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(著者. タイトル. 発行年; 巻(号): 開始頁-終了頁.)
狩野 広之. ストレスとヒューマンエラーについて ― ある論考. 1985; 61(1): 1-13. keywords=ストレス, ヒューマンエラー, 疲労.
大橋 一雄. 農業労働研究として行った基礎資料について その1. 労働力基本調査. 1985; 61(1): 15-33. keywords=農業労働, 労働力, 農家.
松井 和子. 外傷性脊髄損傷者の職業復帰に関する研究 −就労の実態−. 1985; 61(1): 35-39. keywords=外傷性脊髄損傷者, 職業復帰
大西 徳明, 渡辺 明彦, 進藤 弘基, 多賀谷 幸子, 小木 和孝, 斎藤 むら子. 重量物取扱い作業者の腰部負担に関する実証的研究. 1985; 61(2): 59-82. keywords=疲労, 労働負担, 重量物運搬, 腰痛
品部 義博. 不況下における農家出稼の実態. 1985; 61(2): 83-93. keywords=農家, 出稼ぎ, 構造不況.
Nakaaki Kenji, Fukabori Sumie, Tada Osamu. An experimental study on percutaneous absorption of mixed organic solvents.. 1985; 61(3): 1-10. keywords=Organic Solvents
Teramoto Keiko, Horiguchi Shun'ichi. Animal exposure chamber for toxicological studies -Trial experimental using styrene vapor.-. 1985; 61(3): 11-18. keywords=Exposure Chamber, Styrene Vapor
肝付 邦憲. 冷水浸漬時における耐寒耐水救命服の保温効果と手指筋力の変動について. 1985; 61(3): 109-127. keywords=救命服, 温熱条件, 把持力.
佐野 裕司, 片岡 幸雄, 生山 匡, 和田 光明, 今野 廣隆, 川村 協平, 渡辺 剛, 西田 明子, 小山内 博. 加速度脈波による血液循環の評価とその応用. 1985; 61(3): 129-143. keywords=血液循環, 加速度脈波.
狩野 広之. 管見−産業疲労の研究. 1985; 61(4): 159-165. keywords=産業疲労, ストレス
酒井 一博, 天明 佳臣, 進藤 弘基, 渡辺 明彦, 斉藤 一, 斎藤 良夫. 病院看護婦の勤務体制に関するアンケート調査からみた問題点と改善方向. 1985; 61(4): 167-205. keywords=看護婦, 勤務体制.
三浦 豊彦. 日本産業の古典的黄燐中毒の歴史. 1985; 61(5): 221-233. keywords=黄燐中毒
渡辺 清博, 島 正吾, 立川 壮一, 加藤 保夫, 日高 恵一, 谷脇 弘茂, 伊藤 哲也, 加藤 幸久. ベリリウム化合物の長期経口投与による生体影響,臓器内分布について ベリリウム化合物の経口毒性に関する実験的研究(2). 1985; 61(5): 235-246. keywords=ベリリウム, 毒性
松本 忠雄. 大学医学部教職員の勤務をめぐる諸条件について. 1985; 61(5): 247-258. keywords=労働条件, 大学医学部教職員
伊藤 宜則, 新谷 良英, 栗田 秀樹, 毛利 靖彦, 深谷 実, 加藤 保夫, 小森 義隆, 大谷 元彦, 島 正吾, 皿井 進. 鉛暴露者の栄養摂取量と血中鉛量との関連性. 1985; 61(6): 273-282. keywords=鉛暴露, 血中鉛, 栄養摂取量.
栗田 明良, 品部 義博. 都市化地域における農家高齢者問題(第 I 報) 神奈川県下における実態調査の結果. 1985; 61(6): 283-306. keywords=農家, 高齢者, 都市化, 神奈川県.
海老原 勇, 川見 正機. 粉じんと健康障害 −免疫疾患としての系統的な把握−. 1985; 61(7): 325-336. keywords=粉じん, 健康障害
栗田 明良, 品部 義博. 都市化地域における農家高齢者問題(第II報) 神奈川県下における実態調査の結果. 1985; 61(7): 337-350. keywords=農家, 高齢者, 都市化, 神奈川県.
安藤 公一, 越河 六郎. クランキング運動と膝蓋腱反射閾値の変動. 1985; 61(7): 351-356. keywords=クランキング運動, 膝蓋腱反射閾値
松本 一弥, 肝付 邦憲, 松井 知子, 古見 耕一. 夏季の睡眠環境が夜間睡眠とその後の疲労回復に及ぼす影響. 1985; 61(8): 375-384. keywords=夜間睡眠, 睡眠環境, 疲労回復, 夏季.
村山 義夫. 有機溶剤蒸気の比色式ガス拡散型個人モニターに関する検討. 1985; 61(8): 385-390. keywords=有機溶剤, ガス拡散型サンプラー
千田 忠男. 有機溶剤曝露防止技術の発達過程に関する事例研究. 1985; 61(8): 391-402. keywords=有機溶剤, 塗装, 鉄道車両.
臼井 利朋, 坂本 和義. 内部障害者の職業補導における心的側面. 1985; 61(9): 419-446. keywords=内部障害者, 職業補導, 職業訓練.
木村 菊二. 労研マスクテスターについて. 1985; 61(10): 467-476. keywords=防じんマスク, 密着性試験, 粉じん
冨永 洋志夫. 各種チェインソー・草刈り機の振動測定. 1985; 61(10): 477-486. keywords=チェインソー, 草刈り機, 振動測定
木下 武男. 自治体労働者の労働・昇進意識 −横浜市従における最近のアンケート調査結果から−. 1985; 61(10): 487-498. keywords=地方公務員, 労働意欲, 昇進意欲.
久繁 哲徳, 大原 啓志. 病院看護婦の疲労と健康状態について 第1編 看護婦の疲労と健康状態の特徴. 1985; 61(11): 517-528. keywords=看護婦, 疲労, 交代制勤務.
栗田 明良. 農業経営における労務調達の現状と問題点 −埼玉県下におけるアンケート調査の結果から−. 1985; 61(11): 529-539. keywords=農業経営, 労務調達, 埼玉県.
窪田 悟, 大倉 元宏. VDT作業の分析(1) VDT作業時と机上作業時の作業姿勢の比較. 1985; 61(11): 541-559. keywords=VDT, 作業姿勢, 疲労.
Ebihara Isamu, Kawami Masaki. Health hazards of mineral dust with special reference to the causation of immuno-pathologic systemic diseases.. 1985; 61(12): 1-31. keywords=Mineral Dust
小沼 十寸穂. 「利き眼」に関する考察の補遺 −殊に利き眼の型の分布について−. 1985; 61(12): 575-588. keywords=利き眼, 視力.
伊藤 宜則, 大谷 元彦, 水野 正一, 佐々木 隆一郎, 青木 国雄, 菱田 仁, 水野 康, 中村 正道, 今井 洋一郎, 勝田 逸郎, 伊藤 圓. 職業別からみた健常成人の血清脂質成分量の検討. 1985; 61(12): 589-597. keywords=健常成人, 血清脂質.
三木 知子, 島 正吾, 立川 壮一, 加藤 保夫, 吉田 勉, 伊藤 哲也, 谷脇 弘茂, 日高 恵一, 由利 卓也, 細田 浩. トルエンジイソシアネートの低濃度曝露による肺機能への影響. 1985; 61(12): 599-611. keywords=トルエンジイソシアネート, 肺機能, 自動車部品製造業.
堀場 重幸, 島 正吾, 山本 恵申, 井上 茂樹, 村井 佳幸, 伊藤 哲也, 長岡 芳, 栗田 秀樹, 森田 邦彦. ジルコニウムのアジュバント活性. 1986; 62(1): 1-6.
栗田 明良, 井上 和衛. 農家主婦の就業と生活に関する調査研究(第1報) 山形・新余目農協管内における実態・その1. 1986; 62(1): 7-29.
窪田 悟, 大倉 元宏, 高橋 誠, 冨永 洋志夫, 飯田 裕康, 西岡 昭. VDT作業の分析(2) 各種VDT作業の特性. 1986; 62(1): 31-40.
Miura Toyohiko. A short history of occupational health in Japan (Part 2). From the early Meiji period to the end of the Taisho period (1868-1926).. 1986; 62(2): 1-17.
海老原 勇. 粉じん暴露とびまん性間質性肺炎 −臨床的,病理組織学的研究−. 1986; 62(2): 61-75.
福留 祥子. 明治前期における日本政府の工場労働者の労働衛生に対する態度に就いて. 1986; 62(2): 77-92.
伊木 雅之, 車谷 典男, 平田 邦明, 森山 忠重. 林業労働者の取り扱う手持ち振動工具の騒音とその暴露時間の分析. 1986; 62(2): 93-100.
小池 正雄. 構造的不況下に於ける林業労働問題 −森林組合作業班の「仕事不足」について−. 1986; 62(3): 117-126.
井上 和衛, 栗田 明良. 農家主婦の就業と生活に関する調査研究(第2報) 山形・新余目農協管内における実態・その2. 1986; 62(3): 127-150.
上野 尚, 吉見 真一, 原田 規章, 久永 直見. ドライクリーニング作業者に発生した再生不良性貧血の1症例. 1986; 62(3): 151-153.
品部 義博, 井上 和衛. 農家主婦の就業と生活に関する調査研究(第3報) 千葉・ちば県北農協管内における実態・その1. 1986; 62(4): 173-195.
近藤 雄二, 細川 汀, 三戸 秀樹, 山下 節義, 門脇 一郎, 中西 耕一, 石井 俊三. 港湾荷役作業形態の変化とコンテナトラクター運転作業者の腰痛実態. 1986; 62(4): 197-205.
労働科学研究所, 勝木 新次. 追悼・労働科学研究所元所長勝木新次博士. 1986; 62(5): 223-224.
三浦 豊彦. 勝木新次博士と『労働科学』誌. 1986; 62(5): 225-227.
品部 義博, 井上 和衛. 農家主婦の就業と生活に関する調査研究(第4報) 千葉・ちば県北農協管内における実態・その2. 1986; 62(5): 229-250.
小池 正雄. 林業労働者の後継者問題に関する一考察. 1986; 62(5): 251-259.
遠藤 幸男. 今日の労働時間と労働者生活の問題. 1986; 62(6): 277-290.
大倉 元宏, 伊藤 典幸, 井上 枝一郎. 一般向け対話型システムのソフトウェアに関する心理学的研究 −適性テストのコンピュータ実施を材料にして−. 1986; 62(6): 291-304.
安倍 和則, 越河 六郎. 惣菜製造工場における婦人労働者:深夜パートタイム勤務の事例 生活時間と疲労徴候. 1986; 62(6): 305-310.
海老原 勇, 川見 正機, 川見 昌子, 篠川 英治. 粉じん作業者にみられる免疫異常に関する疫学的研究. 1986; 62(7): 325-352.
三浦 豊彦. 徳川時代の熱中症予防と20世紀初頭の高温職場の食塩補給の歴史. 1986; 62(8): 375-389.
栗田 明良, 品部 義博. 農家主婦の就業と生活に関する調査研究(第5報) 島根・斐川町農協管内における実態・その1. 1986; 62(8): 391-413.
前田 勝義, 末永 隆次郎, 中礼 雅治, 宮尾 克. 給食調理作業と腰背部・頚肩腕部障害の関連についての要因―対照研究―. 1986; 62(9): 435-449.
伊藤 昭好, 末田 一秀, 平松 幸三, 高木 興一, 山本 剛夫. 新幹線保線作業に伴う強大騒音の聴力影響について. 1986; 62(9): 451-462.
小沼 十寸穂. 作業における意識状態の労働精神医学的考察 前編 序論. 1986; 62(10): 485-498.
上野 満雄, 永松 清明, 小河 孝則, 柳楽 翼, 青山 英康. トラック運輸労働者の腰痛と労働負担に関する研究. 1986; 62(10): 499-505.
上畑 鉄之丞, 池田 健次郎, 櫻井 忠義, 的場 恒孝. Giovanni Lorigaの論文「ニューマチックハンマーによる労働」(1911年)の紹介. 1986; 62(10): 507-516.
Temmyo Yoshiomi, Sakai Kazuhiro, Watanabe Akihiko, Onishi Noriaki, Shindo Hiromoto, Kimotsuki Kuninori, Kogi Kazutaka, Sato Sachiko, Tsukazaki Yukie. An ergonomic study on workload in slaughterhouse. 1986; 62(11): 1-6.
Miyao Masaru, Tanahashi Masako, Sakakibara Hisataka, Kondo Takaaki, Akamatsu Yasuhiro, Furuta Masashi, Yamada Shin'ya, Tomiyasu Seishi, Yagasaki Teiji, Ono Yuichiro. Accommodative fluctuations of newspaper workers operating a computerized typesetting system. An analysis using the scale method.. 1986; 62(11): 7-13.
小沼 十寸穂. 作業における意識状態の労働精神医学的考察(承前) 後編 各論. 1986; 62(11): 535-548.
福留 祥子. 我国の労働衛生行政の起源と初期の労働衛生行政に就いて. 1986; 62(11): 549-556.
栗田 明良, 品部 義博. 農家主婦の就業と生活に関する調査研究(第6報) 島根・斐川町農協管内における実態・その2. 1986; 62(11): 557-572.
深堀 すみ江, 中明 賢二. 2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネートのガスクロマトグラフによる分析法. 1986; 62(12): 591-610.
臼谷 三郎, 円山 宏洋, 木田 和幸. トンネル工事従事者における聴力の経年変化. 1986; 62(12): 611-617.
栗田 明良. 農家労働力の多就業化と農業労働災害. 1986; 62(12): 619-639.
中明 賢二, 小池 慎也, 高田 百合子. 2,4-および2,6-TDI の高速液体クロマト分析法. 1987; 63(1): 1-13.
海老原 勇, 川見 正機. 粉じん暴露と肝障害. 1987; 63(1): 15-34.
三浦 豊彦. 生野鉱山の塵肺の歴史 ―19世紀初頭から20世紀― 第 I 部 徳川時代の生野銀山の煙毒. 1987; 63(2): 61-76.
島 正吾, 谷脇 弘茂, 立川 壮一, 加藤 保夫, 吉田 勉, 伊藤 哲也, 長岡 芳, 由利 卓也, 細田 浩, 長井 紀乃, 鵜飼 弥英子. 慢性ベリリウム肺に対するLST,MITの診断的意義. 1987; 63(2): 77-84.
小沼 十寸穂. 労働精神医学研究について −その後の12年間の自家業績を通じて−. 1987; 63(2): 85-94.
Nozawa Hiroshi. The present conditions of working hours and the socio-cultural background of the understanding of leisure in Japan: Part 1. Analysis from the legal socio-logical points of view.. 1987; 63(3): 1-11.
Teramoto Keiko, Horiguchi Shun'ichi, Nakaseko Hiroyuki, Kageyama Mitsuru. Initial uptake of organic solvents in the human body by short-term exposure.. 1987; 63(3): 13-19.
Kawai Toshio, Hirashima Jiro, Horiguchi Shun'ichi. Determination of urinary methyl alcohol by gas chromatography.. 1987; 63(3): 21-24.
海老原 勇, 川見 正機, 川見 昌子, 篠川 英治. じん肺罹患者の赤沈. 1987; 63(3): 115-122.
栗田 明良. 農業労災に関するアンケート調査結果. 1987; 63(3): 123-142.
斎藤 むら子. 疲労感と健康度の関連性 −眼疲労と精神疲労を中心に−. 1987; 63(3): 143-151.
木村 菊二. 防じんマスクの顔面への密着性に関する研究 (第2報). 1987; 63(4): 175-180. keywords=粉じん
高橋 誠, 窪田 悟, 西岡 昭. VDT作業場の光環境に関する実態調査. 1987; 63(4): 181-191.
品部 義博. 農業後継者の補充と「Uターン」農業青年の就農実態 ―埼玉県下における最近の調査結果から―. 1987; 63(4): 193-209.
越河 六郎, 藤井 亀. 「蓄積的疲労徴候調査」(CFSI)について. 1987; 63(5): 229-246.
田中 正敏, 大中 忠勝, 山崎 信也, 入来 正躬, 赤羽 正子. 無塵化空調職場における労働者の健康状態,温冷感等に関するアンケート調査(夏期の場合). 1987; 63(5): 247-254.
松本 忠雄, ボベンヂ マッシモ. Giovanni Loriga著の「圧搾空気工具の使用」について(抄訳). 1987; 63(5): 255-261.
大橋 信夫. 労働力の国際移動と職場における文化摩擦. 1987; 63(6): 279-298.
上野 満雄, 中桐 伸五. 学校給食調理員の「指曲り症状」(第1報) 検診成績から. 1987; 63(6): 299-304.
栗田 明良. 今日の農業労災問題 −事故発生の階層性と補償問題を中心にして−. 1987; 63(7): 333-350.
林 裕子, 越河 六郎. ソフトウェア開発作業における精神的負担の分析(1). 1987; 63(7): 351-359.
近藤 雄二, 三戸 秀樹, 梶山 方忠, 中西 耕一, 平田 まり, 細川 汀, 山下 節義, 門脇 一郎. 港湾労働での荷役運搬機械・ストラドルキャリアの労働安全衛生上の検討. 1987; 63(7): 361-366.
三浦 豊彦. 生野鉱山の塵肺の歴史 ―19世紀初頭から20世紀― 第II部 明治時代から現代までの生野鉱山の煙毒,塵肺. 1987; 63(8): 387-409.
小沼 十寸穂. 労働科学研究所所蔵のフェルヴォルン文庫について 序説. 1987; 63(8): 411-422.
尾入 正哲. CRT画面上における適正文字サイズの検討. 1987; 63(9): 443-447.
村山 義夫, 深堀 すみ江, 中明 賢二. ケミカルタンカーにおける作業環境と船員の有機溶剤曝露の実態. 1987; 63(9): 449-458.
冨永 洋志夫. VDT作業環境の実態(1) 漏洩電離放射線. 1987; 63(9): 459-463.
栗田 明良. 世代交替と農家高齢者. 1987; 63(10): 487-499.
越河 六郎. 精神薄弱者施設ケア・スタッフの勤務と労働負担(1). 1987; 63(10): 501-510.
安倍 和則, 越河 六郎, 小城原 新. 精神薄弱者施設ケア・スタッフの勤務と労働負担(2). 1987; 63(10): 511-519.
越河 六郎. 総合病院における病棟看護業務の労働科学的分析(1) 調査の概要と結果分析表. 1987; 63(11): 543-595.
伊藤 昭好, 平松 幸三, 高木 興一, 山本 剛夫. 模擬道路交通騒音暴露による一過性聴力域値移動. 1987; 63(12): 615-622.
栗田 明良. 雇用調整下における農家出稼ぎ者の動向に関するアンケート調査結果. 1987; 63(12): 623-643.
坂田 一. 寄せ場労働者とその課題 −大阪・釜ケ崎(あいりん地区)を中心として−. 1987; 63(12): 645-650.
三浦 豊彦. 砒素中毒の歴史. 1988; 64(1): 1-25.
Washitani Tetsu, Takahashi Yukichi, Sakai Kazuhiro, Shindo Hiromoto, Nishioka Akira. Technological innovation in microelectronics and the growing need for work humanization in the ageing society.. 1988; 64(1): 1-11.
Temmyo Yoshiomi, Saito Ryuta. Occupational asthma due to castor bean and pomace.. 1988; 64(1): 12-15.
長岡 芳, 島 正吾, 立川 壮一, 吉田 勉, 谷脇 弘茂, 長井 紀乃, 鵜飼 弥英子, 由利 卓也, 細田 浩, 倉本 徹, 栗田 秀樹, 村井 佳幸, 堀場 重幸, 山本 恵申, 森田 邦彦. ジルコニウムの生体免疫毒性に関する実験的研究. 1988; 64(1): 27-33.
高木 和男. 運動の栄養生理. 1988; 64(2): 53-71.
石津 澄子, 長尾 憲樹, 山野 優子, 海老沢 久. 臭化メチル中毒の5例について. 1988; 64(2): 72-80.
Fujimoto Takeshi. Today's working time problem in Japan.. 1988; 64(3): 1-53.
Teramoto Keiko, Horiguchi Shun'ichi, Kageyama Mitsuru, Nakaseko Hiroyuki, Wakitani Fumio, Adachi Muneo, Yamamoto Tadashi. Expiratory elimination of tetrahydrofuran by humans.. 1988; 64(3): 54-57.
大西 徳明, 渡辺 明彦, 酒井 一博, 進藤 弘基, 塚崎 幸恵, 佐藤 幸子. 学校給食調理作業における作業負担とその軽減対策. 1988; 64(3): 101-134.
車谷 典男, 伊木 雅之, 出島 牧彦, 森山 忠重, 佐藤 雅司, 松浦 典代, 新井 孝和. 回帰モデルを用いた振動障害検診のための室温条件に関する検討. 1988; 64(4): 155-162.
山田 裕一, 山谷 春喜, 石崎 昌夫, 城戸 照彦, 能川 浩二. ある産業労働者集団における飲酒の実態とその健康影響. 1988; 64(4): 163-173.
越河 六郎. 総合病院における病棟看護業務の労働科学的分析(2) 直接的看護時間・作業姿勢. 1988; 64(4): 174-193.
甲田 茂樹. 給食調理員の手指の変形に関する疫学的研究 第1編 全国調査結果の解析. 1988; 64(5): 213-221.
甲田 茂樹. 給食調理員の手指の変形に関する疫学的研究 第2編 健康診査結果の解析. 1988; 64(5): 222-228.
