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労働科学
77巻
The Potential for Job Creation in Times of Employment Crisis : Results of a Case Study.
日本の雇用情勢改善のため, 政府による雇用創出政策とは別に, 「下からの」 雇用創出の運動が登場してきている。 その一つである 「霞ヶ浦粗朶組合」 は, 霞ヶ浦の環境悪化の防止, 自然環境の再生のための, 湖岸の消波施設としての 「粗朶沈床」 の材料となる粗朶の生産を事業内容とする, 地元の中小企業経営者等によって構成される協同組合である。 霞ヶ浦周辺の森林保全と結合して行われる粗朶生産はきわめて労働集約的であるため, 相当数の新規雇用が創出される可能性があり, また, 既に一定数の失業者に雇用の場を提供してきた。 この事例を通じて, 環境保全の分野において協同組合方式の自主的な運動が雇用創出の大きな可能性をもつことが示された。 (自抄)
General View of Workers Accident Insurance System in Germany -From "General View of Social Right"-.
ドイツの労働災害保険は, 事業主の義務保険であるが, 労働者のための保険である。 保険者は, 商工業災害保険組合, 農業災害保険組合, 公的部門災害保険組合に統合され, 保険料は事業主から徴収される。 保険者は, 啓発, 情報提供, 助言, 相談活動をおこなわなければならない。 労災保険組合はまた監視活動により労働災害の予防に努めている。 被保険者は, 被雇用者, 農業漁業者とその配偶者および家族労働者, 職業訓練生から介護者, さらには学生, 幼稚園・保育所の幼児も含まれる。 給付には医学的給付 (治療, リハビリ, 職業リハビリ), 障害年金, 遺族への葬祭・搬送料, 寡婦または寡夫年金がある。 (図 2, 表 7) (自抄)
Muscular Load by Visual Display Terminal Operation of Workers with Cerebral Palsy.
重度脳性麻痺者にとって共同作業所は重要な活躍の場となっている。本研究は脳性麻痺者のVDT作業時の筋負担を上肢表面 筋電図の低周波成分変動から明らかにした。筋電図の基準化の観測は,作業開始直前,作業終了後,作業終了後から10分間の休憩後に行った。脳性麻痺者,健常者を問わずVDT作業により筋電図低周波成分は増加した。一連続50分作業時,上肢に重度の障害があり上腕周径囲が小さい脳性麻痺者2名は,上腕二頭筋に筋負担による影響がみられ10分間の休憩によっても回復しなかった。すべての被験者において一連続25分作業時は10分間の休憩により筋パフォーマンスが回復しており,この休憩の重要さが示唆された。(図14・表2) (自抄)
A Field Evaluation of Tactile Guiding Lines Applying Paint Technologies of Road Markings for Assisting Visually Impaired Independent Pedestrians in Crossing Intersections.
今般新しく開発,実用化された視覚障害者用道路横断帯の有効性に関して評価実験を行った。道路横断帯とは路面 標示技術を応用して横断歩道の中央部に30cm幅で敷かれた突起体の帯である。視覚障害者の道路横断では,横断中に信頼性の高い方向に関する手がかりの少ないことが問題としてこれまで指摘されてきた。2名の歩行訓練士と2名の全盲の障害者に,横断帯の敷設された横断歩道と敷設されていない横断歩道を実際に歩行してもらい,歩行軌跡や横断時間,印象などを測定した。その結果 ,横断帯の利用には慣れが必要なものの,慣れると極めて有効な支援設備になる可能性のあることが示唆された。(図8・表4) (自抄)
Risk Factors for Occupational Health Impairments among Elementary School Teachers.
