新型インフル:米国CDCの職場向けガイドラインと我が国での展開
中尾智1,2、和田耕治3
1.株式会社アルバック人事部健康推進室
2.産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学
3.北里大学医学部衛生学公衆衛生学
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本情報は「労働の科学」64巻12号(11月10日発行予定)「特集:新型インフルエンザ2009(仮)」の記事として掲載予定ですが、昨今の流行の急拡大および死亡事例も散見されることから、執筆者の了解を得て緊急公開いたします(2009年8月19日、財団法人労働科学研究所出版部/維持会)。
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翻訳先オリジナルウエブページ(米国疾病予防センター)
General Business and Workplace Guidance for the Prevention of Novel Influenza A (H1N1) Flu in Workers (アクセス2009/08/19)→注オリジナルウエブページが2009/08/19に改定されています、上記のリンク先→CDC Guidance for Businesses and Employers To Plan and Respond to the 2009–2010 Influenza Season
はじめに
一般企業・職場における従業員向けの新型インフルA(H1N1)の予防ガイダンス
1 新型インフルA(H1N1)の症状
2 健康な従業員における新型インフルA(H1N1)の予防
(1)事業者は従業員を守るために何をすべきか?
(2)従業員は職場での新型インフルA(H1N1)の拡大を抑えるために何をすべきか?
3 確定例が出た後の職場の管理
(1)蔓延している地域でインフルエンザ様症状のある従業員が出社してきた時、何をすべきか。
(2)疑い例または確定例の同僚に対して何をすべきか?
(3)出張中に従業員が新型インフルA(H1N1)にかかったら何をすべきか?
(4)新型インフルA(H1N1)感染が疑われる妊婦の従業員に対して考慮しておくこと
4 業務や従業員に与えた影響へ企業はどう対応するか?
(1)業務に与える影響に対して企業が事前に準備できることは?
(2)従業員への影響への対応
おわりに(日本のガイドラインとの違い)
脚注
図1 新型インフルエンザの感染リスクピラミッド
図2 従業員向け感染拡大防止のポスター例(英語・スペイン語・ポルトガル語等がダウンロード可能)
表1 成人における重症化の兆候
表2 インフルエンザ様症状をもつ人の援助者への推奨事項
表3 「新型インフルエンザA(H1N1)と旅行」
表4 妊婦は何を知っておくべきか
表5 職場における不織布マスクと呼吸用保護具使用に関する勧告(暫定版)
米国CDCの職場向けガイドラインと我が国での展開
中尾智1,2、和田耕治3
1.株式会社アルバック人事部健康推進室
2.産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学
3.北里大学医学部衛生学公衆衛生学
はじめに
新型インフルエンザに関して、我が国においては事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドラインが2009年2月に内閣官房よりだされたが(注1)、新型インフルエンザA(H1N1)の状況を反映して、職場におけるガイドラインはその運用で行うことが示された(5月22日指針)。その後、2009年6月25日に一般企業向けの新型インフルエンザA(H1N1)のガイダンスが米国CDCにより発出された(注2)。本稿では、このガイダンスを和訳したものを示し、我が国で活用する際の注意点について述べる。なお、一部わが国の事情を鑑み改変している。
一般企業・職場における従業員向けの新型インフルエンザ(A型(H1N1)インフルエンザ)の予防ガイダンス
このガイダンスは、感染リスクが低い従業員(事務職のように一般市民や他の職員と接触する機会が最小限の者)を抱える事業者の一助となるものである(図1)。
図1 新型インフルエンザの感染リスクピラミッド(米国労働安全衛生庁:OSHA)(注3)
新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスは各国で感染が報告され、感染の拡大は継続している。一般的に、企業と事業者は、従業員の健康と安全を確保することと同様に、感染症の流行による個人・地域・経済への悪影響を最小限にするという重要な役割を担っている。この暫定版のガイダンスは、一般的な予防対策から事前に準備しておく計画、従業員が新型インフルエンザに罹患した時の対応までを記載している。これにより、経営者・労働組合・従業員に対して、適切な予防策について情報提供し、従業員へのばく露・発病・職場での新型インフルエンザA(H1N1)の流行拡大といったリスクを最小限にするための対策について教育することを目的としている。
このガイダンスは新型インフルエンザA(H1N1)に関する情報が新たに得られた場合には変更されることがあるため、定期的にウェブサイトのガイダンスをチェックすることを推奨する。
1. 新型インフルエンザA(H1N1)の症状
人における新型インフルエンザA(H1N1)の症状は、季節性インフルエンザに類似しており、発熱・咳・咽頭痛・鼻汁または鼻閉・全身痛・頭痛・悪寒・全身倦怠感がみられる。このウイルスに感染したかなりの症例から下痢や嘔吐といった症状が報告されている。また、合併症によって重症化例や死亡例がみられる点は季節性インフルエンザと同様である。
2. 健康な従業員における新型インフルエンザA(H1N1)の予防
新型インフルエンザA(H1N1)の拡大は、季節性インフルエンザと同じ感染経路で発生していると考えられる。インフルエンザウイルスは、主に患者の咳やくしゃみを介して人から人へ感染する。ウイルスが付着した物を触った後に自分の目・口・鼻を触ることで感染をおこすこともある。
(1)事業者は従業員を守るために何をすべきか?