古田 真司, 宮尾 克, 山内 知子, 榊原 久孝, 近藤 高明, 橋口 俊則, 山田 信也. 某交通企業体職員の高血圧に関連する要因の多変量解析. 1988; 64(5): 229-238.
林 裕子. ソフトウェア開発作業における精神的負荷の分析(2) 設計過程の作業分析. 1988; 64(6): 257-267.
品部 義博. 農家主婦の農業経営参加と営農生活実態 −埼玉県下における最近の調査結果から−. 1988; 64(6): 268-285.
木村 菊二. 濾紙塵埃計について(第7報) 塵埃計の改良と検討. 1988; 64(7): 301-306. keywords=粉じん
近藤 雄二, 越河 六郎. 半導体集積回路製造の組立作業の特性. 1988; 64(7): 307-311.
栗田 明良, 品部 義博, 鈴木 春子. 農業パート・タイマーに関する実態調査結果. 1988; 64(7): 312-345.
福留 祥子. 明治前期の衛生行政機構に就いて. 1988; 64(8): 369-392.
倉本 徹, 島 正吾, 栗田 秀樹, 鵜飼 弥英子, 長井 紀乃, 長岡 芳, 谷脇 弘茂, 吉田 勉, 立川 壮一, 森田 邦彦. ベリリウム、ジルコニウム及び白金の培養細胞に対する影響 −感作性金属の細胞毒性に関する実験的研究−. 1988; 64(9): 413-421.
Moseley M J, Griffin M J, 松本 忠雄(訳). 振動環境における視覚的表示と手作業のためのデザインガイド 第1部 視覚的表示. 1988; 64(9): 422-434.
McLeod R W, Griffin M J, 松本 忠雄(訳). 振動環境における視覚的表示と手作業のためのデザインガイド 第2部 手作業. 1988; 64(9): 435-447.
深堀 すみ江, 中明 賢二. 環境中酸化エチレンの測定法について. 1988; 64(10): 463-470.
熊木 敏郎. 人体図形標示式調査票による理美容作業者の自覚症状調査. 1988; 64(10): 471-490.
大橋 一雄. 農業労働研究として行った基礎資料について その2 農作業慣行調査. 1988; 64(11): 507-521.
渡辺 明彦, 酒井 一博, 西岡 昭. 昇柱作業の生理的負担に及ぼす年齢・作業経験の影響. 1988; 64(11): 522-532.
大西 徳明, 三宅 康彦, 三木 肇, 福田 均. タバコ幹刈収穫作業の作業負担に関する人間工学的研究. 1988; 64(11): 533-543.
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 I. 溶接工の肺癌. 1988; 64(12): 565-578.
越河 六郎. 総合病院における病棟看護業務の労働科学的分析(3) 分類作業項目別の主たる作業と付帯作業. 1988; 64(12): 579-593.
西岡 昭. 「労働科学」第65巻を迎えるに当たって. 1989; 65(1): 1-2.
「労働科学」誌は本巻本号をもって通巻65巻を迎えることになっ た。又本誌が名実共に労働科学研究所の機関誌として編集発行されるようになってから30巻目にあたる。そこで、創刊以来の総目次を収録し、特集号として刊行することとなった。 主として第35巻以降に重点をおいて本誌の辿った軌跡や、その特徴と問題点、学会や各専門領域との関連において述べ、今後のあるべき姿についての所見を述べた。(自抄)
Nakaaki Kenji, Fukabori Sumie, Takada Yuriko, Koike Sinya. A comparative study on the analysis of airborne toluenediisocyanate (TDI). 1989; 65(1): 1-9. keywords=2, 4-TDI, 2, 6-TDI, Marcali method, HPLC method, Tape monitoring.
労働科学研究所. 「労働科学」総目録 第1巻第1号(1924年)−第64巻第12号(1988年). 1989; 65(1): 3-113.
労働科学研究所の機関誌「労働科学」は創刊以来65巻をむかえた 。これを記念して第1巻第1号から第64巻12号までの2、762タイト ルに及ぶ多数の論文や各種資料を巻号順に並べ、総目録をつくった。1巻から64巻迄全部を一つにまとめ、また著者別索引を付したのは今回が最初である。
Ebihara Isamu, Kawami Masaki. Carcinoma of the lung and silicosis : a pathological study. 1989; 65(1): 10-16. keywords=Silicosis; Lung carcinoma; Scar cancer; PMF
井上 和衛. イギリスにおける農作業安全対策と農業労働災害. 1989; 65(2): 131-145. keywords=農業, 労働, 安全, 対策
本稿は最近のイギリスにおける農業動向及び農作業安全対策の重点を紹介し、あわせて同国の農業労働災害の現状について、とりまとめたものである。イギリスでは、1974年の労働衛生安全法の成立によって、自営業主を含むすべての「労働する人」が同法の対象となったことを受けて、農作業安全衛生関係法規が農業労働力の約7割を占める家族労働力にも適用され、農作業安全対策が強化されたことから、農作業死亡事故の減少がみられている。しかし、農業の労災死亡率は、いぜんとして高く、炭鉱、建設業につぐ高さである。これは、農業の労働過程、経営及び労働主体の特性によるものとみられている。(図3・表13)(自抄)
由利 卓也, 加藤 保夫, 島 正吾, 立川 壮一, 吉田 勉, 谷脇 弘茂, 細田 浩, 倉本 徹, 長井 紀乃, 鵜飼 弥英子, 森 紀樹, 荒川 友代, 山内 聖司, 長岡 芳, 田村 昭彦. 窯業じん肺の進展と肺機能障害の経年変化. 1989; 65(2): 146-156. keywords=窯業, 肺機能, じん肺, 閉塞性障害, 拘束性障害.
4年間以上観察した男子窯業じん肺者623名を対象に年齢をX、各種肺機能値(VC,FEV1.0,FV1.0%,PF,V75,V50,V25,V50/25)をYとして、Y=aX+bの回帰式を求め、病型別及び年齢階層別の予測式を作成した結果、健常者に比し概して本予測式のY値はより低く、a値より大きかった。年齢補正した%VC(拘束性障害)の低下勾配は病型の全進展過程を通じて同程度だが、%FEV1.0,%V50(閉塞性障 害)の低下勾配はPR3-PR4群で大きく、病型の進展とともに加速度 的に増加した。抹消気道障害(%V25及び%V50/25から類推)は、病型の進展がPR1からPR3程度の範囲では中心気道障害よりもおおきかった B(図2・表 5)(自抄)
Inoue Shiichiro, Ito Noriyuki, Ohkura Motohiro, Oiri Masaaki. Human factors in the process of office automation in Japan.. 1989; 65(3): 1-15. keywords=Man-machine-interfac, Advanced age people, Interactive computer, Office automation
Endo Ginji, Horiguchi Shun'ichi, Kiyota Ikuko, Miki Takami, Morii Hirotoshi. Serum osteocalcin levels in workers exposed to lead.. 1989; 65(3): 16-21. keywords=Lead, Occupational exposur, Osteocalcin.
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 II. 鋳物作業者の肺癌. 1989; 65(3): 175-187. keywords=粉じん作業者, 肺癌, 鋳物作業者.
鋳物作業者を対象とした肺癌に関する疫学的研究の殆どが鋳物作業者に有意の肺癌の増加を指摘している。肺癌のriskを喫煙のみで説明は出来ないとした考えが一般的であった。 鋳物作業の従事期間と肺癌のriskに量・反応関係を認めたとの報告もすくなくない。 鋳物工程で発生する発癌性の芳香族炭化水素と肺癌のriskの関連性が注目されたが、鋳物作業現場での芳香族炭化水素濃度は低濃度であり、疫学的にも両者の関連は明確でなかった。その反面、珪酸じん暴露年数と肺癌のriskに相関を認めるなど、肺癌のriskbフ要 因として珪酸じんが重視されたが、低濃度ながらも芳香族炭化水素などの発癌性物質への複合的な暴露が肺癌のriskを高めるものと考えられた。(表2・図2)(自抄)
細田 浩, 島 正吾, 立川 壮一, 吉田 勉, 谷脇 弘茂, 長井 紀乃, 鵜飼 弥英子, 森 紀樹, 山内 聖司, 荒川 友代, 倉本 徹, 栗田 秀樹. ベリリウム生体感作とLTT,MITによる免疫アレルギー学的評価. 1989; 65(3): 188-196. keywords=慢性ベリリウム症, 間質性類上皮, 細胞性肉芽腫, リンパ球幼若化試験, マクロファージ, 遊走阻止試験
Be化合物に対する生体免疫反応を検討するため、LTT,MIT及び血 清免疫グロブリンを、各種Be暴露健康作業者、じん肺者、健常者において検討した。LTT,MIT値はBe健康作業者では暴露Beの種類によ り変動が大きく、高純度低温度焼成BeO暴露者ではその反応度が最 も強く、同普通純度高温度焼成BeO暴露者がこれに次ぐ、一方ベリ リウムー同取扱い者は全例が正常暴露者に比較して反応度は弱かった。次に、血清免疫グロブリン値はいずれにおいても特定の傾向は認められなかった。以上よりLTT・MITは、Be暴露による生体感作レベルを数量的に評価しうる極めて有用な検査法であるとの結論を得た。(図2・表4)(自抄)
小沼 十寸穂. 労働科学研究所収蔵の石原(修)文庫について. 1989; 65(3): 197-202. keywords=石原文庫
大正期の労働衛生の当事者、産業医ならびに学者として令名の高かった前阪大教授、石原修博士の遺された図書(和文217、欧文214)はすでに石原文庫として労研図書館に記念収蔵してある。処で実は同博士の旧蔵から出た雑誌別刷類2、787部は石原文庫の朱印ならび に日本労働科学研究所蔵書(別刷之部)というレッテルを貼られ、第分類(22に及ぶ)、小分類(多いものは35)、別刷番号、箱番号に分けて記入されかけながら多くの段ボール箱に無秩序、雑然と収納されて、今日まで図書館底におかれてあった。同博士歿後(昭22)、労研に入手されたものであろうが、終戦後の労研の去就に混乱があったときに遭遇したためか、充分処理されず、その後図書の急増による繁忙のため手が回らず今日までに到ったものであろう。今回ヴォランティア作業として一応眼をとおして処理、収蔵することになったので、異色の大家、石原博士の足跡を辿りながら、旧蔵の石原文庫の図書とともに、この別刷についてその状態像を記し、本所にこういう記念すべき収蔵のあるのを告げることとした。 (表2・図1)(自抄)
海老原 勇. 離職後のじん肺X線所見の進行と進展様式. 1989; 65(4): 221-247. keywords=離職, じん肺X線所見
粉じん作業を離職したじん肺罹患者238名について、離職後にお けるじん肺X線所見の変化と進展様式について検討を加えた。その結果、離職後のじん肺X線所見の進行は、職種や作業環境中の粉じん濃度、粉じん中の遊離珪酸濃度などとともに、観察開始時の離職後年数や観察期間によって左右されること、また、離職後も短期間にX線所見が進行する一方、じん肺が極めて長期にわたって進行し続けることも確認された。 離職後のじん肺所見の進展様式として、_粒状影の増数と増大、_塊状巣の形成および増大、_広汎な間質の線維化の進行、_粒状影の減少、消失の四つの様式に区分できる。このうち、_、_はじん肺として適切に診断することが困難であり、充分な配慮が必要である。 (表2・図22)(自抄)
小沼 十寸穂. 労働科学研究所所蔵のフェルヴォルン文庫について 補遺. 1989; 65(4): 248-258. keywords=労働科学研究所所蔵, フェルヴォルン文庫
すでに本誌63(8)、1987に上記表題の「序説」として、資料の大半を元にして、この文庫の入手から現在に至るまでの経緯の解明に努めた。その後残余の資料を整理するとともに出自の本人Verwornの 実態を詳しく追求しつつ、その頃の学的、殊に生理学的背景を解説し、一層本文庫の在り方と価値に言及し今後の保存などについて示唆することとし、多くの文献を具して補遺編とした。 (表1・図1)(自抄)
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 III. 炭坑夫の肺癌. 1989; 65(5): 273-283. keywords=肺癌, 炭鉱夫, じん肺, 疫学
炭鉱夫についての肺癌に関する疫学的研究を通覧した。報告された16の文献のうち、炭鉱夫に肺癌のriskを認めるものは8文献であ り、逆に肺癌のriskが少ないとするものが6文献で、残りの2つは石炭じん暴露と肺癌の関連性が見られないとの報告である。 肺癌のriskを認めた8つの報告のうち3つは炭鉱夫の多い地域に肺癌のriskが高い事を示したものであり、地域差や地域における煤煙等の公害の状況など、直接的な職業性以外の因子が関与する可能性が大きい。肺癌のriskが小さいとの報告ではhealthy workers eff-ectや喫煙状況などを分析した研究が望まれる。 現時点では、炭鉱夫の肺癌に関して一致した見解は得られておらず、量・反応関係を含め今後の系統的な検討が重要である。 (表1)(自抄)
高野 研一, 吉野 賢治, 長坂 彰彦. 作業従事者の生体信号計測システムの開発とその適用性評価. 1989; 65(5): 284-295. keywords=作業従事者, 生体信号, リアルタイム計測, 多チャンネル, 生体負担.
作業負荷時の生体負担の量と質を生体信号の変化特性から評価するため、多人数/多種類の生体信号のリアルタイム計測を可能とするなど、種々の特徴を有する生体信号計測システムを開発した。また、ステップ負荷、継続筋収縮負荷を非験者に与え、それぞれに本システムのリアルタイム計測機能、詳細解析機能を適用し、これまで容易ではなかった計測結果および新たな事実関係が効率的に得られる見通しを得た。(表3・図8)(自抄)
吉竹 博. タイプA行動と疲労感. 1989; 65(5): 296-302. keywords=タイプA行動, 疲労感, 精力的活動, 疲労の抑制, 症状の言語報告.
タイプA行動と冠状動脈性心臓病との媒介過程についての手がかりを得ようとして、タイプA行動と疲労感の関連をしらべた。タイプA者は疲労感の訴えを抑制する傾向があるという仮説を確かめるためである。 高知県在住の会社員、公務員、教員の中から、管理職910名を選 び、郵送法で調査した。その結果、タイプA得点と疲労感の間にはプラスの相関があり、タイプA者は疲労感を抑制するという仮説は確かめられなかった。このことは、調査時の「状況」が重要であることを示すものと考えられた。(表5・図10)(自抄)
海老原 勇. 活性炭肺の病理と胸部X線所見 −粉じんによるびまん性間質性肺線維症および肺気腫による粒状影の消失−. 1989; 65(6): 323-355. keywords=活性炭肺, 肺気腫, びまん性間質性肺炎, 空洞, じん肺症.
活性炭肺について病理組織学的に検討するとともに、胸部X線所見の推移を検討し次のような結論を得た。 活性炭肺は病理組織学的に次の三つのタイプに分類できる。 _微細な粉じん巣と局所気腫が目立つタイプ _小葉中心性気腫が目立つタイプ _間質の繊維化が目立つタイプ このうち、_のタイプではX線的に粒状影が消失し、強い肺機能障害にもかかわらず、じん肺と診断され難い。 また_のタイプでは特発性間質性肺炎などと診断され、職業性疾患としての位置づけが希薄である。しかし、活性炭肺では_のタイプは高率であり、「職業性びまん性間質性肺炎」としての位置づけが重要である。(表1・写真40)(自抄)
井谷 徹, 大谷 透, 高原 護, 竹内 研, 小野 廣, 三浦 望慶, 甲田 茂樹, 青山 英康. VDT作業時間分布と作業負担に関する研究. 1989; 65(6): 356-364. keywords=作業時間, 作業負担, 一連続作業時間, 自記式時間記録
VDT作業時間分布の状況と健康状態との関連を検討することを目的として、VDT作業時間の記録と、健康状態・作業状況に関したアンケート調査を実施した。その結果、VDT作業時間は、職種間で分布の差が大きいばかりでなく、作業者間での相違が大きいこと、アンケートで捉えた作業時間の特徴は、時間記録法で捉えた作業時間の特徴とよく一致していること、作業時間および作業内容の特徴と自覚症状訴え率との間に関連が認められることが明らかとなった。以上の結果から、VDT作業の労働負担軽減を検討する際には個々の職場における作業条件を検討することが必要であることが明らかとなった。(表1・図11)(自抄)
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 IV. 金属鉱山の労働者 付)隧道作業者. 1989; 65(7): 379-390. keywords=金属鉱山, 珪肺, 肺癌.
金属鉱山の労働者については、radonおよびradon daughterなど の放射性同位元素の暴露との関連で肺癌のriskを報告する研究が先行していた。しかし、radon等の放射性物質の濃度が少ない金属鉱 山の労働者を対象とした12の疫学研究のうち、2つの研究は坑内作業者の肺癌のSMRが100であり、肺癌のriskはたかくなかったとしているが、残りの10の報告は、肺癌のriskが有意に増加していたとしている。 また、粉じん作業と肺癌とに量・反応関係の存在を示唆する報告も多い。さらに、寄与因子として喫煙も重視されたとする報告も少なくない。(表1)(自抄)
木村 菊二, 伊藤 昭好, 田中 正美, 田中 茂. 防毒マスク吸収缶の破過推定に関する研究. 1989; 65(7): 391-402. keywords=防毒マスクの破過, 破過の推定, 破過に与える相対湿悼.
防毒マスクの吸収缶の破過を判定する方法について、実験的な手法を用いて検討を行った。 実験は吸収缶を通じて一定濃度の実験用ガスを吸引し、ガスを吸着することによる吸収缶の質量増加量をガスの分子量、ガス濃度、吸引空気量から計算によって、また、吸収缶を秤量することによって、その質量増加量を求めて、両者の関係について検討を加えた。 実験用ガスとしては、トルエンを主として使用した。実験の結果秤量によって求めた吸収缶の質量増加量が吸収缶の破過推定のための有用な指数になることを確かめた。(表3・図16)(自抄)
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 V. 石工、石切り、採石作業者 付)サンドブラスト作業者. 1989; 65(8): 431-440. keywords=肺癌, じん肺, 珪肺, 石工, 石切り.
石工・石切り・採石作業者を対象とした肺癌に関する疫学研究の殆どが、肺癌の有意のriskを指摘している。また、喫煙との関連に関しては、肺癌のriskは喫煙のみで理解することは出来ず、粉じん暴露との共同作用など、粉じん暴露の影響は大きい。 石工・石切り・採石作業と肺癌に関する量・反応関係については必ずしも一致した成績が得られておらず、今後の課題として残されている。 なお、粉じん作業者の肺癌のriskの検討にあたっては珪肺症や結核による死亡が多く、肺癌などのriskを低下させることが多いため、結果の評価には充分な注意が必要である。(表1)(自抄)
上野 満雄, 松崎 俊久, 柴田 博, 芳賀 博, 永井 晴美, 須山 靖男, 安村 誠司. 出稼ぎ地域における老人の健康状態. 1989; 65(8): 441-445. keywords=出稼ぎ地域, 老人, 健康状態, 疫学
秋田県は出稼ぎ地域としてよく知られている*{研究は、出稼ぎ 労働と老化との関連性を検討する目的で実施された。 秋田県の某村において、65歳以上の老人684人に医学検診と出稼 ぎ歴に関する聞き取り調査が行われた。医学的指標としては、老化に影響を持つと考えられる項目について検討を加えた。分析の結果男の58%が出稼ぎ経験者であり、10回以上の出稼ぎ歴のある者が 59.1%であった。出稼ぎ先での主な仕事は男で建設・運輸業、次いで製造業であった。出稼ぎ経験者群(男)は脳血管障害、心筋梗塞骨折の既往歴がやや高い傾向がみられ、血清コレステロール、皮脂厚が低値を認め、出稼ぎ労働と老化との関連が示唆された。 (表6・図2)(自抄)
小沼 十寸穂. 労働科学研究所所在の稀覯資料 −Verworn時代の学位請求論文−. 1989; 65(8): 446-455. keywords=労働科学研究所, 稀購資料, 学位請求論文, フェルヴォルン文庫
すでに本誌63(8)、1987ならびに65(4)、1989に亘ってフェルヴォルン文庫の在り方を説いたが、そのうちに特に一括して含まれていた当時の学位請求論文(1602部。医学、外科ないし助産学のそれを主 とし、他に哲学40、法学15)を点検し、その頃のその状態像を概説 した。同文庫についても既に記しているが、これらは労働科学に直接関係するものではないが、労働科学研究所創設に当って暉峻初代所長が、本研究所ないし本邦医学に寄与するため苦心して入手して来たものの未紹介の資料を更めて手がけて江湖に披露し、本労働科学研究所に所蔵されるこの貴重な医学資料について説いた。 (表3・図2)(自抄)
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 VI. 窯業、ガラス、クレイ作業者. 1989; 65(9): 477-482. keywords=肺癌, じん肺, 窯業労働者, 疫学
福留 祥子. 明治20年代に於ける労働衛生問題に対する我国政府の態度に就いて. 1989; 65(9): 483-504. keywords=明治20年代, 労働衛生, 我国政府.
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 VII. その他の粉じん作業者 (滑石鉱山労働者と滑石粉砕作業者、セメント作業者、炭素系粉じん暴露者). 1989; 65(10): 523-529. keywords=肺癌, 滑石, 炭素粉じん, 疫学
伊藤 昭好, 中本 守, 平松 幸三, 高木 興一, 山本 剛夫. 非定常騒音によるTTSの予測方法について. 1989; 65(10): 530-542. keywords=一過性域値移動, 非定常騒音, 予測, TTSの増大の式, 単位階段関数法.
