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71巻(1995年),72巻(1996年),73巻(1997年),74巻(1998年),75巻(1999年),76巻(2000年)
斉藤 良夫. 労働者の過労概念の検討. 1995; 71(1): 1-9. keywords=過労, 産業疲労, 疲労判定, Over-fatigue, Industrial fatigue, Fatigue assessment,
過労概念が、労働者の疲労研究の領域で科学概念として認知されにくい理由を検討した。労働者の疲労が、いつも生物的現象に還元され、生物的側面から規定・議論されるだけであることが、その基本的な理由と考えられる。
労働者の疲労や過労に関しては、その生物的ないし運動的側面からの規定性とともに、疲労や過労の社会的ないし内容的側面からの規定性を同時に考慮することが必要である。労働者の疲労の社会的・内容的側面とは、彼らの疲労が、能率性、安全性、健康性、生活性などの社会・生活的価値の低下の意味をもっているということである。これらの社会・生活的価値の低下が著しい労働・生活状況になっている。またはなりうる人間の状態を、疲労と区別して過労と規定することが出来る。(自抄)
Sakano Junko, Yamazaki Yoshihiko, Sekiya Eiko, Uehata Tetsunojo. The Relation between Job Characteristics, Job-related Stress, and Health related Symptoms among Middle-aged Male Workers in Japan. Journal of Science of Labour 1995; 71(1): 1-12.
宇土 博, 吉永 文隆, 宇土 明子. 改良型シャープペンの頸肩腕部の負担軽減効果に関する研究(第2報) −改良型シャープペンと標準型の頸肩腕部への負担の比較−. 1995; 71(1): 10-21. keywords=シャープペンシル, 改良, 把持部, 予防, 頸肩腕障害, Mechanical pencil, Ergonomic improvement, Grip, Prevention, Cervicobrachial disorders,
シャープペンによる頸肩腕障害を予防するため握圧の軽減を目的に把持径が12〜13.8mmと太く、把持部にテーパーを付け、2〜3mm厚のラバーを装着した改良型シャープペンを作成し、市販の標準型(把持径8.2mm、円筒形、0.2mm厚の塩化ビニールのコーティング。)との間で手指と握りの接触面積、摩擦係数および頸肩腕部の負担を比較した。その結果、改良型では、握圧に関連する接触面積および摩擦係数が有意に大きく、頸の運動痛、ペンダコおよび書字時の頸肩腕部の痛みの有意の改善が認められた。また、改良型の評価は、書字負担の軽減、書きやすい、太さが適切の回答率は、75.0〜81.3%と高かった。これらの結果より、改良型シャープペンは、標準型に比して頸肩腕部の負担軽減効果があることが示唆された。(図11・表10)(自抄)
Tao Yong Xian. Research on the Strategy for Controlling Occupational Hazards in Township Industries in China. Journal of Science of Labour 1995; 71(1): 13-22.
松田 晋哉. ベトナムの労働保護規則(Phap Lenh Bao Ho Lao Dong)について. 1995; 71(1): 22-30. keywords=労働安全衛生, 行政システム, 労働保護規則, 国際協力, ベトナム, Occupational Safety and Hygiene, Administrative system, Ordinance on labour protection, International collaboration, Vietnam
ベトナム政府は1986年以降社会経済政策の見直しと市場経済の導入を含むドイモイ(刷新)政策をすすめている。外国投資の増加と新技術の導入によって、経済は急速に発展していくと予想されるが、その一方、新たな労働安全衛生上の問題や環境問題が生じてきている。その解決には、国内努力にあわせて、日本を含む諸外国からの援助事業が必要とされている。このための基礎資料を提供する目的で、ベトナムにおける労働安全衛生行政の概略と労働保護規則の全文を紹介する。行政上は、安全衛生監督の強化と産業保健活動の組織が急務である。同規則は、雇用主と労働者の責任を明らかにし、労働保護行政と監督、労働組合の関与を定めている。国際技術協力の展開が期待される。(図2)(自抄)
松田 晋哉. ベトナムにおける労働安全衛生の現状. 1995; 71(2): 49-62. keywords=労働安全衛生, 国際協力, ベトナム, Occupational safety and health, International cooperation, Vietnam
ドイモイと通称される市場経済政策の導入により、ベトナム経済は急速に発展している。しかし、経済成長への強い圧力は労働安全衛生と環境に関して以下のような様々な問題を引き起こしている。
1)旧式の工場における危険作業と環境汚染
2)女性労働の強化(特に、繊維・食品加工といった軽工業)
3)組み立てラインのような新しく導入された技術への適応困難
4)零細私的工場の増加とそこでの労働条件の悪化(例:小児労働の増加)
5)暑熱環境下での労働の強化
6)複雑な行政機構に起因する非効率的な労働安全衛生行政
このような問題を解決するために、わが国による積極的な援助の展開が望まれる。(図1・表6)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(VIII) −食べるために働き、働くために食べた時代−. 1995; 71(2): 63-80. keywords=労働観, 残飯屋, 重労働, 労研饅頭, Attitudes towards labour, Shops selling left-over food, Heavy work, Roken bun,
1990年代になっても発展途上国では残飯が販売されて食べられている。日本でも19世紀末以来、1920年頃には残飯屋があり、残飯で生命をつなぎ、働く人達も沢山いた。
この時代には「女工哀史」時代でもあって、繊維産業の年少の女工達は腹一杯の米飯を喜びとして、酷しい労働に従事していた。
倉敷労研の暉峻義等は1930年ころ労研饅頭を製造したが、当時の労働者は饅頭も、パンも、バターも、チーズも嗜好に合わなかった。
当時の農林業、鉱山、製鉄所は重労働で、農村には一升飯という言葉もあった。炭鉱では1週間の中で途中自発休日をとる必要があった。
その頃の労働者や農民の労働観を一言でいえば「いやだなぁ」ということになるのかも知れない。(図6・写真15)(自抄)
日本学術会議広報委員会. 日本学術会議だより No.35 第16期活動計画決まる. 1995; 71(2): 98-99.
Udo, H., Bheema, R., Konz, S.. Pen Grip Versus Grip Electromyograms and Pen Point Pressure. Journal of Science of Labour 1995; 71(3): 1-9.
Yu Yongzhong, Lang Yanying, Zhang Wengcheng. An Ergonomic Study of Three Types of Personal Carrying Equipment. Journal of Science of Labour 1995; 71(3): 10-16.
渡辺 明彦. 軽度な寒冷環境への暴露時間の長さが生理・心理反応に及ぼす影響. 1995; 71(3): 101-114. keywords=軽度な寒冷曝露, 直腸温, 皮膚温, 血圧, Moderately cold exposure, Rectal temperature, Skin temperature, Blood pressure
夏期、6人の男子青年を対象に、5℃の環境における曝露時間の長さが生理・心理反応に及ぼす影響を実験的に検討した。曝露条件は寒冷(5℃)〜常温(25℃)の繰り返し曝露とし、寒冷および常温総曝露時間がそれぞれ60分間となるように、連続曝露時間を60分、20分、10分および5分の4条件に設定した。曝露中は椅座位とし、被服のクロー値は0.9cloとした。得られた結果は、軽度寒冷環境への短時間頻回曝露は長時間曝露に比べ、深部体温の低下度や、被験者の寒冷感覚には影響を及ぼさないが、末梢部皮膚温の冷却抑制やそれにともなう血圧上昇の抑制には一定の効果がある、と思われた。
(図5・表10)(自抄)
佐々木 司, 菊池 安行, 新藤 悦子, 勝浦 哲夫, 原田 一. 深夜勤務時の仮眠が早朝時刻帯の覚醒水準に及ぼす効果 −覚醒時脳波の分析−. 1995; 71(3): 115-120. keywords=夜勤労働, 看護婦, 仮眠, 覚醒水準, 脳波, Night work, Nurse, Nocturnal nap, Arousal level, EEG
5人の病棟看護婦が被験者となった。彼女らは深夜勤務時に2:30〜4:00まで仮眠をとる仮眠条件と休憩のみ行う休憩条件を課せられた。8:00〜8:30の座位作業時間には、携行式脳波記録装置を用いて覚醒時脳波を測定した。脳波のデータは周波数解析を行い、θ波、α波、β波の出現率を求めた。その結果、早朝期間のθ波出現率は、仮眠条件で休憩条件より有為に低く、β波出現率は、仮眠条件で無仮眠条件より有意に高かった(5%有意水準)。これらの結果から深夜勤務時の仮眠は早朝期間の覚醒水準の維持に対し効果があることが示された。深夜勤務時の覚醒水準測定に脳波指標を用いることは有効であるが、その測定法は今後検討する必要がある。(図2・表2)(自抄)
前原 直樹, 李 卿, 守 和子, 飯田 裕康. バス運転手の心室不整脈出現2症例における労働関連要因の検討. 1995; 71(4): 139-153. keywords=心室不整脈, バス運転, 夜勤, 過労, 精神的ストレス, Ventricular arrhythmia, Bus driving, Night work, Over-fatigue, Mental stress
心室不整脈における労働関連要因を検討した。観光バスの運転業務中の昼食休憩中に心室頻舶(VT)が出現した例では、昼食休憩中の血圧や尿中アドレナリン(Ad)値は、午前中の運転時に較べても大きな低下が見られなかった。また発症前1〜2ヵ月間に深夜高速バスなどでの夜勤運行の連続、特に発症6日前からは休日がない中で連続的な夜勤走行を繰り返していた。2症例目は、送迎バスの運転中に心室期外収縮(VPC)を頻発した症例で、VPCが頻発した朝夕には客が多く、また相対的に車速を早めて運転していた。VPC数が増した時間帯には尿中Ad値や血圧値などの亢進も見られていた。心室不整脈の出現には、乗客輸送や深夜運転などが直接の引金因子となるだけではなく、過労状態が促進要因として働く中でも引き起こされる可能性が推定された。(図10・表3)(自抄)
原 邦夫, 深堀 すみ江, 中明 賢二, 井谷 徹. 高沸点系有機溶剤類のガスクロマトグラフ分析. 1995; 71(4): 154-159. keywords=高沸点系有機溶剤, ガスクロマトグラフ分析, 活性炭, 脱着, テドラーバッグ, High-boiling-point organic solvent, Gas chromatograph analysis, Activated carbon, Desorption, Tedler-bag,
高沸点系有機溶剤のセロソルブ類(エチレングリコールモノエステル類)、シクロヘキサノン類、シクロヘキサノール類およびクレゾールの試料採取方法および固体捕集試料からの脱着条件を検討する目的で、テドラーバッグ内の濃度変化および活性炭からの脱着率を求めた。テドラーバック内での濃度変化は比較的短時間に生じ、また活性炭からの脱着率は溶媒組成によって大きく変化する結果を得た。混合有機溶剤中にこれら高沸点系有機溶剤が含まれる作業場の環気中濃度を測定する場合、テドラーバッグ内での濃度減衰および活性炭からの脱着溶媒に注意すべきことを示した。(図2)(自抄)
酒井 一博, 品部 義博, 庄司 卓郎, 川上 剛, 渡辺 明彦, 天明 佳臣, 小木 和孝. 農業領域における人間工学・作業環境条件の改善 −生活関係改良普及員に対する質問紙調査結果−. 1995; 71(5): 179-190. keywords=農業, 生活関係改良普及員, 人間工学的改善, 姿勢負担の改善, 労働時間の短縮, Agriculture, Agiricultural extension service workers, Ergonomic improvements, Reduction of postural load, Reduction of working hours
農業領域において、快適化、安全化に向けた作業・環境条件の改善例を収集するために、全農業改良普及所を対象に質問紙調査を実施した。調査は郵送法により行い、591通の配布に対して475通の有効回収(回収率80.4%)を得た。
本調査では延べ719件の改善例が収集できた。この改善例を分類したところ、最終的に運搬と移動、ワークステーションの改善、作業環境の改善、労働時間の短縮・整備、安全対策など8改善領域が抽出された。この改善領域の力点は作目によって異なる特注がみられた。今後、この改善例を追うようすることによって、負担軽減や快適形成に役立つマニュアルの作成や、改善プロセスを提供することなどが重要である。(図5・表4)(自抄)
鈴木 春子. 育児期の就業継続を支えるための問題点と課題. 1995; 71(5): 191-197. keywords=育児期の就業, 就業継続支援, 労働時間, Female workers with childcare responsibilities, Support for continued employment, Working time
1993年10月に実施した育児期の既婚女性に対する質問紙調査によって、就業関連時間や基本生活時間などに子供の有無や末子年齢が及ぼす影響について検討すると共に、職場における雇用管理の問題を既存資料によって検討し、育児期の就業継続支援で今後取り組むべき課題について考察した。改善が望まれる課題として1)育児期を対象に時差出勤、フレックスタイム、短時間勤務など労働時間面の配慮を推進すること、2)女性労働者が置かれている状況を視野にいれた実効性のある工夫によって女性の就業意識を高める努力をすること、3)男女を含めて実労働時間の短縮に向けて努力することをあげ、育児期は乳幼児だけで終わらない事を配慮すべきと述べた。(図1・表4)(自抄)
日本学術会議広報委員会. 日本学術会議だより No.36 第2回アジア学術会議開催される. 1995; 71(5): 215-216.
三浦 豊彦. 労働観私論(IX) −聞き書き労働観(1): 繊維産業労働者・鉱山労働者−. 1995; 71(6): 217-232. keywords=労働観, サラリーマン, 繊維産業労働者, 鉱夫, Attitude towards labour, Salaried employees, Textile workers, Miners
第二次大戦前には労働者といえば、肉体労働者を意味し、職員とかサラリーマンとかいわれる人達は自分では労働者とは思っていなかった。音楽美学者の兼常清佐は『労働と音楽』(1943年)という報告のなかで北ドイツに唄はない、武蔵野も唄はないと書いた。私は戦後になって、この唄のない時代をはさんで、各種の職場で働いていた労働者と対談して第二次大戦前後の労働の実態を知ろうとした。本稿では「女工哀史」時代から働いた2人の製糸女工と鉱山労働者をとりあげた。健康で働いた製糸女工はそれ程労働は苦しかったとはいっていない。ことに第二次大戦後に好況時代があり、糸ひきになってよかったと思ったといっている。足尾銅山では珪肺が多発し、戦後の珪肺防止運動の中心になった。しかしやがて足尾に住んでいても鉱山で働く希望をもつ高校生はいなくなった。(図13・表2)(自抄)
広瀬 俊雄, 大竹 康彦, 町田 光子, 加藤 羊子, 尼崎 ひろゑ, 佐藤 祐子, 多田 由美子. ある惣菜工場に働く主婦労働者の深夜勤務の血圧への影響. 1995; 71(6): 233-241. keywords=夜勤労働, 常夜勤, 血圧, ABPM(24時間血圧記録), 高血圧症, Night work, Fixed night duty, Blood pressure, ABPM(Ambulatory blood pressure monitoring), Hypertension,
惣菜工場にて深夜3時から7時まで固定して働く主婦31人の健診結果を分析した。健診は、深夜帯就業前、3ヶ月後、8ヶ月後の3回施行した。3回の健診時血圧値の平均値での有意の上昇は認められなかった。一部の人では、就業前正常で3、8ヶ月と確実に上昇し、明らかな高血圧値を呈していた。8ヶ月後健診で新たに採用された24時間血圧記録計では、標準値と比較し、3人が異常域に、13人が境界域に有り、合わせて過半数を超した。仕事、生活等との比較では、深夜の作業帯、夕方の家事帯に一致して、明らかに値の高い峰を認める例が認められた。睡眠時間の平均は、夜間約4時間、仮眠約2時間と少なく、家事負担も大きかった。(図5・表2)(自抄)
窪田 悟, 川村 仁郎, 北島 洋樹, 高橋 誠. 視覚検索パフォーマンスによる画面設計の評価(I) −視覚検索パフォーマンスに影響及ぼす画面設計要因の検討−. 1995; 71(7): 261-269. keywords=画面設計, CRTディスプレイ, VDT, 視覚検索, Screen format design, Cathode-ray tube display, Visual display terminal, Visual search
メニュー選択画面を対象として、項目のレイアウト、行揃え、強調などの画面設計上の諸要因が、項目の視覚的な検索パフォーマンスに及ぼす影響について実験的に検討した。主な結果は次の通りである。1)表示密度が一定の条件下でも画面フォーマットの違いによって項目検索時間に約1.6倍の差が生じた。2)色による項目強調の効果は、項目が視覚的に分離しにくいフォーマットにおいてのみ有意であった。3)インデンテーションは、色による強調と同程度の効果があった。4)色による強調とインデンテーションの相乗効果は有意であった。(図14)(自抄)
北島 洋樹. 運動残効が視覚−運動協応に与える影響について. 1995; 71(7): 270-278. keywords=運動残効, 視覚−運動協応, ターゲットポインティング, 側方偏位視, 主観的正面, Motion aftereffect, Visio-motor coordination, Target-pointing, Lateral displaced vision, Subjective straight-ahead,
一方向に運動するパターンの観察後に生じる逆方向の運動印象(運動残効)が、視覚−運動協応課題であるターゲットポインティングの遂行に与える影響を検討した。前額平行面上を水平に運動する正弦波縞を3分間観察させたあと、縦長の短形をテストパターンとして呈示し、運動残効の持続時間を測定した。また、観察の前後にターゲットを指示する課題を施行し、ポインティング位置の変位を測定した。運動パターンの速度が速いほど持続時間は長く、持続時間の長い場合にはターゲットポインティングの運動残効と同方向への変位も大きかった。このことから、視覚的な運動残効が、視覚−運動協応にも統合的に影響を与えていることが示された。(図6)(自抄)
酒井 一博, 佐々木 司, 花岡 知之, 原 邦夫, 川見 正機, 渡辺 明彦, 村田 克, 伊藤 昭好, 冨永 洋志夫. 学会だより 第68回 日本産業衛生学会. 1995; 71(7): 280-285.
原 邦夫, 花岡 知之, 山野 優子, 島田 知子, 井谷 徹. 低濃度多環芳香族炭化水素類曝露評価に及ぼす短時間喫煙の影響. 1995; 71(8): 305-310. keywords=1-hydroxypyrene, 多環芳香族炭化水素, 生物学的モニタリング, コチニン, 喫煙, Polycyclic aromatic hydrocarbon, Biological monitoring, Cotinine, Smoking
体内接種した喫煙量を尿中コニチンで評価し、30分間の喫煙によって尿中1-OH-pyrene濃度がどのように変化するかを測定し、低濃度のPAHs曝露を尿中の1-OH-pyreneで評価する際の、短時間に喫煙した数本レベルのタバコの影響を調べた。被験者は職業性のPAHs曝露のない男性8名で、そのうち3名の喫煙量の多い者の尿中1-OH-pyrene濃度についても、約20時間後から約40時間後の間で若干増加する傾向がみられたが、これまでに得られた職業性のPAHs曝露のない者の日常の濃度変化レベルの範囲を超えて大幅に増加するものではなかった。(図5・表1)(自抄)
西山 勝夫, 福留 寿生, 山下 尋美, 垰田 和史, 北原 照代, 渡部 眞也. 化学工業関連労働者の深夜交替勤務条件と健康 −質問紙調査法による検討−. 1995; 71(8): 311-333. keywords=交替勤務, 疲労, 健康, 罹病率, 化学工業, Shift work, Fatigue, Health, Morbidity, Chemical industry
我々は、化学一般全国協議会の傘下事業所の交替勤務者の健康と勤務の実態を1992年に調査、検討した。
交替勤務群の訴えは常日勤群に比べ、蓄積的疲労徴候、喫煙率、飲酒量増、健康への自信喪失、短命感、日常生活、現勤務に関する不満・不安、睡眠不足、自宅昼間睡眠環境について高率であった。
不健康者、過去1年間の罹患経験者、身体疲労者、神経疲労者、蓄積的疲労徴候、日常生活の不満・不安や食生活上の問題の指摘の率は深夜勤務回数が多い群ほど高かった。蓄積的疲労徴候は、仮眠取得状況、非番時呼び出し頻度とも関係していた。5組3交替制事業所の健康指標、労働条件が、単純に4組・3組3交替制事業所よりよいとはいえなかった。(図5・表15)(自抄)
European Sleep Research Society, 澤 貢(訳). 事故と眠気−労働時間、眠気および事故に関する国際会議(ストックホルム、1994年9月8〜10日)による合意声明−. 1995; 71(8): 334-335.
この合意声明は、1994年9月8〜10日にストックホルムでヨーロッパ睡眠学会(European Sleep Research Society)が開催された折りに、現時点での事故と睡眠の関係に関する科学的知見をもとに、事故防止上注意すべき事項についてまとめたものである。Journal of Sleep Research の第3巻195ページ(1994)に掲載された。事故防止と公共の安全確保の観点からとるべき措置について勧告しているので、現在事故と睡眠の関係についてどういう科学的合意がえられているか、その上にたってどういう方策がのぞまれているかを知るのに役立つ。
日本学術会議広報委員会. 日本学術会議だより No.37 戦略研究と高度研究体制の構築を. 1995; 71(8): 355-356.