- 患者を自宅待機させ、職場に来ないよう勧奨し、柔軟な欠勤に関する方針を準備する。
- 適切な手洗い・呼吸器衛生・咳エチケットを周知徹底するためにポスターを掲示するなど職場での感染対策の実施を勧奨する(図2)。
図2 Germ Stopper(感染拡大防止)のページから引用(注4)。英語・スペイン語・ポルトガル語などの多言語のポスターがダウンロード可能となっている。
- 全ての従業員に理解できるように新型インフルエンザA(H1N1)の指針を提供する(電子メール等を使って)。また、事業者は適切かつ最新の情報(CDCのH1N1新型インフルエンザに関するウェブサイト等)を提供するために地域や公衆衛生当局に積極的にアクセスする。
- 十分な量の手洗い洗剤やアルコール性(アルコール60%以上)の手指消毒薬(またはウェットティッシュ)をロビー・廊下・休憩室といった職場の共有スペースに準備する。
- 従業員が職場を拭き掃除できるようにティッシュ・消毒薬・使い捨てタオルを備え、またゴミ箱も適切なものを準備する。
- インフルエンザウイルスは、物の表面に付着した環境下でも生存可能で、付着してから2-8時間は人への感染力を持つことが報告されている。新型インフルエンザA(H1N1)の感染機会を減らすために、作業台・カウンター・ドアノブ・トイレといった職場内で人の手が触れる箇所を家庭用の消毒薬でこまめに拭く。
(2)従業員は職場での新型インフルエンザA(H1N1)の拡大を抑えるために何をすべきか?
- 病気になったら自宅待機する。インフルエンザ様症状を自覚した場合、症状が発生してから7日間または症状がなくなってから24時間のいずれか長い期間は、自宅で待機する。
- 同居している家族が新型インフルエンザA(H1N1)に罹患している場合、従業員は、通常通り出社しても差し支えない。ただし、自身の健康状態を毎日チェックし、体調が悪化した場合は上司に報告すること。基礎疾患を持つ従業員もしくは妊婦は、かかりつけ医に抗インフルエンザ薬の予防内服が必要かどうか助言を求める。
- 咳やくしゃみをする時は、ティッシュで鼻と口を覆う。使用後のティッシュはゴミ箱に捨てる。
- 特に咳やくしゃみをした後は、石鹸で手を洗う。アルコール性の手指消毒薬は、手洗いができない場合に有用である。
- 接触感染をするため、眼・鼻・口を触らない。
- 患者との濃厚接触は避ける。新型インフルエンザA(H1N1)患者に接触したことが疑われる従業員も通常通り出社することは可能である。これらの従業員は自身の健康状態を毎日チェックし、体調が悪化した場合は上司に報告する。
3 新型インフルエンザA(H1N1)の確定例が出た後の職場の管理
(1)新型インフルエンザA(H1N1)が蔓延している地域でインフルエンザ様症状のある従業員が出社してきた時、何をすべきか。
- 適切な医療機関や応急処置の担当部門に連絡する。
- 患者を一人で部屋に待機させる。
- 患者が共用のスペースに行く必要がある場合、咳やくしゃみをする時にティッシュで鼻と口を覆う、もしくはマスクを着用する。
- 上司または事業者へ通知する。
- 可能な限り早く帰宅させる。
- 患者に重症化の兆候がみられたら、救急医療センターに連絡する。重症化の兆候やその他の注意点については「インフルエンザ様症状が出現したら何をすべきか(注5)」を参照すること(表1)。
表1 成人における重症化の兆候(注5)
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-呼吸困難(または呼吸促迫※)
-胸腹部の痛み(または圧迫感)
-急激なめまい
-混乱
-激しい(または持続的な)嘔吐
-インフルエンザ様症状が改善した後の発熱や咳の悪化
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※呼吸の回数の増加
- 罹患した従業員に対して、発症後7日間または症状が消失して24時間のうちいずれかの長い期間、自宅待機するよう勧奨する。
- 患者と接触する担当者に対して不織布マスクや呼吸用保護具の着用を推奨する(「新型インフルエンザA(H1N1)の伝染を抑制するための不織布マスクや呼吸用保護具の勧告(暫定版)(注6)」を参照のこと)(表2)。