藤垣 裕子. ソフトウェア開発環境が開発作業の精神的負荷に与える影響について. 1989; 65(10): 543-550. keywords=ソフトウェア, ソフトウェア開発, ソフトウェア作業, 精神的負荷, CFSI.
海老原 勇. 粉じん作業者の肺癌 VIII.じん肺罹患者の肺癌. 1989; 65(11): 567-579. keywords=じん肺, 肺癌, 疫学.
服部 真. タクシ−運転手の虚血性心疾患発症に関する長期予測と運転勤務の循環機能・自律神経機能への影響 I.運動負荷心電図虚血性変化に関する職業要因対照研究と虚血性心疾患発症の長期予測に関するコホ−ト研究. 1989; 65(11): 580-589. keywords=タクシ−運転手, 虚血性心疾患, 運動負荷心電図, 危険因子, コホ−ト研究.
松本 一弥. 装置産業における交替勤務編成について. 1989; 65(11): 590-601. keywords=装置産業, 交替制度, 交替編成, 仮眠
海老原 勇. じん肺症における気胸の発症要因. 1989; 65(12): 619-635. keywords=じん肺症, 気胸, 気腫性のう胞, 肺気腫, 肺癌.
近藤 雄二, 細川 汀, 梶山 方忠, 服部 真, 広瀬 俊雄, 山下 節義. 物流職場のピッキング作業に従事する作業者の労働条件、疲労および頸肩腕・腰部の局所症状発現に関する検討. 1989; 65(12): 636-650. keywords=ピッキング作業, 婦人労働, 疲労, 労働負担, 筋骨格系の症状.
服部 真. タクシ−運転手の虚血性心疾患発症に関する長期予測と運転勤務の循環機能・自律神経機能への影響 II. 運転勤務時の時系列的観察による、タクシ−運転労働の循環機能・自律神経機能に与える影響. 1989; 65(12): 651-658. keywords=タクシ−運転手, 虚血性心疾患, 循環機能, 自律神経機能, 職業ストレス.
川見 正機, 川見 昌子, 海老原 勇. 石綿暴露指標としての肺組織内石綿繊維及び含鉄小体濃度の測定法の確立とその検討. 1990; 66(1): 1-23. keywords=石綿繊維, 含鉄小体, 低温プラズマ灰化, 走査型電子顕微鏡, 透過型電子顕微鏡, エネルギ−分散型X線, マイクロアナライザ−.
我々の実施した測定法は、低温プラズマ灰化法により肺組織を灰化した灰化分をfilterへ回収後、電子顕微鏡及びX線マイクロアナライザー等により総無機繊維、石綿繊維、含鉄小体濃度、粒度分布を測定した。 本測定法の検討をするとともに本測定法を用いて対照群及び石綿暴露群の測定を実施した。その結果、総無機繊維、石綿繊維、含鉄小体濃度いずれにおいても有意差を認めた。石綿繊維濃度の測定では、ほぼ1ー2X10の6乗/1g dry wt以上の石綿繊維を検出し得れば 何等かの石綿職業暴露を推察し得た。 本法による石綿繊維、含鉄小体濃度はともに石綿暴露の指標として有用であり石綿関連疾病の重要な指針となり得た。 (表9・図12)(自抄)
Sanui Junichiro. A phenomenological approach to the worker's evaluation of the working environment.. 1990; 66(1): 1-9. keywords=evaluation, phenomenological, evaluation grid, method, personal construct, theory
Tanaka Shigeru, Abuku Shin-ichi, Imaizumi Keishichiro, Utunomiya Tadao, Seki Yukio, Imamiya Shun-ichiro. Estimation by weight increase of the service life of respirator cartridges used in a paint manufacturing plant.. 1990; 66(1): 10-15. keywords=paint manufacturing, plant, respirator carridge, breakthrou time, organic solvent, remaining filtration, efficiency.
宇土 博, 谷田 秀則, 吉永 文隆. 書字作業時の握圧軽減のための適正なボ−ルペンの把持径に関する筋電図学的研究. 1990; 66(1): 24-34. keywords=頚肩腕障害, ボ−ルペン, 握圧, 把持径
ボールペン書字作業による頚肩腕障害の予防対策の一つとして、書字作業時の握圧を軽減するための適正な把持径を表面筋電図を指標として検討した。標準径(8.2mm)、10.5mm, 13.8mm, および 14.3mmの径について実験を行ない、標準径に比して13.8mm径で有意に筋電図積分比が低下することが認められた。また、握圧や筆圧が強い者では、その傾向が顕著であることから、握圧や筆圧が強い者では一枚書きのボールペンが書字作業時の、握圧を軽減するのに太い径のボールペンが有用であることが認められた。(表10・図9 (表10・図9) (自抄)
海老原 勇. じん肺症における閉塞性気管支炎. 1990; 66(2): 59-76. keywords=じん肺症, 閉塞性気管支炎, 珪肺結節.
じん肺では、じん肺の種類に関係なく、高率に無気肺性変化を認める。 無気肺性変化を示した者のじん肺の程度をみると、1型、2型、など、じん肺所見が軽度でも無気肺性変化が多数認められたことが特徴的であった。 無気肺を認めた者の喫煙状況では、全般的に非喫煙者、軽度喫煙の占める率が高かった。 無気肺の原因は、第一に、気管支粘膜内に侵入した粉じんにより形成された珪肺結節など、粉じん巣による気道の閉塞であり、第二に、じん肺に合併する高度の慢性気管支炎による粘膜の腫腸と喀痰による閉塞であった。(表1・図27)(自抄)
深堀 すみ江, 中明 賢二. 環境中1,3-ブタジエンの測定方法について. 1990; 66(2): 77-88. keywords=1, 3-ブタジエン, ガスクロマトグラフ, 分析, 固体補集
実験室的に研究開発した1,3−ブタジエンの試料採取からガスクロ分析にいたる一連の手法の適用性を、1,3−ブタジエン使用職場の環境実験調査を実施するなかで確認した。 1,3−ブタジエン試料の採取には市販の活性炭管および活性炭フェルト(ガスバッジ)を利用し、二硫化炭素脱着後ガスクロマト分析によって濃度を求めた。 フィールド調査の結果、リーク箇所で50ppmを越す1,3−ブタ ジエンを検出した以外は、作業場濃度はおおむね5ppmであった。試料採取に用いた活性炭管補集法とガスバッジ補集法では、時間平均濃度でみると結果に大きな差を認めなかった。(表16)(自抄)
Hirata Mamoru. Three cases of leukoderma due to hydroquinone monobenzyl ether.. 1990; 66(3): 1-5. keywords=Leukoderma, Hydroquinone, Monobenzyl ether, Occupational exposue
Yuguchi Mayumi. Roentgenological studies of elbow joints in patients suffering from vibration disease.. 1990; 66(3): 6-18. keywords=Vibration injury, Elbow joint, X-ray tomography, OA change, ROM.
海老原 勇, 川見 正機, 篠川 英治, 川見 昌子. じん肺罹患者の血算 −二次性多血症と貧血−. 1990; 66(3): 105-117. keywords=二次性多血症, 貧血, じん肺, 液性免疫, 細胞性免疫.
じん肺罹患者についてRBC, Hb, Htを測定し、肺機能や液性およ び細胞性免疫能との関連性について検討した。じん肺罹患者では RBC, Hb, Htとも対照群と同様のpeakを持つ峰と、貧血側にpeakを 持つ峰との二峰性の分布を示した。 RBC, Hb, Htともに、一秒率と負の相関を示したが、%VCや動脈 血酸素分圧、炭酸ガス分圧との関連性は見られなかった。また、赤沈の1時間値、α2-Globulin, γ-Globulin, IgA, IgGと負の相関 を認めた。 じん肺罹患者の「貧血群」では「正常値群」よりも液性免疫能の亢進が著明に認められ、OKT-4細胞が有意に減少し、OKT-8細胞と OKLa-1細胞の有意の増加が認められるなど、細胞性免疫能の以上も認められた。(表29・図18)(自抄)
栗田 明良. 農地利用をめぐる大都市近郊農家の意識状況 −埼玉県南地域における就業意向と農地利用に関する最近の調査結果から. 1990; 66(3): 118-134. keywords=都市化, 土地利用調整, 兼業農家, 資産的土地所有
経済大国にふさわしい「豊かな生活」を実現する上で最大の隘路となっている今日の日本の住宅・土地問題を解決もしくは緩和すべく、大都市近郊に散財する農地の宅地転用の促進が政治問題化しているが、本資料は、埼玉県南東部の開発途上地域の全農家を対象にしたアンケート調査の結果を素材に、農地利用のあり方をめぐる大都市近郊農家の意識状況にアプローチしたものである。農家の営農意識が低下する一方、開発志向が強まる中で、農地の転用規制についても「全面的な規制緩和」ないし「部分的な見直し」を求める農家が多数派を形成している。が、所有農地の宅地転用には否定的な意向を示すものが多いようである。(表21)(自抄)
海老原 勇. じん肺における肺癌の発生母地 −微少肺癌および肺内重複癌例の検討−. 1990; 66(4): 153-167. keywords=じん肺症, 繊維化, 肺癌, 上皮内癌
じん肺に合併する微少肺癌の4例を報告した。4例中3例は抹消型肺癌で、いずれも粉じん巣に接して発生した肺癌であり、病理組識学的には塊状巣の形成過程が発癌の母地となる可能性を示したものといえる。 他の1例は上皮内部であった。同部の気管支型は軽度ないし中等度の繊維化を示し、気管支上皮が広汎に扁平上皮化生を呈しており、じん肺における気道の繊維化を含む慢性炎症が発癌の母地となることを指摘したものであった。また、4例中2例は肺内の重複癌であったが、この点も、じん肺における組織変化が発癌の組織素因となる可能性を強く指摘していた。(図23)(自抄)
花岡 知之. 6チタン酸カリウム繊維とその摩砕粉塵のマクロファージにおよぼす影響. 1990; 66(4): 168-177. keywords=6チタン酸, カリウム繊維, アスベスト代替材, 繊維原性, マクロファージ, 胸腺細胞
6チタン酸カリウム繊維(PT)とその摩砕粉塵の繊維原性についての基礎的な検討を目的として、in vitr でのマクロファージに対する細胞障害作用(マクロファージからの酸素放出)、および試料と反応させたマクロファージの胸腺細胞刺激作用を調べた。前者では、PTで酸素放出の有意な増加が認められたが、摩砕粉塵では認められなかった。後者では、PTと摩砕粉塵でクロシドライトと同程度の作用の増加が認められた。これより、PTはマクロファージに対する影響が大きく、その繊維原性が強く疑われた。さらに、PTの摩砕粉塵の繊維原性も無視してよいものではなく、なお検討が必要であると考えられた。(図6・表2)(自抄)
福留 祥子. 明治20年代の大阪市に於ける衛生自治活動について. 1990; 66(5): 199-217. keywords=衛生自治活動
深堀 すみ江, 中明 賢二. 毛髪中テルル、セレン、アンチモン、ひ素の測定と曝露評価. 1990; 66(5): 218-231. keywords=毛髪, テルル, セレン, アンチモン, ひ素.
毛髪中のTe, Se, Sb, Asの定量分析法を確立したのち、非曝露者93名(男38例、女55例)および職業性曝露者62名の値を求め、毛髪を試料とした生物学的モニタリングを行う際の曝露評価値を提案した。 非曝露者93例の各金属の幾何平均値は、Teで不検出、Se349ng/g,Sb8.2ng/g, Asでは18.3ng/gであり、また、累積度数分布の95%- tile値は、Teで不検出、Se450ng/g, Sb25ng/g, Asでは40ng/g, 職 業性曝露者の幾何平均値はTeの1988年の26例で12.5ng/g, Seは1988年621.9ng/g,1989年115.8ng/g, Sbは順に41.3ng/g, 19.7ng/g, As は27.7ng/g, 29.5ng/gで、この値と非曝露者の95%-tile値とを考慮し、当面、この95%-tile値を曝露評価値として提案した。(表7・図10)(自抄)
海老原 勇, 川見 正機, 川見 昌子, 篠川 英治. 離職後のじん肺の進行と免疫指標 −経時的検討−. 1990; 66(6): 249-255. keywords=じん肺, 増悪, 液性免疫能, 細胞性免疫能, 経時的検討.
離職後のじん肺X線所見の推移と免疫学的な検査成績との関連性を検討した。じん肺所見についての平均観察期間は約6年で、免疫学的検査実施から胸部X線写真最終撮影までの期間は約4年であった。 その結果、じん肺の高度進行群では、不変群と比較して,Albuminが有意に減少し、γ-GlobulinとIgGが有意に増加していた≠ワた、 CRP、抗核抗体、抗DNA抗体の陽性率もじん肺所見の高度進行群に高高率であった。 反面、リンパ球サブセットで、高度進行群にOKT-4の減少とOKT-8OKIa-1,Leu7の増加を認め、リンパ球幼若化試験でPHA,ConA,PWMに 対する幼若化反応の低下が見られたが、いずれも不変群と有意差は見られなかった。(表9)(自抄)
吉野 賢治, 高野 研一, 長坂 彰彦. 自覚症状の数量化解析による温熱影響評価の検討. 1990; 66(6): 256-267. keywords=自覚症状, 発汗量, 数量化理論, 温熱ストレス
温熱環境中で働く作業員を温熱ストレスの発現から防護するためには、事前に作業環境の調査を実施し、予見される事態に対して必要な対策を搆じることが重要である。しかし、現状では、環境測定の他に発汗量、心拍数、直腸温などの温熱指標が用いられる場合があり、多大の労力と解折能力を必要とする。本論文は、簡便な手法で、定量的な温熱指標と同様な評価ができる手法の提案を目的とし、被験者の愁訴した自覚症状を数量I類による分析を行い、衣服装備、温熱ストレス、労働負荷が被験者の自覚症状の発現に及ぼす影響度の傾向が、発汗量やこれまでの研究結果による傾向とほぼ一致することを確認し、本解折手法の適用の有効性を示唆したものである。(図1・表9)(自抄)
越河 六郎, 安倍 和則, 平田 敦子. 夜間保育所保母の職務と労働負担 (1) 作業時間調査結果. 1990; 66(6): 268-274. keywords=夜間保育, 保母, タイムスタデイ, 労働負担, 交代制.
公的施設における「夜間保育」は、一般に時間延長保育の形でなされている、22時を過ぎる、いわゆる深夜保育もあるが、おおよそ午前1時ないし2時ごろには終了し、園児は帰宅することになる。 昭和63年度のモデル夜間保育所(福岡)で行った作業時間調査の結果をまとめている。 勤務は、朝からの昼勤務、午後勤務、夜間勤務3区分としてなされており、交代制ではない。計17例の観測記録を得た。 深夜を含む夜間勤務保母の作業は、昼間と異なる性格をもつことが指摘される。混合保育の形になること、担当保母数、保育条件、保母の勤務条件など、点検整備が必要である。(表7)(自抄)
Ebihara Isamu, Shinokawa Eiji, Kawami Masaki, Kurosawa Tamiko. Prospective cohort mortality study of pneumoconiotics in Japan. -Systemic diseases caused by exposure to mineral dust-. 1990; 66(7): 1-11. keywords=Silicosis, Pneumoconiosis, Lung cancer, Autoimmune disease, Stomach cancer.
Ebihara Isamu, Shinokawa Eiji, Kawami Masaki, Kurosawa Tamiko. A mortality study of workers compensated for pneumoconiosis during 1958 to 1988 in Tokyo and Shizuoka prefectures of Japan. 1990; 66(7): 12-19. keywords=Pneumoconiosis, Silicosis, Lung cancer, Autoimmune disease, Stomach cancer.
海老原 勇, 篠川 英治, 川見 正機, 黒沢 民子. 粉じん暴露による系統的健康障害 −じん肺罹患者のcohort研究から−. 1990; 66(7): 301-315. keywords=コーホート研究, じん肺, 自己免疫疾患, 肺癌, 胃癌.
全国じん肺患者同盟会男性会員7,623名を解析cohortとし、1982 年1月1日から1987年12月31日までprospective cohort studyを実 施した。その結果、じん肺患者では、_リウマチおよび類似疾患のSMRが有意に増加していること、_悪性リンパ腫やリンパ・造血臓 器癌のriskが高いこと_肺癌のみならず大腸・小腸癌、肝臓癌、鼻・副鼻麹o、癌、脳腫瘍など各種臓器の悪性新生物のriskが高いことが示された。この結果は「じん肺罹患者や粉じん作業者では、粉じんの免疫学的作用により、各種の免疫病理学的疾患の発症やリンパ造血臓器癌のriskが高まるとともに、免疫監視機構の破綻により各種臓器癌の多発に結びつく」との仮説を支持するものであった。 (図2・表3)(自抄)
鷲谷 徹, 品部 義博. 就業・生活様式と食料消費構造(1). 1990; 66(7): 316-332. keywords=家族, 労働, 生活時間, 食生活, 米.
主として夫あるいは妻の就業状況に規定される生活様式の相違・変化が、家族の食生活・食料消費構造にいかなる影響を与えるのかを明らかにするため、実態調査を行った。調査は都市勤労者295世 帯を対象とし、夫妻等の就業状況、生活時間及び食生活に関し、質問紙方式により実施した。 調査結果からは、勤務のある日には過半数の夫が家族と一緒に夕食をとっておらず、また、朝食についても4割以上の夫が家族と一緒にとっていないこと。一般に通勤時間・労働時間の延長が食生活に影響を与えるところ大であり、とくにその結果として生じる家族構成員間の生活スタイルのギャップによって、摂取する食事の内容に差異が生じることが示された。(表1・図23)(自抄)
中明 賢二, 深堀 すみ江. 爪中金属類(テルル,セレン,アンチモン,ひ素,鉛,カドミウム,クロム)の定量法および経時変化の測定. 1990; 66(8): 353-364. keywords=爪, 稀金属, テルル, セレン, アンチモン, ひ素, 鉛, カドミウム, クロム.
健康な対象者1名から数年にわたって得た爪試料(手および足)中のテルル、セレン、アンチモン、ひ素、カドミウム、クロムの7金属を還元気化原子吸光法およびフレームレス原子吸光法で測定する分析・定量条件を定めるとともに、生物学的モニタリング用試料として利用可能なことを確認した。 テルルはいずれの爪試料からも検出されず、その他の金属はすべての試料から検出され、セレンでは手の爪で263.0ng/g、足の爪で 247.5ng/gアンチモンは足の爪で63.6ng/g、手で32.1ng/g、ひ素は トータルひ素として足で36.9ng/g、手で20.0ng/gと足の濃度が高い。鉛、カドミウム、クロムの濃度はいずれも手の爪中濃度が高くなったが、手、足の順に示すと鉛で、2.13μg/g, 1.72μg/g,カドミ ウムで0.10μg/g, 0.08μg/g, クロムで0.96μg/g, 0.88μg/gであった。(図6・表3)(自抄)
舘 澄男. チューリップ球根栽培における作業時間の分析(第1報)−植付け作業−. 1990; 66(8): 365-378. keywords=農作業, 球根栽培, 植付け作業, タイムスタデイ, 労働負担.
チューリップ球根栽培における植付け作業を中心にタイムスタディ、聞き取りなどの結果から、作業の特徴を若干記述し、作業の負荷要因についてもふれた。 調査対象とした植付け作業は、比較的機械化が進んだ3戸の農家の作業である。 調査結果によると、10a当たり作業時間構成の62ー78%が植付け球根の手直し作業であった。この作業は、女子の雇用労力が中心で、作業姿勢の80%余は屈みであった。 また、農家の女子の作業者をみると、前屈や屈みなどの不自然な作業姿勢の出現が比較的多いことなどが知られた。 (図6・表4)(自抄)
海老原 勇, 篠川 英治, 川見 正機, 黒沢 民子. じん肺罹患者のcohort研究. 1990; 66(9): 399-407. keywords=珪肺, コーホート研究, じん肺.
東京および静岡のじん肺患者同盟の会員790名について、労災補 償開始時点にcohortにentryさせる方法で1958年から1988年までre-trospective cohort mortality studyを実施した。 その結果、じん肺患者では_リウマチおよび類似疾患のSMRが有 意に増加し、_全悪性新生物のriskも有意に増加していること、_個々の悪性新生物では、肺癌のみならず食道癌、肝臓癌、脳腫瘍など各種臓器の悪性新生物のriskが高く、全悪性新生物死亡から肺癌死亡を除いた悪性新生物死亡も有意に増加していた。 肺癌に関しては、じん肺ないし粉じん暴露が肺癌のriskの原因であり、喫煙がその促進要因となっているとの結果であった。 (表6)(自抄)
舘 澄男. チューリップ球根栽培における作業時間の分析(第2報)−収穫作業−. 1990; 66(9): 408-419. keywords=農作業, 球根栽培, 収穫作業, タイムスタデイ, 労働負担.