三浦 豊彦. 労働観私論 (X) −聞き書き労働観(2):大工・石屋・林業労働者−. 1995; 71(9): 357-369. keywords=労働観, 大工, 石工, 林業労働者, Attitude towards labour, Carpenters, Stonemasons, Forestry workers,
1960年代に東京に住む数人の大工と石屋、それに各地の国有林で働く林業労働者と対談、その労働について聞き書きをした。
戦前には大工になるには大工の棟梁のもとに小僧として弟子入りして、その家の雑用を引き受けながら技術修業をして10年もかけて1人前になった。今は職業訓練所に通って、一般教養や基礎知識を得て建築士になるのだが、今は大工の息子が大工をあまり希望しないような時代だという。
石屋も同様で、戦前の石屋は健康のことも考えないで働いたので、塵肺が発生した。
1960年代まで林業では危険な木馬作業が残っていた。チェーンソーの普及は能率的であったが白ろう病を発生させた。運材用の筏流しも1960年代まで存在した。(写真25・図4)(自抄)
成清 雄一, 塚島 英明, 名古屋 俊士. 衛生陶器工場の生素地検査工程における粉じん対策事例. 1995; 71(9): 370-382. keywords=粉じん対策, 衛生陶器, 生素地検査工程, 防じんマスク, 快適職場, Dust control, Sanitary ware, Green-bod inspection, Respirator, Workers-friendly environment, 粉じん
衛生陶器工場の生素地検査工程において、下記粉じん対策を実施した。
1)局排ブースの開口面を縮小することにより、ブースの能力向上を図った。
2)乾式削り作業を湿式仕上げに変更した。
3)半製品に付着した異物を圧縮空気を用いて払い除ける作業を、吸引方式に変更した。
4)作業場の出入口にクリーンルームダスターを設置し、作業者のユニフォームや靴に付着した粉じんの除去を徹底した。
その結果、全ての作業場において、個人曝露濃度が許容濃度の1/2以下となった。そこで、快適職場形成の観点から、防じんマスク着用時の作業者負担を軽減するため、今後は着用を義務付けないこととした。(図29・表3)(自抄)
伊藤 昭好. 携帯型DATを利用した個人騒音曝露計による聴力リスクアセスメント. 1995; 71(10): 403-412. keywords=個人曝露計, 騒音曝露, 一過性閾値移動, 聴力, リスクアセスメント, Personal dosimeter, Noise exposure, Temporary threshold shift, Hearing, Risk assessment
携帯型DATを利用した個人騒音曝露計を開発した。このシステムでは曝露騒音の周波数成分の時間的変動を測定記録することが可能である。従って当該騒音に曝露された作業者の騒音性一過性聴力閾値移動(NITTS)の作業中にわたる変動も数値シュミレーションにより推定され、より精確な聴力リスクアセスメントが可能となった。
特に作業中に出現するNITTSの最大値を指標として、音源対策、曝露時間短縮や防音保護具着用など種々の騒音対策による聴力影響への改善効果を量的に判定することが可能である。この手法を様々な現場に活用して、種々の局面において、より有効な騒音対策が進むことが期待される。(図11・表4)(自抄)
池上 敦子, 相澤 学, 大倉 元宏, 若狭 紅子, 松平 信子, 越河 六郎. ナース・スケジューリング・システム構築のための基礎的調査研究. 1995; 71(10): 413-423. keywords=看護婦勤務表作成, サポート・システム, アンケート調査, コンピュータ化, Nurse scheduling, Support system, Questionnaire survey, Computerization
看護婦勤務表は、個々の看護婦の労働負荷や希望を考慮しながら十分な看護を提供できるように作成されなければならず、その作成は難しいと言われる。看護婦勤務表が実際にどのように作成され、どのような勤務表が要求されているのかを把握するために総合病院病棟看護婦の勤務表作成担当者を対象にアンケート調査をおこなった。
その結果、勤務表作成に費やす時間の多さと満足いく勤務表作成の難しさから、コンピュータによる支援が要求されていることが明らかになった。そこで、ナース・スケジューリング・モデル構築を念頭に、勤務表が満たすべき条件やよい勤務表の指標を整理した。(図3・表13)(自抄)
庄司 卓郎, 斎藤 むら子, 酒井 一博. いつ睡眠から起こされるか分からないストレスが睡眠構造に及ぼす影響. 1995; 71(11): 443-450. keywords=睡眠脳波, 睡眠構造, 心理的ストレス, 徐波睡眠, 中途覚醒, Sleep EEG, Sleep structure, Psychological stress, Slow wave sleep, Night awakening
救急救命センターに勤務する医師にみられるような、いつ起こされるわからない、心理的ストレスを伴う睡眠の効果を睡眠ポリグラフ所見を中心に実験的に検討した。睡眠障害のない男子大学生6人を被験者とし、実験室においてストレス状況を再現し、睡眠構造と睡眠自己評定を指標として心理的ストレスを伴う睡眠(ストレス夜)の効果を基準夜の睡眠と比較した。その結果、睡眠自己評定ではストレス夜と基準夜で差が見られなかった。一方睡眠構造においてはREM睡眠の出現量には差が見られなかったが、ストレス夜では基準夜に比べて徐波睡眠の出現量が少なく、中途覚醒や体動が多く、睡眠の質の悪さが示された。(図3・表3)(自抄)
井出 祐子, 島 正吾, 谷脇 弘茂, 栗田 秀樹, 長岡 芳, 大谷 尚子, 浅田 恭生, 荒川 やよい. 白金化合物吸入による急性毒性. 1995; 71(11): 451-461. keywords=白金化合物, 免疫毒性, 吸入暴露, 呼吸機能検査, ヒスタミン遊離, Platinum compound, Immunotoxicity, Inhalation-exposure, Respiratory function test, Histamine release,
白金によるアレルギー学的発生機序を解明するために、小動物用吸入曝露装置を開発し、モルモットに対する塩化白金酸吸入暴露実験を行い、以下の結果を得た。塩化白金酸吸入暴露により、吸入濃度依存的にPaw,RLは増加し、Cdynは減少した。またこれらの変化は抗ヒスタミン剤投与により有意に抑制され、塩化白金酸吸入暴露にヒスタミンが関与することが窺えた。さらに吸入暴露後のBALF中及び血漿中のヒスタミン量の増加は、Paw上昇率と有為な相関を示した。そしてこのヒスタミンの増加は、塩化白金酸による細胞障害でないことが確認された。しかし、吸入暴露によるPawの変化とBALF中LTRD4の関与は確認出来なかった。(図2・表6)(自抄)
小池 正雄, 上久保 達夫. 労働基準法の林業への完全適用に関する一考察. 1995; 71(11): 462-467. keywords=林業, 林業労働, 労働基準法, 労働政策, 環境, Forestry, Forestry labour, Labour Standards LawLabour policy, Environment
林業労働は一般の産業の労働とは異なり、自然との関わりの強い非常に特殊性を持った労働である。そこで労働基準法の適用に関しても除外項目が設けられてきた。しかし1994年4月1日をもって労働基準法が林業に対しても完全適用されることとなった。
本稿においては以下の2点を見た。
1)労働基準法改正の枠組み
2)林業への労働基準法完全適用に至る道筋
林業労働への労働基準法の完全適用は労働政策上では画期的なことであるが個別の資本にはそれに伴う諸費用の負担が困難である。林業労働は木材生産みのならず、わが国の森林の持つ多面的な環境機能をも併せ考えて、国土管理上からも不可欠の労働であるとの国民的コンセンサスを得る中で公的国家的支援の枠組みを構築することが必要である。(自抄)
栗田 明良. 中山間地域における医療・福祉問題の展開 −「長寿社会対策大綱」以降の動向を中心に−. 1995; 71(12): 487-497. keywords=医療・福祉問題, 高齢化社会, 介護システム, 中山間, 農山村地域, Medical care and welfare programmes, Aging society, Human care system, Mountainous rural areas,
世界一の長寿国・日本にとって高齢者の医療・福祉問題、とりわけ介護問題は今後ますます深刻化するものと思われるが、1985年現在すでに高齢化率が15%を超えた中山間・農山村地域における最近10年間程の動向をめぐって、学術情報センターの雑誌記事索引データベースに登録されていた農村医療・福祉関連文献を中心に、医療・福祉政策の大転換が進む中での対応方策いかんという視点から再整理を試みた。看・介護問題の“普遍化”に対処すべく「新しい高齢者介護システム」が主として人口密度の高い都市を対象に構想されているとすれば、定住人口の疎らな中山間地域においても受益者の“選択”を担保し得る「農村型」のサービス供給システムの構築へ向けての新たな模索が望まれるところである。(図2・表3)(自抄)
酒井 一博. 年子の乳幼児をかかえて変則勤務に従事する共働き夫婦の生活時間. 1995; 71(12): 498-502. keywords=生活時間, 変則勤務, 共働き夫婦, 社会的支援, Time budget of daily routines, Irregular shift systems, A husband and a wife both engaged, Social support,
社会福祉施設において、変則交代制のもとで働く職員を対象に生活時間調査を実施したところ、対象者のなかに1歳半と2歳半の年子の乳幼児をもつ夫婦が1組含まれた。この夫婦の記録を重ねてみたところ、1)夫婦ともに家事と子供の世話の時間が長かった。2)夫婦がそろって自宅にいてしかも起きていた時間は休日も含めても短く、1日平均3.5時間にとどまった。しかし、夫婦のどちらかが自宅にいる時間は16.3時間に達していた。夫婦がそろって自宅をあけるときは子供を保育園にあずけていた。3)子供の病気や本人の体調不良にともなって、夫婦ともに勤務変更や年休取得が頻繁にみられた。変則な勤務編成の見直しとともに、頻繁な年休取得などを受け入れる職場の柔軟な支援が重要であることが示唆された。(図3・表1)(自抄)
大倉 元宏, 窪田 悟, 田内 雅規, 岡田 真一. 弱視者のVDT作業に関する人間工学的調査研究. 1996; 72(1): 1-11. keywords=視覚障害者, 弱視, VDT作業, 現場調査, Visually impaired persons, Low vision, Visual display terminal work, Field survey
8名の弱視VDT作業者を対象にして、人間工学的視点から現場調査を実施した。主な調査項目は、実作業の観察、作業上の光環境およびレイアウト計測であった。
調査の結果から、弱視者のVDT作業において以下のような配慮点が明らかとなった。
1)弱視作業者にとっては、VDT画面上の表示文字を大きくすることが必須である。また、障害の種類の多様性からみて、表示極性を自由に選択できるようにすべきである。
2)高発光輝度性能を有するVDTを用意する必要がある。
3)VDT機器以外に、VDT表示文字拡大装置、拡大読書器、音声合成器などの作業補助具が使われるため、十分な作業スペースが確保されなければならない。(図10・表1)(自抄)
Kurita Akiyoshi. Securing and Supporting Agricultural Workforce in Mountain and Semi-mountains Area: Results of a survey of agricultural cooperatives. Journal of Science of Labour 1996; 72(1): 1-14. keywords=Mountain and semi-mountainous areas, Securing agricultural workforce, U-turn farmers & new entrants, Saving workforce, Effective utilization of aged and female workforce, Administering farm lands by public corporations
梶山 方忠. 阪神大震災が労働者に与えた影響 −新聞記事から−. 1996; 72(1): 12-31. keywords=阪神大震災, 労災死亡, 雇用不安, PTSD, 大気汚染, Great Hanshin Earthquake, Deaths from industrial accidents, Employment fears, PTSD, Air pollution
阪神大震災が労働者に与えた影響について新聞記事に基づき検討した。復旧工事中に労災事故により死亡、負傷した労働者が増加している。救助、消火、救援作業時の過労により死亡した労働者もある。震災直後の企業の操業、営業再開に伴い交通機関や自宅の復旧が不十分なまま出勤した労働者の疲労は労働時間の延長により増加し、疲労の回復は水道・ガス・ことに住宅の回復が大幅に遅れていることにより妨げられている可能性が強い。工場、店舗の閉鎖、倒産による労働者の解雇は特にパート、アルバイトに対して著しく、震災リストラの計画も発表されており、労働者の雇用不安が増大している。被災労働者には休業、解雇などによる心の悩みの訴えが強い。(図1・表7)(自抄)
Saito Yoshio, Sasaki Tsukasa. The Effect of Length of a Nocturnal Nap on Fatigue Feelings during Subsequent Early Morning Hours. Journal of Science of Labour 1996; 72(1): 15-23. keywords=Nocturnal nap, Fatigue feelings, Slow wave sleep,
Krishna Gopal RAMPAL, Kazutaka KOGI, Abu Bakar bin CHE MAN, Chalermchai CHAIKITTIPORN, Noor Hassim ISMAIL, Tsuyoshi KAWAKAMI, Mokhtar MUSRI. Experiences of Action-Oriented Field Ergonomics Training in Malaysia. 1996; 72(1): 24-30. keywords=Ergonomics, Participatory training, Group work, Developing countries
日本学術会議広報委員会. 日本学術会議だより No.38 公開講演会「産業空洞化問題を考える」開催される. 1996; 72(1): 47-48.
西原 照代. 「座る」、「立つ」等の動作を識別するカロリー測定器による1日のエネルギー消費推定について. 1996; 72(2): 49-60. keywords=1日のエネルギー消費量, 加速度センサ, 代謝定数, 生活時間調査法, 活動動作, Daily energy expenditure, Acceleration sensor, Metabolic constant, Time and motion study, Daily activities
歩数計状のものに内蔵された加速度センサの波形から活動を「座る」、「立つ」等に分類し、「座る」、「立つ」と軽作業は調査データの結果に基づいて計算させる新しいタイプのカロリー測定器を用いて、1日のエネルギー消費量を推定した。この機器は実験的にも日常生活においても「座る」と「立つ」の活動を識別しており、114人の2日間の調査において、1日のエネルギー消費量のメーター値(y)は入浴時を無視しても生活時間調査法による計算値(x)と非常に高い相関を示した(y=0.95x-10.6, r=0.898)。筋肉作業や断続的な走行を伴う運動は過小評価するが通常の日常生活における1日のエネルギー消費量推定には非常に有効であった。(図4・表5)(自抄)
野沢 浩. 労使紛争処理手続の「迅速性」・「低費性」および「専門性」確保のために−英国・雇用権紛争解決のための改革リポート(グリーン・ペーパー要旨)(その1)−. 1996; 72(2): 61-71. keywords=労働審判所, 労働委員会, 紛争処理手続の改革, The industrial tribunals, The labour relations commissions, Reformation of the resolving procedures,
筆者は先に「労使紛争処理システムの現代的課題」(労働科学叢書98)を刊行し、その最終章において、英国の労働審判所による紛争処理の在り方をわが国の実態に照合しつつ比較検討してみた。その結果、手続きの迅速性・争訴費用の安価性・専門性(アドミニスタティブ・ジャスティス)の維持などにおいて、当国の最近の改正努力に対しては注目すべきだと思う。上掲書は「労働組合および労使関係(統合)法」(TULR(C)A 1992)と「労働組合改革および雇用権利法」(TURERA 1993)の情報も取り入れて執筆された。しかしその後1995年5月に上院へ提出された2法の統合法案の討議資料(グリーン・ペーパー)の要旨紹介が、本稿なのである。(図1・表6)(自抄)
高橋 誠, 北島 洋樹, 本城 由美子. 精神的作業負担チェックリストの作成とそれによる眠気とリラックス状態の関係構造の検討. 1996; 72(3): 89-100. keywords=精神的作業負担, 眠気, リラックス, 活性, チェックリスト, 共分散構造分析, Mental work, Sleepiness, Relaxation, Activation, Checklist, Analysis of covariance structure,
精神的作業負担を評価するため、7段階で評定する簡便な自記式チェックリストの開発を試みた。12の評定項目から成り、眠気・リラックス・全般的活性・緊張・注意集中困難・意欲減退に関連する項目がそれぞれ2項目ずつ含まれている。7段階で評定する。これを自動車シミュレータ運転実験およびVigilance課題実験場面などに適用し、因子分析によって因子を確認するとともに、「眠気」や「リラックス」などの因果関係構造を分析した。全般的活性が低下すると眠気は強くなるが、緊張が維持されている方がより眠気のレベルが高いこと、リラックス状態はそれとは逆に、全般的活性が維持され、かつ緊張レベルがより低い方が高い、といった関係構造が示された。(図8・表2)(自抄)
斉藤 良夫. 生活概念としての疲れとストレス. 1996; 72(3): 101-109. keywords=疲れ, ストレス, 生活概念, Tiredness, Stress, Empirical concept
日常生活でのさまざまな活動の過程で体験する疲れやストレスに基づいて、われわれは疲れやストレスに関する共通したイメージや観念をもっている。本論文ではそれを「生活概念」と呼ぶ。このような生活概念としての疲れやストレスがもつ特徴や両者の相違点を明らかにするために、大学生63名を対象に質問紙調査をおこなった。
調査の結果、体験としての疲れやストレスの特徴は、症状の内容や行われる対処行動の相違として明確に表れること、ストレスの体験時の症状や対処行動には個人差がみられるが、個人内では一定していること、一方、疲れたときのそれらは個人間、個人内ともにきわめて一定していること、また、両者のイメージや観念は、日常行われる活動の特徴、活動時間の長さ、さらにその休息との関係などでかなり明確で共通性が高いものであることが明らかになった。生活概念としての疲れとストレスの相違は、前者は生理的な特徴をもつのにたいし、後者では心理的側面が強いこと、また日常生じる原因や活動時間の長さなどの点で前者の方が広い意味をもっていることが示された。(表3)(自抄)
前原 直樹. 業務負荷と過労の進行および循環器疾患発症の関係−配線工事作業員のくも膜下出血発症事例をもとにした検討−. 1996; 72(4): 125-137. keywords=くも膜下出血の警告症状, 血圧, 循環器負担, 柱上作業, 夜勤, Warning sign prior to subarachnoid hemorrhage, Blood pressure, Circulatory strain, Work on electric poles, Night work
配線工事作業員(45歳)の2ヶ月半の業務及び過労状態、くも膜下出血の前駆・警告症状の出現の様子の解析をもとに、それらの関連性について検討した。
9月からの新たな現場作業において夜勤を含め業務負荷が増す中で9月〜10月中旬には心身は過労状態を呈した。10月下旬には、業務の量質面では格段の増大が見られなかった中で、頭痛や項背部痛、眼症状などのくも膜下出血の警告症状が数多く出現し、31日には一過性の意識障害や激しい頭痛、構音・言語障害などを呈するくも膜下出血が発症した。治療を必要とした11月期は、業務環境が悪化する中で警告症状が再度見られ、14日には大出血を起こした。この作業員の業務経過からして、くも膜下出血の前駆・警告症状は過労状態の進展の中で出現し、くも膜下出血の発症につながったと考えられた。(表5)(自抄)
野沢 浩. 労使紛争処理手続きの「迅速性」・「低費性」および「専門性」確保のために−英国・雇用権紛争解決のための改革リポート(グリーン・ペーパー要旨)(その2)−. 1996; 72(4): 138-148. keywords=労働審判所, 労働委員会, 紛争処理手続の改革, The industrial tribunals, The labour relations commissions, Reformation of the resolving procedures
筆者は先に「労使紛争処理システムの現代的課題」(労働科学叢書98)を刊行し、その最終章において、英国の労働審判所による紛争処理の在り方をわが国の実態に照合しつつ比較検討してみた。その結果、手続きの迅速性・争訟費用の安価性・専門性(アドミニストラティブ・ジャスティス)の維持などにおいて、当国の最近の改正努力に対しては注目すべきだと思う。上掲書は「労働組合および労使関係(統合)法」(TULR(C)A 1992)と「労働組合改革および雇用権利法」(TURERA 1993)の情報も取り入れて執筆された。しかしその後1995年5月に上院へ提出された2法の統合法案に関し、雇用省内の審議会から議会宛提出されている新法案の討議資料(グリーン・ペーパー)の要旨紹介が、本稿なのである。(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論 (XI) −聞き書き労働観(3):鉄鋼業の労働者−. 1996; 72(5): 167-179. keywords=労働観, 鉄鋼労働者, 高温作業, 一酸化炭素中毒, Attitudes towards labour, Iron and steel workers, Hot environment, Intoxication due to carbon monoxide,
第2次大戦後の1963年に日本鋼管(株)川崎製鉄所の2人の職長から、戦前の1930年代から戦後にかけての製鉄労働について聞き書きした。
戦前は日本鋼管の労働時間は昼夜勤12時間で、高温重筋作業が広く存在した。
昼まで待てないで昼前に持参の弁当の半分を食べ、昼から残りの半分を食べるような重筋作業だった。
熱中症も発生し、塩の補給が必要だった。
一酸化炭素中毒も発生した。しかし、こうした状況のなかでも働けることは喜びで、一生懸命働いた。
戦後、日本鉄鋼連盟の労働部長を勤めた水津氏からも、1910年代からの鉄鋼の労働経験を語って貰った。
(図16・表1)(自抄)
野沢 浩. 労使紛争処理手続きの「迅速性」・「低費性」および「専門性」確保のために−英国・雇用権紛争解決のための改革リポート(グリーン・ペーパー要旨)(その3)−. 1996; 72(5): 180-196. keywords=労働審判所, 労働委員会, 紛争処理手続の改革, The industrial tribunals, The labour relations commissions, Reformation of the resolving procedures
筆者は先に「労使紛争処理システムの現代的課題」(労働科学叢書98)を刊行し、その最終章において、英国の労働審判所による紛争処理の在り方をわが国の実態に照合しつつ比較検討してみた。その結果、手続きの迅速性・争訟費用の安価性・専門性(アドミニストラティブ・ジャスティス)の維持などにおいて、当国の最近の改正努力に対しては注目すべきだと思う。上掲書は「労働組合および労使関係(統合)法」(TULR(C)A 1992)と「労働組合改革および雇用権利法」(TURERA 1993)の情報も取り入れて執筆された。しかしその後1995年5月に上院へ提出された2法の統合法案に関し、雇用省内の審議会から議会宛提出されている新法案の討議資料(グリーン・ペーパー)の要旨紹介の(その3)が、本稿なのである。(自抄)
佐々木 司. 夜勤対策を考慮した夜間高照度光照射の効果に関する文献的考察. 1996; 72(6): 213-226. keywords=夜勤労働, 勤務中の対策, 高照度光照射, 文献的考察, Night work, Intervention, Bright light expose, Literature review
勤務制度を変更しない夜勤対策として、夜間に照射する高照度光照射の効果を文献的に考察した。それらの論文の多くは、高照度光が概日リズムの位相を遅延し(適応性)、夜間の覚醒水準を維持し(安全性)、引き続く昼間睡眠の質と量を補償し(健康性)、夜勤後の覚醒水準を維持する(生活性)効果があることを示していた。しかし、それらの効果の出現様式は、高照度光の照射強度、照射時間(日数・回数)、照射時刻によって異なる傾向を示していた。
したがって夜間の高照度光照射は、今後基礎的研究を蓄積する必要があるものの、労働現場が期待する効果を限定し、現場にあった照射方法を工夫すれば、有効な夜勤対策となり得ることが示唆された。(表1)(自抄)
松藤 元. 日本の労働生理学の先駆者高橋孝太郎. 1996; 72(6): 227-238. keywords=労働生理学, 合理化, エネルギー消費, 労働衛生史, 日本, Work physiology, Rationalization, Energy expenditure, History of occupational hygiene, Japan
千葉医学専門学校を卒業後大正1年に陸軍軍医となった高橋孝太郎は大阪砲兵工廠に勤務中工場衛生に関する論文8編と工場塵埃の1報文を発表した。その後農商務省嘱託に転じ、大正10年から呼吸ガス代謝法による労働合理化の研究を始めた。11の作業の労働者74名につき労働時の酸素消費量からその強度を比較し、次に9作業と珠算算入及び筆記の際椅子や作業台の高さなどを変え、その時の酸素消費量からより好適な労働条件を決めた。鋲打作業では酸素消費量から打方、押方、焼方の賃金算定の基準を出している。これらの業績により彼は日本における労働生理学の先駆者と呼ばれて当然であるのに、ほとんど全く知られていないのは残念である。(図4・表6)(自抄)
品部 義博, 酒井 一博, 渡辺 明彦. 野菜作専業農家の労働生活とストレス. 1996; 72(7): 257-264. keywords=農業, 野菜作, ストレス, 労働生活, Agriculture, Vegetable crop, Stress feelings, Working life
集約的野菜作における専従農業者の労働と生活の実態、ストレスとの関わりについてアンケート調査を行った。調査対象者は千葉県下の野菜作専業農家の家族農業従事者124人である。
調査結果から、仕事内容の特徴、作業態様・作業環境は経営作目と密接に関連してあらわれていること、仕事との関わりでは時間に追われての長時間労働が最も大きなストレス負荷要因となっていること、農業が農村に根づいた家族経営として営まれているが故に専従農業者にとって家族や近隣との不和がストレッサーとして大きな負荷になること、性別でストレスの状況や仕事・生活の満足感に差異があり、特に女性に問題が多いことなどが明かとなった。(表13)(自抄)
野沢 浩. 労使紛争処理手続きの「迅速性」・「低費性」および「専門性」確保のために−英国・雇用権紛争解決のための改革リポート(グリーン・ペーパー要旨)(最終回)−. 1996; 72(7): 265-274. keywords=労働審判所, 労働委員会, 紛争処理手続の改革, The industrial tribunals, The labour relations commissions, Reformation of the resolving procedures
筆者は先に「労使紛争処理システムの現代的課題」(労働科学叢書98)を刊行し、その最終章において、英国の労働審判所による紛争処理の在り方をわが国の実態に照合しつつ比較検討してみた。その結果、手続きの迅速性・争訟費用の安価性・専門性(アドミニストラティブ・ジャスティス)の維持などにおいて、当国の最近の改正努力に対しては注目すべきだと思う。上掲書は「労働組合および労使関係(統合)法」(TULR(C)A 1992)と「労働組合改革および雇用権利法」(TURERA 1993)の情報も取り入れて執筆された。しかしその後1995年5月に上院へ提出された2法の統合法案に関し、雇用省内の審議会から議会宛提出されている新法案の討議資料(グリーン・ペーパー)の要旨紹介の最終回が、本稿なのである。(自抄)
石井 まこと. 女性のホワイトカラー化と雇用管理 −女性活用事例調査をもとに−. 1996; 72(8): 293-301. keywords=女性ホワイトカラー, 雇用管理, 職域拡大, 就職難, Female white-collar worker, Employment management, Expanding the job areas, Difficulty of finding employment,
バブル崩壊後に企業の新規学卒採用が急速に落ち込んだ。特に、女子学生の企業採用は厳しい。この点について、神奈川県では女性の職域拡大を進めてきた企業に対して女性雇用の現状と雇用管理について聞き取り調査を行った。この報告結果と政府統計をもとにバブル崩壊後の女性の雇用と管理の問題点と課題を検討する。報告結果では、各企業とも女性労働に高い評価を与えている。その一方で、女性の職域拡大を行う場合の困難が述べられる。本稿ではその職域拡大が困難になる背景をホワイトカラーの増大や女性の雇用管理のスパンが短いことから考察する。(図2・表2)(自抄)
佐々木 司, 松田 木綿子, 勝浦 哲夫, 原田 一, 岩永 光一, 菊池 安行. 夜間高照度光照射が模擬夜勤時の覚醒度に及ぼす効果. 1996; 72(8): 302-312. keywords=夜勤労働, 勤務中の対策, 短時間高照度光照射, 覚醒水準, Night work, Intervention, Timed bright light exposure, Arousal level
本実験は、勤務制度を変えないで行う夜勤対策として、夜勤時の休憩時間を想定して暴露する高照度光の覚醒度に及ぼす効果を検討した。6人の男子大学生が被験者になった。彼らは90分間(0300-0430)に高照度光条件(5000-8000lux)と通常光条件(<400lux)下で過ごし、その後の覚醒度が比較された。その結果、夜間に照射する短期間の高照度光は、生理、行動指標による覚醒度を維持するが、心理指標による覚醒度、引き続く昼間睡眠に影響を及ぼさないことが示された。
したがって本実験における高照度光は、覚醒度の維持の観点から仮眠効果の二次対策として有効な夜勤対策となり得ることがアキラかになった。(図9・表2)(自抄)
野村 茂. 産業化学物質と職業性皮膚癌. 1996; 72(9): 333-349.