表2 インフルエンザ様症状をもつ人の援助者への推奨事項(注6)
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-援助者は疑い感染者との距離を6フィート(約2メートル)以上確保する。
-疑い感染者との接触をできるだけ短時間にする。
-疑い感染者は咳エチケットの励行・手洗い・可能であれば不織布マスク着用を実施する。
-重症化するリスクの高い者※は疑い患者との接触を避ける(可能であれば一時的な配置転換も考慮する)。
-疑い患者との濃厚接触を避けることができない場合は、不織布マスク(またはN95マスク)を着用する。
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※ハイリスク者:5歳未満の子供、65歳以上の高齢者、18歳未満のアスピリン長期服用者、妊婦、喘息・心血管疾患・肝疾患・血液疾患・神経疾患・神経筋疾患・糖尿病などの代謝異常、免疫低下者、老人ホーム・長期療養施設入所者など。
(2)新型インフルエンザA(H1N1)の疑い例または確定例の同僚に対して何をすべきか?
- 感染可能期間に新型インフルエンザA(H1N1)確定例または疑い例に接触した従業員に対して、濃厚接触者となったことを通知する。
- それらの従業員に症状の自己チェックをさせる。
- それらの従業員が妊婦である場合や糖尿病・心臓病・喘息・肺気腫などの慢性疾患を抱えている場合は、かかりつけ医に特別な対応が必要であるか確認するよう指導する。
(3)出張中に従業員が新型インフルエンザA(H1N1)にかかったら何をすべきか?
- 出張または臨時業務中に従業員が新型インフルエンザA(H1N1)にかかった場合、上司や事業者に報告させる。
- アメリカ合衆国外の場合、必要があれば医療機関または海外の医療支援を行っている機関に連絡し、協力を得ながら滞在先の国にある適切な医療機関を探す。アメリカ領事館官吏はその地域の医療サービスを探すのを手伝ってくれる。アメリカの大使館・領事館・軍事施設は、私的に海外に滞在しているアメリカ市民に対して、避難・薬剤やワクチン・医療の提供といった法的な権力・機能・資源を持たないことに注意しておくこと。
- 旅行者に関して更なる情報は「新型インフルエンザA(H1N1)と旅行注7」を参照のこと(表3)。
表3 「新型インフルエンザA(H1N1)と旅行」のウェブサイトに記載されている項目(注7)
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-新型インフルエンザA(H1N1)の一般的な情報(新型インフルエンザとは、症状、抗インフルエンザ薬についてなど)
-新型インフルエンザA(H1N1)に関する世界の状況(流行状況、旅行前後の注意点など)
-旅行者への一般的な情報
-海外旅行者に対する新型インフルエンザA(H1N1)のスクリーニングを
目的として足止めされる可能性について
-流行地域に旅行する場合の注意点
-旅客に対するインフルエンザ様症状が出現した場合の注意点
-旅行中に新型インフルエンザA(H1N1)にばく露した可能性のある旅行者に対する情報提供(7日間の症状のチェック、体長が悪化した時の対処など)
-旅行関連企業への情報提供
-流行地域から到着した航空機搭乗員に対するガイダンス
-クルーズ船に関する新型インフルエンザA(H1N1)対策のためのガイダンス
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(4)新型インフルエンザA(H1N1)感染が疑われる妊婦の従業員に対して考慮しておくこと
妊婦は季節性インフルエンザの合併症のハイリスク者であることが知られているが、新型インフルエンザA(H1N1)においてもハイリスク者である可能性がある。インフルエンザ様症状が出現した妊婦はかかりつけ医へ相談するべきである。より詳しい情報は、「妊婦は新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスについて何を知っておくべきか(注8)」に記載されている(表4)。
