勞働科学 80巻(2004年)
お知らせー「労働科学」第80巻にあたってー
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80巻1号
(「労働科学」第80巻記念号
The Journal of Science of Labour −In Commemoration of Publishing the 80th Volume−)
前原直樹
学術誌「労働科学」の80巻を迎えて
労働科学,80(1),1-3,(2004)
Maehara, N.: The Volume of The Journal of Science of Labour is Now Coming to Eightieth
第80巻記念・総説論文抄録
- 野村 茂
「労働科学」80巻までを顧みて
Nomura, S.: The Eightieth Volume of The Journal of Science of Labour is Being Published
労働科学,80(1),4-11,(2004)
- 労働科学研究所が1921年に倉敷で発足して,その3年後,1924年に研究所の機関誌「労働科学研究」が創刊された。
これは季刊で,所員の研究論文が主な内容だった。1937年,労研が東京に移転した頃から,これは,月刊の「労働科学」として発行が続けられた。
1952年から57年まで,本誌は日本産業衛生協会機関誌でもあって,この頃から産衛会員の投稿論文も増え,本誌の内容も多彩になった。現在は隔月刊である。創刊以来80巻を迎えるにあたって,このような歩みを回顧した。(図1・表1)(自抄)
- 木村菊二
粉塵衛生のあゆみ(第1報)─1960年(昭和35年)頃まで─
Kimura, K.: Development of Occupational Hygiene Research on Dust Exposures in Japan : Until Around 1960
労働科学,80(1),12-22,(2004)
- 粉塵を吸入することによる障害は古くから知られていたが,粉塵を数量的に捕え,その対策等が始まったのは1900年代に入ってからのことである。労働科学研究所は1921年創立以来珪肺・塵肺対策等に取組み,その成果を機関誌「労働科学」に発表してきた。機関誌80巻を迎える機会に機関誌に掲載された論文を基に,粉塵衛生に関する研究のあゆみを振返り,粉塵問題の解決の一助になればと考える。なお,呼吸用保護具についての研究は紙面の関係で割愛する。
本報では,昭和の始めから昭和20年頃までを一区切りとし,更に昭和35年(1960年)までを区切りとして報告し,その後の研究等を纏めて次号で報告できれば,と考えている。(図1)(自抄)
- 石津澄子
黎明期の婦人労働
Ishizu, S.: Women's Labour at the Dawn of Modern Japan
労働科学,80(1),23-29,(2004)
- 日本の労働科学研究は,関西の紡績工場に働く婦人労働者の環境衛生,労働条件,そして健康問題を憂慮した,異色の経営者倉敷紡績株式会社社長である大原孫三郎氏と,東京大学のこれもまた異色の生理学者である暉峻義等博士によって始められたと言っても,過言ではない。
一世紀近くも前の産学協同であった。目的は義務教育を終えたか終えない12-13歳前後の女工さんを多数全国から集め,12時間労働,二交代制で働かせ,しかも環境は悪く女工の健康への影響が憂慮され,発育阻害が見られた。これを何とか改善したいという大原社長の切なる願い,それに答えた暉峻所長と,その共同研究者たちの熱意と努力の歴史的記述が主である。当時,結核という国民病が猛威をふるい,これに対する医師達の奮闘振りも注目される。(図2)(自抄)
- 斉藤良夫
労働者の疲労の研究方法に関する諸問題
Saito, Y.: Six Essential Issues Concerning Study Methods of Workers' Fatigue
労働科学,80(1),30-37,(2004)
- 労働者の疲労の研究方法に関する6つの基本的な事柄について,研究方法の歴史の観点から検討した。従来の疲労研究の方法は,1日内までの短期間の疲労を研究する方法であって,1ヶ月およびそれ以上の長い期間の慢性疲労を研究する方法を構築するためには,従来の研究方法を検討する必要がある。検討された6つの事柄は以下の通りである。従来の疲労の定義のもつ意義と問題点,負担概念の成立による研究方法の変更,休息・睡眠欲求としての疲労の理解と長期間にわたる労働者の疲労における人格的意義,労働者の疲労のもつ社会的および生物的の二側面の理解と両側面を相互に関係づける研究方法の重要性,労働者という人間の特殊な存在の疲労を研究するために必要な3つの研究段階,労働者の疲労を評価するときに不可欠な過労概念。(自抄)
- 田尾雅夫
高齢化と労働科学
Tao, M.: Aging and Labour Science
労働科学,80(1),38-42,(2004)
- 高齢者が多い社会とは,さまざまの問題を深刻に内包する社会でもある。高齢者が多いこと自体が,この社会を停滞させることになるかもしれない。病弱や痴呆,一人暮らしなどさまざまのコストを,この社会に負荷することになるかもしれない。とくに今後,その変化の速さでは,おそらく世界的規模で,はじめて経験する社会であろう。超と形容される,その世界にどのように向き合うかは,労働科学という,本来学際的な学問の真価,その力量が問われることになる。どのように,この社会の高齢化に向き合い,そして,エイジングやエイジズムなど,その社会の問題に取り組むことができるか,その学問の可能性について論じる。(自抄)
