「労働科学」隔月発行についてのごあいさつ
月刊誌「労働科学」は労働と生活と環境に関する総合的研究を目ざすわが国唯一の学術専門誌として78巻目を迎えました。大正13年創刊以来,労働科学研究所機関誌としての80年の歴史は,労働科学研究所の歩みそのものであります。私たちは先輩諸氏がそうであったように,この論文誌を活用することによって研究者としての力量を向上させたいと願っています。その上で,私たちの論文が産業現場における健康リスクや安全リスクの改善に一役買うことができれば,こんなうれしいことはありません。
しかし,研究者の数も減った現在,労研OBや外部からの暖かい支援を受けていますが,それでも毎月,発行しながら論文の質と量を確保していくことは大変難しい状況にあります。とくに,投稿論文が少ないために,論文の査読期間を十分にとることができないなど,月々刊行しようとすることが論文誌としての質向上を阻害してしまうことも起こります。
私たちにとりましては苦渋の選択ですが,2002年1号より隔月(奇数月)発行とさせていただきます。この措置は決して後退ではなく,内容の充実と,掲載論文の数を増やす方策として利用していくつもりです。なにとぞ,事情ご賢察の上,「労働科学」誌を,引き続きご支援下さいますようお願い申し上げます。
労働科学は,現実の労働と労働環境を取り上げ,その実場面で得たデータを分析することによって,科学的な事実の積み上げとともに,労働条件や労働環境の改善を提案していくすばらしい方法論をもっています。世はまさに変革の時代です。国際社会にあって,日本丸の進む方向をしっかりと見極め,ニーズにあった研究をすすめることで,変革の時代を乗り越える考え方とデータを提供していくことが労働科学研究所の役割と自負しています。この社会的な役割を果たすのに,「労働科学」誌を活用することがもっとも適当な方法であることは,私たち自身がいちばんよく知っています。若手・中堅研究者を中心に論文投稿が活発となることが,労働科学研究所の活性化に直結します。
私たちは,本誌を研究所の機関誌としてこれまでどおり刊行をつづけますが,同時に労働科学研究に関する学術交流の場としての機能をもちたいと思います。実験的な研究成果はもちろんのこと,変革の時代の労働者の健康リスク,安全リスクを取り上げるために,就労環境や働き方の変化を正面から受け止め,産業社会における労働のリアルな観察や計測結果,少子・高齢社会に対応した医療,福祉,教育分野などのヒューマンケアワークの実態やあり方,そこで働く人たちの健康や安全に関するリスク評価や対策研究,さらに自然科学と社会科学の融合を目指すような新しい研究方法論の提案など,従来の研究の枠にとらわれない斬新で意欲的な研究を大いに歓迎します。
どうぞ,「労働科学」誌へ投稿下さい。この綿での皆様のお力添えをお願いいたします。
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