産業化学物質による職業性皮膚癌(がん)の欧米における発生状況の最近の動向を展望し、日本の現状を考慮した。わが国では、1994年現在、職業がんの認定件数は、1266件であるが、その過半は、膀胱がんと肺がんで、皮膚がんの認定は極めて少ない。一方、症例報告としては、タール、ピッチ曝露作業者から少なくとも5例、ヒ素化合物曝露作業者から多発性Bowen病も含めて10数例の報告があるのも注目される。今後は、ケラトアカントーマ、老人性角化腫、悪性黒色腫の動向にも注意を要する。(表5)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論 (XII) −聞き書き労働観(4):海女−. 1996; 72(9): 350-359.
3世紀の中国の史書にあらわれた倭の国(日本)では海の産物をとる海士や海女が活躍していたことが記録されている。
徳川時代にも海産物を海中で採取する海女が各地で活躍していた。
この時代後期の絵師歌麿の描いた海女は労働着として赤い腰巻を着ているが、これはエロティシズムをねらったものだ。
1904年イギリス人R. Gordon Smithは日本旅行の途中、伊勢の海女、海士を訪ねた記録を残している。
1927、28年には倉敷労働科学研究所の暉峻義等らは三重県・志摩で海女の息こらえ潜水の世界最初の研究を行った。
1967年に著者が聞き役で海女の仕事や生活について座談会をやっている。(図11)(自抄)
斉藤 良夫. 日本産業衛生協会・産業疲労委員会による労働者の疲労研究の検討 −機能検査法を中心にして−. 1996; 72(10): 385-395. keywords=産業疲労, 研究方法論, 機能検査法, 疲労判定, Industrial fatigue, Methodology, Physiological function tests, Fatigue assessment
1950年代に日本産業衛生協会・産業疲労委員会が提案した労働者の疲労の研究方法、とくに機能検査法のもつ問題点を検討した。社会的な存在としての労働者の疲労を生物的に還元し、各職場の労働者の疲労の程度は生理機能検査によって相互に比較できるとするその基本的な考え方は、1960年以降に日本で一般化した精神的諸作業では、その負担の質によって疲労徴候が異なることが見落とされ、有効性をもたないことを論証した。(自抄)
前原 直樹. 深夜運転を行っているタクシー運転手3事例の勤務日、勤務明け日及び公休日での心室期外収縮出現の様相. 1996; 72(10): 396-412. keywords=睡眠不足, 過労, ストレス状態, 業務及び職務ストレス, 虚血性変化, Sleep loss, Over-fatigue, Work strain, Work and job stress, Ischemic changes,
心室期外収縮(VPC)を有する中年タクシー運転手3名を対照に、勤務日、勤務明け日、公休日の観測を通じて深夜勤務の心室性不整脈出現への影響を検討した。運転業務はVPCの出現頻度の増加を誘発すると共に、運転業務の負荷やストレスが強い時には深夜勤務時におけるその頻度は日中に比べ増加する可能性が示された。また、深夜運転を含む20時間前後の運転業務のVPC出現への影響は、勤務日だけでなく、勤務明け日や引き続く公休日にまでも及ぶ可能性が示された。特に、勤務明け日の昼眠時間に不足がある場合には、出現頻度が増すだけではなく、虚血性変化がある場合にはVPCの重症度も増強する場合もありうることが明らかになった。(図3・表5)(自抄)
澤 貢, 前原 直樹, 佐々木 司. タクシー運転者の営業収入の多寡に伴う行動変容. 1996; 72(11): 431-449. keywords=タクシー運転, 営業収入, 行動変容, 営業収入の影響, Taxi driving, Earnings, Driving behaviour changes, Effects of earnings,
タクシー運転労働者18名を対象に、一日の運転時間経過に伴う営業収入の多寡により、その後どの様な行動変容を示すのかを検討した。その主な結果、タクシー運転労働者は、営業収入の多寡にかかわらず、常に営業努力を行っているが、とりわけ営業収入が少ない場合は、運転行為を変化させて、より一層の努力を行っていた。その主な内容は、残業時間は、所定の乗務時間内の営業収入が少ない場合は延長し、営業収入が多い場合は逆に短縮していた。営業収入の少ない場合の付け待ちや無線待ちと推測される待機時間は、夜間・深夜帯で営業収入の多い場合に比べ短くなっていた。(図9・表4)(自抄)
田中 茂, 仲座 政宏, 田中 正美, 木村 一志, 野崎 亘右, 関 幸雄. 防毒マスク面体の顔面への密着性に関する研究. 1996; 72(11): 450-454. keywords=防毒マスク, 密着性試験, 漏れ率, 陰圧法, フロンガス, Gas mask, Fitting test, Leakage rate, Negative pressure method, Freon gas,
防毒マスクの半面、全面面体と装着者の顔面との接触面からの漏れ込みについて被験者10名を対象にフロン114ガスを用いて試験を行った。試験はマスクを自己の判断により装着し、静止時と運動を負荷した時の漏れ率を測定した。更に、陰圧法によるフィットテストを行った後に、漏れ率の測定を行った。半面面体を自己の判断で装着した結果では、マスク装着の経験がない被験者は高い漏れ率を示した。そして、ほとんどの被験者において運動負荷時の漏れ率は静止時に比べ高値となった。また、フィットテストを行うことにより、大変低い漏れ率を得た。一方、全面面体では、どの装着者も低い漏れ率であり、運動負荷時でも静止時と変わらない漏れ率であった。(図4・表1)(自抄)
伊藤 昭好, 川上 剛, Le Ngoc Cua, Ton That Khai. ベトナム・メコンデルタ地域の一般家庭厨房の室内空気汚染について. 1996; 72(11): 455-456. keywords=室内空気汚染, 厨房, 生物燃料, 換気, 開発途上国, Indoor air pollution, Kitchen, Biomass fuel, Ventilation, Developing countries,
メコンデルタ地域において、7戸の一般家庭厨房内の空気汚染を調査した。使用されたいた炊事用燃料は、プロパンガス、石油、木材、メタンガス等であった。測定項目は室温、相対湿度、浮遊粉じん濃度で、24時間連続測定記録した。木材、籾殻などを燃料として使用している厨房においては、浮遊粉じん濃度も10mg/m3近くまでの高濃度となるケースが認められたが、炊事後は、厨房内の換気率が高いために粉じん濃度はすみやかに減衰した。当面は、炊事中に発生する煙を排気する設備の工夫が改善点として考えられた。なお他のプロパンガス、石油、メタンガスを使用している厨房では、炊事中に粉じん濃度の高いピークは認められなかった。(図1)(自抄)
川見 正機, 海老原 勇, 佐々木 司郎, 林 雅人, 川見 昌子. 農薬散布作業前、作業後における急性影響としてのリンパ球サブセットの変動. 1996; 72(12): 479-491. keywords=農薬暴露, 農薬散布作業, リンパ球サブセット及び機能的サブセット, 急性影響, 林檎果樹園, Exposure to pesticides, Spraying pesticides, Subses and functional subsets of lymphocyte in peripheral blood, Acute effects, Apple orchard,
林檎果樹栽培において共同防除を行ってる作業者について、農薬散布作業前、作業終了後における末梢血リンパ球サブセットの変動を検討した。その結果、CE4+, CD8+ 細胞及びその機能的サブセット、CD20+, CD45RO+, CD28+細胞といったリンパ球サブセットの変動は、農薬散布作業にともなう農薬暴露によって生体防御機構としての抗体産生反応へと免疫応答の活性化を意味し、散布に使用された農薬には免疫系を惹起させうる薬剤のあることを推察させた。またナチュラルキラー細胞では、散布作業終了後において有為な減少を認めた。これらは、農薬散布作業にともなう急性影響と捉えられたが、繰り返し暴露、慢性暴露における免疫系への影響に留意すべきであると示唆された。(図8・表3)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XIII) −聞き書き労働観(5): 靴作り−. 1996; 72(12): 492-501. keywords=靴つくり, 地下足袋, 靴の日本工業規格, 安全靴, Shoe makers, Zika-tabi, JIS related to shoes, Safety shoes
日本の靴の発達を考えるにあたっては、19世紀中期以来の日本陸軍の靴の研究、製造を忘れることは出来ない。一方、同じ頃、来日した欧米人の靴を見よう見まねで靴製造を始めた靴職人達がいた。
しかし一般には、日本ではその気候は足を包まない開放的な履物を発達させた。労働用には日本式の足袋にゴム底をはりつけた地下足袋も創造した。
第二次大戦後に、靴が普及し、女子の間でも靴の使用が多くなった。従って手製の男女靴の製造のほかに工場生産も始まった。
靴に関連したJIS(Japanese Industrial Standard)もいくつか制定された。
その他いくつかの安全靴関係のJISも制定された。
靴が日本人の男女の間に一般的となったのは第二次世界大戦以後のことである。(図20・表2)(自抄)
酒井 一博, 伊藤 昭好, 渡辺 明彦, 天明 佳臣. 学校給食調理場の改善に成果を上げた職場巡視の実際. 1996; 72(12): 502-504. keywords=学校給食調理作業, 職場巡視, 職場改善, School kitchen cooks, Safety and health inspections, Improvements in the working conditions,
大都市の私立小学校及び養護学校、延べ117校の学校給食調理場を対象に、1991年以来、職場巡視を続けている。巡視チームには当該労使と産業医に加え、人間工学や環境衛生工学の研究者が参加している。これまで5年間で310校分の巡視を終了した。職場巡視の実施以来、職場改善が顕著にみられている。1993年度は80校中61校で延べ141件、1994年度は74校中50校で延べ128件、1995年度は38校中28校で延べ79件の改善が確認された。チームでの取り組み、調理員からの訴えの聞き取り、実現可能性を重視した職場改善の提案、巡視結果の迅速なフィードバックなどが成果に結びつく原因と考えられる。(表1)(自抄)
垰田 和史, 渡部 真也, 山下 尋美, 北原 照代, 西山 勝夫. 障害児学校教員の健康・腰痛の実態 −質問紙調査法による検討−. 1997; 73(1): 1-22. keywords=腰痛, 健康, 教員, 介護, 障害児学校, Low back pain, Health, Teacher, Care, School for disabled children,
障害児学校教員の健康や腰痛の実態を把握し、その業務負担との因果関係を検討する目的で、障害児学校153校の教職員13,136人を対象に質問紙法による調査を行った。
教員は事務職員に比べて不健康自覚者率が高く、蓄積的疲労症状の有訴率も高かった。肢体不自由、精神薄弱、精肢併置、病弱養護学校の教員と盲学校の女性教員の腰痛有訴率は事務系職員に比べて高かった。腰痛有訴率の高い校種では、就労後早期に腰痛を初発し、校内の移動や学習や排泄などのために教員の介護を必要とする生徒の担任数が多かった。多重ロドスティック解析では、移動や学習や食事や排泄などに介護が必要な担任生徒数と腰痛発症との間に関連が認められた。(図10・表10)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XIV) −聞き書き労働観(6): パイロット−. 1997; 73(1): 23-31. keywords=航空パイロット, 機長, 南太平洋, 戦後, 昼間リズム, Airplane pilots, Airplane captain, South Pacific, Post-war period, Diurnal rhythms,
1903年にアメリカのライト(Wright)兄弟が有人飛行に成功した。以来、飛行機は急速に発達した。
日本では飛行機は軍用機として最初に導入されて発達した。やがて日本でも飛行機が生産されるようになった。機体約70,000機は第二次大戦中の1941年から45年前半に製造された。
1965年に日本航空(株)のジュェト機の機長の池田三郎氏と対談した。彼は1940年に大型飛行艇の訓練を受け、第二次大戦中、日本と南方諸島の輸送に従事した。当時は一般、サラリーマンが60〜70円の月給時代に、600円位も得ていた。
戦後は日本航空(株)のジェット機長として、操縦しているが、機長として責任は重く、時差による睡眠の調整や、南と北の気温差への適応などに苦心しているということである。(図15)(自抄)
伊藤 昭好, 渡辺 明彦, 酒井 一博. 学校給食調理場の室内気候の実態について. 1997; 73(1): 32-33. keywords=学校給食, 調理作業, 室内気候, 温熱条件, 換気, School lunch service, Cooking work, Microclimate, Thermal condition, Ventilation
学校給食の調理現場では、調理作業者からは夏暑く冬冷たいという訴えが多い。その室内気候の実態を把握する目的で、作業中の室内の温熱条件、気中炭酸ガス濃度について調査した。調査対象は、単独校方式の小学校6校の給食調理場で、夏期と冬期の各2日間ずつ調査した。調理場内7〜8点および外気について作業開始時点から約1時間毎に床上120cmおよび10cmの気温、相対湿度、気流、気中炭酸ガス濃度を測定した。その結果、調理場内の気温は外気温に大きく左右されること、さらに湯や水の使用量が多いために調理場内の湿度も高くなること、炭酸ガス濃度から、特に冬期の午前中に換気の状態が悪くなる傾向が認められた。(図1)(自抄)
大倉 元宏, 保坂 昌樹, 池上 敦子, 田内 雅規, 岡田 伸一. 弱視コンピュータユーザのための文書入力支援システムの試作と評価. 1997; 73(2): 53-58. keywords=視覚障害者, 弱視, VDT作業用補助具, 二画面一体型表示方式, 自動原稿台送り装置, Visually impaired persons, Low vision, Aid for VDT work, Double windows display, Power-assisted x-y table,
弱視コンピュータユーザのための新しい文書支援システムを考案し、評価した。本システムは二画面一体型表示方式と自動原稿台送り装置を組み合わせたもので、次のような特徴を有している。
・拡大読書器画面とワープロ画面が一つのディスプレイ上に表示されるので、短い視線移動で両方の画面を往復できる。
・原稿台はフットスイッチの操作で移動できるので、キーボードから手を離す必要がない。また、フットスイッチのダブルクリックで、原稿の行末から行頭への高速移動が可能である。
評価実験から、本システムの使用は作業負担の低減と作業効率の上昇に結びつくことが確認された。(図4・表1)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XV) −聞き書き労働観(7): 電話交換手−. 1997; 73(2): 59-65. keywords=NTT, 女性電話交換手, 六番交替制, 既婚率, Nippon Telegraph and Telephone Public Corporation, Female telephone operators, Shift cycle of six days, Rate of married operators
電話を発明したのはA.G.Bellで、1877年に電話の特許が成立している。この年電話機が日本に渡来しているし、この年ベルも来朝、明治天皇に謁見したという。
1893年に大阪・神戸間、1899年には東京・大阪間に電話が開通した。20世紀に入ると電話は大人気で、加入者が急増した。
第二次世界大戦で大被害を受け、戦後の1952年から電話交換業務はNTTに移った。
1965年に戦前から経験のある2人の女性電話交換手から交換業務の実際のついて話を聞いた。
彼女達は1921年に13歳から就職した。当時の日勤は午前8時から午後4時、夜勤は午後3時から翌日の午前9時まで働いた。休日は10日目に1日だった。
1923年の関東大震災で電話局は大きな被害を受け、その復興のために自動交換が進んだ。(図13)(自抄)
渡辺 明彦. 調理員の皮膚温からみた学校給食調理場の冬期の温熱環境について. 1997; 73(2): 66-67. keywords=学校給食調理場, 温熱環境, 個人モニター, 作業者周囲温度, 皮膚温, School lunch kitchens, Thermal environment, Personal monitor, Surrounding temperature, Skin temperature,
冬期、4校14人の女子調理作業員を対象に携帯型サーミスタ温度計により調理作業中の作業者周囲温度、胸部および足背部の皮膚温を連続測定した。作業者周囲温度は大部分9℃から20℃の間にあった。胸部皮膚温は大部分快適温度域下限以下であった。足背部皮膚温は22℃から34℃の間に分布し、作業者周囲温との間に正の相関関係が認められた。足背部皮膚温の過半数は快適域下限以下であった。これを快適域下限以上にするには、求められた周囲温との間の回帰式から、作業者周囲温を平均15℃ないし17℃以上にすべきであることが推定された。(図2)(自抄)
Kazuhiro SAKAI, Tetsu WASHITANI, Tsukasa SASAKI, Kazutaka KOGI. Measures to improve the workload of ward nurses: The results of a questionnaire survey in medical cooperative hospitals. Journal of Science of Labour 1997; 73(3): 1-13. keywords=Shiftwork, Nurses, Night workload, Work postures, Welfare facilities, Human care,
Ton That KHAI, Tsuyoshi KAWAKAMI, Le Minh TOI, Kazutaka KOGI. Improving safety and health of rural sugar cane factories in the Mekong Delta area in Vietnam. Journal of Science of Labour 1997; 73(3): 14-22. keywords=Sugar cane industry, Developing countries, Work posture, Fatigue, Night work, Participatory ergonomics
松田 晋哉. フランスにおける保護雇用制度の検討. 1997; 73(3): 91-100. keywords=障害者, 保護雇用, フランス, The handicapped, Sheltered employment, France,
平成7年12月に出された「障害者プラン−ノーマライゼーション7か年戦略」では、障害者の雇用のための基盤整備が目標の一つとして掲げられている。しかし、わが国の場合、いったん雇用した労働者を解雇することが難しいことが、障害者雇用の進まない一つの要因であるという指摘がある。この問題を解決するためには、欧米諸国で採用されている保護雇用制度をわが国に導入することが考えられる。本論文では、わが国の今後の障害者雇用対策を考える上での基礎資料を提供する目的で、フランスにおける保護雇用の実際を授産施設と進路指導職業斡旋技術委員会の実態調査に基づき報告する。(図2・表3)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XVI) −聞き書き労働観(8):鉄道機関士−. 1997; 73(3): 101-107. keywords=蒸気機関, 鉄道機関士, 国鉄, 蒸気機関車, 電気機関車, Steam engine, Railway engine-driver, National Railways, Steam locomotive, Electric locomotive
19世紀の初め、ヨーロッパで蒸気機関車が相次いで発明されたが、なかでもG.Stephensonによって機関車は著しく発達した。最初、鉱山の馬車鉄道に代わって、蒸気機関車が動きはじめた。1825年にはLocomotion号が90トンの列車を牽引して1時間10マイルの速度で走った。日本に鉄道の知識が入ったのは1854年(明治5)のことだった。
1964年11月に筆者は、当時、国鉄に勤務する2人の機関士と対談して機関士の仕事について聞いた。2人は庫内手、機関助士、機関士になった人で、第二次大戦前から働いていた。
2人は戦前の蒸気機関車から電気機関車の機関士の経験があり、新幹線の時代まで色々機関士の仕事について聞くことが出来た。(図11・表1)(自抄)
伊藤 昭好, 渡辺 明彦, 酒井 一博, 天明 佳臣. ドライ方式を導入した学校給食調理場の室内気候. 1997; 73(3): 108-109. keywords=学校給食, 調理作業, ドライ方式, 温熱条件, 換気, School lunch service, Cooking work, Dry processing system, Thermal condition, Ventilation,
ドライ方式の導入が、学校給食調理場の環境改善に貢献するものとして期待されている。単独自校方式の自治体で新設されたドライ方式調理場の室内気候の実態を、従来からのウェット方式調理場と比較する目的で、同一項目、方法で調査した。対象調理場には機械換気、暖冷房空調設備、床暖房設備が設置されており、夏場の高温、高湿が抑制され、冬場の室温も20℃前後であり、湿度も低めで結露も認められなかった。さらに気中炭酸ガス濃度からみて換気の状態は良好であった。ドライ方式調理場の室内気候は、従来のウェット方式のそれと比較して大幅に改善されていることが明らかとなり、また冬場の冷えがないことについて調理員の評価が特に高かった。(図1)(自抄)
花岡 知之, 山野 優子. 癌遺伝子および癌抑制遺伝子産物のバイオマーカーとしての応用:血清p53蛋白の応用例. 1997; 73(4): 129-140. keywords=癌遺伝子, p53癌抑制遺伝子, バイオマーカー, 環境発癌, 分子疫学, Oncogenes, p53, Biomarkers, Environmental carcinogenesis, Molecular epidemiology
循環血液中の癌遺伝子および癌抑制遺伝子産物が、臨床的な発癌以前の早期影響量をあらわすバイオマーカーとして産業保健研究へ応用された研究をまとめた。これまでにras, fes, myb, int-1, sis, p53, c-erbB などの遺伝子が作り出す蛋白について報告されている。著者らは、過去に比較的高濃度の六価クロム酸塩に曝露された作業者を対象として血清p53蛋白の測定を行った結果、曝露期間が長い作業者で高値を示すものがみられた。これらの研究は、循環血液中の癌遺伝子および癌抑制遺伝子産物が癌予防研究のバイオマーカーとして応用可能であることを示唆しており、今後、さらに産業保健研究への応用が期待される。(図1・表2)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XVII) −聞き書き労働観(9):筏師−. 1997; 73(4): 141-147. keywords=筏師, いかだ, 丸太, 急流, Raftsmen, Raft, Logs, Rapid stream
筏は木材や竹を並べてつなぎ合わせ、水に浮かべたもので、これを利用して木材などの運搬や川を下る乗り物として利用した。
ことに木曽川の木曽檜、米代川の秋田杉の筏流などは有名だった。もっとも米代川の筏流は1904年に始まり、1915年に本格的になったというから、かなり新しい。しかし、道路の整備とトラックの運行によって筏流は次第に廃止された。米代川では1965年に筏流は廃止された。この米代川の筏師と筏の仕事について座談会を行った。筏師になるには小学校を卒業して3年間位は安全な仕事から覚えた。はじめは係留用の綱あみから始めて、次第に筏流作業をおぼえたが、流の途中で筏がこわれて、水におちる危険もあった。夏は暑く、冬は寒く、滑落の危険もあった。普通筏には2人が乗って操縦していたが、早くて5時間で能代についたが、水が少なくて風でもあると2日もかかったこともあった。(図14)(自抄)
高橋 誠, 井戸 啓介, 飯田 裕康, 細田 聡. 知的障害者が従事する作業の実態調査−予備的作業分析−. 1997; 73(4): 148-150. keywords=知的障害者, 職務, 作業分析, 実態調査, Mentally retarded worker, Job, Task analysis, Field study,
知的障害者の作業内容等の実態調査を50事業所で実施した。73作業について作業内容、作業種類、作業組織等の作業分析を行うとともに、知的障害者にとって困難を伴う作業について聴取した。その結果、職場では複合作業的要素や共同作業的要素を伴う作業に従事しているケースが少なくなかった。健常者に比べ長期の訓練期間が必要とされるが、作業現場では習熟の経過が認められていた。こうした作業に軽度の判断・計画を伴う作業的要素などを伴う作業を含め、職業評価や職業訓練プログラムの充実、職業支援体制の整備が今後の職域拡大の一つの施策として重要であるといえた。(図1・表2)(自抄)
前原 直樹. 常夜勤製パン作業員の脳出血発症に果たした職務ストレスの役割. 1997; 73(5): 171-185. keywords=常夜勤, 製パン作業, 脳出血, 職務, ストレス状態, Permanent night work, Bakehouse work, Cerebral Hemorrhage, Job, Strain
A氏(52歳男性)は製パン作業の現場責任者として長年、常夜勤を行ってきたが、88年(49歳)から夜勤の正職員が2人から1人となる中で90年6月以降高血圧を呈し、91年には投薬治療中12月13日に脳出血を発症した。この事例では嘱託やパート職員の管理・監督を行いながら諸費用を節約、目標の生産高を達成するというA氏の職務、とりわけ脳出血発症前の1〜2ヵ月の職務遂行に伴う負担が正職員1人体制での長時間の常夜勤による負担に重なることで、過労の進行とストレス状態が重なりあって作用し、心身徴候を出現・悪化させたと判断された。このような心身影響をもたらす状態がそれまでの高血圧の進行を促進させ、脳出血発症を準備したと推定された。(図2・表3)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XVIII) −聞き書き労働観(10):三島測候所長兼富士山測候所長−. 1997; 73(5): 186-194.