- 高橋祐吉
現代社会と労働
Takahashi, Y.: Characteristics of Industrial Labour in the Modern Society
労働科学,80(1),43-48,(2004)
- 現代社会における労働は,管理された労働という特徴を帯びているが,その出発点はテーラー・システムによる工場管理の体系化にある。その流れは大量生産方式を確立したフォード・システムに受け継がれ,戦後も「細分化された労働」と高能率・高賃金を組み合わせた生産システムが維持されてきた。しかし,「疎外された労働」に対する反発も生まれ,「労働の人間化」による労働改革の試みも広がった。その後ME技術革新や情報化にともなって,労働は二極化するとともにシステム拘束的になった。自己実現が困難な労働に対する不満は根強く,職場ストレスも強まっており,「ディーセント・ワーク」への期待は大きくなっている。(自抄)
80巻2号
- 奥本泰久, 樽岡正樹
生力学モデルによる草刈り作業時の人体負荷解析
Okumoto, Y. et al.: Physical Load Analysis of Bush Cutting Work Using a Biomechanical Load Model
労働科学,80(2),49-56,(2004)
- 我が国の林業は現在,就労者の70%が50歳以上の高齢者であり,しかも,危険・きつい・汚いの3K作業といわれるように体への負担が大きな仕事である。これらの対策として機械化が進められているが,環境条件の悪さもあって他産業に比べてかなり遅れており,高齢者に対して身体の負担の少ない作業形態を検討する必要がある。
本稿ではこのような観点から,森林作業のうち最もつらい作業の一つである草刈り作業を取り上げ,ディジタルヒューマンモデルを用いた人体負荷解析およびアンケートによる作業評価を行い,作業者の身体にかかる負担と疲労の感じ方を考察し,より安全で身体負担の少ない作業方法について検討したものである。(図9・表1)(自抄)
第80巻記念・総説論文抄録
- 木村菊二
粉塵衛生のあゆみ(第2報)─1960年(昭和35年)以降─
Kimura, K.: Development of Occupational Hygiene Research on Dust Exposures in Japan(Part 2): From Around 1960 Onwards
労働科学,80(2),57-70,(2004)
- 本報では前報に引続き,1960年以降に労働科学に掲載された労働衛生に関する論文を基に,研究項目別にほぼ時系列的に研究のあゆみを述べる。
1960年頃までは,わが国における粉塵職場の粉塵測定には,主に労研式塵埃計が使用され,恕限度あるいは,許容濃度の値は個数濃度で示されていた。その後,新しい原理を用いた粉塵測定器が開発され,許容濃度の値は質量濃度で示されるように変わった。
粉塵測定器としては,個人曝露濃度測定のための個人サンプラーが開発され,また,総粉塵濃度と吸入性粉塵濃度とを同時に測定可能なT・Rサンプラーが開発された。あるいは,粉塵濃度の時間的変動を自動測定記録可能な装置も開発され,これらの装置の特性を応用して防塵設備の改善も行われている。(図3)(自抄)
80巻3号
- 北島洋樹・沼田仲穂・菅原淳史
プロトコル分析による自動車運転時の判断過程の分析ー運転支援装置の有無と運転経験による運転方略・操作の差異ー
Kitajim, H. et al.: Examinations of Drivers' Decision Making Process by Protocol Analysis Differences Between Novice Drivers and Experienced Drivers in the Decision Making Process and Car Operation With or Without Driving Support Equipment
労働科学、80(3)、105-117、(2004)
- 運転経験の異なる8名(経験者5名、初心者3名)を被験者として、高速道路走行実験を行った。先行車との車間距離や自車速度に基づき、一定の速度あるいは車間を保つように車速を制御するACC(Adaptive Cruise Control)装置の使用/不使用条件において、走行中に考えたことを発話させたプロトコルを分析し、どのように加速を意図し操作するかという方略に運転経験差があるか否かを検証した。
また、走行情報(前車間、アクセル開度など)と比較し、運転方略と走行特性との関係を調べた。 運転方略と走行特性には対応があり、運転中の判断過程の分析において、プロトコルの分析が有効であることが確認された。(図3・表5)(自抄)
- 宮内博幸・田中茂・野見山哲生・今宮俊一郎・関幸雄
日本で市販されている保護手袋における4種類の有機溶剤に対する浸漬試験と透過試験結果の比較(英文)
Miyauchi, H. et al.: Conparrison of Degradation and Permeation Tests Using Four Organic Solvents on Chemical Protective Gloves Commercially Available in Japan