前報と同様な目的、方法で、チューリップ球根栽培における収穫作業の時間調査をした。 調査対象とした収穫作業は、比較的機械化が進んだ4戸の作業である。 調査結果によると、10a当たり作業時間構成の65ー90%近くが球根拾い作業であった。この作業は、植付け作業と同様、手作業による女子の雇用労力が中心で、作業姿勢の86%は前屈と屈みであった。 また、乗用トラクタの操作(椅座位)による堀取りは、後部の作業機をみながらの作業である。頚部、肩甲部や腰背部など局所への負担が大きいことから、変則的な操作がみられた。事故の危険が考えられることについて述べた。(図5・表4)(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォークロア− 第I部 風土 −序にかえて−. 1990; 66(9): 420-430. keywords=自然, 風土, モンスーン, 砂漠
1935年和辻哲郎は「風土」を著わした。風土とよんでいるのは土地の気候、気象、地質、地味、地形、景観、などの総称で、和辻はこれを自然としてでなく、風土としてとらえている。そして、風土の類型としてモンスーン、砂漠、牧場の三つをあげて、これらに存在する民族や国家が特徴のある性質・性格を形成してきたとしている。中国ではモンスーン的性格に、砂漠的性格が形成されているし、エジプトでは乾燥と湿潤が同居して二重性格をもたらしている。しかし、最近では風土が急速に変貌しようとしている。それはグローバルな環境破壊のあらわれでもある。こうした風土の変貌は住民どのような影響を与えるのだろうか。さらに、もっとせまく、和辻の時代には洋式の共同部分に不安を感じていた日本人が戦後、共同住宅での生活をはじめている。こうした変貌もまた住民の性格に変化を与えるのかも知れない。(図13)(自抄)
海老原 勇, 篠川 英治, 川見 正機, 黒沢 民子. 石工のcohort研究. 1990; 66(10): 451-458. keywords=石工, 肺癌, 珪肺, 疫学, 胃癌.
東京・横浜の石工634名を解析cohortとし、1979年1月1日より 1988年12月31日まで観察したところ総死亡、じん肺およびじん肺結核、全悪性新生物、胃癌、肺癌のSMRの有意に増加が認められた。 喫煙状況別にじん肺患者の肺癌のriskを検討したところ、非喫煙者、過去喫煙者、喫煙者と喫煙程度が増加するにつれて肺癌のriskが増加するとともに、非喫煙者と過去喫煙者を合わせた集団でも肺癌の有意の増加が認められた。 これらの成績は、じん肺ないし粉じん暴露が肺癌のriskの要因であり、喫煙がその促進要因となっていることを明確に示すものであるが、とくに、粉じん暴露が肺癌のrisk因子である可能性を強く示唆するものであった。(表3)(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォークロアー 第II部 空気. 1990; 66(10): 459-475. keywords=空気, 機械換気, 酸素, 高地
自然環境を形成する重要な因子としての空気をとりあげた。 日本の社会が空気汚染に関心をもちはじめたのは1954年の米国の水爆実験以来であるが、空気の意味については、幕末にすでに酸素や炭酸瓦斯の知識が導入されていた。空調の前身である換気装置は、鉱山の坑内から始まった。16世紀にG. Agricollaはその著De re metallicaで、人力、馬力、水力を用いた機械換気を紹介している し、17世紀の中国の宗應星著「天空開物」には竹筒を用いた炭鉱の換気装置がみえる。日本でも徳川時代、鉱山坑内で唐箕が用いられている。空気汚染による塵肺は古くから存在していた。酸欠は多数人の集合によって今でも時々おこっている。4000m以上の高地での 生活が地球上存在し、低酸素環境が健康に大きな影響を与えている。 (図15・表2)(自抄)
森 紀樹, 島 正吾, 森田 邦彦, 栗田 秀樹, 吉田 勉, 荒川 友代, 谷脇 弘茂. 感作性金属腹腔投与マウスにおけるリンパ球の動態について −感作性金属の細胞毒性に関する実験的研究(3)−. 1990; 66(11): 493-499. keywords=ベリリウム, ジルコニウム, 白金, ニッケル, コバルト, 免疫担当細胞の動態, フロ−サイトメトリ−.
感作性金属(Be,Zr,Pt,Co,Ni)の細胞毒性を明らかにするために、金属投与マウスの脾臓中免疫担当細胞のpopulationの動態をフローサイトメトリーによって解析した。各金属塩のLD20の1/200, 1/100を隔日に5回腹腔投与した。 Be投与マウスは、Thy-1.2,Lyt-2,L3T4陽性細胞の減少、Ia陽性細胞の増加を認めた。Pt投与マウスは、Be投与マウスと同様の変化を示したが、Be投与マウスに比べ、顕著でなかった。Ni投与マウスは、Thy-1.2,Lyt-2,L3T4,Ia陽性細胞の減少を認め、特にLyt-2陽性細胞の減少は顕著であった。Zr及びCo投与マウスの免疫担当細胞の Populationの動態は、対照群マウスと類似していた。 (図4)(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォ−クロア− 第III部 水. 1990; 66(11): 500-522.
木村 菊二, 島影 喜久子, 斎藤 勝. 喫煙による室内空気汚染とその対策. 1990; 66(12): 545-567. keywords=喫煙による空気汚染, 喫煙, 非喫煙, 分煙, 喫煙の制限, 粉じん
本報では喫煙による空気汚染物質の発生量とその空気汚染物質に対する対策について検討を行った結果を報告する。 先ず始めに、cigarette1本喫煙することによる粒子状物質、CO およびNOxの発生量を実験的に求めた。 次に、都心にある空調装置を備えた多くのビル内の事務室において空気汚染物質の調査を行い、喫煙によって発生する空気汚染物質の評価と禁煙、分煙(禁煙室、喫煙場所、禁煙タイム)、節煙などの喫煙対策行っている幾つかの事務室において空気汚染物質の実態調査を行い検討を行った。 (図33・表8)(自抄)
田中 茂, 宇都宮 忠生, 阿部 真雄, 柳川 稔, 宮川 千賀子, 関 幸雄, 今宮 俊一郎. 拡散式検知管をつけた有機ガス用吸収缶の破過の推定に関する研究(第1報) 塗料製造工場での検知剤の変色と吸収缶の質量増加の関係について. 1990; 66(12): 568-574. keywords=吸収缶, 破過時間, 質量増加, 検知剤, 拡散式検知管.
拡散式検知管付き吸収缶を試作、検知剤(シリカゲルに酸化クロムと硫酸を含浸)の変色からの破過推定方法につき実験した。吸収缶の破過試験(対トルエン蒸気、対酢酸エチル蒸気)を行い、破過時間と検知剤の変色(黄→緑)開始時間とを判定。変色時間は破過時間の90ー66%の範囲で認められた。次に塗料製造工場(主成分: トルエン、酢酸エチル)で、作業者使用の有機ガス用吸収缶を回収、吸収缶質量増加測定と検知剤変色の確認を行った。両者の関係では増加が3gを越えた吸収缶で変色が認められた。更に、回収吸収缶につき、酢酸エチル離脱試験と、残存補集能力試験を実施。変色の認められない吸収缶は、すべて1ppm以下。一方、質量増加が3gを越え、変色の認められた吸収缶で、5ppm以上の酢酸エチル蒸気離脱があった。吸収缶質量増加と余命試験による破過時間の関係では、有意な相関(ー0.85=トルエン蒸気、ー0.82=酢酸エチル蒸気)が得ら れ、変色吸収缶は残存補集能力が低かった。これらの結果より、検知剤変色は、吸収缶破過の推定方法=吸収缶交換時期の目安として有効との示唆を得た。(図6・表1)(自抄)
高木 和男. アルミニウムの毒性とその解毒に関する考察. 1991; 67(1): 1-11. keywords=アルミニウム, 毒性, 痴呆症, シリケ−ト, 解毒.
アルミニュウムはながく無害なものと思われてきたが、最近透析療法を受けている患者に骨破壊症や地方症が発生すること、またアルツハイマー氏病の発生が主としてヨーロッパで注意されてきた。これらの原因がアルミニウムの蓄積によるのではないかといわれるようになってきたので、これらの学説を紹介した。(図1・表9) (自抄)
Ebihara Isamu, Shinokawa Eiji, Kawami Masaki, Kurosawa Tamiko. A cohort mortality study of stone masons in Tokyo and Yokohama of Japan.. 1991; 67(1): 1-6. keywords=Cohort study, Lung cancer, Silicosis, Stone masons
Ebihara Isamu, Shinokawa Eiji, Kawami Masaki, Kurosawa Tamiko. A retrospective cohort mortality study of cupper miners.. 1991; 67(1): 7-13. keywords=Cohort study, Mental miners, Silicosis, Lung cancer, Pneumoconiosis.
松藤 元. SchneebergとJachymovの鉱山の鉱夫における肺癌. 1991; 67(1): 12-20. keywords=肺癌, 鉱夫病, 放射線, シュネ−ベルク鉱山, ヤキモフ鉱山, ヨアヒムスタ−ル
15、16世紀にErz山脈のSchneebergとJachymov の鉱山で銀の採掘が始まった。そこでは特異な肺の病気が鉱夫に発生して鉱夫病と呼ばれ、Agricola以来多くのドイツの学者によって記されている。それを最初に科学的に調べたHartingとHesseは1897年それが悪性の肺腫瘍であることを示した。鉱夫の肺癌死亡率はPragueやViennaの市民のそれより著しく高く、死亡者中に占める肺癌死亡者の割合は鉱夫で 50ー80%と報告され、肺癌死亡鉱夫の総数は数百人に上るらしい。病因については放射線、ヒ素、粉じんなどいろいろの説があるが、放射線が最も有力のようである。(表8)(自抄)
Horiguchi Shun'ichi, Endo Ginji, Kiyota Ikuko, Miki Takami, Morii Hirotoshi. The bone mineral content in workers exposed to lead.. 1991; 67(1): 14-19. keywords=Lead, Occupational exposur, Bone minerals, Bone
Uehata Tetsunojo. KAROSHI due to occupational stress-related cardiovascular injuries among middle-aged workers in Japan.. 1991; 67(1): 20-28. keywords=Job stress, Cardiovascular disea, Long hour work, Workers' cmpensation, Karoshi.
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォ−クロア− 第IV部 環境. 1991; 67(1): 21-35. keywords=環境概念, 適応, アラカルフ, 文明
人間をとりまき、影響を与える関係にある外界、特に自然や社会のなかで生活体に影響を及ぼすような外の状況を環境とよんでいる。最近では地球規模の環境問題も注目されるようになった。 本校ではヴェルム氷期にアメリカ大陸にわたって南米の南極に近い方までひろがったモンゴロイドのアラカルフ族の低温環境への適応の例、文明の発祥と環境の関係についての所説をとりあげ、トレンビーの環境の挑戦と応答が文明と関係のあるとする説も考察してみた。 田園風景を自然と感じるが、日本もヨーロッパも森林をきり開いて作られたもの、田園風景は都市で生れ、そのため都市住民は田園と自然を混同するようになった。(図9)(自抄)
冨永 洋志夫, 張 振祥. VDT作業の電磁環境の実態. 1991; 67(2): 57-63. keywords=電磁環境, VDT, オフィス環境, 静電気帯電
オフィスにおける88機種、 298台のVDT電磁環境の実態をまとめた。スクリーン中央前方30cmの位置におけるpeak to peak値で電界パルスは最高 50V/mであった(16kHz-30kHz)。300kHz以上の電磁波はいずれも不検出であった。磁界測定値は、水平偏向磁界で磁界強度0.05ー0.64μT、時間微分値では10ー184mT/sである16kHz-30kHz)。垂直偏向磁界は60-90Hzで0.34-2.8μTと0.8-10.2mT/sであった。電界、磁界ともにsourceからの距離の逆三乗で減少する。静電気は298台の管面電位で0-14kV、約半数では1kV以下であった。湿度60%以上では管面電位は激減していた。測定結果は諸報告と同程度のものであり、工場の電磁機器環境や各許容基準値に比べてはるかに低い。(図4・表2)(自抄)
松藤 元. 明治時代における砲兵工厰の労働衛生調査. 1991; 67(2): 64-72. keywords=砲兵工厰, 明治時代, 集団健診, 職業病, 吸塵病, 水銀中毒, 鉛中毒, 鋳熱
明治初年から機械工業の中核となって兵器を生産した砲兵工廠では、日清戦争の開始から職工をふやし、設備を拡張し、就業時間を延長して生産を増強した結果労働者に各種の中毒が発生したので、東京工廠では明治年29年7月と明治38年9月、大阪工廠では明治38年8月から9月に労働者の集団健診が行われた。東京工廠では吸塵病、鉛中毒、水銀中毒、鋳熱、歯牙酸食症などが高率で診断されたが、自覚症状と視診が主であったからその診断には疑問がある。大阪では粉じん、SO2、CO2、硝酸が測定され、今日の許容濃度の数百倍から千倍にも及ぶ高い数値が記されて、測定方法の不完全なことが推定される。この調査は日本最初の集団健診である。 (表6)(自抄)
大倉 元宏, 窪田 悟, 飯田 裕康, 大久保 堯夫. 時間情報を付加した打鍵データの収集記録法 −ユーザインターフェース評価用ツール−. 1991; 67(2): 73-80. keywords=コンピュータ・ユーザ, インターフェース, ソフトウエア, 打鍵データ, 自動計測, 作業分析
コンピュタとユーザのインターフェースに関する人間工学的な視点は、ハードウエアの側面から、ソフトウエアに中心が移りつつある。ソフトウエアレベルにおけるユーザインターフェースの評価にあたってはユーザの打鍵データが重要な意味をもつと考えられる。そこで今回、使用コンピュータの機種に依存せず、またアプリケションソフトの性能にも影響を及ぼさない打鍵データ収集方法を考案した。 原理は簡単で、評価対象機のキーボードから送出される打鍵信号を分岐して、パーソナルコンピュータに取り込み、記録するものである。本方法は記録、分析の労力が小さく、汎用性が高いのが特徴である。(図5、付図3)
海老原 勇. 金属鉱山労働者のCohort研究. 1991; 67(3): 93-101. keywords=金属鉱山坑夫, じん肺, コホ−ト研究, 肺癌, SMR.
硫化銅を主とした硫化鉱を採掘する金属鉱山労働者男性370名を 対象として1967年から1988年まで、retrospective cohort studyを実施した。 その結果、粉じん作業者で肺癌のSMRが286と有意(p<0.01) に増加していた。粉じん作業年数別にみると、粉じん作業が長い群に肺癌のriskが高く、粉じん作業年数と肺癌のriskとに量・反応関係が示された。 粉じん作業者について、喫煙状況別に見ると喫煙程度が増加するにつれて肺癌のriskが有意に増加が認められた。 これらの成績は、粉じん暴露が肺癌のriskの要因であり、喫煙がその促進要因となっていることを明確に示すものであった。 (表5)(自抄)
松藤 元. 明治時代の労働衛生学. 1991; 67(3): 102-108. keywords=明治時代, 労働衛生学, 集団健診, 職業病
原始的蓄積と産業革命の完了の時代であった明治時代は、労働衛生学の草創期であった。当時零細工場が多く、婦人労働者の比重が大で、長時間労働と低賃金が強いられ、労働環境は劣悪であった。その必要が一部から唱えられた工場法は資本家の激しい反対を受け、やっと明治44年に議会を通過した。工業の発達とともに労働者にじん肺、鉛・水銀・リン中毒、潜水夫病白内障、書痙、日射病などの職業病が臨床の医師によって報告された。明治38年には砲兵工廠労働者に集団健診が行われ、明治34年には日本最初の労働衛生学の本が出版され、労働衛生の講義を学生に受けさせた工業学校もあった。動物実験も始められ、この学問の基礎がおかれた。 (表4)自抄)
櫻井 忠義. チェンソーのハンドル振動、騒音及び作業者への伝播振動. 1991; 67(3): 109-124. keywords=振動加速度, 振動伝播, 振動障害, 騒音, CO濃度.
振動障害の多発の原因となったのは1970年代に使用されたチェンソーである。測定方法がJISによって統一されたので、これらチェンソーを用いて玉切り中に振動、騒音、排気ガスを観測測定して、当時の暴露状況を明らかにした。散見される当時の測定方法による結果とも比較し、歴史的に評価を行なった。また同時に最近の防振チェンソーも測定してその大きさと特徴を観察した。当時のチェンソーのハンドル振動は100ー355m/s2で、騒音は115ー119dB(A)であ り強烈である。防振チェンソーの振動は200Hz以上の高周波数の減 衰が大きい。伝播振動は手腕だけでなく、肩、頭部でも観測、触知でき、無視できない大きさであった。(図9・表2)(自抄)
越河 六郎. CFSI(蓄積的疲労徴候インデックス)の妥当性と信頼性. 1991; 67(4): 145-157. keywords=蓄積的疲労徴候, 疲労感, 労働負担評価, 評定法
CFSIはワーカーの心身症状をたずね、労働などによる負荷の徴候を探ろうとする評定尺度として用いている。主成分分析による特性分類(8特性)は応答の内的整合性を示すものであり、外的基準との関連においても、妥当性の一面は検証されている。 本研究では、主としてTest-Retest間の応答の動播性から信頼性 の検討を行なった。対象者は病棟看護婦690名。第1回と第2回調 査のIntervalは、勤務の関係で4日から11日となる。調査期は 1988年12月。CFSIの各特性別に、Intervalごとの相関値を得た。Intervalが11日において、F5(気力減退)とF7(身体不調)で5%水準、他のIntervalでは、各特性すべて1%水準で有意な相関となっている。(表6・図5)(自抄)
松藤 元. オ−ストラリア北方海域における日本人潜水夫の潜水病. 1991; 67(4): 158-162. keywords=潜水病, 減圧症, 木曜島, アラフラ海
明治の初期から約80年にわたり、和歌山県人を主とした数千人の日本人潜水夫がオーストラリア北方の海域へ白喋貝の採取に出かけ、多数が潜水病に罹りそれにより死亡した者もいる、最初白人の雇主に雇われていたが、昭和9年ごろから日本人の船による採取が始まり、第二次世界大戦中の一時中断後昭和28ごろ再開されたものの、プラスチック工業の発達による貝の需要の低下などで、昭和37年ごろ廃止された。潜水夫は50mまで潜り、再圧装置がなくて潜水病 罹病率は高かったようだが、患者と死者の実数は不明である。今日でもその後遺症を持つ潜水夫がなお和歌山県に残っている。(表2・図1)(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォ−クロア− 第V部 環境汚染・環境破壊. 1991; 67(4): 163-184. keywords=環境汚染, 環境破壊, 大気汚染, スモッグ, 産業革命.
環境破壊の1例である大気汚染事件ではロンドンスモッグによるロンドン事件や、ロスアンゼルスの車を原因とするスモッグはよく知られている。日本でも明治の産業革命以来鉱害・鉱毒事件が多発した。足尾銅山の鉱毒事件は公害の原点としてよく知られているが、日立鉱山の大煙突は煙害対策に努力した遺跡でもある。 第二次大戦後、日本では産業の復興、都市化の進展ははげしい大気汚染を大都市や工業都市にもたらし、健康影響も発生し、水汚染とともにはげしい公害事件を発生させた。大気汚染対策に努力した結果、空気中の煤煙、SOx濃度は著しく減少したが、車の急増に つれてNOxtZ度は横ばいか、やや増加し、住民に不快感を与えている。(図22・表1)(自抄)
海老原 勇. じん肺の病理 −じん肺における血管変化の病理組織学的検討−. 1991; 67(5): 207-218. keywords=じん肺, 肺動脈枝, 右心不全, 粉じん巣
じん肺の剖検例について、肺内の血管系全般にわたり病理組織学に検討したところ、pulmonary arteriole から肺動脈、肺静脈など、肺内血管系全般にわたり、強い変化を認めた。 肺内血管の外膜周囲には、粉じんを摂取したmacrophageが大量に集積するとともに、粉じんは内膜直下にまで侵入するが、粉じんの侵入を受けた血管は、弾力線維増生、平滑筋の肥大から線維化にいたる所見をみる。また、閉塞性内膜炎により血管内腔は狭搾し、内腔の閉塞も認められる。 これらの変化は、じん肺に特徴的な所見であり、じん肺における右室不全の重要な要因であろう。(図19)(自抄)
栗田 明良, 鈴木 春子. 中小企業における高齢者雇用の現状と問題点 −東京都・調布市内の事業所調査から−. 1991; 67(5): 219-234. keywords=高齢者雇用, 中小企業, 定年制, 非正規雇用, 勤務延長, 再雇用制度
労働力不足が深刻な様相を呈している今日の中小・零細企業を主たる対象に、さしあたり雇用期間の延長が期待されている55歳ー65歳未満の高齢者等の雇用促進に資することを目的として、1990年5 月1日現在、調布市で実施した事業所調査の結果をとりまとめたも のである。定年年齢が今なお59歳といった水準に抑えられる一方、上限年齢が65歳を超える勤務延長ないし再雇用制度の導入が進み、高齢者の中途採用を行なっている事業所も1/3に達している。高齢 者の活用に意欲をみせる事業所も多く、「作業条件・環境の改善」や「賃金・賞与面での配慮」あるいは「勤務時間帯の弾力化」等の必要性を意識しているが、障害も少なくない。(図10・表12)(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォ−クロア− 第VI部 気温と人間. 1991; 67(5): 235-255. keywords=温熱環境, 高温環境, 寒冷環境, 熱中症, 寒冷耐性.
快適環境をつくり出すいくつかの環境条件のなかで温熱環境は最も重要なものの一つである。本論文では高温と寒冷の健康影響を中心に考察した。 日本の夏の高温では健康障害をおこすことは余り多くないが、南方の暑い国ではしばしば高齢者を中心に死亡者をだしている。日本の大企業では高温職場の環境改善は第二次大戦後急速に進んだ。夏には亜熱帯的気候下で生活する日本人であるが、日本人が特に耐暑性が大きいともいえない。 寒冷を考えると寒冷下の戦争では兵士に大きな被害を与えているし、冬の屋外作業は今でも健康影響は大きい。超低温の冷蔵庫は主として第二次大戦後に発達をした。日本人の耐寒性は個人差が大きい。(図23・表1)(自抄)
前原 直樹, 渡辺 明彦, 黒沢 純夫. 旅客機の低湿度、低気圧環境が生体に及ぼす影響. 1991; 67(6): 275-292. keywords=旅客機環境, 低湿度, 低気圧, 涙液量, 動脈血酸素飽和度.