1968年に三島測候所長兼富士山測候所長であった藤村郁雄氏から30年間の富士山での観測について話を聞いた。
富士山の最初の気象観測は1880年に米人のT.C. Men'denhallによって行われた。1889年ころから山小屋で気象観測が行われている。
1895年に野中 夫妻が秋から冬にかけて富士山頂で観測をしている。
1927年に富士山頂に私設の観測所が出来た。
藤村氏は富士山での気象観測を夏は1929年、冬は1931年から始めている。1931年から国の観測所になり、職員は5人だった。1ヵ月で交代した。1938年藤村氏が所長になった。
1945年1月に藤村氏は沖縄気象台長を命ぜられたが、戦争のため赴任できず、以後、三島観測所長になり、富士山測候所長もかねて30年間勤務した。(図12)(自抄)
野沢 浩. 紛争調整システムの文献研究(その1)−比較法的見地から−. 1997; 73(5): 195-201. keywords=労使紛争, 調停, 仲裁, あっ旋, 三者構成, Industrial relations disputes, Adjustment of disputes, Arbitration, Conciliation, Tripartite System,
労使紛争の処理システムとしては、制定法規違反の違法性を判断する審判機構と、その他に労使間の主として利益紛争(賃金や待遇改善などの)を調整するための調整機構とが考えられる。国によりこれら両機構を全く分離独立させて運用する所や、両機構を管轄上別個の系統に属させながらも手続上のある次元で接続を図っている所、あるいはわが国のように準司法的機関としての行政委員会として位置づけながら緩やかな三者構成システムのもとに審判業務と調整業務を同一システム内にミックスする所など、多様に分かれている。経済変動と共に労使関係にもフレキシブルな影響が及ぶにつれ、労使関係の相対化をめぐる調整的作業のあり方が改めて問われなくてはならなくなった。英国および米国の研究論文や基礎的文献に当たりながら、訴訟手続きに代わる解決方法の考察などにまで及びたいと思う。(自抄)
本城 由美子, 高橋 誠. 覚醒の主観的指標と脳波との関連性. 1997; 73(6): 221-229. keywords=覚醒, 眠気, リラックス, 脳波, α波, ヴィジランス課題, Arousal, Sleepiness, Relaxation, Electroencephalography, αwave, Vigilance task
覚醒の主観的指標としてのMWSと生理的指標や行動的指標との対応関係について、ヴィジランス課題遂行中の時間的推移関係を調べることによって明らかにしようとした。MWS評定スケールの「眠気」・「リラックス」・「全般的活性」・「緊張」の4因子と、Cz・Pz・C3・C4部位から測定されたα波パワー値を分析した。ヴィジランス課題としてはクロックテストに類似した視覚的検索課題で、ターゲット探索時間によってパフォーマンス低下を調べた。その結果、眠気とα波が課題遂行に伴って増加し、10セッション中の第7セッションあたりでピークを示す推移を同様に示した。探索時間もほぼ同様の変化を示し、覚醒レベルの低下を眠気が最もよく反映することが示された。また、リラックスはそれらとは異なる推移過程を示し、眠気とは独立した因子であることが示唆された。さらに、セッション内でのα波の変化を分析したところ、Cz・Pzのα波は眠気と相関が高かったが、C3・C4はリラックスと高い相関を示した。(図4・表3)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XIX) −聞き書き労働観(11):看護婦−. 1997; 73(6): 230-238. keywords=看護婦, 看護教育, 慈恵会, 同志社, 赤十字病院, Nurses, Nursing education, Jikeikai, Doshisha, Red Cross hospital
幕末、幕府の養成所が出来た時、病人の看護を下男、下女にさせたが、当時の看護者の社会的地位は低かった。筆者は1966年に2人の女性看護教育専門家から日本の看護教育の歴史について聞いた。
イギリスでは1860年にナイチンゲール学校が創立された。日本もこの学校が手本で、東京では慈恵会、京都では同志社で1885年前後に看護婦教育が英米の看護婦によって始まっている。
当時はりっぱな派出家庭看護婦の育成が目標だった。一方、日赤の看護婦養成は1890年からで、有事の際に軍隊のなかで看護婦が救護活動をすることになった。当時の看護婦生徒は3年間のきびしい教育を受けた。一方、余り教育を受けないで、検定で派出看護婦になる道もあり、種々問題があった。
現在、日本産業衛生学会に産業看護婦を中心にした産業看護部会がある。(図6)(自抄)
野沢 浩. 性的迷惑行為の法情報(その1)−いわゆるセクシャル・ハラスメントの扱い−. 1997; 73(6): 239-245. keywords=性的迷惑行為, 労働審判所, 性差別, 英国, 使用者責任, Sexual harassment, the Labour Tribunal, Sex discrimination, the United Kingdom, Employer responsibility,
英国ではその性差別法運用にもとづき、労働審判所で取り扱われる総件数は、年間で6,694件(1995)にもなる。ごく最近の雇用関係法律雑誌Industrial Relations Law Bulletin, No.559,560には、英国におけるSexual harassment at work に関する情報として、詳しいガイダンス・ノートが報ぜられている。わが国における男女雇用機会均等法の改正作業等の参考にもなると思うので、上記ガイダンス・ノートの概要を、要約し研究資料として逐次紹介してみようと思う。何がSexual harassmentに該当するかという概念規定および、その申立てに対する迅速処理が特に肝要と思われるので、わが国の制度改善を志しつつ本報告を役立てて欲しいと思う。(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(XX) −聞き書き労働観(12):職業紹介事業の発展−. 1997; 73(7): 267-280. keywords=職業紹介所, 口入れ屋, 労働事務次官, 国際条約, Employment agencies, Job-finding agencies, Labour Minister's secretariat, International treaties,
1965年(昭和40)2月に、当時、労働大臣官房の労働事務次官であった安田辰馬氏と日本の職業紹介事業について「職業紹介今昔」という題で対談している。
徳川時代にも職業紹介は行われていた。一般の小僧などの奉公人は”口入れ屋”という職業人が世話をしたし、芸娼妓には女衒という専門の世話人がいた。これらの世話人は身元引き受け人でもあった。明治以来、第二次大戦まで民間の有料職業紹介所が続いていた。しかし、国際条約の関係から民間の有料職業紹介所は廃止の方向にむかっていた。しかし、300年以上続いた口入れ屋が廃止されるのは第二次大戦になってからであった。
20世紀の初頭から無料宿泊所で職業紹介を開始した。(図16・表1)(自抄)
野沢 浩. 性的迷惑行為の法情報(その2)−いわゆるセクシャル・ハラスメントの扱い−. 1997; 73(7): 281-287. keywords=性的迷惑行為, 労働審判所, 代位責任, 犠牲化, Sexual harassment, the Industrial Tribunal, Vicarious liability, Victimization
Part 2においては主として以下の事項がとり上げられる。1.迷惑行為者を雇う使用者の責任 Employer's Liability, 2.行為が雇用遂行過程 in the course of employmentでなされるという必要条件 , 3.使用者側の争訟上での防御根拠, 4.第三者からの迷惑行為を使用者が被用者に対し守るべき義務, 5.争訟手続中に証人となること、違反事由につき申立てたことなどにより、人が犠牲化 Victimizationの対象にされることもSDA第4条(1)違反に該当すること、 6.性差別申立ては違法行為がなされた時から3箇月以内に、労働審判所に提出すべきこと(SDA第76条)、 7.性的迷惑行為の争訟過程における報道制限命令など、英国での具体的保障の実例を紹介する。(自抄)
佐々木 司, 酒井 一博. 繰り返しの睡眠短縮が睡眠中の循環器機能に及ぼす影響−心拍数の変化−. 1997; 73(7): 288-291. keywords=繰り返しの睡眠短縮, 睡眠時心拍数, 急死, 睡眠構造, 徐波睡眠, Repeated sleep restriction, Heart rate during sleep, Immediate death, Sleep structure, Slow Wave Sleep,
本研究は、睡眠といわゆる「過労死」を関連づける基礎的資料の提供を目的として、繰り返される部分断眠が睡眠中の心拍数に及ぼす影響を検討した。18歳の男子大学生1名を被験者として8時間の基準夜睡眠(0100〜0900)の後、5時間睡眠(0100〜0600)を12日間続けた。その結果、睡眠段階2とレム睡眠が減少し、徐波睡眠は増加した。睡眠期の平均心拍数は、睡眠短縮が進むにつれて増加した。とくにレム睡眠中の心拍数は、高低を繰り返しながらも短縮12日目に向かって増大した。またレム睡眠中の心拍数と徐波睡眠との間に有為な正の相関(r=0.65, p<0.05)が示された。(図2・表1)(自抄)
野村 茂. 職業性皮膚障害の最近の動向(I)−各国における発生状況−. 1997; 73(8): 317-335. keywords=職業病, 皮膚, 皮膚障害, 職業性皮膚疾患, Occupational disease, Skin, Skin disease, Occupational dermatose
我々は、1953年および1974年に、日本ならびに欧米諸国における職業性皮膚障害の発生状況、病因ならびに諸症状の発生機序などについて産業医学の立場からこれを考察して公刊している。この時期に続く最近20年間は、産業技術の進歩、発達も著しく、これに伴う各産業での職業性皮膚障害の発生の様相も著しく変貌してきている。
本稿で、我々は、主として1975年〜1995年における各国のこの領域における調査研究の進展の様相を展望し、職業性皮膚障害の最近の動向を把握したいと考えた。3編中、この第1編では、主として、各国における発生状況を展望し考察した。(表13)(自抄)
野沢 浩. 性的迷惑行為の法情報(その3・最終回)−いわゆるセクシャル・ハラスメントの扱い−. 1997; 73(8): 336-341. keywords=性差別行為の救済方法, 1996迷惑行為防止法案, 1996労働の尊厳法案, The Remedial measures concernig SDA, 1996 the Harassment Bill, 1996 the Dignity at Work Bill
Part 3では、性差別法(SDA) 上の救済申立てが同時に民事法上の不法行為に該当し、また刑事法上の違法行為に該当するとの側面や、1996年雇用権利法(ERA) 第10章に基く救済申立てを扱っている。そして不公正解雇の救済(復職・再契約・補償)手段にも言及する。そのほかコモンローにもとづき使用者が労働者のため安全なシステムを提供すべき配慮義務を負うとして、民事訴訟上で取扱われることや、1986年公序法第4条Aや1994年刑事裁判および公序法、1974年労働における健康および安全法 (the HSWA) 、1996年12月5日迷惑行為防止法案、1996年12月4日労働の尊厳法案提出など、性差別以外の違法行為類型を広汎に規定して、不当な差別やいじめ行為一般を取締ろうとする。(自抄)
伊藤 昭好. 光学位相差顕微鏡法による気中石綿濃度測定への空視野計数法の適用. 1997; 73(8): 342-343. keywords=石綿, 繊維状粒子, メンブランフィルター, 位相差顕微鏡, 空視野計数法, Asbesto, Fibrous dust, Membrane filter, Phase contrast microscope, Void-counting method,
光学位相差顕微鏡による気中石綿繊維の計数作業の省力化・迅速化を進めるために提案されている空視野計数法を、環境大気中の石綿捕集サンプルに適用することの妥当性を検討した。空視野計数法とは、一定視野中の繊維の有無だけを判定し、観察視野総数に対し繊維が含まれない空視野の数の比率から繊維密度を算出する方法である。当研究所で過去に収集した大気環境中で捕集された石綿サンプルの計数データを対象に、従来法による計数結果と空視野計数法を適用した場合のそれとを算出し比較したところ、両者で良く一致した。また熟練計数者により、同一サンプルに対し両計数法を試行したところ、空視野計数法では、計数時間が約30%短縮した。(図1)(自抄)
三宅 弘子, 滝澤 秀臣, 名古屋 俊士. 数値流体力学 (CFD) による側方吸引型外付け式フード周辺の空気流れの解析. 1997; 73(9): 361-368. keywords=気流解析, 数値流体力学, 局所排気, 作業環境, ダラ・バレー, Air flow analysis, Computational fluid dynamics, Local Exhaust Ventilation, Working environment, Dalla-Valle
局所排気装置を設計する上で空気の流れを調べることは非常に大切なことである。 しかし, 実際には測定に関する誤差, 労力の負荷といったもののために空気流れを正確に理解することは非常に難しい。 そこで, 短時間に現象を予測するために数値流体力学を用いたシミュレーションを行った。
各種解析を行ったが, さらに複雑な場合や, 外乱気流の影響, 有害物質の種類による違いといったものに対しての解析を行うとともに, 3 次元での解析を進め, 実際の現象との整合性を検討する必要があると思われる。 数値流体力学を用いたシミュレーションを局所排気装置周辺の気流流れの解析に用いたことはこの方面での解析に非常に意義があるものと考える。 (図12) (自抄)
佐々木 司, 酒井 一博. 国際線航空機乗務員の生活時間調査―乗務中の眠気の分析を中心に―. 1997; 73(9): 369-377. keywords=生活時間調査, 運航乗務員, 乗務パターン, 乗務中の眠気, 安全性, Time budget study, Aircrew, Flight pattern, Sleepiness during flight operation, Safety
運航乗務員の乗務中の眠気を1カ月間にわたる生活時間調査法によって調べた。 調査対象者は, 24名の国際線運航乗務員であった。 乗務中の眠気の分析は, 国内線・国際線の昼間乗務, 国際線の往路乗務, 国際線の滞在時乗務, 国際線の復路乗務の 4 つのカテゴリーについて行われた。 その結果, 国際線の往路乗務, 復路乗務では, 眠気を訴えた乗務の割合が高かった。 往路乗務の眠気の発生は, 夜間乗務にともなう長い先行覚醒時間が関係していた。 復路乗務の眠気は, 主睡眠の分割にともなう睡眠持続時間の短縮が影響を及ぼしていると思われた。 国内線・国際線の昼間乗務の眠気は, 乗務日の早朝覚醒時刻と早朝乗務開始時刻, 乗務回数が影響を及ぼしていた。 (表 2・図 7) (自抄)
酒井 一博, 佐々木 司 . 乗務・生活時間調査からみた国際線航空機乗務員のフライトと睡眠. 1997; 73(10): 397-404. keywords=睡眠パターン, 時差, 航空機乗務員, 国際線東行乗務, 生活時間調査, Sleep patterns, Time zone differences, Cockpit crews, East-going international flights, Time budget studies,
副操縦士や航空機関士など国際線航空機乗務員24名 (平均年齢34.2±5.2歳) の協力を得て, 1 ヶ月間にわたり生活時間調査を実施した。 調査では乗務前後に疲労感と, 起床直後に睡眠感の記録をするほか, (1) 乗務時間, (2) 移動時間, (3) 睡眠時間, (4) 眠け, (5) 食事時間, (6) アルコール摂取の有無などについて, 1 マス15分の時間精度で記録するように要請した。 航空機乗務員の睡眠は, フライトとの関連で, 夜眠, 昼眠に加えて, 時差が生じるために, 非常に変則なものになっていた。 国際線乗務では, 先行睡眠から24時間前後の断眠状態が起こるために, ホテルに到着直後, 短時間の睡眠が挿入されるケースのほか, 就眠後に途中覚醒するケースも多く見られた。 一方, 国内では 1 回当たり450分内外の睡眠が確保されていたが, 国外での睡眠時間の長さは, 現地の時刻と, それに相当する日本時間によって大きな差が生じていた。 現地が夜で, しかもそのときの日本時間が夜の場合, 1 回当たりの平均睡眠時間は421分と7時間を確保した。 これに対して, 現地が昼で, 日本が夜時間の場合は217分, 現地が昼で, 日本が夜時間の場合, 170分であった。 こうした点を反映して, 大きな時差を伴う東行乗務 (主に米国各都市) では, 時差の少ない南行乗務 (主にオーストラリア, アジア) と比べて, 現地夜・日本昼や現地昼・日本夜などの睡眠が多いために, 途中覚醒や昼眠挿入が明らかに多くなっていた。 (図 4・表 1) (自抄)
栗田 明良, 鈴木 春子. 「農山村における医療・福祉のあり方」 に関する中山間地域の町村アンケート調査結果 (第 1 報). 1997; 73(10): 405-434. keywords=高齢者介護, 地域医療, 中山間地域, 超高齢社会, 24時間対応, Human care service, Medical care for Local Society, Mountainous rural areas, Ultra-aged society, Human care service through 24 hours