労働科学、80(3)、118-122、(2004)
- JIS規格による化学防護手袋の性能評価は浸透試験であったが、1998年に改正され、透過試験で行うこととなった。この透過試験はASTMおよびISOで採用されているものである。そこで、日本で市販されている9種類の材質の異なる手袋を用いて、4種類の有機溶剤(アセトン、二硫化炭素、トリクロロエチレン、ジメチルホルムアミド)に対して透過試験を行った。
その結果、合計36例(9種類の手袋×4種類の有機溶剤)中、10分未満の透過時間を示したのが25例と、69%の割合であった。メーカーが表示している浸透試験と今回得られた透過時間を比較した結果、浸透試験で良好な結果を表示している14例中、透過試験で10分未満の結果が6例認められた。それ故、使用する有機溶剤に対する透過時間を考慮して手袋を選定することが重要であることが示唆された。(図3・表1)(自抄・英文)
80巻4号
- 久保智英、斉藤良夫
48時間断眠状態におけるヴィジランスパフォーマンスの変動−不安定状態仮説の検証を中心に−
Kubo , T. et al.: An Experimental Study for Testing the State Instability Hypothesis on Vigilance Performance in 48 Hour Sleep Deprivation
労働科学、80(4)、143-159、(2004)
- 本研究の目的は,断眠状態におけるヴィジランスパフォーマンスの変動に関してDoranら(2001)が提唱した不安定状態仮説を検証することである.実験的に48時間の断眠状況を設定し,6名の被験者に2時間ごとに20分間の視覚的ヴィジランスタスクを行わせた.その結果,短時間内のヴィジランスパフォーマンス上にラプス,フォールスアラームなどが正規反応と混在して出現することが明らかになった.これは彼らのいう"秒単位の短時間の内に変動する明らかな覚醒とも睡眠ともどちらともいえない不安定な状態"であって,その分析方法とそれによる不安定状態の変化を検討した.本研究より不安定状態仮説は成立することが明らかにされた.(図6・表1)(自抄)
- 大倉元宏,小川洋,古川俊一郎,田内雅規,北野正夫
視覚障害者用道路横断帯の標準的敷設法に関する研究(2)
Ohkura, M. et al.: Guidelines for Installing Tactile Guiding Lines to Assist Blind Pedestrians in Crossing Intersections (Part 2)
労働科学、80(4)、160-170、(2004)
- 視覚障害者用道路横断帯の敷設ガイドラインの策定をめざして、本研究では音響信号機のスピーカの位置との関連を検討した。音響信号機のスピーカは、普通、横断歩道口のどちらかの側の歩行者用信号機のポールに取り付けられる。サインブロックを見つけやすくするために、スピーカをサインブロックの上方に移設し、フィールド実験により、スピーカの位置がサインブロックの発見にどのように影響するかを検討した。実験の結果は、スピーカのサインブロック上方への設置が被験者のパフォーマンス改善に貢献することを示した。道路横断帯の敷設ガイドラインを作成する上で、音響信号機のスピーカの位置はきわめて重要になる。(図5・表2)(自抄)
- 熊谷信二,田渕武夫,小坂博,吉田仁,篠田裕司,原一郎
蛍光灯器具用コンデンサーの破裂事故によるPCBs曝露事例
Kumagai, S. et al.: Office Workers Exposed to polychlorinated Biphenyls in a Burst of an Electric Condenser Used in a Fluorescent Light
労働科学、80(4)、171-176、(2004)
- 2002年2月、大阪市内の貸ビルの事務室に設置されていた蛍光灯器具のコンデンサーが破裂し、PCBsが飛び散った。2名が仕事をしており、吸入曝露および経皮曝露を受けた。別の1名は当日は帰宅していたが、翌日残留していたPCBs蒸気の曝露を受けた。自覚症状は頭痛、食欲不振、嘔気、倦怠感、不眠である。事故時に蛍光灯の下にいた1名については、頭部に赤色発疹があり、血液検査ではGPTおよび中性脂肪の軽度高値が認められた。事故後12日目あるいは16日目の血清中PCBs濃度は一般人のレベルであったが、同族体パターンが一般人とは異なっており、事故でのPCBs取り込みの影響と考えられた。血清中ダイオキシン類濃度は一般人のレベルであり、かつ同属体パターンも一般人と類似しており、事故でのダイオキシン類取り込みは多くないと考えられた。(図1・表1)(自抄)
80巻5号
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金 鎮赫、斉藤 良夫
韓国で行われている労働者の疲労感調査について
Kim, J. et al. How Japanese Fatigue Feeling Inventories Have Been Used in Surveys of Fatigue Feelings of Korean Workers
労働科学、80(5)、203-212、(2004)
