使い方

正しいマスクの使い方

本ページでは、労働科学研究所セミナー(09/01/20・27)「正しいマスクの使い方」の要旨を紹介しています。

インフルエンザ予防のための個人用防護具

労研、シンポーインフルエンザマス.jpg
  • インフルエンザへの感染予防には、咳やくしゃみなどの症状のある人との接触をさける、咳エチケット、手洗い、などの感染予防行動とともに、マスクなどの個人用防護具を適切に使用することが大切です。
  • 感染予防に用いられる代表的な保護具には、マスク、ゴーグル、防護服、手袋などがあります。特に、直接的に呼吸器系への感染予防の役割を担う、鼻や口を覆うマスクの役割は重要です。しかし、マスクにはさまざまな種類があり、フィルターの性能や漏れ率の程度も異なることから、マスクに関する正しい知識をもって取り扱うことが重要です。
  • 厚生労働省の新型インフルエンザ対策ガイドラインでは、一般企業で新型インフルエンザ対策などで購入するマスクは通常の不織布製マスクの使用が望ましいとされます。また、患者と直接接して感染リスクの高い医療従事者などは、N95 (米国労働安全衛生研究所(NIOSH)の規格)あるいはDS2 (日本の規格)以上のマスクを使用することも検討します。
  • 労働科学研究所では、これまで維持会会員向けにマスクの正しい使い方等に関するセミナーを実施してきましたが、その概要の一部を紹介します。

正しいマスクの使い方

インフルエンザの予防に有効とされるマスクですが、選び方や着け方を間違えてはその効果が十分発揮できません。

マスクの種類には、1)一般用と、2)医療機関向け(産業用)があります。

1.不織布(ふしょくふ)マスク
2.N95マスク、DS2規格以上の防じんマスク(レスピレーターともよびます)
一般用には、1.不織布(ふしょくふ)マスクとよばれる、市販されているマスクを購入することができます。不織布マスクに対して、ガーゼマスクは織布(しょくふ)マスクとよばれます。ガーゼマスクよりも不織布マスクのほうが目が細かく、浮遊している粉じんを補足しやすいことが知られています。医療機関向け(産業用)に用いられているマスクは、同じ不織布で製作されていますが、より、目の細かい高性能のフィルターを利用して作られています。0.3マイクロメートル以上の粉じんを95%以上通さない、といった規格のマスクかどうかなど、米国や日本の国家検定基準が決められています。

マスクの漏れ率を規定する3つの要因

1)マスクのフィルターの性能:
-不織布マスクか、N95/DS2規格マスク
2)マスクの構造:
-一般の不織布マスクはプリーツ型と立体型、医療従事者等が利用するN95/DS2規格マスクは、さまざまなタイプがある。カップ型、折りたたみ型(くちばし型、など)、接顔クッションつきカップ型など。
3)マスクの取り扱い方法やマスク着用方法:
正しい手順でマスクの脱着を行います。鼻をだしてマスクをかけたり、あごの隙間が大きいままで着用しないようにします。
 

一般マスク(不織布(ふしょくふ)マスク)の漏れを少なくする方法

maskfit1.jpg

1.つけるときは、隙間ができないように調節します。漏れやすい箇所は、
1) 鼻根
2) ほほのあたり
3) おとがい(あご)
です。

マスクの種類には、プリーツ型と、立体型があります。いずれも、1)鼻のところに金具のあるものでは、金具を曲げて、隙間を調節します。金具がないものでも、鼻を全部覆っているかなどを確認します。2)頬の漏れ対策としては、立体型のマスクは、頬からの漏れを少なくできるものが多く市販されています。3)おとがい顎までかかるようにしっかりマスクをかけることが重要です。プリーツ型のマスクでは、しっかりとあごまでかかるようにマスクを広げて利用することができます。

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立体型でも、大きさが小さいとあごまで覆うことができないものもあります。いずれにしても、人の顔の形はさまざまですので、自分の顔にあった、また、自分で使いやすいマスクをいくつかためして選ぶことが大切です。

2.  マスクをはずすときは、紐のところをもって取り扱います。マスクの表面にウイルスがついている可能性があります。使用後のマスクをポケットに入れたりして取り扱わないようにします。

3. 一日一枚、使い捨て、が原則です。

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右のデータは、マスクの漏れ率について、不織布マスクと防じんマスク(DS2以上、N95マスクと同等規格)について、労研式マスクフィッティングテスターで測定をしたものです。2009年1月20日、27日のセミナー参加者を対象にデータを整理したものです。厚生労働省の規格に合致している防じんマスク(3M9211、シゲマツDD-11-2S、興研ハイラック350)は、いずれも漏れ率は非常に低く、性能の高いマスクであることがわかります。一方、一般の不織布マスクの漏れ率は相対的に高いですが、製品によっては漏れ率が低いものもあります。しかし、一般的に市販されているマスクの漏れ率は通常40%以上あると考えてよく、マスクをすることでウイルスなどを含む飛沫や飛沫核を完全に防げるものではありません。マスクはくしゃみや、つばなどが飛散することを防ぐのに大いに役立ちますが、逆に吸い込むことにことに関しては完全に防げるものでないことを知っておく必要があります。