立地条件的に著しく不利な中山間地域においても“高齢者自身による選択”を可能な限り担保し得る高齢者介護・福祉サービスの 「農村型」 供給システムをめぐって取り組んできた調査研究の一環として, '96年10月に実施した 「農山村における医療・福祉のあり方」 全般に関する町村アンケートより, 医療・福祉基盤とサービスの現状について分析した。 人口10万対常勤医師数71人弱という全国平均の半分にも満たない脆弱な医療基盤を補完するかのように, 福祉サービスが施設, 在宅ともに全国水準を上回って相対的に 「充実」 しているのが中山間地域の特徴となっている。 但し, 24時間巡回型介護の導入は立地条件的に難しいようである。 (表34) (自抄)
成清 雄一, 塚島 英明, 名古屋 俊士. ウォーターミストが各種粉じん計の測定値に与える影響. 1997; 73(11): 453-460. keywords=粉じん測定, 湿度, ミスト, 光散乱, 分粒特性, Dust measurement, Humidity, Mist, Light scatter, Permeation characteristics,
湿度制御およびウォーターミスト発生可能なダストチャンバー内で, 各種粉じん計の同時併行測定を行った結果, 次記事項が明らかとなった。 1) 光散乱計の指示値は, 湿度の影響をほとんど受けないが, ミストには強い影響を受ける。 2) ミストは, 光散乱計の指示値を増加させるが, その指示値は必ずしも粉じん濃度にミスト濃度を加算した値に比例しない。 3) ミストは, 質量濃度計の分粒特性にも影響を及ぼす。 したがって, ミストが存在する作業場で粉じん測定を行う場合, 相対濃度測定ではミストの影響を除去できる測定器を使用し, また質量濃度測定では少なくとも総粉じん濃度が測定可能なサンプラーを使用する必要があると考察される。
(図10・表 2) (自抄)
栗田 明良, 鈴木 春子. 「農山村における医療・福祉のあり方」 に関する中山間地域の町村アンケート調査結果 (第 2 報). 1997; 73(11): 461-482. keywords=高齢者福祉, 地域医療, 中山間地域, 超高齢社会, 24時間対応, Elder Welfare, Medical care for Local society, Mountainous rural areas, Ultra-aged society, Human care service through 24 hours,
「農村型」 高齢者介護・福祉システムをめぐって取り組んできた調査研究の一環として1996年10月に実施した 「農山村における医療・福祉のあり方」 全般に関する町村アンケートの結果から, 本稿では, 中山間地域における医療・福祉のあり方と直面している問題点について取り上げた。 脆弱な医療基盤に苦慮する町村の多くが, 老人保健福祉計画の達成それ自体には一応の展望を持ちながらも, 財源問題と人材確保に不安を抱き, 医療と福祉の連携をめぐって改善を要する課題に直面していることを窺わせる一方, 農業団体に対しては“助けあい組織”の育成・強化や“生きがい創造”事業への協力を期待している町村が際立っていた。 (表12) (自抄)
大倉 元宏, 石川 充英. 視覚障害者における電車乗車時の困難さ―乗車訓練受講生のパフォーマンスの分析を通して―. 1997; 73(12): 501-511. keywords=視覚障害者, 鉄道利用, 電車乗車訓練, 安全, 歩行訓練士, Visually impaired persons, Access to a mass transit railway systems, Orientation and mobility training in boarding a train, Safety, Orientation and mobility instructor
視覚障害者の安全な鉄道利用に資する目的で, あるプログラムに基づく 5 名の盲訓練性の乗車訓練におけるパフォーマンスを分析し, 乗車行動における困難さの所在点の同定を試みた。
本研究から以下の三つの重要な知見が得られた。 1) 車体への接近, および車体に沿った移動の場合に白杖による前方路面上の着地点の安全確認がおろそかになる。 2) 電車の到着と停止の認知がかなり難しい。 特に地下ホームで顕著である。 3) 乗車途中にドアが閉まった場合, それに気づくのが難しい。 (図 5・表 2) (自抄)
野沢 浩. 紛争調整システムの文献研究 (その 2) ―比較法的見地から―. 1997; 73(12): 512-517. keywords=労使紛争, 調停, 仲裁, あっ旋, 仲裁人, Industrial relations disputes, Adjustment of disputes, Arbitration, Conciliation, Arbitrators,
検討文献の第 2 は, Karen Mumford の“Arbitration and ACAS in Britain : a Historical Perspective”という研究論文前半部で, 掲載誌は“British Journal of Industrial Relations, 34 : 2 June 1996。”1700 年代後期にまで遡りうる英国の仲裁サービスの伝統および最近 (1980 年代以降) の傾向を資料により説く。 そして最終提案的仲裁かまたは習慣的仲裁か, あるいは商業会議所の独立した仲裁委員会, 1896 年あっ旋法に基づく仲裁人の指名, 1914 年第 1 次世界大戦勃発に伴う強制仲裁制, 1918 年賃金法の自発的仲裁, 第 2 次世界大戦勃発に伴う全国仲裁審判所による強制仲裁, 1960 年代以降の産業裁判所による自発的仲裁, 1971 年労使関係法による仲裁委員会, 1975 年雇用保護法の仲裁付託などの沿革概説。
(図 1) (自抄)
野沢 浩. 紛争調整システムの文献研究 (その 3) ―比較法的見地から―. 1997; 73(12): 518-524. keywords=労使紛争, 調停, 仲裁, あっ旋, 仲裁人, Industrial relations disputes, Adjustment of disputes, Arbitration, Conciliation, Arbitrators,
Karen Mumford の研究論文の後半部の紹介。
3 ACAS の時代においては, 1976 年の創設以来の仲裁人選定方法とか, 仲裁人の性格とか必要な訓練などに言及し, アメリカの 1980 年代のニュージャージィ消防警察局の仲裁人などとの比較にもふれる。 1984 年の ACAS 仲裁人に関する質問表調査, 1970 年代以降私的部門における仲裁利用件数の急増ぶりなどにも言及する。 そして権利関係の紛争 (解雇や規律) と利害関係の紛争 (格付け・賃金その他の雇用条件) の各年度の割合上の変化を見た後に, 権利関係紛争については最終提案仲裁が, 利害関係紛争については習慣的仲裁がより多く利用される傾向にあることを資料に基づき示す。 英国の仲裁の特色は, 非司法的なボランタリィ・サービスにある。 (図 4) (自抄)
原 邦夫, 井谷 徹. 多環芳香族炭化水素類の生物学的モニタリング指標としての尿中 1-hydroxypyrene. 1998; 74(1): 1-16. keywords=1-ヒドロキシピレン, 多環芳香族炭化水素, 生物学的モニタリング, 代謝物, コールタール, 1-hydroxypyrene, Polycyclic aromatic hydrocargons, Biological monitoring, Metabolite, Coal tar
混合物である多環芳香族炭化水素類の生物学的モニタリングの曝露指標として用いられている尿中 1-hydroxy-pyrene に関して, 最近までの文献を対象に, レビューを行った。 多環芳香族炭化水素類の曝露と尿中 1-hydroxy-pyrene の関係が様々な作業場で研究され, 高濃度の曝露群での両者の正の相関関係と, 職業性の曝露評価を行うにあたり低濃度の曝露群での食事・喫煙などのプラス側の影響が明らかとなった。 最近は, 多環芳香族炭化水素類の曝露の防護対策の有効性評価, あるいは DNA 付加体との関連性をみた研究などが報告されている。 ただし, 尿中 1-hydroxypyrene の生物学的曝露評価値に関しては, なお検討の余地があることが示唆された。
(図 4・表 1) (自抄)
上久保 達夫. 我が国農山村地域における林業従事者の労働と生活に関する一考察 ―最近の新規参入者の動向を踏まえて―. 1998; 74(1): 17-25. keywords=農山村地域, 新規参入者, 林業労働, 脱近代的労働, 農山村生活, Mountainous rural areas, Newly participating workforce, Forestry work, Post-modern work, Montainous rural community life
近年, 我が国の都市部から中山間地の森林組合等へ参入する林業従事者が増える傾向にあるが, 従来の林業労働者の供給源とは明らかに異なった彼等を新タイプの将来の地域林業の担い手と位置付ける。 本稿では, 彼等への聞き取り・観察調査等に基づき, 先行研究の整理や検討を通して, 彼等の林業労働の特質や農山村生活の特徴の析出を試みた。 その結果, 彼等の労働はそこに自己実現の価値を見い出す脱近代的労働と規定された。 また, 林業労働を含む農山村生活の選択が 「経済的理由」 からでは決してなく, 「自然」 志向や 「個人主義」 志向の産物であり, また 「家族のため」 (特に既婚者) でもあった。 理想と現実の乖離から退職する者もいる。
(図 2・表 4) (自抄)
鈴木 春子. 過疎山村の高齢者介護・福祉・医療−K県I町調査事例−. 1998; 74(2): 45-65. keywords=介護, 高齢者, 中山間地域, 介護保険, 福祉サービス, Nursing care, Aged people, Mountainous rural areas, Nursing care insurance, Welfare services,
介護保険法案の成立後本格化する, 運用に関わる諸問題の議論に際して, 居住地域の如何を問わず要介護高齢者の生活の質を確保して行くために検討が求められる視点を, 高齢化率 40.6 %の超高齢過疎地に暮らす高齢者の状況を介護・福祉・医療の実態調査報告を通じて整理し, 過疎地では(1)在宅虚弱高齢者に対する家事援助は必須であること,(2)広域対応の医療に依存せざるを得ない中で, 医療機関との連携を推進・強化するための具体策の必要性が高いこと,(3)要介護関連施策の一環としての虚弱高齢者等に対する生きがい支援, 生活支援の積極的な展開が求められること,(4)介護, 医療, 両面に渡る, 低所得者対策が必要であることを提示した。
(図 2・表 11) (自抄)
野沢 浩. 紛争調整システムの文献研究 (その 4)―比較法的見地から―. 1998; 74(2): 66-71. keywords=労使紛争, 紛争処理, 仲裁, 労働審判所, 仲裁人, Industrial relations disputes, Dispute resolution, Arbitration, Employment tribunals, Arbitrators,
本稿は英国情報誌 Industrial Relations Law Bulletin no. 577 (Sept. 1997)に基づき, 最新情報を伝えるもの。 前政権下でまとめられたグリーン・ペーパー (雇用権紛争解決のための改革リポート) については, すでに 「労使紛争処理手続の‘迅速性’・‘低費性’および‘専門性’確保のために」 (その 1〜その 4) という標題で紹介した。 しかしこの法案は労働党政権誕生に伴い滞留したままだったのが,最近若干の修正を施した上で, 新政権により新草案が導入された。 その速報として, 完全な審問なしでの結審, 審判長単独の審問, 法務官 legal officers の活用, 和解協定の拡大, 組織内手続の促進などに関して, 新法要約資料 (資料 A) および ACAS の仲裁に関する要約資料 (資料 B) も付して, 緊急的に紹介することにした。 (自抄)
松田 晋哉, 吉 田 勉. ベトナムの炭坑労働者のじん肺の現状について. 1998; 74(2): 72-77. keywords=じん肺, 炭坑労働者, 健康診断, ベトナム, Pneumoconiosis, Coal mine workers, Health examination, Vietnam,
著者らは 1997 年 8 月にベトナムにおける炭坑労働者のじん肺に関する予備調査を行った。 職業病の大まかな傾向を示す公式統計によっても, じん肺が同国における最も重要な職業病の一つであって効果的な予防計画の推進が必要であることが明らかにされている。 労働法典がすべての炭坑労働者に胸部 X 線写真を含めた毎年の定期検診を義務づけているにも係わらず, 財政難のために, 現状では一部の労働者のみしか健康診断を受けることができていない。 従って, 現在の職業病の登録システムでは明らかに多くの患者が検出されていないと考えられる。 この問題に関してベトナム政府が適切な対策をとることを可能にするような国際協力事業が組織されることが期待される。 (図 1・表 2) (自抄)
Isamu EBIHARA, Masaki KAWAMI. Lung Cancer and Immunopathologic Diseases among Copper Miners in a Small Copper Mine, Stone Masons and Pneumoconiotic Patients in Japan. Journal of Science of Labour 1998; 74(3): 1-14. keywords=Cohort study, Pneumoconiosis, Systemic lupus erythematosus, Polymiositis, Rheumatoid arthritis, Goodpasture's syndrome
石井 まこと. 若年労働者の雇用管理と労働条件・就労意識(1). 1998; 74(3): 95-108. keywords=若年労働者, 雇用管理, 定着率, 日本的雇用慣行, 就職難, Young employee, Employment management, Retentin ratio, Japanese employment practices, Job scarcity
1996年及び1991年に長野県内企業で行われた「若年労働者就労実態調査」の比較により、雇用環境の変動期における若年者の雇用管理と就労意識の変化について分析している。本報では企業調査の結果から分析した。調査結果から、新規学卒者の採用難期にみられた福利厚生施設・制度の整備は低下しており、特に規模の大きな企業での低下が大きくなっている。一方で、規模の大きな企業では教育訓練・能力開発に力を入れる企業割合が高まっており、若年者雇用管理は全般的に若年者に手厚く行われた施策展開から、消極的かつ企業規模によって対応が異なる方向に向かっている。(図9・表9)(自抄)
松田 晋哉, 城内 博, 吉田 勉, 吉村 健清. ベトナムの経済開発と環境問題:国際協力の課題. 1998; 74(3): 109-118. keywords=工業化, 環境問題, ベトナム, 国際協力, Industrialization, Environmental Problems, Vietnam, International cooperation
市場経済の導入以後、ベトナムにおいては環境問題とそれに関連した健康問題の重要性が高まってきている。この論文において著者らはベトナムの環境政策の概要とその問題点を記述した。環境保護法とその関連政令により、すべての投資計画は環境影響評価の過程を経ることが投資計画認可のための条件となっている。このような手法は環境問題の発生を予防しうるものであるが、実際には環境影響評価を行う人材の不足のために十分には行われていない。従って、この分野における国際協力事業、特に豊富な経験と技術力を持つ日本からの協力事業がベトナムにおいて行われることが期待されている。(図2)(自抄)
大西 徳明. 上肢作業における筋電図振幅からみた筋的負担と身体的能力に関する研究. 1998; 74(4): 135-155. keywords=筋負担, 反復作業, 筋電図, 筋圧迫痛閾値, 筋的能力, Muscular load, Repetitive work, EMG, Tenderness threshold, Muscle strength,
労働現場における機械化は全身的肉体労働から座位での上肢を反復使用する姿勢拘束性の強い作業となった。 本研究では等尺性筋収縮での筋力と持久時間関係, キャシュレジスター入力作業, 実作業での反復作業などを取り上げ, 筋電図や筋圧迫痛閾値などを用いて筋負担を検討し, さらに反復作業者と従来的な事務作業従事者の身体的能力を比較した。 筋作業における筋痛は早い時間より生じ, 個人差の大きい負担差を過重なものにしない水準は最大筋力比 10 %以下にすることが考えられた。 また, 作業速度の速さは筋電図発射からみた筋緊張が高く, 僧幅筋に静的とみられる局所筋負担の大きい様子をみた。 現代的労働生活の負担は身体的能力に影響していた。
(図 18・表 2) (自抄)
熊谷 信二, 寒 川 茂, 西村 公志. 小学校教員の粉塵曝露状況. 1998; 74(4): 156-161. keywords=小学校教員, チョーク, 粉塵曝露, 総粉塵, 吸入性粉塵, Primary school teacher, Chalk, Dust exposure, Total dust, Respirable dust,
小学校教員はチョ−ク粉塵に曝露されるので, 粉塵曝露状況を調査した。 総粉塵曝露濃度の平均値は許容濃度 (4 mgm 3) の 115〜16, 吸入性粉塵曝露濃度の平均値は許容濃度 (1 mgm 3) の 19〜13 であり, 教員が塵肺に罹患する可能性はほとんどないと考えられた。 しかし, 一般環境中の粉塵レベルと比較すると 3.2〜9.4 倍の曝露を受けており, 快適な環境とは言えないことがわかった。 粉塵の中でもチョーク粉塵の曝露濃度に注目すると, 普通タイプのチョークの方がダストレスタイプのものに比べ 1.9〜3.0 倍高かった。 したがってダストレスタイプを使用することが推奨される。
(図 3・表 2) (自抄)
(三浦 豊彦). 追悼・元副所長 三浦豊彦博士. 1998; 74(5): 179-180.
木村 菊二. 三浦豊彦博士と労働科学. 1998; 74(5): 181-184.