旅客機内の低湿度、低気圧環境の生体影響に関する調査を行なった。調査は9月下旬、羽田・那覇(一部は下地)便の客室にて男性12人を対象として行なった高度が 3万ー4万ftの水平飛行時に は相対湿度は10%前後、気圧は800mbar前後と低下を示した。低湿 度状態では綿糸長が10mm未満の人の割合が増加する傾向が認められ、涙液量の低減状態が示された。又湿度に関連した自覚症状も低湿度環境に直接対応した変化を示す症状と時間経過が加わることで特徴を示す症状の2種類のパターンが認められた。乾燥度合いの評価は相対湿度の変動ときわめてよく一致していた。他方、SaO2は気圧低下に対しほぼ直線的な低下を示し水平飛行時には90%前後を示した。(図16・表2)(自抄)
林 敏子, 大下 市子, 山城 ミヤ子, 西原 照代, 高木 達也, 那須 正夫, 越河 六郎. 協業の梨農園経営農家における労働・栄養・休養. 1991; 67(6): 293-305. keywords=生活活動指数(χ), エネルギー消費量, 平均RMR, 食事調査, 協業梨栽培農家.
協業で赤梨を栽培しながら、個別経営で耕作を行っている農家( 男性19名、女性21名)の、生活時間調査、食事調査、蓄積的疲労徴候調査および健康診断を実施し、労働、栄養、休養について検討した。 農園作業の平均RMRは男性で1.48、女性で1.61と低く、協業により機械化されたところでは作業は軽減されていた。農園の作業に加えて自家農作業に従事する女性には、かなりの負担がかかっており、家事の負担もあり、疲労感を訴える者が多く、休養も充分でなかった。 エネルギー消費量は男性2571±487、女性2220± 441kcalに対しエネルギー摂取量は男性2473±305、女性1855± 305kcalであった。 (図3・表12)(自抄)
大西 徳明, 岡 智子, 田実 睦美. 入浴による姿勢保持筋群の疲労回復に関する研究. 1991; 67(7): 323-338. keywords=温浴, 筋圧迫痛, フリッカー値.
入浴は身体を清潔に保つための衛生的役割と気分をさっぱりさせるなどのストレスからの気分転換、あるいは温まることによる疲労の回復などの効果が注目されている。 今回、炭酸ガス入浴剤の効果をみるために成人女子22名(平均年齢20.9歳)に湯温度40°Cに10分間つかってもらった。入浴中や その後の心拍数変化は入浴後の一過性に激しく増高したが、これら生理的現象下におけるフリッカー値でみた大脳皮質の活動性は顕著な変化がみられなかった。しかし筋圧迫痛で調べた筋肉の疲れ回復傾向は疲れの大きい群でみられ、入浴剤使用において、その効果が大きい傾向にあった。(図14・表4)(自抄_j
田辺 隆司, 阿部 秀明, 斎藤 和雄. 新酪農村住民の生活と健康に関する研究 −アンケート調査に基づく定量分析−. 1991; 67(7): 339-348. keywords=アンケート調査, 新酪農村, 多変量解析, 「肩こり・腰痛」症状, 機械化, 健康度
北海道別海町の新酪農村住民の健康状態を把握するために、その結果、数量化III類出調査地域住民を「肩懲り・腰痛」症状と「し びれ・不眠」症状を訴えるタイプに分類することが出来た。さらに重回帰分析によって、機械化が「肩こり・腰痛」症状の軽減に寄与し、女性でその効果が大きいことと、高年齢化につれて健康度が増加することを示唆した。また、畑作業種が酪農業種と比較して機械台数等の影響を受けることを示した∴齦、「しびれ・不眠」症状 からは明確な結論は得られなかった。これは、疲労に対する感受性や回復力に性差・個人差があり、加えて生活環境によって修飾されるためと考えられた。(図1・表4)(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォークロア− 第VII部 労働科学研究所の温熱環境の研究. 1991; 67(8): 375-388. keywords=大原孫三郎, 暉峻義等, 労働科学研究所, 温熱環境
1921年倉紡の大原孫三郎社長は万寿工場内に若い暉峻義等を所長とした倉敷労働科学研究所を創立した。初期の実験的研究に湿度・温度の身体的精神的機能に及ぼす影響をテーマとした研究があった。以後こうした多くの実験的研究がみられる。十五年戦争下では高温労働に関連した研究、熱中症の調査研究など多くあった。 第二次対戦後には高温の許容基準に関連した実験的研究がとりあげられた。 一方、外気を考慮した冷房の至適温度の研究も長年にわたって行われた。 海難救助用の実験的研究もとりあげられた。(図18)(自抄)
城戸 照彦, 能川 浩二, 大道 正義, 山田 裕一, 石崎 昌夫, 本多 隆文, 釣谷 伊希子, 中川 秀昭, 田畑 正司, 森河 裕子. 職場における胃集団検診の評価 −10年間の胃癌の発見状況とその予後−. 1991; 67(8): 389-396. keywords=胃集団検診, 職場, 胃癌, 発見状況, 予後.
職域での胃集団検診の有効性を評価するため、金属製品製造業従事者約7200名のうち35歳以上の者を対象に昭和55年より毎年間接撮影による胃集団検診を実施してきた。その結果は、30名(男21名、 その結果は、30名(男21名、女9名)の胃癌症例が発見された。 検診で18名が発見され、その発見率は最近5年間の平均で0.09%で あった。他方、いわゆる「見逃し」例は9名(33%)であった。両群について、早期胃癌発見率、致命率、累積生存率を比較したが、有意な差は認められなかった。以上より、現状の間接撮影による胃集団検診は、十分満足できる成績とはいえず、平成2 年度より医療機関による直接撮影を実施している。(図5・表4)(自抄)
海老原 勇. じん肺に広汎な細気管支炎を併発した症例についての臨床病理学的検討. 1991; 67(9): 421-433. keywords=びまん性汎細気管支炎, じん肺, 免疫学的防禦機構, 粉じん
じん肺に合併したびまん性汎細気管支炎および、気管支から細気管支にいたる広汎な気道に、小円形細胞浸潤をともなう重篤な気管支炎を示す5症例を報告した。3例は金属鉱山の坑内夫で、遊離珪酸じんの暴露を受けており、残りの2例は鉄工であった。 胸部X線写真で、1例は珪肺所見が明確であったが、他の 4例は細気管支炎の所見により、じん肺性陰影が不明化しており、粉じん職歴を有する者のびまん性汎細気管支炎の診断上、注意が必要である。 粉じん暴露者にびまん性汎細気管支炎が多いことの要因として、粉じん暴露による免疫学的異常と、粉じん暴露による局所の刺激が複合し、発症に結びつくものと考えられた。(図20)(自抄)
松藤 元. 工場法と明治時代の医界. 1991; 67(9): 434-445. keywords=工場法, 明治時代, 医学界, 労働衛生史, 労働保護.
明治の改元とともに長年の鎖国が解かれ諸外国から新しい学問や技術が入り工業が盛んになった。新政府は明治15年から工場法の草案の作成に取り掛ったが資本家の反対で明治44年になって議会を通ったものの実施は大正5 年であった。その間医学界からの発言は工場法の制定に賛成で、初期にはその早期公布が要望され、その後政府案の骨組がまとまるにつれて医学的観点から各種の修正が求められた。しかし工場法の成立を急いだ政府は繊維業界など財界の反対を和らげるのに努力し、医学界からの要請は全く無視されてしまった。明治期は労働衛生学の草創期で労働者の健康状態を調べた成績がなかったことも一原因であったと思われる。(表2)(自抄)
川見 正機, 海老原 勇, 川見 昌子, 篠川 英治. 石綿暴露とその職業的背景 −肺内石綿繊維濃度及び含鉄小体濃度−. 1991; 67(10): 469-480. keywords=石綿暴露, 職業的背景, 建設関連労働者, 造船所溶接労働者, 港湾荷役労働者.
67例の剖検肺組織あるいは切除肺組織内の無機繊維、石綿繊維、含鉄小体濃度を測定し、石綿暴露量とその職業的暴露背景について検討を実施した。 その結果、非石綿暴露職種群においても石綿繊維の検出を確認し、石綿暴露の機会は広範囲に及んでいた。また、石綿を常時、直接的に取り扱った職種群はもとより、とくに石綿暴露が軽視されがちであった建設関連労働、港湾荷役、造船所溶接といった職種群においても高濃度な石綿暴露を確認した。これは、こうした職種の労働者において、肺癌、悪性中皮腫あるいは肺組織の繊維化を認めたならば、職業的石綿暴露との関連性を強く追求することが肝要であることを示唆した。
松藤 元. 労働衛生学の先覚者窪川忠吉の生涯とその著書「工業衛生学」. 1991; 67(10): 481-494. keywords=明治時代, 労働衛生史, 労働衛生学, 工業衛生学の著書
窪川忠吉は明治4 年山梨県に生まれ、私立済生学舎で医学を修め、明治31年国家医学界の講習科で工業衛生学を学び、内外科を標傍して開業し、明治39年腸結核で死亡した。彼は明治34年本邦最初の労働衛生学の専門書を出版した。それは 163ページの小型本であるが総論、工業上の障害、工業保護法の3 部より構成され、系統的に記述されている。出版後間もなくそれは全く忘れられ、昭和30年代になって再発見された。専門家でない窪川が何を元にこの本を書き、序文を書いてもらった急進的な社会主義者幸徳秋水とどんな関係にあったか、なぜ産婦人科医に転じて労働医学と絶縁したか、など多くの疑問は残されたままである。(図1・表4)(自抄)
Kubota Satoru. Effects of intercharacter spacing, interline spacing and line length on readability of texts on a visual display screen.. 1991; 67(11): 1-10. keywords=Visual display termi, Readability, Screen format, Eye movements, Electro-oculography.
Ichikawa Endo Yoko, Kusaka Yukinori, Ogawa Yasutaka, Goto Sigeru. Changes of cobalt concentrations in blood and urine during a single exposure and repeated one-year exposure to cobalt.. 1991; 67(11): 11-20. keywords=Single exposure, Repeated exposure, Cobalt in blood, Cobalt in urine, Biological half time.
木村 菊二. 防じんマスクの顔面への密着性に関する研究(第3報) −MASK FITTING TESTER について−. 1991; 67(11): 517-524. keywords=防じんマスク, 密着性試験, 密着性, 侵入率, 粉じん
防じんマスクには、取替え式防じんマスクと使い捨て式防じんマスクの2種類がある。取替え式防じんマスクには、着用者自身がその顔面への密着性の良否を検査できるものであること、という規定があるが、使い捨て式防じんマスクには、このような規定はなく、密着性の良否を知ることはできない。本報では防じんマスクの顔面への密着性を定量的に簡単に試験することができる MASK FITTING TESTER を試作し、検討した結果を 報告する。MASK FITTING TESTER は粒径0.7μm以上の粒子のみを計測する perticle counterで、使用する防じんマスクをそのまま、一般の事務室内などに浮遊する粉塵によって試験することが可能である。 (図5・表1)(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォークロアー 第VIII部 温熱環境とアメニティ. 1991; 67(11): 525-542. keywords=温熱環境, 快適温度, アメニテイ, 快適環境, 労働安全衛生法.
1972年、日本では労働安全衛生法が制定された。この法律のなかで、総合的計画的な対策を推進することによって職場の安全と健康を確保するとともに快適な作業環境を促進することを目的とするとのべている。 日本は1960年代の後半に公害対策に力を注いだ結果、公害の改善はかなり進んだが生活のなかのアメニティは達成しなかった。 本論文では環境の快適条件のなかで、快適温度を中心に、これを移動させる条件を考案してみた。(図16・表1)(自抄)
Kimura Kikuzi. A study on facepiece-to-face fitting of dust respirators (Report 3): Mask fitting tester.. 1991; 67(12): 1-8. keywords=Dust respirator, Fitting test, Fitness, Invasion rate
Kawai Toshio, Horiguchi Shun'ichi, Teramoto Keiko, Endo Ginji, Hirase Yukiyoshi, Iwai Toshikazu, Yasugi Tomojiro, Wakitani Fumiko. Urine N-acetyl-β-D-glucosaminidase activity in workers exposed to mixtures of some organic solvents.. 1991; 67(12): 9-14. keywords=Urine, N-acetyl-β-D-glucos, Organic solvent, Styrene, β2-microglobulin.
島 正吾, 荒川 友代, 加藤 保夫, 吉田 勉, 谷脇 弘茂, 長岡 芳, 西田 有子, 大谷 尚子. 窯業じん肺者の肺結核並びに肺がんに関する疫学的研究. 1991; 67(12): 565-573. keywords=じん肺, 肺がん, 肺結核, 死亡率, 発生率.
窯業じん肺者960名、対照337名を対象に1979ー1990年のコホート 研究をした。全悪性新生物の年齢訂正死亡率(1000人年対)は、 PRo:1.5に対し、PR4:5.6と有意に高く、肺がんはPRo:0.6に対し PR1-4:0.9、PR4:3.4と高かったが有意差はなかった。1986ー1990年 におけるSMRはPR4群では悪性新生物:294、直腸がん:2857、肺が ん:909、肺結核:5000で有意に高く、特に肺がんはPR1-4:214で有意に高かったが、PR1-PR3では有意差はなかった。肺結核年齢訂正 発生率は、PRo:0.9,PR1:3.4,PR2:4.2,PR3:9.5,PR4:16.1と順に高く、PRoに対しPR1-PR4のいずれも有意に高率であった。肺結核のSIR はPR1:258,PR2:243,PR3:1158と有意に高かった。(表5)(自抄)
鈴木 春子, 栗田 明良. 個人対応型勤務制度下の女子パートタイマー −大規模小売店でのアンケート調査から−. 1991; 67(12): 574-587. keywords=女子パートタイマー, 勤務制度, 有配偶女子就労者, 大規模小売店
パートタイマーを対象に、勤務時間や職種の選択の幅を広げるなど、就業希望者の意向を尊重した個人対応型勤務制度を採用している大規模小売店で、女子パートタイマーを対象に質問紙による就業状況等の調査を行い、981名の調査結果をまとめた。対象者全体で は平均年齢が低い、無配偶率が高い、最終学歴が高い等の特徴がみられた。有配偶者を週労働時間の長さによって3段階に分けて見ると、最も特徴的なのは短時間労働(週20時間未満)のグループで、短大・高専卒以上の高学歴者が半数近くを占め、配偶者の所得水準は高く、通勤時間60分以上が1/3にのぼる。就労理由に占める収入 のウエイトは低く、パートで働くことの意味合いを考えさせられる結果であった (表12・図9)(自抄)
小池 正雄, 加藤 良成. 木曽谷における林業労働者の存在形態 −素材生産業者側からの接近−. 1992; 68(1): 1-10. keywords=木曾谷, 木曾桧, 素材生産業者, 林業労働者, 流域管理システム.
国有林主体の有名林業地帯である木曾谷地域にフィールド設定し素材生産業者の側から林業労働者問題に接近した。素材業者の存立基盤である地域に賦存する森材資源の状況、また配下の林業労働者の存在形態の両面から考察を加えた。 現在森林政策の柱として地域に存在する民間林業事業体の活用を柱とした「流域管理システム」が実行に移されつつある。しかしその施策の受け皿となる民間事業体の存立基盤は、特に労働力の側面においてあまりにも貧弱であるといえよう。(表2)(自抄)
千田 忠男. 労働態様の変化と本来的労働負担の軽減. 1992; 68(1): 11-20. keywords=労働科学, 生産様式, 労働態様, 本来的労働負担, 労働のリズム.
わが国の労働科学の学説史的検討から「労働態様」概念について次の仮設を提案した。 A.労働態様概念は「労働それ自身の性質」として1951年の暉峻義等によって提起された。 B.その内実は、課題処理における人間の諸機能の発揮の仕方にかかわる因子と作業への適応としてのリズム性にかかわる因子、作業への適応を持続できる時間にかかわる因子の三つの因子から成っている。 C.労働態様の変化は一般に本来的労働負担の軽減をともなうが条件によっては、現代的労働負担が発生し増大する可能性を否定できない。(図・表0)(自抄)
高橋 誠, 飯田 裕康, 窪田 悟, 西岡 昭. CRTディスプレイの好適表示色に関する実験的研究 −I. 主観評価による好適文字色の検討−. 1992; 68(2): 41-46. keywords=CRTディスプレイ, 文字色, 刺激純度, 文字輝度, 好適性.
陰画表示型CRTディスプレイの好適文字色について、主観評価によって実験的に検討した。その結果、文字輝度とともに文字色の刺激純度が規定因となっていることが判明した。背景輝度1cd/m2では文字輝度40cd/m2の刺激純度が低い淡い黄・黄緑・シアンなどの文字色が好適文字色として評価が高かった。 (表1・図3)(自抄)
佐々木 司, 斎藤 良夫, 菊池 安行. 夜間時間帯にとられる仮眠の効果に関する文献的考察. 1992; 68(2): 47-59. keywords=文献研究, 仮眠, 夜勤労働睡眠構造.
本論文は、夜間時間にとられる仮眠にどのような効果があるかを5つの時刻帯を想定して検討を行った。その5つの時刻帯とは、仮眠期間、仮眠覚醒後から0800まで、昼間睡眠期間、昼間睡眠後から夜間睡眠後まで、夜間睡眠期間である。その結果、各時刻帯における仮眠効果は一様にあらわれるのではないことが明らかになた。このことは、今後仮眠効果を議論する場合、仮眠をとった後にその効果をいくつかの時刻帯に分けて議論するべきであることを示唆するものである。また、その際、どの時刻帯の仮眠効果を優先させるかと言う問題が重要になる。さらに、仮眠の覚醒水準に及ぼす効果に関して、どのような指標でその効果を捉えればよいのかの検討も必要である。(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォークロア− 第IX部 オフィスの空気とアメニティ. 1992; 68(3): 85-101. keywords=自然, 人工環境, 快適環境, フォークロア, オフィス, 空気, アメニティ.
第8部で温熱環境とアメニティについて検討した。オフィスの労働条件や温熱条件が快適であっても、オフィスの空気汚染もアメニティに関係する。1980年頃からSick Building Syndrome, Tight Building Syndrome とよばれる不快を中心としたビルでおこる症状が欧米で注目されはじめた¥ヌ状は風邪や花粉症に似ているが、こ れとは異なる。省エネのためにほとんど閉鎖状態でエネルギー効率デザインのために再循環式空調システムをとったビルでおこることが特徴である。わが国ではビル管法や、事務所衛生基準規則による規制があって、換気が比較的良好に保たれているので、健康傷害などは認めないが、不快感がないわけではない。(図17・表7) (自抄)
松藤 元. 日本の鉄道労働衛生学の歴史. 1992; 68(3): 102-114. keywords=日本, 鉄道労働衛生学, 歴史.
わが国では明治5年に最初の鉄道が新橋・横浜間に開通し、大正9年鉄道省と地方鉄道局に衛生試験室が設置され、鉄道衛生の調査が開始され、掘さく中のトンネル、トンネル内の機関車キャブ、車両工場などで有害物の測定がなされた。第二次世界対戦後労働科学室が生まれ、昭和37年の三河島事故をきっかけに翌年運転事故の防止を主目的に労働科学研究所が設立された。医学部門では各種作業場の環境、職業病、労働者の作業負担と疲労が研究され、その成果は主に「鉄道労働科学」誌に発表された。昭和63年の鉄道民営化で鉄道労働科学研究所は廃止され、鉄道労働衛生学の組織的な研究は終った。(自抄)
三浦 豊彦. 自然と人工環境 −快適環境のフォークロア− 第X部 オフィス環境のアメニティ因子. 1992; 68(4): 135-146. keywords=オフィス環境, 香り, 照明, 騒音, 空気イオン.
前報までで温熱環境、空気環境とアメニテイを考察してきたが、本稿ではその他の諸条件をとりあげた。 臭気が問題となるのはもちろんだが、室内に香りを快適とする人は50%をこえてはいないようである。 オフィスにOA機器の導入の初期の頃から、照明問題はつねに訴えのなかに含まれていた。照明の不良が、種々の作業関連の症状をおこしている。 騒音では60dB以上でうるさいという人が多くなる。 空気イオンは今は余り強調されなくなった。 スペースの狭さや、オフィスの部屋のスタイルも快適性には影響する。(図8・表4)(自抄)
田中 幸子, 野沢 浩. 看護労働の特性分析と法的諸問題 −「看護過失」の法的考察. 1992; 68(4): 147-159. keywords=看護労働, 労働科学的分析, 看護体制, 看護過失, 看護労働の特性.