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韓国で行われている労働者の疲労感調査の内容を紹介するとともに、各調査で用いられている日本産業衛生学会・産業疲労研究会撰の「自覚症状しらべ」(1970)の利用方法に関して検討した。本研究で使用した資料は、1974年から2002年までに韓国の学術雑誌などに発表された36編の論文で、うち25編は労働者を対象にした論文である。その25編では、1994年以降は、1993年以前と比べて、より広い産業領域で疲労感調査が行われている傾向がみられた。2つの原著論文について内容の概要を紹介した。日本の疲労感調査票の利用方法に関しては、上述した25編の論文のうち、19編で「自覚症状しらべ」が用いられていた。一方、36論文中12論文で、「自覚症状しらべ」と「自覚的症状調査表」(1954)との使用上の混乱がみられた。(表6)(自抄)
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内山 集二,倉沢 高志,関沢 敏弘,中塚 比呂志
労働と高血圧
Uchiyama, S. et al. Work and Hypertension
労働科学、80(5)、213-219、(2004)
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われわれは1980年代と90年代に高血圧治療中の日本人労働者の追跡調査を行い、脳心事故発症と労働因子の関連を調べた。過労死が社会問題化した1980年代の高度成長、バブル期に取り組んだ第一次調査は、長時間労働が、高血圧治療を受けている50代男性労働者の脳心事故発症の危険因子であることを示した。この結果は過労死認定基準の見直しにつながった。バブル崩壊後の90年代後半に取り組んだ第二次調査では、長時間労働単独では有意な危険因子とはならず、QOLの障害を持つ長時間労働が有意な危険因子になっていた。また、労働負荷(仕事の要求度が高いことや仕事の裁量度の少ない状態)が危険因子となっていた。(図4・表2)(自抄)
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城内 博
化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)
Jonai, H. Issues related to the Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS)
労働科学、80(5)、220-230、(2004)
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化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)は、2003年7月に国際連合(社会経済理事会)で承認された。これは化学品の二十種類に及ぶ危険有害性について統一の判定基準で分類し、その結果を統一したフォーマットで化学物質安全データシート(MSDS)やラベルに反映させようとするものである。この第一の目的は、危険有害性情報をそれを扱う人々に適切に伝達することによって、災害防止、健康維持、そして環境保護に役立てることにある。さらにGHSにより、化学物質管理がより推進され、化学品の貿易も容易になることなどが期待されている。GHSの世界的な実施目標として、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)では、2008年をあげている。またアジア太平洋経済協力(APEC)の化学分科会では2006年実施を目標とした。我が国でもGHSへの対応が検討されている。(表5)(自抄)
80巻6号
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川武迚チ
情報化と雇用の多様化が司書の職務満足・不満足要因に与える影響
Kawasaki, C.: The Influence of Computerization and Flexible Staffing Arrangements on Librarians' Job Satisfaction and Dissatisfaction Factors
労働科学,80(6),249〜260,2004
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わが国の図書館界では司書の職務の専門性が議論されてきたが,現在,非正規職員化が進み各図書館の司書率の低下などが問題となってきている。本研究では情報技術革新を背景とした職務の変化が司書のモチベーションに与えた影響を考察するため質的研究による調査・分析を行なった。司書資格を有する35名への半構造化インタビューを行ない,その会話内容(会話の全コード数9,391件)の分析に職務特性モデルをカテゴリーとして用いた。その結果,「課業の有意味性」と「成長欲求」,「利用者」に関する報告が職務満足と関連する一方,雇用の変化が仕事の有意味感の低下や成長欲求の阻害をもたらし,司書の職務満足感を低下させてきたことが考察できた。(表7)(自抄)
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早尻正宏
森林管理レジームの転換期における林業労働者の状態―その就労条件と労働安全衛生―