川見 正機, 海老原 勇, 川見 昌子, 藤井 正實. じん肺罹患者の姉妹染色分体交換および小核頻度. 1998; 74(5): 185-192. keywords=じん肺, 肺癌, 鉱物性粉じん, 細胞遺伝学的損傷, 発癌性, Pneumoconiosis, Lung cancer, Mineral dusts, Cytogenetic damage, Carcinogenicity,
じん肺発症と発癌との関連性において、じん肺罹患者集団における末梢血リンパ球のSCE及びMN頻度測定といった細胞遺伝学的な検討を行った。じん肺罹患者、石綿肺罹患者、じん肺合併癌患者の、いずれの集団においてもSCE及びMN頻度の高値を認め、細胞遺伝学的影響が認められた。じん肺罹患者では、軽度胸部レントゲン所見においても高値のSCE及びMN頻度が認められた。また、高濃度珪酸じんに暴露したSilicosisのみならず、硫化鉱を主体とする低濃度珪酸じん及び炭坑粉じんに暴露したじん肺罹患者においても細胞遺伝学的損傷は認められた。これらより、結晶性珪酸の職業性吸入のみならず、鉱山性粉じんの職業的吸入においても発癌性があるものと示唆された。(表5)(自抄)
野沢 浩. 紛争調整システムの文献研究 (その 5)―比較法的見地から―. 1998; 74(5): 193-198. keywords=仲裁, 助言あっ旋仲裁機関, 仲裁人, あっ旋, Arbitration, ACAS(Advisory, Conciliation and Arbitration Services), Arbitrator, Conciliation
本文献に関しては、この文献研究シリーズ(その2)において、既に書名だけは紹介したことがある。 John Lockyerの"Industrial Arbitration"の紹介を通して、英国におけるあっ旋とか仲裁という紛争処理システムの生成の実態面につき把握したいというのが、本文献研究の動機である。(その2)の紹介著者も既に指摘したように、本著は「実務家執筆の特殊ガイドブック」であるから、紛争当事者たちに日常接触しながら紛争処理実務経験を積み上げたその具体例を、知りうると思う。又それを通じあっ旋や仲裁に第三者が介入する際の心配りや態度、解決に到る手順なども把握できるだろうし、英国における司法処分以外の紛争処理の実益なども知るうることと期待される。数回に分け、続けて紹介される。(自抄)
高橋 誠. インターレーススキャン・テレビとノンインターレーススキャン・テレビとの視覚疲労の比較. 1998; 74(6): 219-228. keywords=テレビ画面, 視覚疲労, 調節, グレイティング視力, Television screen, Visual fatigue, Accommodation, Grating acuity
家庭用の一般的なインターレーススキャン方式のテレビでは画像によってはチラツキ(フリッカー)が生じることがある。本研究ではこうした従来型テレビと、フリッカーレス・テレビとを視覚疲労の側面から比較評価した。画像観視作業を1セッション20分として5セッション課し、そのセッションの前後とさらに作業後20分の休憩時間後に視覚疲労自覚症状しらべと視機能検査を実施した。16名の被験者の結果から、従来型のテレビでは、「目が乾く」などの自覚症状の訴えが強く、調節安静位が接近し休憩によっても回復傾向が見られないなど、ノンインターレーススキャン方式テレビの方が視覚疲労の徴候が軽微であろうと示唆された。(図4)(自抄)
上久保 達夫. 現代我が国農山村地域における林業労働者の生活と人間に関する一考察 −岐阜県下の一林業山村におきる聞き取り調査結果に基づいて−. 1998; 74(6): 229-236. keywords=農山村地域, 林業山村, 林業労働者, 事例分析, 農山村地域生活者像, Mountainous rural area, forestry-based mountainous village, Forestry workers, Case analysis, Image of people in the mountainous rural community,
歴史的に高度経済成長を達成した日本の繁栄を支える人間とその生活の理解は極めて重要である。そのような問題意識のもとに、農林業生産現場である農山村地域、とりわけ林業山村において長年林業労働に従事してきた老人を抽出して聞き取り調査を行い、彼等の林業労働も含む山村生活全般の事例分析と若干の考察を行った。その結果、帰納的に検出された彼等の「生活者」像のプラス面は次の如くである。(1)経済的豊かさのみならず精神的豊かさをも志向、(2)使用価値的労働、雑労働性の尊重、(3)趣味に恵まれ教養豊か、(4)優れて主体的に律せられた生活態度、(5)仕事の場である自然に対する畏敬の念等が挙げられる。(図1)(自抄)
新小田 春美, 朴 盈 満, 松本 一弥. 手首アクチグラフからみた人の動作と睡眠・覚醒判定に関する基礎的検討. 1998; 74(7): 255-265. keywords=アクチグラフ, 非利き腕, 動作・行動, ポリソムノグラフ, 睡眠・覚醒判定, Actigraph, Non-dominant wrist, Activities, Polysomnography, Sleep/wakefulness identification
各種の生活動作中の携帯用活動計actigraph(アクチグラフ)のカウント特性を検討すると共に、睡眠ポリソムノグラフ(PSG)と同時に測定したカウント数からColeら(1992)やSadehら(1994)のアルゴリズムを用いて睡眠・覚醒判定を行い、PSGとの一致の程度を検討した。
7つの動作中におけるアクチグラフカウント数と心拍数との間で強い相関関係がみられた。また、PSGとアクチグラフカウント数から判定した睡眠・覚醒一致率と入眠潜時、全睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時刻などにも、極めて高い相関が認められた。アクチグラフは、覚醒時の動作の識別に応用でき、睡眠と覚醒時期をかなり正確に判定し得ると認められた。(図4・表3)(自抄)
松田 晋也, 吉田 勉. 雇用環境の変化と企業における健康管理システム. 1998; 74(7): 266-271. keywords=健康管理システム, 健康情報, ポータビリティ, 守秘性, 労働力の流動性, Health management system, Health information, Portability, Security, Mobility of labour
経済環境の変化と少子高齢社会の進展により、今後わが国においては雇用の流動化が進行していくと考えられる。流動化した雇用環境のもとで生涯健康管理を可能にするためには個人の健康情報のポータビリティを確保する必要があり、それに伴って健診情報の個人化、継続性、および守秘性が課題となる。また、労働者の健康問題に関しては生活習慣病という言葉に代表されるように、個人の生活における自己責任がこれまで以上に重要になってくる。成熟化社会にあって健康に対する個人の責任が明確である以上、企業をベースとした健康管理システムも個人の自立を促すようなシステムであることが望ましいと考えられる。 (自抄)
石井 まこと, 小木 和孝. 産業労働像の変化方向:「21 世紀の産業労働像を探るアンケート調査」 の結果. 1998; 74(8): 289-306. keywords=技術革新, 人的能力開発, 企業戦略, 要員管理, Innovation, Human resource development, Business strategy, Management of work-force required,
「21 世紀の産業労働像を探るアンケート調査」 を 1996 年に企業と研究者を対象に実施した結果をまとめた。 企業と研究者がともに重視する近未来傾向として, 高度情報化のもとでの個人能力, チーム労働, 人材の育成があり, またメンタルストレス対策, 高齢化や男女均等化についての多くの対策, 職場改善への参加の重視も共通していた。 その一方で, 企業と研究者の関心の置き方には, 多様化する就労形態のもとでの条件整備, 勤務体制について強調点の差がみられた。 課題として人材活用と職場活性化を含む諸施策を組み込んだ企業経営, 情報の公開, 情報ネットワーク基盤の強化, 職場レベルの意見尊重と参加などが重視されていくとみられた。 (図 8・表 8) (自抄)
野沢 浩. The enabling Act の本義と労働安全衛生法 (英国および日本) のシステムの立て方 (その 1) ―ローベンス・レポートの訳業協力を契機として―. 1998; 74(8): 307-312. keywords=ローベンス・レポート, 労働安全衛生法, 授権法, 安全代表, Robens Report, Health and Safety at Work Act (HASAWA), The enabling Act, A safety representative,
ローベンス・レポート (労研出版 「労働における安全と保健」) の翻訳時に, 筆者は法律学専攻者として全体的に点検調査の作業を担当したので, その責任上 the enabling Act の英国法史上における本義よび, その法システム上の位置づけを, 法学的研究手法をもとに基礎づけようとしたのが, 本稿である。 共訳者らは産業衛生学分野の専門家として, 同レポートの刊行 (審議終了は 1972 年) をみるやいち早く, 「自主対応の法律」 としてその法規運用の特徴を強調し, 旧来の法規準処型のアプローチを改め予防活動を活性化するための実践的経験的アプローチの重要さを主張してきた。 本稿は特に法学分野での英法上の固有の意義が 「受権法」 の義であり, 組合員から選出される 「安全代表」 に法定の多くの安全管理上の権限が付与されている実態を, 法規を根拠にまた法史学的知見をもとに解明しようとした小論で, 訳書を補足するものである。(自抄)
瀬尾 明彦, 近藤 雄二, 日下 幸則. 腰部負担軽減のための作業改善支援ソフト. 1998; 74(9): 337-345. keywords=腰痛, 腰部椎間板内圧, 作業再設計, 重心, 姿勢調節, Low back pain, Compressive force on lumbosacral disc, Redesign of working conditions, Gravity centre, Posture adjustment,
職場での腰部負担軽減のための作業改善に手軽に利用できる支援ソフトを開発した。このソフトでは、腰部負担を2次元の静的なバイオメカニカルモデルにより求めた腰部椎間板内圧で評価する。荷物の高さ・水平距離・重さや体の前傾やしゃがみの深さなどの作業条件を操作した場合の椎間板内圧等の変化をビジュアルに確認できるようにした。特に本ソフトでは、ある一つの作業条件を操作した場合にも重心位置が常に一定になるように姿勢を自動的に調節する機能を持たせた。これにより、より現実的な作業条件の探索を容易に行うことが可能になった。(図8)(自抄)
成清 雄一, 三宅 弘子, 塚島 英明, 塚島 英明. 衛生陶器工場の粉じん対策に関する作業者教育事例. 1998; 74(9): 346-351. keywords=粉じん対策, 職場内教育, 時間変動, ビデオ撮影, 衛生陶器工場, Dust control, On the job training, Time fluctuation, Videotaping, Sanitary ware plant
衛生陶器工場において、施釉スプレー作業に従事する作業者にデジタル粉じん計を携帯させ、粉じんの曝露濃度の時間変動測定を実施した。また、併せて作業状況をビデオ撮影し、これらの結果を元に作業方法に関し、下記指導を実施した。1)大型洗面器にスプレーする際には、作業者の正面方向から半製品を30-40゜傾けてスプレーすること。2)洋風便器のボール面をスプレーする際には、腕を伸ばし作業者の呼吸域がブースに入らないようにすること。その結果、これらの教育によって、作業者の曝露濃度が低下したため、本事業場では、今後初めてスプレー作業に従事する者に対し、曝露濃度の時間変動測定とビデオを撮影にもとづく教育指導を、定期的に実施していくことになった。(図13)(自抄)
木村 菊二. 分光濾紙塵埃計について(第2報)−たばこ煙モニター−. 1998; 74(10): 369-377. keywords=たばこの煙, たばこ煙モニター, オフィスの中のたばこの煙, たばこの煙の測定器, Tobacco smoke, Tobacco smoke nomitor, Tobacco smoke in office room, Measuring instrument of tobacco smoke,
喫煙による室内空気汚染は在室者に不快感を与え、また、健康保持という観点から好ましいものではない。このような理由により、最近、オフィスビルなどでは各種の喫煙対策機器が設置されている。これ等の装置の効果を判定するためにも適切な粉じん測定器が必要である。
分光濾紙塵埃計(たばこ煙モニター)は、浮遊粉塵をガラス繊維フィルター上に捕集して、370nmおよび620nmの2つの波長の光線によってその反射率を求め、その反射率の値の比から浮遊粉塵中に含まれるたばこの煙の含有率を求め、また、370nmの波長で求めた反射率の値から、浮遊粉塵濃度をリアルタイムに求めることができる測定器である。(図13・表1) (自抄)
吉田 有希, 佐々木 司, 三澤 哲夫, 肝付 邦憲. 12時間2連続夜勤を想定した夜間覚醒時にとる仮眠の効果 −仮眠後の覚醒水準に及ぼす影響−. 1998; 74(10): 378-390. keywords=12時間2連続夜勤, 仮眠, 覚醒水準, Two successive 12-hour night shifts, Noctural nap, Arousal levels
本研究では、12時間2連続夜勤を想定し、夜間覚醒時にとる120分の仮眠がその後の覚醒水準に及ぼす効果を調べた。被験者は8名の健康な成人男子であり、彼らは仮眠条件と休憩条件の両条件を課せられた。仮眠は02:00から04:00の120分、昼間睡眠は12:00から17:00の5時間であった。覚醒時の測定は、フリッカー値、主観的眠気、疲労感、4選択反応時間、体温であった。
結果は、実験1日目における仮眠条件の覚醒水準は、主観的眠気および疲労感に有意差が示され、休憩条件に比して維持されていた。実験2日目は、Anchor Sleep効果とSleep Inertiaによって、その効果は薄らいだものの、夜明け現象によって実験2日目の早朝における覚醒水準の維持する傾向が示された。(図7・表5) (自抄)
花岡 知之, 海老原 勇. 建設労働者のアスベスト曝露実態 −個人住宅建設現場の環境調査成績−. 1998; 74(11): 407-414. keywords=アスベスト, アスベストボード, 建設労働者, 曝露濃度, 電動丸鋸, Asbestos, Asbestos-containing wallboard, Construction workers, Asbestos concertration, Electric circular saw,
住宅建設現場におけるアスベスト曝露の実態を明らかにする目的で,作業者の個人曝露濃度の測定などを行った。その結果,外壁材の切断・張り付け作業に従事している建設労働者のアスベスト粉じんの平均曝露濃度は0.94〜1.58 f/cm3であった。また,発じん源近くの環境濃度は18.5 f/cm3と高い値であり,作業姿勢などにより,さらに高濃度の曝露も考えられた。
作業者の曝露濃度の時間的変動では,外壁材の切断,釘打ち,防じん丸鋸の集じん箱にたまった切り粉を捨てる作業などの時に,ごく短時間であるが,著しく高い濃度のピークを確認した。(表3・図8) (自抄)
野沢 浩. The enabling Act の本義と労働安全衛生法 (英国および日本) のシステムの立て方 (その 2・完) ―ローベンス・レポートの訳業協力を契機として―. 1998; 74(11): 415-421. keywords=ローベンス・レポート, 労働安全衛生法, 授権法, 安全代表, Robens Report, Health and Safety at Work Act (HASAWA), The enabling Act, A safety representative,
ローベンス・レポート ( 「労働における安全と保健」労働科学研究所出版部) の翻訳時に法律学専攻者として全体的に点検調査の作業を担当したので, その責任上 the enabling Act の英国法史上における本義と, その法システム上の位置づけを,前稿に続いて 法学的研究手法をもとに基礎づけようと試みた。 本稿では,いわゆる「授権」(または権能賦与)に当たるenablingの制定法規上の明文根拠を,制定条文をもとに具体的に検討した。安全代表などに具体的な権限分配を認める制定法規として,英国の労働安全衛生法が具体化したことを再認識できる。安全代表の日常的活動形態そのものが,「授権」の表現形態の一つと思われる。「授権」的な全法体系がすぐれて法システムに関わる法概念であることに想いを致すと共に,わが国の労働安全衛生確保のためのシステムおよびその全運用につき,さらに比較法学的検討が加えられるよう注意を喚起しておきたい。(自抄)
成清 雄一, 小山 博巳, 三宅 弘子, 塚島 英明, 名古屋 俊士. パーソナルダストモニターの実用性に関する研究. 1998; 74(12): 439-445. keywords=粉じん曝露, 測定, 時間変動, 光散乱, レーザーダイオード, Dust exposure, Measurement, Time fluctuation, Light scatter, Laser diode,
粉じん曝露の時間変動測定を目的として、光散乱方式の新型パーソナルダストモニター(PDM)を開発し、実操業の衛生陶器工場において、各種粉じん計との同時併行測定を実施した結果、下記事項が明らかとなった。1)PDMを用いると粉じん濃度の時間変動を詳細に把握できる。2)多段分粒装置付きローボリウムサンプラーを用いて測定された質量濃度とPDMの指示値との相関性は、非常に良好である。3)PDMの質量濃度変換係数は1に近く、安定している。以上の結果に加え、PDMは小型軽量で、かつデータ処理も容易であるため、PDMによる粉じん曝露濃度の時間変動測定は、発じん源の追求や作業者教育のうえで、有効であると判断した。(図9・表2) (自抄)
野沢 浩. 英国における有期契約fixed-term contractsをめぐる諸問題 −構造変化の中での雇用契約形態−. 1998; 74(12): 446-451. keywords=臨時雇用, 有期契約, 有期間契約, 雇用権法, Temporary employment, Fixed-term contract, Fixed-period contract, the Employment Rights Act (the ERA),
経済および雇用構造の激変に対応して、法システムも有機的に適宜の対応を迫られている。英国でも1997年労働力調整によれば、165万人以上の臨時雇用者(有期雇用契約・派遣・臨時労働・季節労働など)がいるとみられている。この状況に対しては、1996年「雇用権法」(全245条)が制定され、剰員整理・不公正解雇・レイオフ・破産等々の場合に対処する法的限界について、不服申立ての救済手続きも含め対処している。わが国では構造変化状態に対応する主要な特別法規は、労基法の一部改定(弾力化策)を除いては、未だ制定されていないとみてよいだろう。そこで本稿紹介にみるように、英国におけるFixed-term contractsなどの扱いに関する法規定や雇用の継続性に関する法解釈を通じて、雇用権そのもののあり方を再検討する必要性が感ぜられるだろう。 (自抄)
前原 直樹, 佐々木 司, 李 卿, 澤 貢, 守 和子, 花岡 知之, 渡辺 明彦. 夜勤タクシー運転手のVPC出現増加に果たす職務ストレスの役割. 1999; 75(1): 1-27. keywords=常夜勤, 睡眠不足, ストレス状態, 虚血性変化, 営業収入, Permanent night shift, Sleep loss, Work strain, Ischemic change, Earnings,
今日の労働負担の検討には職務の役割の解明が重要であるため、タクシー運転手の職務ストレスの役割をVPC増加例で検討した。降圧剤服用の43歳の常夜勤運転手を対象に調査した結果、連続夜勤で睡眠不足が推定される下で、営業運転がVPC出現の誘因となり、虚血性の心電図変化や、ダブルプロダクトの尿中アドレナリンの高値がVPC数の増加をもたらし、さらに勤務日の運転後半での低額の営収とVPC数やいらいら感の増加の重なりが見られた。心筋に虚血変化が推定された下で体調変化を起こし、客の獲得、特に自らの目標金額を達成する運転後半期の努力がVPC出現頻度の増加をもたらしたことが示唆された。(図9・表2) (自抄)
Masaru Murata, Akiyoshi Ito, Kikuzi Kimura, Kazutaka Kogi. Regulations on Monitoring of Exposure to Hazardous Chemicals at Work. Journal of Science of Labour 1999; 75(1): 1-16. keywords=Monitoring method, Airborne concentration, Hazardous chemicals, Working environment, Regulation
Wataru Ide, Makoto Takahashi, Kazutaka Kogi. The Use and Effectiveness of Modern Manufacturing Practices in Japan and Differences from the United Kingdom. Journal of Science of Labour 1999; 75(1): 17-29. keywords=Manufacturing practice, Innovation, Quality improvement, Cost reduction, Responsiveness to customers
野沢 浩. 英国労働党政権下雇用権(紛争処理)法改定(1998年)をめぐって(その1). 1999; 75(1): 28-32. keywords=雇用審判所, 雇用権(紛争処理)法, 法務官, 助言・あっ旋・仲裁機関, Employment tribunals, Employment Rights (Dispute Resolution) Act, Legal officers, Advisory Concilation Arbitration Services (ACAS)
英国では経済構造・雇用構造の変化に対応しつつ、次々と新法を制定することで現実的解決を図っている。1994年の雇用権紛争解決の改革リポート(いわゆるグリーン・ペーパー)に次いで、1996年の雇用権法の制定、さらに1998年に至り雇用権(紛争処理)法の制定というように、非定型労働などの普及に伴い実体法面の整備を策すかたわら、紛争処理の手続法面においても機動的な対応策を怠らない。特に1994年のグリーン・ペーパーは先の保守党政権下で作成されたものだが、その法の基本趣旨は現在の労働党政権に引き継がれ、新たに1998年雇用権(紛争処理)法として結実した。現在程民主主義的改革手法が必要とされる時代はない。頂門の一針として、その最新法情報を2回に分け報告する。(自抄)
川上 剛, トンタット・カイ, 小木 和孝. ヴェトナム、メコンデルタ農村における住民参加型労働・生活改善プログラム(WIND)の開発と実践. 1999; 75(2): 51-63. keywords=参加型トレーニング, チェックリスト, 農業, 人間工学, 発展途上国, Participatory training, Checklist, Agriculture, Ergonomics, Developing countries,
ヴェトナム南部メコンデルタ地域において、農民の労働と生活改善を進めるための参加型労働・生活改善プログラムWIND (Work Improvement in Neighbourhood Development) を開発した。WINDの開発には、 (1)地元改善事例の収集、 (2)対策指向型労働・生活改善チェックリスト作成、 (3)参加型トレーニングの開催、 (4)住民へのフォローアップ訪問、の手順をとった。その結果、生活面では台所やトイレ、住居環境の改善等が、労働面では重量物運搬、農薬・機械の安全改善等が地元住民の自主対応によって実施され、WIND方式プログラムによって地元の資源を用いた低コスト改善が実際に可能であることが確かめられた。(図4・表9) (自抄)
野沢 浩. 英国労働党政権下雇用権(紛争処理)法改定(1998年)をめぐって(その2・了). 1999; 75(2): 64-68. keywords=雇用審判所, 雇用権(紛争処理)法, 法務官, 助言・あっ旋・仲裁機関, Employment tribunals, Employment Rights (Dispute Resolution) Act, Legal officers, Advisory Concilation Arbitration Services (ACAS)
英国では経済構造・雇用構造の変化に対応しつつ、次々と新法を制定することで現実的解決を図っている。1994年の雇用権紛争解決の改革リポート(いわゆるグリーン・ペーパー)に次いで、1996年の雇用権法の制定、さらに1998年に至り雇用権(紛争処理)法の制定というように、非定型労働などの普及に伴ない実体法面の整備を策すかたわら、紛争処理の手続法面においても機動的な対応策を怠らない。特に1994年のグリーン・ペーパーは先の保守党政権下で作成されたものだが、その法の基本趣旨は現在の労働党政権に引き継がれ、新たに1998年雇用権(紛争処理)法として結実した。現在程民主々義的改革手法が必要とされる時代はない。頂門の一針として、その最新法情報を2回に分け報告し、本報をもって終了する。 (自抄)
Le Ngoc Cua, Ton That Khai, Akiyoshi Ito, Tsuyoshi Kawakami. Indoor Air Pollution in Household Kitchens in the Mekong Delta Area of Vietnam. 1999; 75(3): 1-8. keywords=Indoor air pollution, Kitchen, Biomass fuel, Ventilation, Developing countries,
Yoo-jin Seo, Kazuya Matsumoto, Young-man Park, Yong-rai Cho, Tae-jeong Noh. The Present Types of Working Hour and Shift Work System around Changwon, an Heavy Industrial Area of Korea, and Some Methods Proposed for Their Improvement. 1999; 75(3): 9-25. keywords=Night and shift systems in Korea, Shift rotation schedules, Women shift workers, Working hours, Improvement of shift work system,
海老原 勇, 藤井 正實, 川見 正機. 建設労働者の石綿による健康障害. 1999; 75(3): 87-114. keywords=建設労働者, 大工, 石綿, 胸膜肥厚斑, 悪性中皮腫, Construction workers, Carpenter, Asbestos, Pleural plaque, Malignant mesothelioma,
建設労働者の石綿による健康障害について検討した。胸膜肥厚斑の有所見率は、1987年から1997年の約10年間に0.82%から1.62%へと増加し、特に大工では2.46%と、約2.5倍もの増加が認められた。剖検による胸膜肥厚斑の出現状況は、18例中15例、83.3%と高率であり、大工が6例中4例に認められ、水道配管工、タイル工、電工、左官、塗装工についても典型的な胸膜肥厚斑を認めた。石綿肺についても、空調・保温工のみならず、鳶、大工、電工、塗装工、水道配管工など、広範な職種に認められた。
大工、左官、水道配管、タイル工などの肺癌症例について、剖検で広範な胸膜肥厚斑と、肺内に多量のamosite等を確認し、石綿関連肺癌と考えた。また、この10年間で11例の悪性中皮腫を経験した。職種は、電工4例、大工と溶接工が各2例で、石工、ブロック工、塗装工が各1例であり、多くの職種に発生を認めたが、電工に4例も認めたことは特に注目された。(写真31・表6) (自抄)
大倉 元宏, 小笠原 定男, 丹治 昭夫, 立川 裕, 山崎 清文, 岡田 伸一. カメラ移動型拡大読書器の試作とその応用. 1999; 75(4): 131-137. keywords=視覚障害者, 弱視用補助具, 読書, 拡大読書器, カメラ移動型, フットスイッチ, ジョイスティック, Visually impaired persons, Low vision aid, Reading, CCTV, Power-assisted moving camera, Foot switch, Joystick,
弱視者の読書補助具として広く使われている拡大読書器において,新しいタイプのものを試作した。本読書器の特徴は,読書材料を固定し,カメラをモータで自動的に動かすことにある。移動の指示はフットスイッチあるいはジョイスティックから行われる。また,あらかじめ位置を記憶させ,あとでその位置に移動させるティーチング・プレイバック機能が用意されているので,同じ表形式の文書を大量に読む場合などに便利である。弱視被験者による評価では,本拡大読書器は適切な表示器を組み合わせることにより,自由な読書姿勢がとれるという従来の読書器にはない利点が確認され,新たな分野への応用可能性のあることが示唆された。(図6・表1)(自抄)
野沢 浩. 紛争調整システムの文献研究 (その 6)―比較法的見地から―. 1999; 75(4): 138-147. keywords=仲裁, 助言あっ旋仲裁機関, 仲裁人, あっ旋, Arbitration, ACAS(Advisory, Conciliation and Arbitration Services), Arbitrator, Conciliation
本稿は(その5)に続き,John Lockyerの"Industrial Arbitration in Great Britain"1979という実務書の要旨紹介に関する続稿である。英国では戦時経済体制下にあって,軍需産業等の紛争処理に強制仲裁制度などが以前から作用していたが,戦後の労使紛争処理には,折衝(negotiation),あっ旋(conciliation),仲裁(arbitration)などの紛争処理手続きが,機能的・有機的に活用され,労使関係の調整に役立ってきていた。本稿は,この調整実務の第一線で活躍した実務家の実務体験をもとにした制度紹介に関して,その背景を含め考察するものである。英国での仲裁の果す役割が,歴史的考察をもとに紹介されている。(図1)(自抄)
海老原 勇, 藤井 正實, 川見 正機. 石綿セメント管製造労働者の健康障害. 1999; 75(5): 165-180. keywords=石綿セメント管, クロシドライト, 石綿肺, 肺癌, 悪性中皮腫, Asbestos cement pipe, Crocidorite, Asbestosis, Lung cancer, Malignant mesothelioma,