表4 妊婦は新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスについて何を知っておくべきか(注8)
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・体調が悪くなった時にすべきこと
- 新型インフルエンザA(H1N1)が流行している地域に住んでいる場合は、特に体調に注意を払う。
- インフルエンザ様症状を自覚したら、自宅待機のうえ他人との接触を制限し、主治医へ電話で連絡し検査や治療の必要性について相談する。
- 誰かに定期的に様子をみにきてもらうようにする。
- 新型インフルエンザA(H1N1)の患者、またはその濃厚接触者と接触した場合は、主治医に予防投薬の必要性について確認する。
・授乳についての考え方
- 母乳は、免疫の成長段階である乳児にとって重要である。
- 病気になったとしても授乳は中断しない。
- 咳やくしゃみが乳児の顔にかからないように注意すること。手洗いを励行する。
- 主治医が感染拡大の予防を目的としてマスクの着用を指示する可能性がある。
- 病状が重くて授乳ができない場合は、搾乳しておき誰かに与えてもらう。
・新型インフルエンザA(H1N1)の治療薬の内服中や予防内服中の授乳について
- 授乳は可能である。
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4. 新型インフルエンザA(H1N1)が業務や従業員に与えた影響に企業はどのように対応するか?
(1)新型インフルエンザA(H1N1)が業務に与える影響に対して企業が事前に準備できることと対応できることは何か?
- 事前に地元の衛生局・医療機関と相談し、新型インフルエンザA(H1N1)発生時の対応について手順書を作成し、新型インフルエンザA(H1N1)の問題全般を取り扱う担当者を職場で決定しておく。
- 職場で病人が発生した際に医療機関へ受診させる担当者を決定しておく。
- 計画を従業員と共有し、今後の見通しを明確に伝える。
- 「新型インフルエンザA(H1N1)の感染を抑制するための不織布マスクや呼吸用保護具の勧告(暫定版)(注6)」を確認すること(表5)。
表5 職場における新型インフルエンザA(H1N1)感染を予防するための不織布マスクと呼吸用保護具使用に関する勧告(暫定版)(注6)
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1)ハイリスク者:5歳未満の子供、65歳以上の高齢者、18歳未満のアスピリン長期服用者、妊婦、喘息・心血管疾患・肝疾患・血液疾患・神経疾患・神経筋疾患・糖尿病などの代謝異常、免疫低下者、老人ホーム・長期療養施設入所者など。
2)状況:インフルエンザ様症状を持つ従業員を援助する人が、フィットテストなどを実施して正しく着用する場合とする。その際の留意事項は表2を参照のこと。
- 新型インフルエンザA(H1N1)の流行により物流が途絶えた場合を想定して、欠くことのできない従業員・事業機能・その他の重大な材料(例えば、原料・供給者・下請け・流通)といった事業機能を維持するために必要なものを地域・機能別に決めておく。
- 流行時に職場で多くの人が欠勤した場合は、事業継続計画を実行に移す。
- 流行中に備品一式(例:衛生グッズ)の需要が増減した場合は、計画を再検討する。
- CDCの旅行関連のウェブサイトを確認し、最新の情報を得て、出張が予定されている従業員にそれらの勧告を伝える(表3)。
- 緊急時の連絡計画を確立しておく。この計画には、重要な連絡先(バックアップの連絡先を含む)、連絡経路(納入業者や顧客)、事業と従業員の状況を追跡し連絡できるような体制を含めておく。
- 従業員・供給業者・納入業者・社内外の顧客に対して、新型インフルエンザA(H1N1)の状況や対策をタイムリーに伝えるための基盤(例:ホットライン、専用のウェブサイト)を準備する。また、緊急時の代替機能も準備しておく。
(2)新型インフルエンザA(H1N1)による従業員への影響に対して企業は何を準備し対応するか?