Hayajiri, M.: Working Conditions and Occupational Safety and Health of Forestry Workers at a Turning Point in Forest Management Regimes
労働科学,80(6),261〜273,2004
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本稿では,適切な森林管理の実行に不可欠な存在である林業労働者を対象として,その労働条件の実態を明らかにした。その際,職種別に労働条件を把握し,また職場の労働安全衛生にも注目した。その結果,林業労働者の多くは,低賃金,社会保険の不備,断続的な就労状況という,依然として低位な労働条件下にあった。労働安全衛生ではチェンソー等操作時間の長さ,作業現場における安全パトロール実施の不徹底などが明らかとなった。林業労働力の量的減少・質的劣化に加えて,こうした労働実態も適切な森林管理の実行のためには改善される必要がある。いま,森林管理にかかわって林業労働をどのように社会的に位置付けるかが問われている。(表7)(自抄)
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宇土 博
職場における腰痛の予防―人間工学的対策の展開
Udo, H. :Preventive Measures Dealing with Lower Back Pain at the Workplace ―Development of Ergonomic Countermeasures
労働科学,80(6),274〜285,2004
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近年,我国の業務上腰痛の認定件数は,3,000件前後で推移しており,その予防は産業保健上の最大の課題である。厚生労働省は,多発する腰痛を予防するため「職場における腰痛予防対策指針」を提案しているが,職場対策は十分には進展していない。その理由には,人間工学的対策の手法が職場や産業保健スタッフに十分習得されていないことが挙げられる。こうした状況を改善していくためには,職場で容易に実施できる人間工学的対策を提案し,これを職場で展開する必要がある。本稿では,これまで,様々な職場で実施されてきた対策例を挙げながら,重量物,不良姿勢および長時間座作業の腰痛予防を中心に職場で展開すべき人間工学的対策について述べる。(図22,表1)(自抄)
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W.A. スピンクス
テレワークと在宅就労者による「病気」の再概念化
Spinks, W.A.:Telework and the Reconceptualization of "Sickness" by Home-Based Workers
労働科学,80(6),286〜291,2004
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長い間定着している仕事習慣や職場の前提が現在,社会的価値観の変化,革新的な技術の進歩および競争が激化するビジネス環境によって厳しく問われている。特にテレワークや他のITによって可能となった仕事の仕組みが既存の業務のあり方,従業員評価とナレッジの管理をめぐって大きな挑戦となっている。さらにこれらの動向が仕事関連の健康管理にも多大な影響を及ぼしているが,その性質がいまだ充分に把握されていない。本稿では日本およびイギリスの異なった調査結果を報告し,在宅就労者が抱く労働衛生管理課題を探る。調査結果を受け,就労者の健康という概念を再定義する必要性を検証し,その関連で特に注目する点として,バーチュアル職場では従来組織が設けてきた明確な病気の基準がよりあいまいで「ボカシ」のある基準に取って代わる恐れがある点を指摘する。(図2,表2)(自抄)
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柴田英治
中小企業の安全衛生−組織と担い手に注目して−
Shibata, E. :Occupational Safety and Health in Small-Scale Enterprises in Japan with Special Reference to Relevant Organizations and Personnel
労働科学,80(6),292〜298,2004
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中小企業の安全衛生活動を推進する上では小人数で分散していることが多いこと,経済基盤が弱いこと,安全衛生に関わる人材の不足などがある。これらの困難を克服するため,事業者,労働者を中心として,様々なサポート組織,産業保健専門との連 携,さらに中小企業を組織化することにより,効率的で有効な安全衛生活動が可能と なる。今後,労働衛生の行政強化による安全衛生支援の需要喚起,大企業産業保健ス タッフOBの活用,安全活動の蓄積を衛生活動に結合させること,研究者の養成などの 課題がある。中小企業の包括的安全衛生管理に関する研究は少しずつ増えているが さらに実践と評価を伴った批判に耐える研究成果をあげる努力が求められている。(自抄)