患者との接触時間は「看護の質」をはかる尺度となり得る。しかし、患者との接触の機会となる看護業務の「主作業」 実施に際して、準備・後始末などの「付帯作業」が、おおきな割合を占めている。1日の労働時間の中で継続的な質の高い看護を患者に享受するには、業務の再検討が必要である。 「幼児転落事件」やその他の判例から考察すると、看護過失と労働環境とは密接な関わりがみられる。看護過失の発生原因には看護体制の不備が考えられ、組織的な業務改善が必要である。 看護事故の予防のためには表面的な看護過失にとらわれることなく、管理体制と労働環境をも同時に整えられなければならない。 (図3)(自抄)
越河 六郎, 安倍 和則, 平田 敦子. 夜間保育所保母の職務と労働負担 (2)労働負担調査の結果. 1992; 68(5): 189-199. keywords=夜間保育, 保母, 労働負担, 疲労感
主として負担調査とCFSI応答の結果を示した。調査項目は、フリッカー検査、「疲れ感」の主観評価、他、対象は前報(1)と同じ夜間保育所保母、検査測定時点は、昼間保育(N=13)7時点(0800ー1630)、夜間保育(N=8)6時点(1430ー2100)、深夜保育(N=4)9時点(1430ー0130)とした。CFF値の推移は、 昼間保育では勤務開始時から終了時まで、比較的高く経過しているが、夜間および深夜保育では、勤務終了時にかけて昼間保育と比し3Hz前後(中央値)低い値である。疲労感・眠さの評定は、深夜保育の勤務終了時3時は相対的に大きい値を示している。 CFSI応答パターンは、昼間保育(N=150)、パターンは「 II-f6」と安定しているが、深夜保育(N=21)では「III-F7, F6,f1A」となる。(図6・表1)(自抄)
栗田 明良, 鈴木 春子. 兼業農家における女子労働の現状と問題点 −神奈川県下におけるアンケート調査から−. 1992; 68(5): 200-215. keywords=兼業農家, 女子労働, 性別役割分担, 余暇時間
高度成熟社会の到来を目前にひかえ、農業経営と農業労働の担い手として新たな期待を寄せられている女子労働力の評価をめぐって実施したアンケート調査の結果を再整理したものである。多様化した兼業農家の主婦の中でも、経営規模が相対的に大きい「専業的農家」では伝統的な性別役割分担の枠組みが基本的に維持され、主婦が「負担に感じる」農作業は少ないが、その余暇生活の現状は余りにも貧弱である。一方、兼業従事を主とする夫に代わって自家農業を支える「主婦農業」の担い手は、トラクター等の機械作業や経営管理にも意欲的で、「自分で自由に使える」余暇時間も相対的に充実しているのであるが、人力等による一般の農作業を敬遠する傾向もまた強いようである。(表20)(自抄)
窪田 悟. 日本語ワープロソフトのユーザインタフェースの評価. 1992; 68(6): 237-245. keywords=ユーザインタフェース, 操作性, ワードプロセッサ, メニュー構造, 認知工学.
コンピュータのソフトウヱアとして、最も広範囲に利用されている、日本語ワープロソフトの編集機能の操作性を、ノビスユーザの作業パフォーマンスと主観評価を指標にして実験的に比較した。その結果からワープロの操作性を左右している要因について検討した。比較したワープロは、4種類である。被験者は、初心者20名で、置換、移動、複写などの編集機能を使うベンチマーク作業を実行した。作業パフォーマンスは、タイムスタンプ付きの打鍵データから分析した。結果は、ワープロ間の作業遂行時間の差は、意図した機能の検索と選択の時間に依存していることが明らかとなった。機能の検索と選択に要する時間を左右しているコマンドメニューの構造と機能名の付け方について考察した。(表1・図10)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論 (I) −クロマニヨン人、古代エジプト、ギリシア、ローマ人の労働観−. 1992; 68(6): 246-254. keywords=労働観, クロマニヨン人, 古代エジプト, ギリシア人, ローマ人.
古代の人々がどんな労働観をもっていたか、考えてみた。 クロマニヨン人はクロマニヨン地方に残る洞窟画にその生活を残した。彼等の労働は自分のためであるか、小集団のためで、きびしい生活をしていた。 古代エジプトでは王や高官のために働く多数の人々がいた。旧約聖書「出エジプト記」にはイスラエル人の奴隷的労働が伝えられている。 古代ギリシアは労働はつまらない人間がすることと軽蔑していたらしい。 ローマでは富裕な市民は召使のほか、多数の奴隷をもち、彼等が働いた。やがて、キリスト教が普及すると、労働は神から与えられた罰と考えるようになった。(図6)(自抄)
高橋 誠, 飯田 裕康, 窪田 悟, 西岡 昭. CRTディスプレイの好適表示色に関する実験的研究 II. 文字検索パフォーマンスによる文字色の刺激純度と色相の検討. 1992; 68(7): 285-291. keywords=CRTディスプレイ, 文字色, 刺激純度, 色相, 文字輝度, 好適文字色, 検索パフォーマンス.
文字の刺激純度や色相が文字検索パフォーマンスに影響するかどうか検討を加えた。まず、実験1.では黄色系統の中から刺激純度と文字輝度が異なる合計10種の文字色の文字検索応答時間と誤答率を調べた。12名の被験者の結果は、文字輝度の効果は文字検索応答時間において有意であったが、刺激純度は文字検索応答時間に誤答率にも見られなかった。実験2.では等輝度の文字色で刺激純度と色相が異なる赤、黄、緑、シアン等10種の文字色を採用し、同様に文字検索パフォーマンスを比較した。そこにおいても、刺激純度および色相の効果は出現せず、文字検索パフォーマンスには刺激純度や色相はほとんど影響しないことが確認された。 (図6・表2)(自抄)
大竹 美登利, 斎藤 良夫, 関 久子. 東京多摩ニュータウン在住の労働者夫妻の生活時間にみる性別役割分担と長時間労働の影響. 1992; 68(7): 292-300. keywords=生活時間, 労働者, 夫妻, 長時間労働, 性別役割分担.
東京の郊外住宅地、多摩ニュータウン在住のサラリーマン夫妻 197組の生活時間調査の結果、次のようなことが明らかになった。 1.平日の夫の収入労働時間は1日の過半に及び、長時間労働である。 2.夫の収入労働時間は同地区で1985年に行った同様の調査より長くなっており、労働時間の延長が進展していることを示している 3.夫妻の伝統的な性別役割分担が明確で、家事労働のほとんどは妻が担っている。 4.夫が「一緒にいたひと」は平日のほとんどが「仕事関係の人」であり、家族交流の機会はなきにひとしい。 5.妻が「子供と」いる時間及び「配偶者と」いる時間は、妻の職の有無・勤務形態によってことなるのは「ひとりで」と「仕事関系の人と」いる時間でであり、無職の妻は前者が長く、常勤の妻は後者が長い。 6.夫の収入労働時間が長いと、家事的生活時間や社会的文化的生活時間は短くなる。 7.夫の平日の収入労働時間の長短はその日の他の生活時間配分に影響を及ぼすだけでなく、家族との共有時間や無職の妻の生活
堀口 俊一, 円藤 吟史, 福本 紘一, 清田 郁子. 免疫系に及ぼす鉛の影響. 1992; 68(8): 319-330. keywords=鉛, 鉛中毒, 免疫, 免疫系
三浦 豊彦. 労働観私論(II) −昔の日本人の労働観−. 1992; 68(8): 331-346. keywords=論語, 農民, 職人, 鉱夫, そま人.
労働科学研究所. 過去20年間における労働科学研究所の研究 労働科学研究所創立70周年記念特集号. 1992; 68(9): 367-488. keywords=過去20年間, 労働科学研究所の研究, 創立70周年, 特集号
越河 六郎, 藤井 亀, 平田 敦子. 労働負担の主観的評価法に関する研究(1) −CFSI(蓄積的疲労徴候インデックス)改訂の概要−. 1992; 68(10): 489-502. keywords=労働負担, 主観評価, 評定法, 蓄積的疲労徴候, 労働条件.
宇土 博, 瀬尾 明彦, 甲田 茂樹, 車谷 典男, 出島 牧彦, 久繁 哲徳, 藤村 隆, 松浦 良和, 松村 克彦, 伊木 雅之. 腰痛予防ベルトの効果に関する研究(第II報) −米穀運送作業に於ける検討. 1992; 68(10): 503-519. keywords=腰痛症, 予防効果, 腰ベルト.
藤垣 裕子, 飯田 裕康. メンタルワークロード概念の諸相. 1992; 68(11): 549-559. keywords=メンタルワークロード, ストレス, 標準化, 課業分析, 測定方法.
酒井 一博, 渡辺 明彦, 天明 佳臣, 西岡 昭. 交代勤務編成の現状と改善方向. 1992; 68(11): 560-585. keywords=交代制の改善, 連繰三交代, 9組3交代制, 労働時間の短縮
松藤 元. ドイツに於ける鏡製造工の水銀中毒. 1992; 68(12): 609-620. keywords=鏡製造, 水銀中毒, ドイツ, 19世紀
ガラスに水銀と錫のアマルガムを張る鏡の製造は1500年ごろに発明されて、1700年ごろNurnberg からFurth に伝わり、Furth は、鏡製造の中心地となった。この地の鏡工ではその後200年ほどの間水銀中毒が発生した。その製造の技術は簡単で、複雑な設備を必要としないので小工場が多く、労働者の数も少なく、社会の注目を受けることはあまりなかった。従って医学の研究も多くはない。それでも中毒予防の対策が取られ、法律が公布されて、中毒患者の数は減り、水銀の代わりに硝酸銀を用いる方法が19世紀の終りに実用化されて、鏡製造で水銀中毒は姿を消した。(表 9)(自抄)
野沢 浩. 労働者派遣とUnion Rights の問題. 1992; 68(12): 621-639. keywords=派遣労働者, 派遣元企業, 派遣先会社, 団体交渉権, 労働者派遣法
わが国の「労働者派遣法」(略称)は、先進工業諸国に比べいくらか早い時期に制定されたとみてよい。EC加盟国ではまだ禁止中の2、3の国を除くと、ようやく1992年度末までに、指令の示す基本原則に立脚してそれぞれの国内法・規則等の整備をするように定められている。派遣法の下では派遣労働者は派遣元に雇われ、派遣先では就労するだけだから、団交権等は派遣元使用者に対してのみ行使され、派遣先に対しては保障されないものとの解釈は有力である。しかし同法第27条や40条などの公定的解釈などを検討してみると、必ずしもこのような一義的解釈に徹していると断定することはできない。実定法規に即しかつ比較法学的検証も加えて、派遣と集団関係のあり方につき問題指摘を行なってみた。
(表2)(自抄)
藤井 亀, 越河 六郎, 平田 敦子. 労働負担の主観的評価法に関する研究 (2) −CFSIの統計的解析−. 1993; 69(1): 1-9. keywords=労働負担, 主観評価, 評定法, 蓄積的疲労徴候, 労働条件, 主成分分析
本研究第1報で、CFSI ( 蓄積的疲労徴候インデックス) 改訂の概要を述べた。本稿では、「最近の心身の症状項目」として設定した81の質問項目について、主成分分析ほかの統計的処理を行い、それに基づいて同じ特性を持つと考えられる項目群への分類を試みた。
特性項目分類、特に特性の意味づけに当たっては、現行の尺度による調査結果と労働負担判定の実績も十分考慮した。
改訂された各特性項目群の名称・項目数は次の通りである。
NF 1 気力の減退 (8項目、α=0.842) NF 2-1 一般的疲労感 (10項目、α=0.735) NF 2-2 身体不調 ( 7項目、α=0.625) NF 3 イライラの状態 ( 7項目、α=0.779) NF 4 労働意欲の低下 ( 13項目、α=0.842) NF 5-1 不安感 ( 11項目、α=0.811) NF 5-2 抑うつ感 ( 9項目、α=0.773) NF 6 慢性疲労 ( 8項目、α=0.813) (図1・表5)(自抄)
Horiguchi Shun'ichi, Kurosawa Katsuya, Endo Ginji, Kiyota Ikuko, Teramoto Keiko, Shinagawa Kozo, Wakitani Fumiko, Fukui Mitsuru. A 40-year review of health of workers at a lead reclamation factory. 1993; 69(1): 1-12. keywords=Lead reclamation; Lead workers; Lead exposure; Industrial health
宇土 博, 吉永 文隆, 谷田 秀則, 海野 英樹, 吉岡 光治. 腰痛予防ベルトの効果に関する研究 (第III報) −起重機作業に於ける検討−. 1993; 69(1): 10-21. keywords=腰痛症, 予防効果, 腰ベルト, 起重機作業.
近年、職業性腰痛の予防対策として重量挙げ選手の腹帯の応用が試みられているが、その有効性についての系統的研究は行なわれていない。著者等は、この腹帯にヒントを得て腰痛予防ベルトを考案し、前傾座位姿勢および振動負荷を特徴とする起重機作業者を対象に装着させ、非装着群との比較調査を行った。ベルト群で有意に運動痛、筋圧迫痛閾値、ラセーグ・テストの改善が認められた。運動痛・筋圧迫痛閾値の改善者率は、ベルト群58.6%、非ベルト群29.2%であり、ベルト群に有意の改善が認められた。ベルト群の症度別の運動痛・筋圧迫痛閾値の改善者率は、中等度以上の者に高く100%であった。
腰痛予防ベルトは、前傾座位姿勢および振動負担を特徴とする起重機作業者の腰部の負担を減少させ、腰痛に対して高い改善効果が認められた。(図17・写4・表9)(自抄)
Adachi Muneo, Teramoto Keiko, Wakitani Fumiko, Horiguchi Shun'ichi. Effects of exposure to a mixture of toluene and methyl ethyl ketone on the operant behavior of rats. 1993; 69(1): 13-22. keywords=Toluene; MEK; Exposure to mixture; Operant behavior; Skinner box;
庄司 昭伸, 堀口 俊一, 圓藤 吟史. 鉛作業者におけるスクラッチテストの陽性率. 1993; 69(2): 39-44. keywords=スクラッチテスト, IgE, 鉛精錬作業者, 花粉アレルゲン, アレルギー性皮膚炎
鉛精錬作業者を対象にアキノキリンソウ、オオアワガエリ、ヨモギを被検物質としたスクラッチテストを実施し、K病院皮膚科患者群および健常者群と比較した。その結果、鉛精錬作業者群において3物質とも健常群より陽性頻度が高く、とくに男子のオオアワガエリでは統計的に有意であった (P<0.05) 。鉛精錬作業者ではこれらの3者で同時陽性が見られた。スクラッチテストの結果は血中鉛濃度との間および喫煙者、非喫煙者との間で関連性は認められなかった。酢酸鉛水溶液10%、1%では全員陰性で鉛による1型アレルギーは認められなかった。また、また、IgEとこれらのスクラッチテストの結果の間に相関はなかった。 (表4)(自抄)
向井 希宏. 組立作業における高年齢者の作業遂行行動について −組立経験の効果に注目して−. 1993; 69(2): 45-56. keywords=技能習熟, 加齢, 組立作業, 動作時間分析, 作業方略
本研究では、高年齢者の作業行動の特徴を、実験課題自体の持つ特性と関連づけて明らかにする。被験者は、高年齢者と若年者(学生)各5名である。課題は、組立の容易な「手押し車」と、複雑な「乳母車」の2種類であり、技能の獲得メカニズムを明らかにするため、動作時間分析手法を用いた。
検討の結果、高年齢者の場合、技能習熟に必要な時間に個人差が大きいこと、個人差は、組立所要時間、要素動作時間、作業方略や意識としての作業のまとまりのいずれの面でも顕著であることが示され、若年者の場合組立2回めで試行錯誤の混乱はなくなり、組立所要時間が被験者間でほぼ一定のレベルに達することが明らかになった。 (図9・表7)(自抄)
田中 茂, 城戸 滋里, 柳川 稔, 関 幸雄, 今宮 俊一郎. 植物検疫くん蒸作業者の顔面と全面面体との密着性に関する研究 (第1報) マスクフィティングテスターを用いた漏れ率の測定に関する検討. 1993; 69(2): 57-62. keywords=密着性試験, 植物検疫くん蒸作業者, 隔離式吸収缶, 漏れ率, 粉じん
植物検疫くん蒸作業者の顔面と全面面体の密着率の測定にマスクフィティングテスターを使用した。その結果マスク内部の試料空気を採取するために密着試験用ガイドを使用すると、挿入部からの漏れが生じた。そこで、試作した排気弁にとりつけるアタッチメントを用いることにより、正しく漏れ率を測定することが出来た。このテスターは室内の粉じんを利用して漏れ率を測定しているが、植物検疫くん蒸作業者はガス状物質を使用している。そこで、粉じんとガス状物質の漏れ率試験の比較を行った結果、同じ漏れ率が得られた。このことより、ガス状物質の漏れ率測定の代用として、テスターを用いた粉じんによる漏れ率の測定によって信頼性の高い結果が得られたことが確認された。(図7)(自抄)
Kikkawa Toshiko, Takagi Hiroto, Tao Masao. Computer technology and motivation for work: A case of newspaper company. 1993; 69(3): 1-8. keywords=Computerization; Motivation for work; Job characteristics; Cognitive ability;
Endo Ginji, Konishi Yoshitsugu, Kiyota Atsuhiko, Horiguchi Shun'ichi. Increase of urinary albumin in workers exposed to lead. 1993; 69(3): 9-15. keywords=Lead; Workers; Urinary albumin; Kidney; Nephrotoxicity;
Hirata Mamoru. Cancer morbidity among workers in a medium-sized dyestuff manufacturing chemical plant : A 14-year follow up of a cohort. 1993; 69(3): 16-20. keywords=Cohort study; Cancer incidence; Carcinogenic chemicals exposure; Small population; Person years;
Hirata Mamoru, Kumagai Shinji, Fukumoto Kouichi, Shiki Hatsuko, Sera Yoshizumi. Respiratory findings of construction workers exposed to asbestos dust. 1993; 69(3): 21-24. keywords=Asbestos; Construction wokers; Pleural plaque; Health aministration system
越河 六郎, 藤井 亀, 平田 敦子. 労働負担の主観的評価法に関する研究 ( 3) −年齢段階と特性別平均訴え率− . 1993; 69(3): 79-100. keywords=労働負担, 疲労感, 年齢段階, 蓄積的疲労徴候
年齢段階別に、CFSI(蓄積的疲労徴候インデックス)への応答傾向を分析した。資料は製造業、金融関係、医療、情報システム、その他サービス業等、男子37.212例、女子23.828例、計61.040例による。
CFSI応答の全般的な年齢傾向として、年齢段階の高いグループでは相対的に応答(訴え)率が低減する事実が認められたが、NF2-1「一般的疲労感」(目が疲れる、肩がこる、など身体的疲労感)への応答は、他の7特性と異なり、高い年齢層においてむしろ増大するという傾向が指摘できた。また、職種によっては、たとえば「情報・管制業務N=1,348」では年齢段階にかかわりなくCFSIへの応答訴え率がほぼ同じレベルで経過していることも確かめられた。
(図16・表4)(自抄)
舘 澄男. チューリップ球根栽培農家の労働と健康に関する調査研究 ( 1 ) −就業状態による相違−. 1993; 69(3): 101-111. keywords=質問紙調査, 農業労働力, 球根栽培, 労働条件, 労働負担
水稲とチューリップ球根を栽培する農家の労働と健康について、質問紙調査を実施した。富山県の農家267戸(895人)の結果である。
調査結果によると、基幹的農業従事者は農家の労働力の中心部を形成しているにもかかわらず、60歳以上の高齢者の占める割合が51.3%と多い。そのうえ、農繁期の1日農作業従事時間の平均は11.5時間にもなる。また、農繁期労働間隔時間が10時間未満の人たちが、30.5%もいる。
補助的農業従事者(地主)では、個人差が大きい。他の職業に従事しながら農作業も行うことから、年間休日数「30日未満」の人たちが20%近くいる。全般に休日がとりにくいようである。 (表17)(自抄)
尾入 正哲, 大倉 元宏, 越河 六郎. 地下空間における環境の快適性向上手法について ( 1 ) −装飾物・疑似窓の心理的効果− . 1993; 69(4): 133-144. keywords=地下空間, 快適性, 閉鎖作業環境, 疑似窓, 疲労感
地下空間の快適性向上に関して、各種の装飾物(モニタTV、植栽・絵画、香り、環境音、実窓および疑似窓)を導入した際の効果を実験的に検討した。地下実験室を模擬オフィスとして改装し、各装飾物を用いて様々な環境条件を設けた。環境条件は、作業パフォーマンスにではなく、作業後の生体諸機能の回復促進に効果をもつとの仮説のもとに、それぞれの環境条件下で被験者にパソコンを用いた長時間入力作業を課し、生理・心理的データを収集した。その結果、生理的な指標や疲労感には環境条件との明確な対応がみられなかった。しかし、主観的評価からみる限り、装飾物は地下の部屋の印象を改善した。装飾物が単調な環境に変化をもたらすことの効果について議論された。 (図17)(自抄)
舘 澄男. チューリップ球根栽培農家の労働と健康に関する調査研究 ( 2 ) −基幹的農業従事者の現状と農家の対応−. 1993; 69(4): 145-155. keywords=質問紙調査, 農業労働力, 球根栽培, 労働条件, 労働負担
水稲とチューリップ球根を栽培する農家の基幹的農業従事者は、労働と健康について多くの問題を抱えている(前報)。
本稿では、前報の質問紙調査から基幹的農業従事者を区分(3類型)し、考察した。
基幹的農業従事者の農繁期の平均労働間隔時間は、基幹的農業従事者が3人以上いる農家では11.3時間、2人の農家が10.5時間、1人の農家が10.1時間である。特に、1人の農家の女子(主婦農業)では、労働間隔時間が10時間未満の人たちが45.3%もいる。
このように、基幹的農業従事者の就業条件は、基幹的農業従事者が少ない農家ほど、きびしい傾向がみられる。
(表16)(自抄)
深堀 すみ江, 中明 賢二, 花岡 知之. 中小企業における有機溶剤作業環境と曝露実態. 1993; 69(5): 173-192. keywords=中小企業, 有機溶剤, 曝露評価, 馬尿酸, メチル馬尿酸