石綿セメント管製造企業作業者について,石綿関連疾患の発生状況を検討した。 職員名簿に記載された 88 名中 37 名が受診したが,受診者のうち胸膜肥厚斑 46%,びまん性胸膜肥厚 14%,石綿肺 70%と有所見率は高率であった。 名簿が作成された 1982 年から 1998 年までに,死亡総数 22 名のうち,石綿肺による死亡 6 名 (6.8%),肺癌による死亡 8 名 (9.1%),悪性中皮腫による死亡 3 名 (3.4%) と高率であった。 剖検肺,切除肺の肺内石綿濃度の分析で,高濃度のクロシドライトを検出した。
これらの作業者については,離職後も終生にわたり石綿関連疾患の早期発見に全力を傾けることが不可欠である。 (図 13・表 4) (自抄)
高橋 誠. 大学生の職業興味に関する研究 ―職業活動と職業群に対する興味―. 1999; 75(5): 181-192. keywords=職業興味, 職業活動, 質問紙, 因子分析, Vocational interests, Work activity, Questionnaire, Factor analysis,
職業興味がどのような職業特性の知覚に基づいてなされるのかを明らかにしようとした。 職務上の活動対象や活動タイプなど職業活動特性に対する 30 質問項目,職業群を内容記述した 50 質問項目の両者に対する興味を 4 段階評定法で求めた。 922 名のデータから,物・機械,特定の人間,不特定の人間,情報など 4 つの活動対象,さらに精神的,身体的といった 2 つの活動タイプなど 8 つの職業活動特性興味因子が抽出できた。 50 職業群について製造・建設,専門的・技術的,販売・サービスなど 10 職業群興味因子が見い出された。 重回帰分析から,職業群に対する興味は,活動対象や活動タイプなど職業特性の知覚と関連していることが示された。
(図 3・表 3) (自抄)
辻 克彦, 福原 驍. 流量比法に基づく捕捉フードの簡易設計法. 1999; 75(6): 211-217. keywords=工学的対策, 局所排気, 捕捉フード, 必要排風量, 流量比法, Engineering countermeasure, Local exhaust, Capture hoods, Required exhaust rate, Flow ratio method,
局所排気の入口開口であるフードの必要排風量は制御風速 (捕捉速度) を定め, この値に基づく方法が多く用いられている。 この方法で求められる排風量は, 汚染物の捕捉点で捕捉速度を満足する値であって, 排出しなければならない汚染空気の量などは制御風速を選定する際に考慮しなければならない。 これに対して, 流量比法では排出する汚染空気量に基づいて排風量を決定する方法であるが, 提案されている設計式は実験式そのままであるため計算が極めて複雑である。 ここでは, 複雑な実験式を線形近似することによって簡略化し, 流量比法に基づく捕捉フードの簡易設計法の提案を行った (図 11) (自抄)
野沢 浩. 代替的紛争処理 (Alternative Dispute Resolution=ADR) システムに至る道 (その 1). 1999; 75(6): 218-226. keywords=代替的紛争処理, 訴訟激発, 内部紛争解決システム, Alternative Dispute Resolution (ADR), Litigation explosion, Internal dispute resolution system,
労使紛争処理システムに関しては, 本誌上に各種の比較法学的研究論稿を継続的に紹介して来たが, 主題の代替的紛争処理 (Alternative Dispute Resolution=ADR) システムに関する継続紹介作業を以ってこの種テーマに関しては一応完結させる予定。 しかし本主題自体に関しても数回の連続稿となろう。 初回は, 1980 年代のアメリカにおける ADR システムに関する調査をもとにした定本的文献により, 同システム生成の背景事情を探ることから始める。 数種の文献を参照しつつ継続的作業となる。 (自抄)
成清 雄一, 塚島 英明, 名古屋 俊士. 粉じん曝露濃度の評価方法 ― 1. 作業場毎の評価に関する試み ―. 1999; 75(7): 247-256. keywords=粉じん, 曝露, 衛生陶器工場, 対数正規分布, 評価方法, Dust, Exposure, Sanitary ware plant, Lognormal distribution, Evaluation method,
粉じんの曝露濃度には, 日間変動と作業者間変動があるため, 測定しない日および当該測定日の測定対象者以外の作業者の曝露が, 基準値を超える危険性についても, 評価しておく必要がある。
そこで, 実操業の衛生陶器工場において実施した粉じんの曝露濃度測定結果を用いて, 日間変動と作業者間変動を含めた作業場毎の分布に関し, 正規確率紙と χ2 適合度検定による検討を行った。
その結果, この分布は対数正規型に近似できるものと考えられるため, 1988 年に松永らが提案した評価方法が, 作業場毎の評価においても有効であると判断した。
(図 1・表 7) (自抄)
野沢 浩. 代替的紛爭処理 (Alternative Dispute Resolution=ADR) システムに至る道 (その 2) . 1999; 75(7): 257-262. keywords=代替的紛争処理システム, 内部的紛争処理システム, 訴訟激発, Alternative Dispute Resolution (ADR) system, Internal dispute resolution system, Litigation explosion,
(その 2) においては, 紛爭解決の内部的な不服申立てシステムが, 1982-1987 年の間に特に中規模以上の企業において形成されるようになったことを, 調査例による分析結果をもとに紹介する。 そして裁定的メカニズムに関しては 8 例を, 非裁定メカニズムに関しては 4 例を, それぞれ法人名/所属産業/ノンユニオン・ユニオン別などを明示しながら分析する。 各種個別権利関係法規の制定 (人種・性・年齢等による差別禁止条項) に伴う訴訟激発 (Litigation Explosion) の傾向に対処する方策として, 内部的不服申立てシステムとしての ADR システムが成立したというアメリカ的経験は, わが国に比較対照した場合どう考えるべきことだろうか? (自抄)
栗田 明良. 住宅介護支援センターの活動実態と問題点 −介護保険制度導入後を視野に入れたアンケート調査結果−. 1999; 75(8): 283-305. keywords=在宅介護支援センター, 介護保険制度, ケアマネジメント, 訪問看護, In-home care support center, Long-term care insurance, Care manegement, Visiting nursing
2000 年 4 月の介護保険制度の導入に向けて在宅介護支援センターに対する関心がにわかに高まっている。 1990 年に創設以来, 原則 2 人の専従職員で 「中学校区を標準とする担当区域」 の高齢者状態を把握し, 要援護高齢者とその家族からの相談等に応じ, 関係諸機関との連絡・調整に当たる等, 「第一線の総合援助機関」 として活動してきた在宅介護支援センターもまた, 介護保険制度下においてはシルバー産業 (営利法人等) との競争にさらされ, その性格を大きく変えようとしているかに見える。 本報告は, 1998 年 10 月に実施したアンケート調査 (有効回収 370 件, 34.1%) の結果を素材に, その活動実態と直面している問題点について分析したものである。
(図 11・表 4) (自抄)
野沢 浩. 代替的紛爭処理 (Alternative Dispute Resolution=ADR) システムに至る道 (その3) . 1999; 75(8): 306-310. keywords=代替的紛争処理システム, 内部的紛争処理システム, 不平の範型, Alternative Dispute Resolution (ADR) system, Internal dispute resolution system, Categories of grievances
本回は特に紛争処理の内部的システム化の個別事例として, クリーブランド・クリニックという総合病院 (財団/ノンユニオン/7,400 人) の例をとり上げ考察する。 被用者たちの不平をとり上げ審査する内部システムとして, 4 段階の手続きを定め, 審査権委員会を通じての問題解決を制度化した。 そしてまた不平の種類をカテゴリィ化し, 契約満了・停職・細部の紀律・成果査定・給付などの各カテゴリィごとに, 約 10 年間にわたり各割合を調査した。 こうして雑多な職種の各エキスパートを包含する大病院内のコミュニケーションの充実を図る方策として, 内部的な ADR システムを整備し, 被用者たちの不平の処理に当たったアメリカ的な個別事例の紹介である。 (図 2) (自抄)
出浦 淑枝, 川上 剛, 酒井 一博, 井谷 徹. ラフテレンクレーンオペレータの生活時間調査. 1999; 75(9): 331-341. keywords=生活時間調査, クレーンオペレータ, 安全, Time budget study, Crane operator, Safety,
安全で快適なクレーン作業を行う改善基礎資料を得る為に生活時間調査を行った。調査は日常的に移動式のラフテレンクレーンを運転している神奈川県内の某建設揚重業会社に勤務するプロオペレータ16名(平均年齢37.5歳)に質問紙法で行い,睡眠・食事・作業・通勤時間を15分単位で1週間記入させた。同時に身体および精神的疲労・休暇の使い方・作業に関する意見などを求めた。
これらの調査結果により,ラフテレンクレーンに求められるのはクレーンとしての性能が優れていることは当然であるが,長い通勤時間を快適に過ごす為の走行性能や,仮眠・食事にも適した居住環境への配慮も重要であることが分かった。
(表2・図4)(自抄)
野沢 浩. 代替的紛爭処理 (Alternative Dispute Resolution=ADR) システムに至る道 (その4) . 1999; 75(9): 342-351. keywords=代替的紛争処理システム, 内部的紛争処理システム, 訴訟激発, Alternative Dispute Resolution (ADR) system, Internal dispute resolution system, Litigation explosion,
その4はA.Feliuの担当した第5章を中心に,ADRシステムがアメリカで利用されるに至った具体的契機を特に検討することにする。訴訟激発傾向の他には,裁判手続きなどが秘密維持には不適当なこと,1960-1970年代以降のノン・ユニオン労働者の増加傾向などを契機にして,マネージメント側の人事権行使の優位性が高まるのだが,伝統的にアメリカでは公正(fairness)の概念が優勢なので,この公正さの徴表としての諸概念:合理性(rationality),適法性(legality),通告(notice),上申(appeal)という判断基準を,企業内の内部的紛争解決システム運用の根拠としても利用すべきだと説く。経済構造急変による人事政策(例=リストラ解雇)にも,当然限界と手順があるべきだから,この点で参考になる点もあるのだろうか?とに角紹介の労だけはとっておこう。(自抄)
高橋 誠. 液晶ディスプレイの反射グレア低減による視覚疲労軽減効果. 1999; 75(10): 373-381. keywords=液晶ディスプレイ, スクリーン, フィルター, 視覚疲労, 調節安静位, グレイティング視力, Liquid crystal displays, Screen filter, Visual fatigue, Resting point of accommodation, Grating acuity,
液晶ディスプレイの鏡面反射を低減させることによって,視覚疲労が軽減されるか,AR コーティングやマット処理を施したフィルター装着条件とフィルターを装着しない条件の 3 条件を模擬照明環境下で比較検討した。 延べ 20 名の被験者に約 1 時間 30 分の視覚検索作業を課し,作業前・中・後および休憩 25 分後に視覚疲労を評価する指標として視覚疲労自覚症状, グレイティング視力,調節安静位の測定を行った。 その結果, 視覚疲労自覚症状からは実験的条件間に差異は見られなかったが, 反射低減によって視覚検索スピードが向上したり, 視覚疲労の軽減に有効であることがグレイティング視力や調節安静位の測定結果から示唆された。 (図 5) (自抄)
辻 龍介. 林業労働力確保支援センターの設立と展開に関する一考察. 1999; 75(10): 382-390. keywords=林業労働, 新規参入者, U, I turn, 林業労働力確保支援センター, 労働市場, Forestry labour, New forestry workers, U, I turn, the Forestry Workers Securing Support Centre, Labour market,
林業労働力確保の緊急性が叫ばれるようになって久しいが, 近年になって都市部からの U,I ターン者が林業に就業するという新しい傾向も生まれてきている。 平成 8 年に制定された林業労働力確保法では, 各都道府県において 1 つのみ指定される林業労働力確保支援センターを通じ, 前述のトレンドを踏まえた形で林業労働力確保の為の支援策を就業希望者, 林業事業体双方に行っている。 ただ支援センターの活動は画一的なものではなく, 各地域の労働市場に即した形で行われその取り組みも千差万別である。 本稿では, 支援センターの取り組みの中でも新規参入の円滑化に資する支援策に絞って考察した。 (図 2・表 1)
(自抄)
西原 照代, 阪本 美恵子, 大下 市子, 高木 達也. 歩数と睡眠時間よりエネルギー消費量と生活活動指数を概算する簡易式作成の試み. 1999; 75(11): 409-420. keywords=歩数, 1日のエネルギー消費量, 生活活動指数, 生活時間調査, 簡易式, The number of steps taken, Daily energy expenditure, Daily activity factor, Detailed activity diary, Simple equation,
1086 例の生活時間調査を解析することにより, 1 日の歩数と睡眠時間を用いてエネルギー消費量 (EE) と生活活動指数 (χ) を概算する簡易式の作成を試みた。 その結果, 「立つ」 時間が 4 時間未満と 4 時間以上の生活パターンで係数が異なる 2 種類の簡易式を得た。 「立つ」 時間が 4 時間未満の EE については次のようである。
EE (kcal)=Bm{1.9×[歩数/a+入浴 (分)]−0.7×睡眠 (分)+2304}
Bm:BMR/min a:男性=82 女性=66
これらの式の妥当性を別途調査した 226 例のデータを用いて詳細に検討したところ, x が 0.7 以下の軽い〜中等度の活動レベルで有効であることが実証された。 (図 3・表 3) (自抄)
石井 まこと. 若年労働者の雇用管理と労働条件・就労意識(2). 1999; 75(11): 421-437. keywords=労働市場動向, 企業定着, 昇進, 転職, 労働組合, Trend of labour market, Employment stability, Promotion, Job-change, Labour union,
本論文は前報 (労働科学, 74 (3), 95〜108, (1998)) の続編で, 1996 年に長野県で行った 「若年労働者就労実態調査」 個人調査を紹介し, 1991 年調査との比較によって若年労働者の労働条件の評価・就労意織の変容等を考察したものである。 その結果, 就労意織の変容として (1) 会社貢献意識が高まっていること, (2) 転職志向の理由として会社や仕事内容に対する不満が増加していること, (3) 仕事中心志向は増加している一方でその内容は限定的であること, (4) 昇進志向の低下, 以上が明らかになり, 全体として企業定着志向の高まりがみられた。 また, これらは労働市場動向および雇用管理の展開と密接な関係をもっている。 (図 6・表 10) (自抄)
永田 久雄, 李 善永. 特別養護老人ホームでの介護労働の実態調査と今後の高齢介護労働の検討. 1999; 75(12): 459-469. keywords=介護労働, 高齢介護労働者, 特別養護老人ホーム, Care work, Elderly care worker, Nursing homes,
21世紀においては若年労働力不足から介護者の高齢化は避けて通れないものとなる。一方,介護労働に関する既往研究を見ると介護負担に焦点をあてた研究は多数なされているが,高齢者による施設介護について論じた研究はほとんど見あたらない。本研究は,こういった状況を背景として,特別養護老人ホームを対象に,現在の施設内の介護労働の実態の把握と,60歳以上の高齢者による介護労働について検討した。調査方法は,無作為に抽出した全国の2000ヶ所の特別養護老人ホームにアンケート用紙を配布し,各施設の介護に熟練した寮母(寮父)1名を対象にした。969ヶ所から969票(回収率48.5%)の回答を得て調査と今後の高齢者による施設介護に関する検討を行った。(図11・表8) (自抄)
野沢 浩. 代替的紛爭処理 (Alternative Dispute Resolution=ADR) システムに至る道 (その5) . 1999; 75(12): 470-478. keywords=代替的紛争処理システム, 仲裁, 斡旋, 調停, Alternative Dispute Resolution (ADR) system, Arbitration, Conciliation, Mediation,
本稿は,アメリカ政府刊行物センター(BNA・INC.)1985年刊の "RESOLVING DISPUTES WITHOUT LITIGATION"という,アメリカでのADRシステム展開の歴史や,訴訟に代わる各種調整システムの機能に関する概説パンフレット(全205頁)の要旨紹介。そのうちの I 序説からIII代替システムまでの,各種基本システム(仲裁・調停・事実認定・拘束的調停・斡旋・小審判・借用判事)の要約説明部分を紹介したのが本稿である。アメリカの仲裁制度は戦時労働局の仲裁に先立つものだ。だが,これに育成されながら強制的仲裁や自発的仲裁などが成立し,病院内の不当治療の訴えに対する評議委員会勧告の役割とか,コミュニティの各種紛争処理ネットワークとか, American Arbitration Association (AAA)による中立的事実認定者名簿の用意などが語られる。(自抄)
酒井 一博. 編集委員長就任にあたって. 2000; 76(1): 1-2.
平田 衛, 熊谷 信二, 田渕 武夫, 田井中 秀嗣, 安藤 剛, 織田 肇. 50人未満小規模事業所における労働衛生管理. 2000; 76(1): 3-19. keywords=50人未満小規模事業所, 健康管理, 作業管理, 作業環境管理, 質問紙調査, Small-scale enterprises with less than 50 wokers, Health control, Work control, Work environmental control, Questionnaire survey,
大阪市に隣接する市の一部地域における 50 人未満の常雇用者を有する全事業所を対象として, 業種などの属性, 労働衛生管理体制, 健康管理, 作業環境管理, 作業管理及び労働衛生教育・健康教育などの実態を, 質問紙を用いて調査した。 回収率は 78.0%, 有効回答率は 68.5%, 281 件であった。 労働衛生管理体制は脆弱であり, 健康診断を含む健康管理の実施状況も不十分であることが明らかになった。 作業管理ならびに作業環境測定を含む作業環境管理は半数前後で行われていた。 これらの結果から, 啓発・情報提供, 関係機関のネットワークなどが必要と考えられた。 (図 9・表 14) (自抄)
野沢 浩. 代替的紛爭処理 (Alternative Dispute Resolution=ADR) システムに至る道 (その6・了) . 2000; 76(1): 20-27. keywords=代替的紛争処理システム, 小審判, 公共資源センター, アメリカ仲裁協会, Alternative Dispute Resolution (ADR) system, Mini trial, The Center for Public Resources (CPR), American Arbitration Association (AAA),
本稿は続稿の最終稿として執筆された。 アットランダムに, 紹介対象テキストの中の V 商業上の紛争, VI 工業上の紛争, VII 経済的関心の各章から事柄を拾い上げ, 以下 X 結語に至るまでの要点につき紹介作業を終えた。
注目すべき点として, 企業間訴訟の 90%以上が裁判所外で解決されているという指摘である (The Center for Public Resources の President, James F. Henry の言)。 紛争解決にあまり時間と費用をかけずに, 双方当事者に中立的第三者を交えてなされる AAA による ADR システムの運用には, 各種の方式がとられていることは前稿で紹介した。 本稿では, 商業・工業その他国内国際の経済紛争全体にわたり, 自主的な ADR システムが有効に機能している実情が伝えられる。 (図 1・表 1) (自抄)
Kazutaka Kogi, Ryutaro Hashimoto, Michel Hansenne. International Symposium on Common Strategies for Human-centred Work: Introduction of the special issue. Journal of Science of Labour 2000; 76(2): 1-5.
Dy-Hammer F.J.. Basic protection, quality jobs and competitiveness, the challenges for tomorrow's enterprises. Journal of Science of Labour 2000; 76(2): 6-14.
Clegg Chris. Humanizing information technology. Journal of Science of Labour 2000; 76(2): 15-20.
Kogi Kazutaka. Joint change in working schedules and job content : Trends towards greater flexibility. Journal of Science of Labour 2000; 76(2): 21-28.
Rantanen Jorma. Work in the information society : Opportunities and problems. Journal of Science of Labour 2000; 76(2): 29-35.
Kumashiro Masaharu. A strategy for achieving productive aging under humanized work conditions. Journal of Science of Labour 2000; 76(2): 36-40.
大倉 元宏, 近藤 功, 石川 充秀. 視覚情報制限下での電車の動静判断. 2000; 76(2): 47-55. keywords=視覚障害者, 鉄道利用, 電車乗車訓練, 電車の動静判断, 安全, Visually impaired persons, Access to a mass transit railway system, Orientation and mobility training in boarding a train, Judgment on motions of an arriving train, Safety
視覚障害者の安全な電車乗車に資する目的で,視覚情報を制限した条件下で入線してくる電車の動静 (通過,停止,ドアが開く) がどのくらい正確にわかるかを調べる実験を地上および地下に位置する構造の異なる 3 つのプラットホームにおいて行った。 その後,動静判断の手がかりとなる騒音レベルや風速などの物理的環境条件の測定を実施した。
電車の動静判断の正確さは地上より地下プラットホームのほうが低かった。 騒音レベルや風速はプラットホームの構造により異なる様相を示した。 これらの違いが動静判断に影響をもたらしたものと解された。 (図 4・表 2) (自抄)
細田 裕, 笹川 澄子, 鏡森 定信, 日下 幸則, 中川 秀昭, 志田 寿夫. シリカおよび石炭粉じんのヒトに対するがん原性リスク−IARCモノグラフ第68巻による疫学的国際評価− 第1部 原著序文の要約および報告の要約と評価. 2000; 76(2): 56-81. keywords=シリカ, 石炭粉じん, がん原性リスク, 肺がん, 疫学, Silica, Coal dust, Carcinogenic risks, Lung cancer, Epidemiology,
IARC (国際がん研究機関) モノグラフ第 68 巻 「シリカ,数種ケイ酸塩,石炭粉じん,およびパラ−アラミド小繊維」 (1997 年) は,「結晶質シリカの石英とクリストバライトが職業曝露により吸入された場合,ヒトに対してがん原性 carcinogenic であり (第 1 群),非晶質シリカはヒトに対するがん原として分類できない (第 3 群)。 石炭粉じんもヒトに対するがん原として分類できない (第 3 群)」 と評価した。 石炭粉じんは相当量のシリカを含有するので,シリカと石炭粉じんの両モノグラフを併読する必要がある。 この和文抄録には序文,シリカと石炭粉じんの疫学データ (原著の 2 章と 5 章の要約と表) を収録し,肺がんに焦点をあてて再配列した。 原著に記載に不明の点があれば,引用文献を再読して補った。 (翻訳の許可は IARC から細田に与えられている)。 (表 6) (自抄)
Hirono Ishikawa, Yoshihiko Yamazaki. The effects of job and family conditions on cumulative fatigue of working mothers in double income family. Journal of Science of Labour2000; 76(3): 1-15. keywords=Cumulative fatigue, Double-income family, Job related stress, Family life stress,
The purpose of this study is to investigate the factors in the workplace and in the home which may have effects on cumulative fatigue, and to examine the moderating effect of the quality of family life on the relationship between job related stress and cumulative fatigue. The subject is the sample of working mothers with young children in double income family. Two hypotheses were examined in this study. First, higher level of job related stress and family related stress are both associated with a greater extent of cumulative fatigue. Second, even if job related stress is high quality of family life moderates the increase of cumulative fatigue. Both of our hypotheses were mostly supported in this sample. Higher scores of negative support, lower feeling of reward at workplace, work addiction, and higher family life stress were directly related to greater cumulative fatigue, although overtime working hours, husbandユs sharing of housework and childcare, and wifeユs sex-role orientation showed only indirect association with cumulative fatigue. Also, lower level of family life stress moderated the increase of cumulative fatigue associated with higher scores of negative support and lower feeling of reward at workplace.
Kazutaka Kogi. The second special issue on common strategies for human-centred work. Journal of Science of Labour 2000; 76(3): 16-16.
Wai-On Phoon. Strategies for improving health, safety and welfare at work through international cooperation. Journal of Science of Labour 2000; 76(3): 17-24.
Andrew S. Imada. Participatory ergonomics: A strategy for creating human-centred work. Journal of Science of Labour 2000; 76(3): 25-31.
Carmela I. Torres, Reydeluz D. Conferido. Effective support for participatory work improvement programmes in small and medium sized enterprises. Journal of Science of Labour 2000; 76(3): 32-40.
Alexander Wedderburn. Initiatives on working hours that have the potential to improve the home-work interface. Journal of Science of Labour 2000; 76(3): 41-46.
Hiromasa Suzuki. Development of atypical forms of employment and labour market regulations in industrialized countries. Journal of Science of Labour 2000; 76(3): 47-52.