学校教職員の労働が健康障害に及ぼすリスク要因を調べるために, 京都市内の小学校 24 校の 283 名の教職員に質問紙調査を行い, 健康状態, 疲労, 筋骨格系障害と咽喉の変調・痛みの労働との関連を検討した。 その結果, 教職員の 64.3%が健康への不安を訴え, 精神疲労は 76%, 他方, 身体疲労は 89%の教員が訴えを示した。 声がれ・咽喉の痛み, 腰痛と頚肩腕障害, 神経症の罹病者が多く, 職務との関連が危惧された。 その原因として家での持ち帰り仕事を含む長時間労働と極端に短い休息時間のほか, 特別研究発表, 児童の問題行動への対応,児童数の多い学級, 低学年学級などへの対応も指摘された。 この調査から家での持ち帰り仕事による労働負担の軽減を基本に筋骨格系障害や咽喉の変調・痛みの原因を労働医学的に特定し, 予防対策の実施が緊急の課題であるといえよう。 (図 12・表 5) (自抄)
A Preliminary Attempt on the Evaluation of a Nocturnal Nap Viewed from the SWS-SREM Balance and Progressive Stage Changes During Daytime Sleep
12 時間 2 連続夜勤を想定し,夜間にとる 2 時間の仮眠 (0200) が,その後の昼間睡眠 (1200〜1700) に及ぼす効果を検討した。 その際,著者らが Horne の core sleep 概念をもとに労働者の睡眠評価に適切と考え規定した SWS-SREM バランス指標を用いた。 結果として本実験の仮眠は,昼間睡眠の SWS-SREM バランスを保つことができなかった。 しかし仮眠や昼間睡眠を適切に配置することによって仮眠が昼間睡眠の SWS-SREM バランスを整える可能性を指摘した。 また夜勤時にとる仮眠の効果を睡眠から評価する際には,仮眠や昼間睡眠の先行覚醒時間や睡眠時刻に加えて,労働負担要因を考慮する必要性を述べた。 (図 5・表 3) (自抄)
Workplace Improvement Needs and Effective Approaches in Small and Medium-sized Enterprises: Experiences in the Die-casting Industry
中小企業における職場環境改善のあり方を検討するために,ダイカスト製造業における現場実態調査と質問紙調査を実施した。 実態調査からは,高温職場の気流不足,高い騒音レベル,ばらつきの多い照明条件,運搬やワークステーションで改善を要する人間工学条件が知られた。 職場環境 14 項目についての 5 段階評定と改善必要度および改善経験を聞く質問紙調査により,暑熱,騒音,粉じん・ミストと衛生福利施設について特に改善の必要があること,職場環境の快適化と人間工学改善を含めて取り組む必要のあることが明らかになった。 安全確保,負担軽減,快適形成について多領域改善を取り上げていくことが今後の重要な課題である。 (図 9・表 1) (自抄)
Variations of Arousal and Cognitive Performance Levels in Shift Work
2交代制勤務に従事する14名の看護婦を対象に,8時間日勤,11時間日勤,夜勤時にストループ課題を採用して認知機能の変動を調べると同時に,精神的作業負担スケール(MWS)やフリッカー値,さらに心拍数を測定して,これら測度間の変動過程の違いや関連性を検討した。その結果,眠気やフリッカー値に代表される「覚醒低下」や心拍数に代表される「活性」による変動とは別に,ストループ課題のカラーワード・ネーミングの遂行測度と誤数に代表される「認知的干渉」による変動が見られた。これは朝方低下し,その後も回復を示さず,単純な知覚-運動反応とは異なり,高次な認知過程が関与する課題遂行に現れる変動であると考えられた。(図 5・表 1) (自抄)
Occupational Safety and Health Management in Four Multinational Enterprise in Thailand
タイの多国籍企業4社で,(1)コミュニケーション,(2)安全保健実践体制,(3)作業編成と福利厚生,(4)安全保健上の課題(有害作業環境や人間工学的側面など),(5)タイ国内からのサポート,(6)本社からのサポート,(7)国際標準化とマネジメントシステムへの対応,の7項目に着目しタイ人安全保健担当者から聞き取り調査を行った。各社とも,安全保健実践体制や有害作業環境管理において進んだアプローチが見られる一方で,異文化コミュニケーション,現地スタッフのキャリア形成,作業編成・人間工学に改善課題が多く,多国籍企業の特色として着目された。4企業が安全保健の進め方について複数の異なったアプローチを取っており,これらをその特徴から仮に,「日本発グローバル型」,「リスクケア・トップダウン型」,「日本・タイ型」,「独自・分権ネットワーク型」と分類した。(表 2) (自抄)
A Study on Objective Assessments of the Cumulative Fatigue Symptoms Index
本研究では、CFSI(蓄積的疲労徴候インデックス)における平均訴え率の度合いを見る主パターン判定、各特性項目の相対的な突出・歪みの状況を見る副パターン判定において、それらの判定の客観性を高めるような指標を提案する。
具体的には、最近の越河、藤井による判定結果を基に、各特性項目における平均訴え率を、レーダーチャート上の「基準平均訴え率、基準70%ile値で仕切られた領域」に分けて扱ったり、基準平均訴え率、基準70%ile値、またはそれらの値の差で標準化して利用することにより、主パターン、副パターンを客観的に判定できる指標を導き出した。その指標を実際の判定結果に適用すると9割以上の一致が得られた。(自抄)
Effects of the Mutual Acceptance Method in Education for Problem Solving - Focus on Group Discussion and Cognitive Counseling-
学習者が、自ら考え、主体的に問題解決し行動することを促すことを狙いとした、教育プログラムの開発とその実践結果について報告する。本プログラムは、問題解決をテーマとして、その概念規定、事例分析、一般課題、全体討論からなる。特に、事例分析を中核とし、その分析過程を通じて発生する様々な問題点を、集団討議や認知カウンセリングなどを用いて解決を促すことに特徴がある。その教育効果としては、学習者が主体的に問題を捉えるという点においては、不十分な点もあったが、そこに至る前段階としての、表現力・想像力・柔軟な思考などの諸能力は向上するという結果が得られた。(自抄)
Improvement of the Performance of a Push-pull Ventilation System by Continuous Monitoring of Personal Dust Concentrations.