漏れ率は労研式マスクフィッティングテスターMT-03で程度で測定することができますが、本器機はフィルターの性能を評価するものではありません。

労研式マスクフィッティングテスターを用いた測定の原理は、木村論文、もしくは柴田科学の情報を参考ください。

 

N95マスク、DS2規格以上の防じんマスクの使い方

N95/DS2マスクは、微粒子用マスクともよばれ、小さな粉じんを通さない高性能のフィルターを利用したマスクで、主に病者の対応がもとめられる医療機関などで利用されるものです。米国では「N95レスピレーター」と呼ばれていて、マスクという呼称は使われていません。詳しくはリンク先を参考ください。→医療機関における個人用防護具

N95/DS2マスクを選び、正しく使うための定性的フィットテストについてはYoutubeに情報があります。以下参照ください。
1章 N95マスク・防じんマスクDS2に期待される効果と限界
2章 N95マスク・防じんマスクDS2の正しい使用法・フィットテストの種類
3章 定性的フィットテスト 感度テスト
4章 定性的フィットテスト 実際の方法

 

マスクを過信せず、感染予防策の基本を重視します。

1. 不織布製マスクを使っても、ウイルスの吸い込みを完全には防げない。
2. せきや発熱症状のある人には近づかず、手や指を清潔に保つこと。

人ごみ、行楽地での感染予防策

  • 通常のインフルエンザの予防対策と同じです。
  • シックコンタクト(※参照)を避ける、人ごみをさける、
  • 咳エチケットと手洗いの実施
  • 熱やせき、寒気、だるさなどの症状がある人は、人ごみにでかけない。公共機関を利用しない。
  • 栄養を摂って十分眠り、免疫力を低下させないことが一番大事。がんばりたいGWなどの休日ですが、周りに迷惑をかけないようにすることが重要です。

※シックコンタクトとは:咳・くしゃみをしているなど感染の症状のある人と2メートル以内で接触があること、または介護などでインフルンザにかかっている人と接すること。

上記の情報は、労働科学研究所セミナー(2009/01/20)の木村菊二、吉川徹講演資料をもとに作成しています。マスクの漏れ率の詳しいデータ、調査結果などは、労働科学研究所維持会ワークサイエンスリポートNo1751-53「各種インフルエンザ用マスクの顔面への密着性の検討(木村菊二)」を参考ください。資料等入用の方は、労研維持会までご連絡ください。

文責 国際協力センター 吉川徹(医師)

 

最近の学会発表資料

  • 吉川徹.医療従事者の心身負担軽減をめざした参加型職場環境改善(シンポジウム14:これからの医療従事者の産業保健:多様な課題とグッドプラクティス).第82回日本産業衛生学会(2009年5月、福岡)
  • 吉川徹.医療施設における呼吸用防護具利用の良好実例と課題.第79回日本衛生学会(2009年4月、東京)
  • 吉川徹ほか.労研式マスクフィッティングテスターMT-03型TMを用いたN95マスクの漏れ率測定方法に関する検討.第24回日本環境感染学会(2009年2月、横浜).
  • 遠藤泰子ほか.医療機関における空気・飛沫感染予防のためのN95マスク(DS2マスク)の漏れ率とマスクの違いによる装着指導視点に関する研究.第24回日本環境感染学会(2009年2月、横浜).
  • 川島正敏他.40歳以下の女性を対象に、口元の調節紐および立体接顔クッションを付属することによるN95マスク(DS2マスク)のフィットする割合の向上に関する研究.第24回日本環境感染学会(2009年2月、横浜).
  • 黒須一見,有馬美奈,吉川徹.呼吸器防護具における定量的漏れ率調査の有用性.第24回日本環境感染学会(2009年2月、横浜).

参考文献

  • Center for Disease Control and Prevention (CDC): Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings 2007. http://www.cdc.gov/ncidod/dhqp/pdf/guidelines/Isolation2007.pdf. Accessed September 24, 2008
  • National Institute for Occupational Safety and Health (NIOSH): Respiratory Protective Devices; Final Rules and Notice. Federal Register 60(110): 30336-30398. Washington, D.C.: U.S. Government Printing Office, Office of the Federal Register, June 8, 1995.
  • 労働省告示第十九号 防じんマスクの規格. 1988. 3. 30
  • Lee K, Slavcev A, Nicas M: Respiratory protection against Mycobacterium tuberculosis: quantative fit test outcomes for five type N95 filtering-facepiece respirators. J Occup Environ Hyg 2004 Jan;1(2):22-8.
  • 川辺芳子,田中茂,永井英明,鈴木純子,田村厚久,長山直弘,他.マスクフィッティングテスターを用いたN95マスクの顔面密着性の定量的評価と装着指導,結核,2004.40.443-448.
  • McMahon E, Wada K, Dufresne A: Implementing fit testing for N95 filtering facepiece respirators: Practical information from a large cohort of hospital workers. Am J Infect Control 2008;36:298-300.
  • Occupational Safety and Health Administration (OSHA): Fit Testing Procedures (Mandatory). Part 1910, Section 134, Appendix A.
  • 木村菊二.防じんマスクの顔面への密着性に関する研究(第3報)-MASK FITTING TESTER について-,労働科学,1991.67巻.11号.517-524.