- 欠勤時の方針や従業員への補償状況について調査し、様々な種類の健康保険で支えられている従業員をすべて包括できるように、経営者・上司・従業員で見直しを行い、病欠に関する方針・休暇付与制度・従業員支援サービスを決定しておく。欠勤時の方針は柔軟性があり懲罰は与えられないものとする。
- 従業員自身が病気で自宅療養したり、あるいは自身は罹患しなくても病人の看病をしたり、学校閉鎖になった子供の世話をするといった理由で欠勤する可能性を考慮しておく。
- 必要があれば、在宅勤務)、柔軟な労働時間(例:時差勤務制)といった方針も定める。
- 従業員に対して医療・メンタルヘルス・社会的サービスについて利用方法を含めて情報提供をする。
おわりに(我が国のガイドラインとの比較)
我が国の職場におけるガイドラインと比較し、本ガイダンスは次の4点が特徴的である。まず、濃厚接触者は健康観察を自身で行いながら通常通り出勤して構わないこと(2の(2))、2点目は、インフルエンザ感染により重症化する従業員には配置転換も検討されること(3の(1)、4の(1))、3点目は、妊婦の授乳・自宅待機についての留意点が具体的に記載されていること(3の(4))、最後に、欠勤時の規則(Leave Policy)について社内で柔軟に検討しておくことが推奨されていること(4の(2))である。これらの点は、事業場ごとに計画を立てる際に参考となると考える。
ただし、以下の2点について注意を払う必要がある。まず1点目は、本ガイダンスはウイルスが強毒化した場合は、修正が必要となる点である。また、新たな知見がある場合にはガイダンスも更新されるため、定期的な確認が必要である。2点目は、平成21年7月28日現在、わが国の指針では、濃厚接触者は自宅待機が推奨される旨が記載されている。6月25日に発表された「「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定について」や7月23日に改定された新型インフルエンザ対策本部による「基本的対処方針」に関するQ&A(注9)において、同様の見解がなされている。したがって、濃厚接触者の出勤を認めるか否かについては、今後も国内の指針も参考にしながら慎重に検討する必要がある。
(脚注)
1 新型インフルエンザ対策ガイドライン.新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議.平成21年2月17日<http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/guide/090217keikaku.pdf>(2009/7/28アクセス)
2 General Business and Workplace Guidance for the Prevention of Novel Influenza A (H1N1) Flu in Workers. CDC <http://www.cdc.gov/h1n1flu/guidance/workplace.htm>(2009/7/28アクセス)
3 Guidance on Preparing Workplaces for an Influenza Pandemic. OSHA 3327-05R 2009 <http://www.osha.gov/Publications/OSHA3327pandemic.pdf#page=13>(2009/7/28アクセス)
4 Stop the Spread of Germs. Posters and Other Materials.CDC <http://www.cdc.gov/germstopper/materials.htm>(2009/7/28アクセス)
5 What to Do If You Get Flu-Like Symptoms. CDC <http://www.cdc.gov/h1n1flu/sick.htm>(2009/7/28アクセス)
6 Interim Recommendations for Facemask and Respirator Use to Reduce Novel Influenza A (H1N1) Virus Transmission. CDC <http://www.cdc.gov/h1n1flu/masks.htm>(2009/7/28アクセス)
7 Novel H1N1 Flu and Travel. CDC <http://wwwn.cdc.gov/travel/content/novel-h1n1-flu.aspx>(2009/7/28アクセス)
8 What Pregnant Women Should Know About H1N1 (formerly called swine flu) Virus. CDC <http://www.cdc.gov/h1n1flu/guidance/pregnant.htm>(2009/7/28アクセス)
9 新型インフルエンザ対策本部による「基本的対処方針」に関するQ&A <http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02-05.html>(2009/7/28アクセス)
ここまで
リンク他、ウエブ作成、吉川徹(労働科学研究所国際協力センター)