小規模塗装工業の環境調査と作業者の健診を実施した。
使用されている塗料・シンナーの主成分はトルエン、キシレンで、酢酸エチル、エチルベンゼン、IPA、メタノール、MEK、MIBK、等も検出された。
作業者の尿中馬尿酸濃度は、トルエン曝露濃度が10ppm以下の場合、正常値を超えることはほとんどなく、10ppmを超えると、1g/l を上回ることが多かった。キシレンでは数ppmの曝露から正常値を超えるメチル馬尿酸の排泄が認められた。連続的に尿中代謝物濃度の変化を調べた結果、午前中の曝露の影響はその日の午後、午後の曝露の影響は翌日早朝の排泄増加として認められた。
尿中馬尿酸濃度が1.0g/lを超える場合、作業によるトルエン摂取が明らかであると判断できるが、排泄が早いので、適切な採尿時間を指定する必要がある。
(図4・表12)(自抄)
高橋 誠. VDT 作業者の視覚疲労自覚症状の分析. 1993; 69(5): 193-203. keywords=VDT 作業, 視覚疲労, 自覚症状, 質問紙調査, 主成分分析
VDT作業者のさまざまな視覚疲労自覚症状に焦点を当て、多変量解析(主成分分析)を加えることによって、多様な自覚症状の内容理解の手掛かりを得ようとした。ある地方自治体において得られた検索作業とワープロ作業を行なう男性の作業者の始業時と終業時の視覚疲労自覚症状をもとに分析した。その結果、4つの主成分が抽出できたが、作業負担による影響としては、「目がしょぼしょぼする」・「遠くのものに焦点が合わせにくい」といった一般的な視覚疲労自覚症状と、「目がいたい」・「動くものに視線をあわせにくい」・「目をあけているのがつらい」・「頭がいたい、重苦しい」に代表される目の痛みや強い視覚疲労を示す自覚症状の2つの主成分によって評価するのが重要と考えられた。年齢層やVDT作業内容に特有の成分は抽出できなかったが、目の痛みを表わす自覚症状群は、訴えとしては他の症状に比べて大きくないが、作業負荷による目への影響を安定して反映していた。(図2・表6)(自抄)
加藤 保夫, 島 正吾, 吉田 勉, 佐賀 務 , 谷脇 弘茂, 長岡 芳, 西田 有子, 大谷 尚子, 井出 祐子, 田村 昭彦, 南 晴洋, 劉 恵芳. じん肺合併症としての続発性気管支炎の発症率と診断基準の検討. 1993; 69(6): 229-239. keywords=じん肺, 気管支炎, 喀たん, 窯業作業者, 合併症
窯業じん肺者877名、対照322名を対象に調査した結果、非喫煙者の「持続性(年に3ヶ月以上毎日」せき・たん」有症率は、対照:0.0%に対して、PR1:2.5%、PR2:3.2%、PR3:15.8%、PR4:19.0%とPR3、PR4で有意に高率を示した。「持続性せき・たん」の年齢調整発症率(1000人年対)は対照:0.6に対して、PR1:1.2、PR2:2.8、PR3:11.4、PR4:1.6、でPR3で有意に高率であった。「持続性せき・たん」有症者49名のうち、早朝(起床後1時間)たん量3ml未満は10.2%、10ml以上は28.6%であった。現行じん肺法では合併症(続発性気管支炎)として認められない「粘性たん」有症者のうち、60.0%が実際にはせき・たんを理由に医療機関にて治療中であった。 (表7)(自抄)
酒井 一博, 渡辺 明彦, 大西 徳明, 進藤 弘基, 天明 佳臣. 病院給食調理作業における作業特牲と労働負担調査の結果. 1993; 69(6): 240-252. keywords=病院給食調理, 腰痛, 筋電図, 静的筋負担, 不規則勤務
病院の給食調理員に運動器系の障害が多いという現場からの訴えを受けて、労働負担調査と、質問紙によるアンケート調査を実施した。その結果、1.集団給食としての”量”の負荷に加えて、医者の指示によって食材の刻みかたや調味料の加減をかえるなど、作業の”質”や手間のかかりかたに特徴があった。2.病院給食では朝、昼、夕の3食の食事を提供するために、調理員は宿直勤務を含む変則勤務に従事していた。勤務間隔の時間が短いと、睡眠時間の不足する事態が観察された。3.作業中の心拍数レベルはそう大きくはなかったが、肩、腰、腕の筋負担は筋電図の最大筋力比からみてかなり大きいものとみなされた。4.一部の調理作業をすわって行った場合、腰部の節電図放電が小さくなることが確認できた。これらの結果にもとづき、多面的な負担対策が提言された。(図10・表3)(自抄)
窪田 悟. ユーザの学習過程から見た日本語入力フロントエンドプロセッサの操作性評価. 1993; 69(7): 275-285. keywords=日本語入力, 操作性, 学習過程, ワードプロセッサ, ユーザインタフェース
構造の異なる4種類の日本語入力フロントエンドプロセッサー (FEP)を、4名のノピスユーザに約20時間にわたって等分に使用させ、打鍵データから各FEPに対するユーザの作業パフォーマンスを分析した。そして、FEPの操作性を左右している要因について検討した。
その結果、ローマ字入力に対するFEP の操作性は、機能キー(文字・記号キー以外のキー)の打鍵頻度から評価できることが分かった。そして、この機能キーの打鍵頻度は、辞書自体の変換効率よりも、入力モード切り替えおよび文字種変換に関する操作の簡素性と一貫性など、操作手順の設計の要因に依存していることが明らかとなった。 (図10・表1)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(III) −18 〜 19世紀の日本の労働観−. 1993; 69(7): 286-302. keywords=鉱夫の寿命, 農民, 安藤昌益, 二宮尊徳, 労働観
18世紀になると大阪に銅座が設けられ、貿易のために銅の集荷、流通を管理していた。
金属鉱山では過酷な労働が行われ、そのため寿命は30歳で、一般の50歳にくらべて短かった。こうした労働条件では真面目な労働観など持つことはむつかしかった。
当時の農民達の労働は、大土地所有者の封建領主およびその家臣らを食べさせるためで、飢饉の年には農民が餓死した。
こうした農民達を見ていた八戸の医師安藤昌益は不耕貧食の者達を批判し、、直耕を説いた。しかし、その思想は19世紀末までかくれていた。
幕末の思想家、農政家の二宮尊徳の勤倹力行の精神は為政者に歓迎されたし、農民にも大きな影響を与えた。(図9)(自抄)
高橋 誠, 窪田 悟 , 西岡 昭. CRTディスプレイの好適表示色に関する実験的研究 −III. 文字−背景の色調組合せ−. 1993; 69(8): 327-339. keywords=CRTディスプレイ, 文字色, 背景色, 輝度コントラスト, 色差, 主観評価
CRTディスプレイの文字色と背景色の組合せとして、どのような色調が望ましいか検討した。陰画表示を主体とした133種の文字色−背景色の組合せ条件のもとで、日本語文章を表示し、見やすさや好ましさなど8種の評定項目について、27名の被験者に7段階評定を行なわせた。これらの評定値に対する主成分分析から、陰画表示123種の文字色−背景色の組合せ条件それぞれに対する総合評点を求め、これに影響する要因を重回帰分析によって分析した。その結果、総合評定には文字−輝度の輝度差や適正コントラストといった輝度要因だけではなく、色相や飽和度などの色要因も影響していることが示された。
(図6・表6)(自抄)
鈴木 春子, 栗田 明良. 役割分担意識と女子の農業労働力化 −埼玉県K市における1991年調査から−. 1993; 69(8): 340-357. keywords=農家女子, 役割分担, 水田地帯, 兼業農家, 農作業
農業生産と地域社会の担い手としての農業女子に大きい期待が寄せられている中、いわゆる農業離れが著しい埼玉県下の水田地帯において「世帯主の妻」及び「後継ぎの妻」合計698名を対象に、アンケート調査を試みた。
今回の調査結果によってみる限り、女子を農作業従事に向かわせている最大の要因は、農業に係わりを持ち続ける配偶者の存在であり、その農業離れに歯止めがかからない中で、農業労働者の担い手としての女子にあまり多くを期待するのは無理があろう。男子の農外就業を前提にしたまま、女子にもう一段の農業に対する寄与を期待するなら、少なくともパートより魅力的な仕事として農業を提示することが求められる。
(表19)(自抄)
斎藤 良夫. 循環器疾患を発症した労働者の発症前の疲労状態. 1993; 69(9): 387-400. keywords=循環器疾患, 過労, 疲弊, 長時間労働.
循環器疾患を発症した労働者の疲労状態を調べるために、彼らの妻または母17名に面接した。発症者はすべて常日勤者で、そのうち14名は管理職ないしはそれに類するものであった。
調査の結果、発症者に共通している負担要因として、休日出勤を含む長時間労働と新しい職務の遂行や責任の増大などの重複負担状況が指摘された。彼らは、不安感や抑うつ感などの心理的負担感を訴えていた。発症3ヵ月前以降、発症者の約3分の2は強い疲労感やだるさ感を訴えること、休日は睡眠中心で過ごすこと、が明らかになった。そして、全体の約3分の1の発症者は、発症前活動力や気力の低下、体重の減少などにあらわれる疲弊状態にあったと考えられた。この疲弊状態には、睡眠障害が関連していることが示唆された。
(表3)(自抄)
鷲谷 徹, 橋元 秀一. 若年労働者の就業実態と意識 (I). 1993; 69(9): 401-416. keywords=若年労働者, 新規採用, 定着率, 人事・労務管理, 労働条件
長野県内の企業を対象とした実態調査の結果、91年度の新規学卒者の採用予定数に対する実採用数は59.6%にとどまり、とくに小企業では人員充足率が低かった。新規学卒採用者中の高学歴者の割合は企業規模が小さいほど低く、また、新規学卒者の不足を中途採用によって補うために、小企業ほど採用者全体に占める中途採用者の割合が高く、その中途採用者の年齢は相対的に高かった。
若年労働者の定着状況及び「会社に対する愛着」に関する企業側の評価は6年前に実施した同様の調査と比べ低く、若年労働者の「企業離れ」が進んでいるといえる。
若年労働者の採用・確保のための対策についても企業規模格差があり、大企業ほど積極的対策を講じている。(図9・表14)(自抄)
Tominaga Yoshio. The relationship between vibration exposure and symptoms of vibration syndrome. 1993; 69(10): 1-14. keywords=Dose-responce relationship; Vibration exposure index; Vibration syndrome; Vibration-induced white finger; Environmental temperature;
Hanaoka Tomoyuki, Ishizu Sumiko, Yamano Yuko. Effects of cigarette smoking on lymphocyte subsets in office workers. 1993; 69(10): 15-20. keywords=Immunotoxicology; Lymphocyte subset; Cigarette smoking; Alcohol drinking;
Kawakami Tsuyoshi, Ton That Khai, Le Minh Toi, Sakai Kazuhiro. Workload of rice reapers in the Mekong delta area in Vietnam. 1993; 69(10): 21-29. keywords=Agriclture; Developing countries; Rice crop; Work posture; Fatigue;
Takano Kenichi, Nagasaka Akihiko, Yoshino Kenji. Comparison of various methods for evaluating the mental workload in some repetitive tasks. 1993; 69(10): 30-43. keywords=Workload; Secondary task; Physiological information; Reaction time; Error rate;
木村 菊二. わが国における防じんマスク ( 第1報 ) −1970年頃までの研究と規格−. 1993; 69(10): 443-460. keywords=防じんマスク, 防じんマスクの規格, ろ過材, 呼吸抵抗, 防じんマスクの使用による生体負担, 粉じん
わが国においても1800年代の頃から鉱山等で働く鉱夫のじん肺についての記録はあるが、これを予防する防塵対策の検討は1900年代になってからのようである。1950年に防じんマスクの制定され、ろ過材の特性に関する研究や防じんマスクを着用した場合の生体への負担、粉塵職場での使用実態の調査など防じんマスクについての本格的な検討が開始された。
その後、新しい素材の開発、生産技術の向上などにより、防じんマスクの性能も向上した。この間、規格の改正が何回か行われ、また、使用基準も、より職場に即くしたものへと改正されていった。本報では、安衛法の制定された1970年頃までの規格の変遷、研究の概要を述べる。
(図11・表11)(自抄)
瀬尾 明彦, 水流 聡子, 梯 正之, 吉永 文隆. コンピュータによるVTR制御を利用したタイムスタディ支援システムの開発. 1993; 69(10): 461-471. keywords=タイムスタディ, スナップリーディング, VTR, ビデオおこし, 労働負担
VTRを利用したタイムスタディによる作業分析を支援するシステムを開発した。本システムでは、VTRをコンピュータで制御し、ビデオ画像をデータとともに表示させながらビデオおこしを行う。サンプルデータの解析結果から、本システムが迅速なタイムスタディの実施に役立つことが確認された。また、VTR制御の自動化やデータの自動入力機能、用紙へ記入したデータを再入力する手間が不要になったことなどにより、スナップリーディング法と実時間記録法によるビデオおこしが従来法に比べ、所要時間がそれぞれ53%と83%に短縮し、キー操作回数がそれぞれ79%と71%に減少することが確認された。
(図7・表1)(自抄)
川見 正機, 海老原 勇, 川見 昌子. 臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムによる生体影響の細胞遺伝学的検討 −(1) 暴露作業者における細胞遺伝学的モニタリング−. 1993; 69(11): 497-503. keywords=臭素酸ナトリウム, 臭素酸カリウム, 細胞遺伝学的影響, 姉妹染色分体交換, 発癌性
臭素酸 K、臭素酸 Na に暴露した32名の化学工場労働者及び性、年齢、喫煙暦をマッチさせたmatched control において、末梢血リンパ球姉妹染色分体交換に注目しCytogenetic 影響について検討を実施した。
その結果、臭素酸化合物暴露作業者において末梢血リンパ球 SCE 頻度が高値を示しcytogenetic な生体影響を確認した。従って臭素酸 Na 及び臭素酸 K ともに genetoxic な物質であり、その mutagenic, carcinogenic po-tency に充分に留意すべきであることが示唆された。また末梢血リンパ球 SCE 頻度測定は、有害物質暴露による cytogenetic monitoring のための有用な指標であることを認めた。 (図6・表1)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論 (IV) −19世紀後半、明治初年の日本の労働観−. 1993; 69(11): 504-524. keywords=労働観, 製鉄所, 生野鉱山, 富岡製糸所, 婦人労働者
1842年イギリスの Chadwick は労働者階級の衛生状態を調査して Sanitary Report を発表、その頃、日本の周辺には外国船があらわれ始める。
1860年代には幕府もアメリカはじめ各国と修好通商条約を調印していたし、1861年には長崎製鉄所がオランダからの技術導入で建設され、横須賀製鉄所はフランスの技術で1865年起工されている。
1865年といえばドイツではミュンヘン大学に衛生学が創立された年、BASF 社の化学工場が創立された年でもある。
明治政府によって生野鉱山にはフランス人の技術が導入されるし、フランス人の指導で富岡製糸場が創立される。ここで働く工女達は新しい製糸技術の伝習を目的としていたので、まだ、女工哀史時代の前史であったといえる。 (図22)(自抄)
川見 正機, 海老原 勇, 川見 昌子. 臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムによる生体影響の細胞遺伝学的検討 −(2) 細胞遺伝学的方法による実験的検討−. 1993; 69(12): 549-560. keywords=臭素酸カリウム及び臭素酸ナトリウム, 職業的発癌物質, 姉妹染色分体交換頻度, 小核頻度, in vitro v79 細胞試験, in vivo 収入暴露動物実験
臭素酸 Na 、臭素酸 K の変異原性、発癌性に関する実験的検討として in vivo 、 in vi-tol における SCE 頻度、MN 頻度の誘発性について検討した。
in vitro の誘発 SCE 試験において、臭素酸 Na、臭素酸 K ともに dose dependent に有意な SCE 頻度の誘発を認めた。in vivoにおける臭素酸 Na 吸入動物実験では、誘発 SCE 、MN 頻度はコントロール群に比較し高値を示し、8週間暴露群では有意な誘発を認めた。これらから臭素酸 Na 、臭素酸 K ともに genetoxic な物質であることが確認され、暴露作業者の cytogenetic monitor-ing における SCE 頻度の有意な高値傾向は、臭素酸塩化合物暴露によるものと示唆された。 (図6・表2)(自抄)
原 邦夫, 花岡 知之, 山野 優子, 井谷 徹, 伊藤 昭好. 喫煙による尿中1-hydroxypyrene 排泄量の増加. 1993; 69(12): 561-565. keywords=1-hydroxypyrene, 喫煙, 多環芳香族炭化水素類, 生物学的モニタリング, コチニン
多環芳香族炭化水素類(PAHs)の低濃度曝露における曝露指標として尿中 1-hydroxy-pyrene を使用する際の喫煙の影響を検討することを目的とした。職業性 PAHs 曝露がない喫煙者6名と非喫煙者4名を対象に、尿中 1-hydroxypyrene と尿中 cotinine を経時的測定した。その結果、喫煙者の中に非喫煙者と比較して明らかに増加している者が存在し、平均尿中 1-hydroxypyrene 濃度にも有意な差が喫煙者と非喫煙者の間にみられた。また、尿中 1-hydroxypyrene 濃度と尿中 cotinine 濃度との間には有意な正の相関がみられた。低濃度 PAHs 曝露の生物学的モニタリングに尿中 1-hydroxypyrene を使用する場合には、喫煙の影響を考慮することが必要であることが示唆された。(表1・図2)(自抄)
前原 直樹. くも膜下出血を発症した自動車運転手の過労状態の進行の様相. 1994; 70(1): 1-17. keywords=過労状態, 疲労困憊, 自動車運転, くも膜下出血, 長時間労働
大手の会社に派遣されていた自動車運転手(55歳の男性)の1年5ヵ月間の運転日誌を主な資料として、くも膜下出血の発症に至るまでの疲労状態の形成、進展の様相を検討した。
長時間、長距離運転などを特徴とした過重な労働実験が認められたが、その中にあっても、眼をはじめとする心身の過労状態は軽減したり、増悪するという様相が認められた。訴え・症状の出現は、走行距離に依存しながらも、休日における休息効果が発揮されている時期には少なかったが、業務負荷が増し、しかも休日での休息効果が不十分な時には過労状態は増悪するという結果であった。この事例の場合、この過労状態の増悪の繰り返しを基礎とした中でくも膜下出血は発症したものと考えられた。 (図4・表5)(自抄)
高橋 誠. 視覚疲労評価のためのグレイティング視力測定. 1994; 70(1): 18-23. keywords=視覚疲労, グレイティング視力, 一時的近視化
視覚負担の評価法として、著者が実験室実験やフィールド調査で使用しているグレイティング視力測定の方法とその適用例を紹介した。グレイティング視力は、一定のコントラストを有す矩形波グレイティング・パターンの最大解像周波数を測定する方法である。VDT作業などの視作業によって作業後の短時間の間、一時的な視力低下(近視化)が生じることが知られている。適用例では、少数視力に換算して0.1以内の測定時点間や作業条件間の有意な差異を明らかにできた。一時的な視力低下を精度良く簡便に検出し、視覚疲労を評価する上でグレイティング視力測定は有効であることが指摘できた。
(図4)(自抄)
伊藤 昭好, 伊木 雅之, 車谷 典男. 騒音職場従事者の耳栓の遮音値の実態とその効果について. 1994; 70(2): 45-56. keywords=耳栓, 遮音値, 一過性閾値移動, 騒音曝露, 現場調査
ボルト圧造工場及び板金加工工場の騒音職場に従事する作業者を対象として、実際に使われている耳栓の遮音性能を作業者の実耳で測定した。成型されたタイプのものでは外耳道の形状と適合していないことや装着方法が不完全であるために、また外耳道の形に応じて変形するウレタンフォーム製の耳栓では管理や装着方法が不完全であるために、個人によるばらつきが大きくなること、遮音値の平均値がメーカーの表示している遮音JIS規格を下回ることが判明した。さらに、作業者の一耳にのみ耳栓を装着して騒音作業に就いた場合の、裸耳と耳栓装着耳におけるNITTSを比較することにより、耳栓着用の効果が必ずしも十分でないことが推定された。
(図16・表4)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(V) −19世紀末の日本の労働観−. 1994; 70(2): 57-76. keywords=労働観, 製糸業, 紡績業, 女工, 職工事情
世紀末の都市には貧しい労働者が増加し、そのなかには多数の男の人力車夫がいた。
製糸業や紡績業では年少の女性が過酷な労働条件の下で働いていたし、燐寸工場では親に混じって児童も働いていた。
工業の発展とともに女工の比重が増加、繊維産業ではその比重は90%にもなった。
一方、政府が官営製鉄所を建設したのも世紀末のことだった。
識者の間から工場法の必要が論ぜられるようになり、政府は職工事情を調査し、1903年に『職工事情』を刊行した。
このなかには女工へのひどい虐待などの事実も記録されている。
(図8・表1)(自抄)
Pramuk Osiri, Sakai Kazuhiro, Kawakami Tsuyoshi, Chalermchai Chaikittiporn. A survey on shift work system in Thailand.. 1994; 70(3): 1-8.
Noor Hassim I, Rampal K G, Hashim J H. Incidence of acute symptoms associated with padi farming activities in Tanjung Karang, Malaysia.. 1994; 70(3): 9-12.