ある溶接作業場に設置された,プッシュプル型換気装置の性能評価と曝露濃度の改善を目的に,個人曝露濃度の時間変動を測定したところ,作業中に間欠的に著しく高い濃度ピークが測定された。このようなピークは,外乱気流の平均風速が1.0m/sを頻繁に超えるような状況において多く見られ,作業者後方の出入口から侵入した外気流の一部が作業者の前面でプッシュプル流れを乱し,溶接ヒュームが呼吸域に拡散したためであると考えられた。このように曝露濃度の時間変動を測定することにより,平均濃度の測定では把握しにくかった要因を明らかにし,曝露の改善に役立てるために有用なデータを得ることができると考えられる。(図6・表1) (自抄)
Dust Exposure in a House Construction Site.
小規模建築現場における粉じんについて作業者の個人曝露濃度と粉じん濃度の時間的変動を測定し,粉じん曝露の実態と曝露防止対策を検討した。個人曝露濃度測定では吸入性粉じんで29%,総粉じんで15%が日本産業衛生学会の許容濃度勧告値(OEL)の数値を超えた。大工,鉄工,サッシ工,左官は作業時間の荷重平均で吸入性粉じんがOELを越える可能性がある。時間的変動からは,石膏ボードの切断時に顕著な発じんがあり,その粉じんが手掃き清掃,エア釘打ちによって再発じんすることが確認された。(図15・表1) (自抄)
Mask-tester for Examining the Efficiency of a Dust Respirator (Report 2).
新しい防じんマスクの性能は,すぐれていても使用することにより,その性能は変化する。 捕集効率及び吸気抵抗を簡単に測定することが可能なマスクテスターを考案した。 マスクテスターの概要は次のようである。 試験に用いる粒子には,室内空気中の粒径 3μm から 0.5μm の粒子を使用し,粒子の測定にはパーティクルカウンターを使用した。 防じんマスクをマスクテスターに固定する台には,薄いゴム板を貼り付け,それを膨らますことによって防じんマスクが固定台に密着する方法を考案した。 このマスクテスターを用いて,石材加工,鉄鋼,造船などの工場において着用している防じんマスクの試験を行った結果を述べた。 (図 10・表 4) (自抄)
Present Status and Problems of Green Asparagus Cultivation Work.
奈良県橿原市のグリーンアスパラ研究会の協力を得て,アスパラ栽培の作業実態に関する一連の調査を実施した。 アスパラ栽培の導入は,もともとイチゴ栽培者が高齢化を理由に,相対的に身体的負担の小さい生産を求めた結果でもある。 有効回答数は19名,農家数としては15戸と少なかったが,アスパラ収穫作業時に深い前屈姿勢が持続していること,ビニールハウスの構造は狭小な傾向にあること,調整作業時における机面高が不適合なものが多いこと,また,夏季におけるハウス内作業時間中の温熱環境は日本産業衛生学会が定める高温の許容基準を上回っていることが明らかとなった。 今後,以上の点に対する対策が望まれる。 (写真 1・図 4・表 2) (自抄)
Nursing Techniques for Assisting the Elderly in Sitting Up ―Observation of movement patterns and comparison between two nursing methods―
高齢者に有効な起き上がり動作の支援技術を明らかにするために, 健常高齢者 35 名と看護者 12 名を対象に検討した。 第1に, 高齢者が普段行っている起き上がり動作を観察し, 第2に,2つの起き上がり動作の支援方法について, 高齢者の主観評価, 看護者の生体負荷と主観評価を比較した。 高齢者の起き上がり動作の観察では, 体幹を回旋させ上肢で体幹の動きを補助する動作パターンが多くみられた。2つの支援方法の比較において, 高齢者の主観評価では,2方法間に大きな差はみられなかった。 看護者の生体負荷と主観評価では, 患者の体幹を回旋させて起こす方法は生体負荷が少なく, 主観的な評価も高いことが明らかになった。 (図 9・表 6) (自抄)
A Conventional Method for Designing a Push-pull Type Local Ventilation System Considering the Minimum Air Flow.