成清 雄一, 塚島 英明, 名古屋 俊士. 粉じん曝露濃度の評価方法 −2. 管理図を用いた安定性の評価−. 2000; 76(3): 101-109. keywords=粉じん曝露, 衛生陶器工場, 管理図, 安定性, 評価方法, Dust exposure, Sanitary ware plant, Control chart, Stability, Evaluation,
実操業の衛生陶器工場において,1994 年に実施された粉じんの曝露濃度測定結果について,■x■-R 管理図を用いて作業場毎に安定性の評価を行った結果,これらの作業場では曝露濃度が安定な状態にあることを確認した。 また,■x■-R 管理図は,基準値を超える前の段階で曝露濃度の異常が把握できることから,作業場の日常管理のうえで有効な手段になると考察した。
さらに,曝露濃度に関する工程能力指数を算出したところ,いずれの作業場においてもクラス 「S」 または 「A」 に判定されたため,これらの作業場では許容濃度を超える曝露が発生する可能性はほとんどなく,かつ今後の測定回数を削減することも可能であると判断した。 (図 6・表 6) (自抄)
細田 裕, 笹川 澄子, 鏡森 定信, 日下 幸則, 中川 秀昭, 志田 寿夫. シリカおよび石炭粉じんのヒトに対するがん原性リスク ―IARC モノグラフ第 68 巻による疫学的国際評価― 第 2 部 疫学報告の抄録と参考文献. 2000; 76(3): 110-136. keywords=シリカ, 石炭粉じん, がん原性リスク, 肺がん, 疫学, Silica, Coal dust, Carcinogenic risks, Lung cancer, Epidemiology,
IARC (国際がん研究機関) モノグラフ第 68 巻 「シリカ,数種ケイ酸塩,石炭粉じん,およびパラ-アラミド小繊維」 (1997 年) は,「結晶質シリカの石英とクリストバライトが職業曝露により吸入された場合,ヒトに対してがん原生 carcinogenic であり (第 1 群),非晶質シリカはヒトに対するがん原として分類できない (第 3 群)。 石炭粉じんもヒトに対するがん原として分類できない (第 3 群)」 と評価した。 石炭粉じんは相当量のシリカを含有するので,シリカと石炭粉じんの両モノグラフを併読する必要がある。 この和文抄録には序文,シリカと石炭粉じんの疫学データ (原著の 2 章と 5 章の要約と表) を収録し,肺がんに焦点をあてて再配列した。 原著に記載に不明の点があれば,引用文献を再読して補った。 (翻訳の許可は IARC から細田に与えられている)。
(自抄)
瀬尾 明彦, 近藤 雄二, 車谷 典男, 平井 一芳, 荒地 秀明, 伊藤 道郎, 上田 照子, 日下 幸則, 徳永 力雄. 作業と健康の状態が体力に与える影響を考慮した健康づくり支援システムの開発. 2000; 76(4): 155-164. keywords=健康づくり, 作業負担, 作業改善, 体力, 支援ソフト, Health promotion, Workload, Improvement of working conditions, Physical fitness, Supporting software,
作業と健康の状態を配慮した職場での健康づくり推進支援システムを開発した。 本システムでは, さまざまな作業要因や健康要因によってどの程度体力が増強あるいは障害されるかを判定する重み付け係数を作成する。 この係数を用い, ある作業要因での体力の低下度あるいはその問題が改善された場合の体力改善度を提示し, かつ, どの要因を改善すべきかの順位付けおよびその改善例も提示するようにした。 本システムにより, 従来健康管理面に限定されがちだった健康づくりを作業管理面や環境管理面も含めて推進する手がかりをえることができると思われる。 (図 3・表 3) (自抄)
野沢 浩. 労働の個別関係権利保護の法体系拡充のために(その1) −紛争処理制度のあり方をめぐる論議をみて−. 2000; 76(4): 165-169. keywords=労働審判所, 雇用権法, 雇用審判所, 労働委員会, Industrial Tribunal, Employment Rights Act, Employment Tribunal, Labour Relations Commission
ローベンス・レポートの公表が 1972 年, 雇用上訴審判所の創設が 1975 年で, これは労働審判所 (1964 年創設) の上訴審である。 伝統的なコモン・ローに基づく司法制度の周辺領域に, 労働関係に対しては 1980 年代以降次々と特別法が制定されるようになった。 1984 年労働組合法/1988 年雇用法/1993 年労働組合改革および雇用法等々。 それらは経済構造や労働市場の激変現象に対応するためのもので, 最近も 1998 年雇用審判所の創設により, 労働審判所の旧機能が拡充されたことが注目される。 それに比べ, わが国の労働紛争処理システムが団結維持の法制度に直結して 50 年以上も前に創設されたにも拘らず, それ以降の構造変化等に随伴して多発する個別関係的紛争の処理のためには, あまり実効をあげえていないことは問題視されるべきである。 (自抄)
前原 直樹, 坂野 純子. 国際レベルをめざした男女共通の深夜労働の法規制の現状と今後の課題. 2000; 76(5): 191-204. keywords=夜間労働, 健康, 社会生活影響, 男女共通の労働条件, 国際レベル, 法規制, Night work, Health and social life effects, Working conditions without discrimination by sex, International levels, Regulatory measures,
1999 年 4 月から女性の深夜労働の原則禁止規定が廃止され, わが国でも男女共通規制の新たな一歩が始まった。 危惧される女性の 「不利益」 への現実的な対応や法的な配慮はなされたが, 残された課題も多い。 本論説では深夜労働のEU諸国の現状と健康・社会生活上の影響についての研究の到達点及びわが国の女性の深夜労働の健康・生活影響の事例検討を通して, 事業主の取るべき施策と女性労働者自身の働き方や職場での対処の仕方, さらに労働条件などの水準を国際レベルまで引き上げることの必要性と職場での男女共通の取り組みのあり方を提言した。 (表 2) (自抄)
野沢 浩. 労働の個別関係権利保護の法体系拡充のために(その2) −紛争処理制度のあり方をめぐる論議をみて−. 2000; 76(5): 205-211. keywords=労働審判所, 雇用審判所, 助言・あっ旋, 仲裁サービス, Industrial Tribunal, Employment Tribunal, Advisory Conciliation Arbitration Service (ACAS)
英国では労使紛争事件を処理するために, 労働審判所を設けたのが, 1964 年である。 その後 1996 年には, Employment Tribunal Act によって審判所を改正し雇用審判所とした。 こうした審判機構とは別に, 英国では 1975 年雇用保護法により設立した調整機構として, 助言・あっ旋・仲裁サービス (ACAS) があり, これは上掲審判機構と異なり, 紛争の調整業務を独自に遂行している。 この調整業務は集団関係事件のほか, 解雇・紀律や人員整理などの個別関係的事件の紛争についても行なわれている。 雇用審判所も ACAS も, 共に三者構成の機関として別々に組織され, 積極的に紛争処理機能を分担している。 わが国の労働委員会が, 不当労働行為等団結権侵害事件を主対象とし, しかも審判と調整の両業務を内部で統合しているのと対比される。 (自抄)
鷲谷 徹. 学校教員の労働と生活(第1報) −生活時間調査結果から−. 2000; 76(6): 233-260. keywords=生活時間, 労働時間, 学校教員, 休日出勤, 性別格差, Time use, Working time, Teacher, Holiday work, Gender gap,
山梨県の普通高校,職業高校,障害児学級の男女教員の生活時間調査の結果によれば,平日の勤務日の場合,男性は授業や通勤等の収入生活に11時間4分,睡眠等の生理的生活に9時間46分,教養・娯楽・余暇活動等の社会的文化的生活に2時間24分,家事・育児に39分費やしている。女性は男性に比べ,生理的生活時間と社会的文化的生活時間が約1時間短く,家事・育児時間は2時間近く長い。勤務のない土曜日・日曜日には収入生活以外の各生活時間が平日と比べ大幅に増加し,特に,男性では社会的文化的生活,女性では家事・育児が著増する。しかし,土・日の出勤者が多く,彼らは休日に補われるべき,生活時間を十分に享受することができない。 (図 17・表 15) (自抄)
桜井 寛, 金原 清之, 福原 驍, 辻 克彦. プッシュプル型局所換気装置の簡易設計法. 2000; 76(6): 261-268. keywords=作業環境, プッシュプル流れ, プッシュプル型局所換気装置, 流量比法, 必要排風量, Working environment, Push-pull flow, Push-pull type local ventilation system, Flow ratio method, Required exhaust volume rate,
吹出し気流と吸込み気流を組み合わせたプッシュプル型換気装置が労働省によってその一部が法令で認められた。ここではプッシュプル型局所換気装置をとり上げ,その簡易設計法について検討した。これはプッシュプル流れの外側に発散源があり,発散源から発生する汚染物が吹出し 気流に巻き込まれて吸込み口まで運ばれるものである。その設計式として流量比法による実験式が提案されているが,計算が複雑であること,安全係数のとり方が不明瞭であることのため設計式を見直して必要排風量を算出する簡易式を導き,実施例と比較することにより妥当性を示した。(図7・表12)(自抄)
鷲谷 徹. 学校教員の労働と生活 (第 2 報) ―生活時間調査結果から―. 2000; 76(7): 289-310. keywords=生活時間, 労働時間, 学校教員, 休日出勤, 性別格差, Time use, Working time, Teacher, Holiday work, Gender gap,
山梨県の普通高校, 職業高校, 障害児学校の教員の生活時間調査の結果によれば, 1 週間のうち収入生活に約 60 時間, 生理的生活に約 70 時間, 家事・育児に約 14 時間, 社会的文化的生活に約 22 時間費やしている。 しかし, 男女間で大きな差があり, 家事・育児時間は女性が男性を約 17 時間上回っているが, その他の生活時間はいずれも男性の方が長い。 これらの特徴は個々人の多様な生活行動の集合結果であり, とりわけ平日の授業終了後の生活行動, 土曜日, 日曜日の生活行動はまことに多様である。 また, 収入生活が行われる場に着目すると, 学校外で 1 週間に 5 時間以上 「授業の準備・事後処理」 等の学校関連業務を行っていることが明らかとなった。
(図 20・表 5) (自抄)
野沢 浩. 労働の個別関係権利保護の法体系拡充のために (その 3・了) ―紛争処理制度のあり方をめぐる論議をみて―. 2000; 76(7): 311-318. keywords=雇用権利法, 公正さ, 剰員解雇, 紛争処理, Employment Right Act, Fairness, Redundancy, Disputes resolution,
英国では保守党政権時代から既に, 1993 年労働組合改革および雇用権法 (TURERA) により‘法定上の権利主張をしたことの故の解雇’に対する保護を定めていた。 その後労働党政権下で 1996 年雇用権利法 (ERA) を定めることにより, 経済変動下で生ずる剰員解雇 (Redundancy) などに対しても, 公正基準を示すなどして, 法網の中に把える措置を図っている。 公正・不公正基準の他にも客観的な属性についての定義も示している。
本稿では, ERA 第 98 条・第 139 条・第 104 条・第 105 条なども訳出した上で, 比較研究上の視点を一応提供してみたが, わが国での所謂リストラ解雇現象に対する対応のあり方と比較しつつ, 今後の制度研究の一助になればと考えている。 (自抄)
鷲谷 徹. 学校教員の労働と生活(第3報) ―生活時間調査結果から―. 2000; 76(8): 339-354. keywords=生活時間, 労働時間, 学校教員, 休日出勤, 性別格差, Time use, Working time, Teacher, Holiday work, Gender gap,
山梨県の普通高校, 職業高校, 障害児学校の男女教員の生活時間調査の結果から, 収入生活時間の 「延長」 に対して, 「教養・娯楽・余暇活動」 等の社会的文化的生活時間の 「減少」 によって時間調整が行われていることが明らかになった。 とくに, 女性教員の場合には, 労働と家事の 「二重負担」 によってより厳しい生活時間 「調整」 を余儀なくされている。 多くの教員が強い業務負担とその改善の必要性を感じている。 心身の健康状態に関するアンケート調査の結果によれば, 一般労働者に比して疲労は深く, 健康状態もマイナス方向にシフトしている。 教員のゆとりある生活時間構造を実現するためには, 生徒数に比しての教員数の増加が必要と考えられる。
(図 9・表 8) (自抄)
村田 克, 伊藤 昭好. 室内空気質の指標としての浮遊真菌濃度の測定に関する研究 (第1報) ―ろ過法と衝突法との比較―. 2000; 76(8): 355-360. keywords=室内空気質, バイオエアロゾル, 真菌, ろ過法, アンダーセンサンプラー, Indoor air quality, Bioaerosols, Fungi, Filtration, Andersen sampler,
真菌を測定対象にした室内空気質の測定法として, ろ過法のサンプラーである空中菌サンプラーセット ABB-1 型を用い, アンダーセンバーバルサンプラー AV-100 型との比較を行った結果, ABB-1 による真菌数濃度はアンダーセンサンプラーによる値の 41%〜83%を示したが, 2 つの測定値の間は良い相関関係にあった。 真菌に対してはフィルター上での菌の乾燥がコロニーの計数値に与える影響は少ないと考えられたが, 培地の違いが両器による測定値の関係に影響を与えたことが示唆された。 (図1・表3) (自抄)
熊谷 信二, 車谷 典男, 瀬尾 明彦. 事務労働者の上体傾斜角および頭部傾斜角. 2000; 76(9): 381-389. keywords=事務労働者, 上体傾斜角, 頭部傾斜角, 作業姿勢, 傾斜角モニター, Clerical worker, Trunk inclination angle, Head inclination angle, Working posture, Inclination monitor,
事務労働者 21 名について, 上体傾斜角 (TIA) および頭部傾斜角 (HIA) を連続的に測定した。 TIA の平均値は, 座作業および立ち作業でそれぞれ 8 度および 14 度であった。 TIA が 20 度以上の累積時間は, 座作業および立ち作業で, 作業時間のそれぞれ 8.6%および 35.8%であった。 したがって, 上体の前傾による腰への負荷は座作業よりも立ち作業の方が大きいと考えられた。 HIA の平均値は, 座作業および立ち作業でそれぞれ 29 度および 34 度であった。 HIA が 20 度以上の累積時間は, 座作業および立ち作業で, 作業時間のそれぞれ 71.4%および 74.6%であった。 このような頭部の前傾姿勢は首の筋疲労を招く可能性がある。 (表 8) (自抄)
辻 龍介, 小池 正雄. 林業労働力確保支援センターの展開状況と当面する諸問題. 2000; 76(9): 390-397. keywords=林業労働力確保支援センター, 支援事業, 林業事業体, 新規参入者, 助成強化, The forestry Workers Securing Support Centre, Support Project, Forestry Enterprises, New forestry workers, Subsidy Reinforcement,
1996 年に林業労働力確保法が制定され, 各都道府県には林業労働力確保支援センターが設置された。 支援センターが実施すべき支援施策としては 「委託募集」 「林業就業促進資金貸し付け」 「高性能林業機械リース・レンタル」 「研修」 「情報提供」 などが挙げられる。 しかし現段階では, 地域偏向が顕著な事業もある事などから, その全てを実施している支援センターは少数に止まっている。 また, 支援される側である林業事業体に負担がかかる支援施策の枠組みから, 事業体の選別化が進む可能性も有している。 現状を改善するためには, 各事業に対する助成金の強化に加え, 支援センター自体を育成していく必要がある。 (表 1) (自抄)
酒井 一博. 交代勤務編成の現状と改善. 2000; 76(10): 417-440. keywords=交代勤務編成, 連操型交代制, 週番型交代制, 多組交代制, 弾力的な交代勤務制, 夜勤頻度の低減, 女性の夜間就労, Shiftwork systems, Continuous shift systems, Weekly rotated shift systems, Poly-team shift systems, Flexible shift systems, Reduction of night work, Adoption of night work for women,
(1) 国内交代勤務編成の到達点の記述,(2) 前回1990 年調査結果との比較,(3) 女性の夜勤就労についての意向調査,(4) 有効な就労環境の整備方策などの調査を目的として質問紙調査を実施した。
年間労働時間は,1990 年調査と比べ 100 時間強の短縮が認められ,年間休日数は常日勤 118 日,交代勤 115 日であった。 交代勤務編成は週番型が 49%,連操型が 42%,その他 5 %であった。 週番型定時交代制は連続型と昼夜型に 2 分割されていた。 連操型交代制では,9 組,5 組などの多組編成が認められ,交代勤務と日勤とを交互就労する日勤別置タイプの交代制も見られた。 女性の深夜就労については製造業の場合,全体の 16%が将来の就労を予測した。
(図 14・表 11) (自抄)
北島 洋樹, 鈴木 一弥, 大西 明宏, 飯田 裕康. 高速道路夜間長距離走行におけるトラック運転者の眠気 (1) −夜行状況と眠気予測精度の関係−. 2000; 76(10): 441-446. keywords=高速道路走行実験, 走行状況分析, 眠気予測, Experimental driving on expressway, Analysis of driving situation, Sleepiness prdiction,
シミュレータ実験に基づき提案された,運転中の眠気予測手法を実走行に適用するために,高速道路走行 1 例を取り上げ,道路状況・交通状況・自然状況を分析した。 これらの状況差に基づきデータ区間を細分化し,眠気基準である眠気表情値と瞬目持続時間・心拍などの予測指標候補との相互相関分析を行った。 走行全区間を一括した分析に比べ相関係数が向上し,実走行において眠気予測式が有効である状況があることが確認された。 それは,交通量の少ない単調な状況であり,シミュレータ実験と類似する状況であった。 これは居眠りが発生しやすい状況であり,この状況の特定方法を更に検討し,眠気予測を向上させることは安全上意義があると考えられた。
(図 1・表 2) (自抄)
久保 智英, 佐々木 司. 夜間覚醒前および夜間覚醒中にとる仮眠が早朝時刻帯の眠気と疲労に及ぼす影響. 2000; 76(11): 473-486. keywords=予防的仮眠, 維持的仮眠, 夜勤対策, 眠気と疲労, 早朝時刻帯, Prophylactic nap, Maintenance nap, Nightshift countermeasure, Sleepiness and fatigue, Early morning hours,
夜勤第一日目を模擬して, 夜間覚醒前または覚醒中にとる約 2 時間の仮眠が, 早朝時刻帯の眠気と疲労に及ぼす影響を検討した。 両仮眠の睡眠構造は, レム睡眠では従来の知見に等しかったが, 夜間覚醒前仮眠では徐波睡眠が従来の知見より多く出現していた。 そのため図示的には夜間覚醒中仮眠の効果が伺われたものの, 統計的有意差には至らなかった。 このことから夜間覚醒前仮眠で良質な睡眠を得ることができれば, 早朝時刻帯の眠気や疲労が抑制されることが示唆された。 しかし本実験で示された夜間覚醒前仮眠の良質な睡眠構造は, 現実の労働場面では得にくいと考えられることから, 夜間覚醒中仮眠が実際の夜勤対策としては適していると結論づけた。 (図 9・表 2) (自抄)
海老原 勇. 心膜炎, 胸膜炎を繰り返しながら間質性肺炎を発症した珪肺症の一例. 2000; 76(11): 487-496. keywords=珪肺症, アジュバント病, 心膜炎, 胸膜炎, 自己免疫疾患, 間質性肺炎, Silicosis, Adjuvant disease, Pericarditis, Pleuritis, Autoimmune disease, Interstitial pneumonitis,
高熱と心膜炎, 胸膜炎を繰り返しながら急激に間質性肺炎を発症し呼吸不全で死亡した珪肺症の例を経験した。
症例は, 80 歳, 男性, 15 歳から石工として墓石製造に従事し, 高濃度の遊離珪酸じんの暴露を受け高度の珪肺 (2/2 4B) に罹患した。 しかし, 特に自覚症状もなく経過していたところ, 発熱と不整脈, 呼吸困難で受診し心膜炎, 胸膜炎の発症を確認した。 一般細菌, 抗酸菌, ウイルス感染は否定され, 発熱, 赤沈亢進, α2-Globulin の著明な増加および, 軽度の貧血, リンパ球減少, 軽度の肝機能障害, 汎漿膜炎から, 非定型的な膠原病症候群であるアジュバント病と診断され, Predonisolone 投与を開始した。 しかし, 高熱は持続し, 加えて間質性肺炎が急速に発症, 進行し永眠された。 発症から 8 カ月の経過であった。
本例は, 粉じん暴露が珪肺症のみならず自己免疫疾患や間質性肺炎の病因となることを強く示唆する貴重な症例であった。 (図 7・表 2)
細田 聡, 井上 枝一郎. 緊急事態での人間行動の特徴に関する一考察. 2000; 76(12): 519-538. keywords=緊急事態, 状況要因, 適応行動, 情動, 情報処理, Emergency, Situational factor, Adaptive behaviour, Emotion, Information processing,
緊急事態に遭遇した場合, 人間は通常の行動モードと連続性を持つか否かについて既往知見をレビューした。 その結果, 多くの緊急事態における人間行動は適応行動の発現として説明できること, 状況要因に大きく依存すること, 個人の知識構造や情動システムが深く関与していることが明らかとなった。
以上のレビューを通して, 我々は緊急事態を, 時間切迫性および事象の重大性の認知要因に加えて, 情動変化が契機となり当事者として対処が必要と認識する状況である, と定義した。 そして, その際の情報処理は通常の延長上にあるとの結論を得た。 最後に, 緊急事態における人間行動研究の方法論として, 事故調査の領域をより一層クローズアップするべきだと提言した。 (表 2) (自抄)
佐々木 司, 武藤 敬子, 酒井 一博. 2連続夜間覚醒時の睡眠構造における年齢差. 2000; 76(12): 539-543. keywords=夜勤交代勤務, 睡眠構造, 年齢差, 対策, 実験室実験, Night and Shiftwork, Sleep structure, Age differences, Countermeasure, Experimental study,
某電力会社の発電所における夜勤交代シフトを模擬した環境下で, 中高年者 (平均 45.3 歳) と若年者 (平均 19.3 歳) が 2 連続夜間覚醒時にとる睡眠の回復傾向を実験的に検討した。 中高年者の睡眠の質は, 全ての睡眠において若年者より劣っていたが, 徐波睡眠の変化パターンは全睡眠期間を通して年齢差が認められなかった。 一方レム睡眠の変化パターンは, 若年者では睡眠機会にしたがって増加傾向を示したが, 中高年者では昼間睡眠より夜間睡眠時に多く出現した。 また覚醒時間においても中高年者では夜間睡眠時に著しく減少した。 これらの結果から, 中高年者は若年者と異なり, 昼間睡眠時の睡眠調整力が夜間睡眠よりきわめて弱いと結論づけた。 (図 4) (自抄)
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