近年, 省エネルギーの観点から換気装置の風量も必要最小限に納めることが要求されているが, プッシュプル型局所換気装置は設計要素が複雑に絡み合っており, 一意的に設計諸元を決定するのが困難である。 このため, 排風量を最小にするための条件式をすでに発表したが, この式も複雑な指数を含んでおり, 計算が煩雑であるため, これを簡略化し, 処理風量の節減を考慮した実用的なプッシュプル型換気装置がより簡便に設計できるように工夫した。 (図 10・表 1) (自抄)
A Process Analysis of the Nuclear Criticality Accident at JOC Co. Uranium Processing Plant Using a Hypothetical Organizational Accident Model
菅沼ら (2000) の仮説的組織事故モデルに対する妥当性検証の一つの試みとして,JCO 臨界事故のプロセス分析を行った。 その結果,1) 組織のリスク情報処理機能は組織要因の影響を受けて低下すること,2) そのことにより,6 ステップにわたるリスク情報処理のいずれかの段階においてリスクが組織内に潜伏すること,3) 組織内に潜伏したリスクは強化されること,以上 3 側面が見出され,モデルの妥当性が部分的に確認された。 さらに,本分析を通して,当該モデルでは説明できない組織事故プロセスの諸要素が見出された。 これら諸要素は,リスクの発生プロセスとリスクの潜伏・強化プロセスとを明確に区別することの必要性を示唆するものであった。 (図 2) (自抄)
Examination of the Situational Cognition Theory in Education for Problem Solving ―Learners' situation and instructors' role ―
本論文では,状況的認知論アプローチを加味した問題解決教育の必要性について述べた。 そして,「問題解決教育プログラム」 の開発には,1) 学習者が置かれた外部状況および内部状況を,教授者があらかじめ理解しておくこと,2) 教授者は,学習者が自発的に課題に取り組む環境を作ること,3) 学習者が問題解決プロセスミス事例の分析を行い,自らの作業システムが不透明であることの認識を促すこと,が重要であるとの指摘を行った。 この教育プログラムによって,学習者が作業システムの中に潜む問題を顕在化させ,今後,問題解決プロセスミス防止策には何が重要であるかを自ら考えはじめることが期待される。 (自抄)
Application of mathematical models Predicting the Exposure Levels of Vapor and Gas of Chemicals Used at the Workplace ―For exposure assessment and chemical health risk management ―
作業場の化学物質健康リスクマネジメントの際に重要な曝露アセスメントに用いられることになる曝露濃度推定数理モデルの現状についてまとめた。 個別に検討されてきた様々な数理モデルは 1980 年代後半から整理され初めている。 数理モデルの論文をレビューし, 発生と分散の 2 つで区分し, それぞれ, 6 例, 5 例に整理した。 実際に作業現場で曝露を推定する際に必要な 2 種のモデルの組み合わせ例と計算例も紹介した。 今後, 各モデルは, 成立要件や変数に不確実性があるなどの課題があるが, 作業現場での事前の曝露推定には欠かせない存在になると考えられる。 不確実性を組み込んだ確率論的な数理モデルの検討が今後の研究の方向とみられる。 (図 13・表 3)(自抄)
Ventilation Efficiency of a Push-pull Type
Ventilation System in Enclosures with Defined Contaminated and Respiratory Zones作業現場においては,汚染空気の発散域が室の一定の範囲内にあり,また,作業者の呼吸域も同様に別の範囲内に限定されるような場合が多い。
このような場合,ここに一様流換気を適用したときの換気効率はどのように考えたらよいであろうか。
筆者らは密閉式プッシュプル型換気装置を例にとり,以上のようなケースについて換気効率を調べた。 換気効率としては,筆者らが提案してきた K 値を用いた。これは室内気流の流線から算出されるものである。
この結果,換気を効率的に行うための設計条件を得ることができた。(図 8) (自抄)
A Tactile Forewarning Sign for Informing Visually Impaired Independent Pedestrians of the Position and Direction of a Tactile Guiding Line Serving as an Aid to Street Crossing
視覚障害者の単独での道路横断を支援するために横断帯が開発され,実用に供されている。これまでの評価研究から,横断帯は横断支援設備として高い可能性を有しているが,さらなる利便性の向上のためには横断歩道口においてその位置と方向に関する手がかりを用意する必要のあることが示された。そこで本研究ではその手がかりに関して実験的に検討した。すなわち,横断帯と同じ突起列を利用して,「1 列」,「2 列」, および「3 列」 の3 つの触覚的サインを作成し,それらの有効性を実験により調べた。被験者のパフォーマンスや主観的評価から,「2 列」 の有効性が高いことが示唆された。(図 5・表 2) (自抄)
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