渡辺 明彦. 質問紙調査結果にみる冷房期・暖房期における事務所の温熱環境の現状. 1994; 70(3): 97-107. keywords=事務所, 快適温熱環境条件, 温度, 湿度
1991年夏季と冬季に実施された職場の温熱対策に関する質問紙調査の結果をもとに、事務所の温熱環境の現状およびその時代的な傾向を考察した。
夏季;627事務所の室温は過半が25℃から27℃の間に分布し、 冬季;732事務所の室温は過半が22℃から24℃の間にあった。いずれも温熱感・中性点の範囲にあるとみなされた。これを今回と同じ集団を対象とした1970年代、1980年代の事務所の温度と比較し、夏季はほぼ一致した分布であり、冬季は約2℃上昇した分布となっていることなどが考察された。
(表9・図10)(自抄)
タイ王国 保健省 労働衛生課 編, 川上 剛(訳). タイにおける労働衛生問題の現状. 1994; 70(3): 108-119. keywords=タイ, 労働災害, 職業病, サーベイランスシステム, 適正技術
タイにおける労働災害と職業病発生の現状を把握する目的で、これまで保健省労働衛生課が行ってきた職業病モニタリングの調査結果を中心に、農業部門、鉱工業部門、ビジネス部門、サービス部門に分けて労働衛生問題の現状について概説した。その結果、労働災害や職業病が増加していることを示すさまざまな調査結果があることが判明したが、その全国的な実態を性格に把握することは困難であった。今後の課題として、関係する各機関の連携による労働災害・職業病の報告システムの形成、現場で応用可能な職場改善のための適正技術の開発、さらに効果的な労働衛生サービスモデル構築の重要性を提言した。
(表15)(自抄)
菅野 理樹夫. 対向車が接近するときの到達時間予知の精度について. 1994; 70(3): 120-127. keywords=動態視環境, 時間知覚, 時間的一致, 運転経験, 画面消失法
本研究は実走行を模したシミュレーション画面で対向車が自己に接近、到達(衝突)する際の時間的一致、あるいは"margin"を規定している知覚的要因を吟味した。実験は対向車を走行途中で画面から消失させ(画面消失法・BO法)てから、自車に到達するまでに要する時間の推定を行った。測定条件に走行速度、BO距離、運転水準(免許の有無)、反応形態を設定した。測定で得られた推定値から実際の到達時間に対する推定精度を過大・過小評価率として算出し、相対的な比較を試みた。結果は、走行速度が増加すると、各BO条件の推定値は全体的に過大評価の傾向があった。本実験のように対向車が接近する条件での時間推定は、運転経験のある被験者でも正確な対応をしていないことが示された。特に、走行速度が速く、BO距離が短い条件では、推定値に過大評価が生じた。(図8)(自抄)
宇土 博, 吉永 文隆. 改良型シャープペンの頸肩腕部の負担軽減効果に関する研究 第1報 シャープペン書字による頸肩腕障害の罹患状況と頸肩腕部への負担要因に関する検討. 1994; 70(4): 145-159. keywords=シャープペンシル, 改良, 頸肩腕障害, Mechanical pencil, Reform, Cervicobrachial desorders
シャープペンによる頸肩腕障害の罹患状況および頸肩腕部への負担要因を検討するため、シャープペンを使用する29名の看護学生を対象に書字量等の負担要因調査および頸肩腕障害の検査を行った。シャープペン書字時の頸肩腕部痛の訴えは75.9%〜58.6%と高く、母指腱鞘炎1名、頸肩腕障害5名が認められた。頸肩腕部の運動痛と有意の負の相関が認められた項目は、書字量、芯の濃度および握りのラバーの有無であった。また、有意の正の相関が認められた項目は、ペン体に対する握圧の程度であった。このため、シャープペンの頸肩腕部に対する負担はかなり強いこと。また、強い握圧が頸肩腕障害の重要な発症要因であることが示唆され、シャープペンの改良による握圧の形元気頸肩腕障害の予防に重要なことが示唆された。(図2・表22) (自抄)
李 卿, 前原 直樹, 守 和子, 渡辺 明彦, 飯田 裕康, 花岡 知之. 自動車運転作業の血圧変動に及ぼす要因について. 1994; 70(4): 160-166. keywords=自動車運転, 血圧変動, 尿中アドレナリン排泄量, 運転状況, 乗客, Automobile driving, Blood pressure variationUrinary adrenaline, Driving condition, Passengers
本研究では、バス運転者2名を対象として、運転内容を詳細に観察した上で運転作業が運転者の血圧変動にどの酔うな影響を及ぼしているのか、について検討した。その結果として、運転日の血圧が休憩時と休日での血圧より高い値を示した。尿中アドレナリン排泄量も血圧と同じパターンを示した。これは運転作業が血圧を上昇させることを示唆した。血圧を上昇させる要因として道路混雑度、降雨、乗客、運転時間の長さ及び休憩時間の長さが挙げられた。また休憩時間と運転後血圧の回復の様子を検討した結果では、10分以下の休憩では、血圧は下がらず、20分以上の休憩により血圧が回復する傾向が認められた。しかしA運転手の朝方及びB運転手の16時台での運行では40分以上の休憩を取っても血圧の低下が認められなかった。(図3・表1)(自抄)
東田 敏夫. 中小企業衛生問題の構造的課題とその対策(その1). 1994; 70(5): 189-202. keywords=中小企業, 労働衛生, 衛生管理, 労働環境, 下請け企業, Small and medium-sized enterprises, Occupational health, Occupational health managiment, Working environment, Subcontractors.
本論文は、産衛・中小企業衛生問題研究会集会における会員の報告・討議と、筆者の中小企業事業者調査結果にもとづき、私見を述べる。中小企業では有害危険業務が多く、大企業の下請けが関係する。中小企業事業者と労働者に安全衛生情報の提供、自律的衛生管理への動機づけが必要である。そして、その1では、中小企業の衛生事情の現実と問題の所在、また安全衛生問題にかかわる「中小企業の特質」等を中小企業事業者の調査から資料を得、それに基づき中小企業の自律的衛生管理をすすめるためにどうするか、そして、中小企業の集団的衛生管理をいかに展開するかを述べる。(表3) (自抄)
野沢 浩. 労働委員会の三者構成システムと、英国の労働審判システムおよびACAS(助言・あっ旋・仲裁機関)の調整システム (第1報). 1994; 70(5): 203-212. keywords=三者構成, 労働委員会, 救済命令, 労使紛争, Tripartite system, Labour relations committee, Remedy orders, Labour disputes
筆者は労使紛争処理実務に携わった経験から、わが国の労使紛争処理システムの改善に当たっては、「迅速処理」と「専門性」の確保の2点につきとりあえず課題を絞って考察する必要があると考える。その他の様々な課題についてはすべて省略して、参考としては英国の労働審判システムおよび調整システムにつき比較法学的な考察を加えながら論及することにする。第1報は、わが国の公・労・使各側代表から成る三者構成システムによる、審判および調整システムの成立過程につき、当時の国会における討議経過を顧みることから始める。そして判定的機能が公益委員およびその合議に委ねられたことが、迅速性確保の一助となり得た経過につき考察する。第2報以下は英国の制度紹介。(自抄)
本城 由美子, 高橋 誠. ワードプロセッサのメニュー項目に対するユーザの認知構造 −使用経験者と未経験者のクラスター分析による比較検討. 1994; 70(5): 213-221. keywords=ワードプロセッサ, メニュー, ユーザインタフェース, 認知構造, クラスター分析, Word-processor, Menu, User interface, Cognitive structure, Cluster analysis
ユーザにとって分かりやすいワープロのメニュー構造を調べるため、諸機能に対するユーザの認知構造を、機能を説明した77種のカードを用いて機能の類似性に基づくカード分類法および階層的クラスター分析によって調べた。ワープロのカジュアルユーザ(35名)とノビスユーザ(23名)との認知構造の違いを検討した結果、ノビスユーザの各機能に対する認知がカジュアルユーザに比べてより組織化されておらず、未分化な状態であることを示唆された。しかし、いずれのユーザグループにおいても、77種のワープロ機能は、編集、書式、登録、表示、ファイル、グラフ・表、カーソル、文字入力、文字修飾、印刷といった10種類の機能グループを示すクラスターが認められた。こうしたメニュー項目に対する認知構造に適合したメニュー構成がワープロの操作性を高めるために重要であることが指摘できた。(図4・表1)(自抄)
東田 敏夫. 中小企業衛生問題の構造的課題とその対策 (その2). 1994; 70(6): 241-249. keywords=中小企業, 労働衛生, 労働衛生行政, Small and medium-sized enterprises, Occupational health, Labour health
本論文の(その2)では、中小企業者への衛生管理の指導、援助を要し、中小企業者団体の傘下事業所の支援、産業井協同契約、衛生管理協同化を推奨する。「労働安全衛生法」の制定理由にあげられた「中小企業にたいする積極的な技術的指導と財政援助」「下請けの労働災害防止」「より厚みのある行政の展開」を要請し、小零細企業労働者の保健には地方自治体と保健所の協力を期待する。そして、地域医療機関、労働衛生機関、医師会の取り組みや中小企業衛生問題と労働衛生行政の対応、中小企業衛生問題の地方自治体との関係を述べる。(自抄)
小嶋 純. 有限要素法を用いた排気フードの流れ解析. 1994; 70(6): 250-256. keywords=コンピューターシュミレーション, 有限要素法, 局所排気装置, 流れベクトル, 等ポテンシャル線, Computer shimulation, Finite element method, Local exhaust hood, Flow vector, Equi-potential line, 粉じん
局所排気装置等の設計に際し、コンピューターょを利用したシュミレーションによってフード周辺の気流の速度分布を予測できれば、装置の効果的な設置および運用に役立つと考える。今回取り上げた有限要素法は、与えられた諸条件から風速ベクトル等を近似解で求める方法で、従来の模型実験や理論的解析法では困難となる複雑な状況下における流れでも容易に解析できる。本研究では定常二次元ポテンシャル流れを用いさまざまな形状のフードにおける気流解析を行ない、併せて等ポテンシャル面の作図による流れの可視化を行なった。また軸上速度に関しては実測値に基づく式との比較を行ない、良好な相関のあることを確認した。(図11)(自抄)
野沢 浩. 労働委員会の三者構成システムと、英国の労働審判システムおよびACAS(助言・あっ旋・仲裁機関)の調整システム (第2報). 1994; 70(6): 257-273. keywords=労働審判所, 仲裁, あっ旋, 労使紛争, 三者構成, Industrial Tribunal, Arvitration Conciliation, Labour desputes, Tripartite system.
本稿ではわが国の労働委員会システムとの対比を念頭に置きながら、英国の労使紛争処理システムの合理性の機能的根拠につき考究する。ドノバン委員会のリポート以来、英国労使関係の規制政策はストライキの多発に象徴される労使関係調整のためのボランタリズムから、不公正解雇紛争規制のための雇用保護法およびそれに基づく労働審判所システムやACASの調整機能への依存政策へと、大きく転換した。本稿では特に審問ベースではないあっ旋機能が、手続の迅速性と安価性に役だっている側面とか、労審とACASとの関係が、申立時から係属併進性的あるいはあっ旋前置主義的関係にあることを指摘し、あっ旋がフィルター的機能を果たしていることやTUCからの批判などを、調査研究書により紹介する。(図1・表7) (自抄)
原 邦夫, 伊藤 昭好, 秋山 明胤, 井谷 徹. 携帯用ガスクロマトグラフ連続分析装置の開発と測定事例. 1994; 70(7): 299-306. keywords=ガスクロマトグラフ, 携帯型測定器, , 作業環境測定, 有機溶剤, 経時変化, Gas chromatograph Portable analyzer Work environment measurement , Organic solvent Fluctuation with time
作業場の有機溶剤成分の濃度をその場で分離・分析するには多くの困難を伴う。今回、分刻みの連続測定が可能で、1ppmレベルの精度を持ち、容易に作業場に持ち込める特性を持つガスクロマトグラフを開発した。測定に当たって、まず機器の性能チェックを行なった上、事前に標準ガスを用いてクロマトグラム上のピーク面積を濃度に変換する「濃度換算係数」を求めた。その数値を用いて定量を行なったところ、トルエン等の有機溶剤成分の3分ごとの濃度変化を測定することが出来た。作業場の環気中有機溶剤成分濃度の時間変動が大きいこと。成分ごとの分析から環気中の有機溶剤成分比の時間変動が大きいことが確かめられ、作業者に示すことができた。(図9・表1)(自抄)
張 振祥, 李 志先. 中国労働者の労働時間と交代勤務編成 −寧夏地区での調査結果−. 1994; 70(7): 307-315. keywords=中国, 交代制, 連操交代制, 労働時間短縮, 不規則交代制, China , Shiftwork systems, Continuous shift systems, Reduction of working hours, Irregular shift systems
中国における労働時間と交代勤務編成の現状を、寧夏地区の代表的な企業・事業体を対象に調査した。
製造業の週番型交代制のうち、定時型深夜交代制は全数2組2交代で、機器、化学などで該当率が高かった。全日型交代制の全数は3組3交代で、鉄鋼、ゴム、石炭などのほか、食品や機器にもみられた。連操型交代制は、鉄鋼、金属、化学、石炭、窯業などにおいて該当率が高かった。2交代制、3交代制のほか、24時間を4つの時間帯に分割する4交代制が電力、金属、食品などにおいてみられた。
非製造業の勤務ローテーションは不規則で、複雑な例が多かった。運輸業、放送局・新聞社、通信業、商店・銀行、看護婦などの労働時間と勤務編成について例示した。(表2)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(VI) −20世紀初頭の日本の労働観−. 1994; 70(7): 316-333. keywords=労働観, 女工, 坑夫, 造兵廠, 製鉄所, Attitudes towards Labour, Female workers, Miners, Arsenal, Iron works
20世紀初頭といえば日本の製糸業や紡績業では女工哀史時代で、結核で死亡する女達も多かった。ところが、第二次大戦後の彼女達の聞き書きでは当時の工場労働者は農業労働にくらべてそれ程きびしくなかったし、米飯の工場食は良好で、その上高賃金で、工場へ勤めたことはよかったと感じていた者が多い。
鉱山は徳川時代から、炭坑は幕末からきびしい職場で、ことに炭坑では女坑夫も働いた。
夫婦が子供をつれて入坑し共に災害で死亡することもあった。鉱炭山には封建的な労働慣行が存在し、坑夫は歓迎される職業ではなかったようだ。
軍の砲兵工廠や官営製鉄所は身分制度はきびしく、労働災害の多い職場だった。(図19・表1)(自抄)
野沢 浩. 労働委員会の三者構成システムと、英国の労働審判システムおよびACAS(助言・あっ旋・仲裁機関)の調整システム (第3報・完). 1994; 70(8): 355-375. keywords=労働委員会, 三者構成システム, 英国, 労働審判システム, ACAS.
英国の労審システムにおける迅速性と専門性、三者構成の役割の実際面、仲裁手続の選択などにつき、考察を加える。迅速性に関しては審問前査定のフィルター的機能が注目され、専門性の面では1980年代からの労働市場条件のもとで、新しいバランスをとりもどす必要から三者構成の労審システムから活用されてきている。審判長は経験ある弁護士有資格者から任命され、素人メンバーは労使各団体の指名をもとに任命され、後者には一定の導入時トレーニングが課されている。また英国では他の迅速な非公式手続の保護のために、仲裁(単独仲裁・仲裁委員会・中央仲裁委員会)が有効に機能していることなどを調査データと共に紹介することにより、わが国のシステム改善の方途を探ろうとする。(表16)(自抄)
車谷 典男, 大門 位守, 吉岡 伸夫, 坂本 理香, 鄭 燕, 米増 國雄. 林業労働経験者の現状と振動工具の使用状況 −奈良県のある一村における実態調査−. 1994; 70(8): 376-387. keywords=林業労働, 振動工具, 奈良県, 実態調査
林業労働経験者の現状と振動工具の使用状況を知る目的で、奈良県A村在住の林業労働経験者241名に自記式アンケート調査を実施した。男性165名、女性22名から回収され、平均年齢60.8歳で、65歳以上が42%を占めた。林業労働に従事する男性124名のうち、チェンソーまたは刈払い機を過去一年間に使用していた者は78%おり、それらの一年間の使用日数は中央値で80日であった。振動障害で治療中の者が20名、症状固定の者が23名いたが、ともに約50%が年間50日程度振動工具を使用していた。また、振動工具使用者のうち約19%が振動障害健診を受けたことがなく、それらの振動工具使用年数は約20年であった。(図2・表4)(自抄)
品部 義博. 環境保全型農業の展開条件 −青森県三戸郡田子町における事例分析−. 1994; 70(9): 407-418. keywords=環境保全型農業, 農法, 産直・提携, Environmentally oriented agriculture, Farming method, Producer-consumer cooperation.
環境保全型農業の展開条件を探るため事例調査を行った。調査地はニンニク生産で日本一の生産量を誇り、また夏秋トマト、キュウリ、枝豆等高品質野菜の産地としても知られる青森県田子町である。
調査結果から、部会活動を基礎に長期計画を作り農業振興に大きな成果をあげてきた農協のこれまでの活動の積み重ね、畜産と畑作を結びつけるなど土づくりを一貫して重視してきた農業生産のあり方、生協との提携による農産物取引の開始が環境保全型農業の取り組みの前提条件になっていることが明らかとなったまた、今後の課題としては、農法転換に伴う技術開発や都市消費者との多面的な提携の推進があげられる。(表9)(自抄)
三浦 豊彦. 労働観私論(VII) −1920年ころの日本の労働観−. 1994; 70(9): 419-435. keywords=労働観, 第1回国勢調査, 農民哀史, 女工哀史, 女中
1920年に第1回国勢調査が実施された。この当時、農業に従事する人は全人口の約半数に達していた。当時の多くの農民の生活は長塚節の小説『土』(1910年刊)に描かれたようにみじめなものだった。
農民自治会を組織した渋谷定輔は1925年ころの自分の日記をもとに第二次大戦後に『農民哀史』(1970年刊)を著わした。当時の農民達はこんな農村の生活や労働はいやだいやだと言いながら働いていた。
一方、工業化の進行するなかで農村からは繊維産業に女工達が集められた。しかし、この職場の労働もきびしく、彼女達の工場内での労働について、いくつかのルポルタージュが書かれたが、その一つが細井和喜蔵の『女工哀史』(1925年刊)だった。
(図20・表1)(自抄)
山野 優子, 石津 澄子, 香川 順, 太田 圭亮, 塗谷 栄治. 輸入木材運搬船に発生した急性臭化メチル中毒の一例. 1994; 70(9): 436-440. keywords=臭化メチル中毒, ブロムイオン濃度, 木材運搬船, 安全対策, Methyl bromide poisoning, Bromide ion concentration, Timber carrier, Safety management
外国木材運搬船の乗務員に発生した重症型の臭化メチル中毒例を報告する。本症例は、外国船内木材を日本の燻蒸業者が燻蒸し、安全確認後に乗船を許可されたが、乗務員の一人(ロシア人、女性33歳)が乗船2日後に全身性痙攣、呼吸困難を主症状として発症した。確定診断のため血液、尿中のBr濃度を測定した結果、各々204.9μg/ml、269.7μg/mlと高値が検出された。直ちに血液透析を施行しBr濃度は正常値に低下し、発症後約4か月経過した現在では、軽いAction myoclonus以外は、正常で安定した状態にまで回復している。本症例は、患者が外国人、外国船内での中毒事故であったことなどから、診断や治療、因果関係解明等、管理体制にも多くの問題を残した。(図1・表1)(自抄)
花岡 知之, 深堀 すみ江, 中明 賢二. 小規模塗装事業所における有機溶剤取扱い作業者の曝露と健康の実態とその問題点. 1994; 70(10): 463-473. keywords=有機溶剤, 小規模事業所, 塗装作業者, 健康診断, 産業保健, Organic solvents, Small-sized enterprises, Painters, Health examination, Occupational health.
東京都下の小規模塗装事業所における有機溶剤取扱い作業者の健康調査の概要を報告した。平均尿中馬尿酸濃度からみた曝露レベルは比較的低く、また、臨床的検査からも有機溶剤曝露に起因したと判断できる異常所見はみられなかった。しかし、得られた馬尿酸値が定常的な曝露状況を反映したものかどうかは不明であり、また、作業時の自覚症状や有機溶剤による手指皮膚の変化、有機溶剤を使用した手指洗浄の習慣化などを考えると、健康障害要因や安全面でのさまざまな危険要因の存在を指摘することができる。また、本調査で対象とした非常に小さい規模の事業所では年齢や勤続年数に由来した要因にも配慮した健康管理が必要である。 (図7・表4)(自抄)
松藤 元. 大正時代の労働衛生学. 1994; 70(10): 474-491. keywords=大正時代, 日本, 労働衛生史, 職業病, The Taisho era, Japan, History of industrial hygiene, Occupatioanl diseases.
大正時代に入って工鉱業の発展、工場法の施行、業務上の疾病の発表などにより日本の労働衛生学の活動は活発となった。労働衛生学に関する書籍や論文が多く出版され、労働科学研究所が創立され、その機関誌が刊行された。この時代の研究対象の主な業種は炭山と繊維工業で、前者では眼球振盪症、炭肺、後者では交代制、作業面高が主に研究された。その他鉛・水銀・マンガン・黄リンなどによる中毒、減圧症、難聴などの職業病、疲労、能率なども研究された。大正時代に労働衛生学の調査や研究、その知識の普及に主に努力したのは工場や鉱山の監督官であったが、それは日本の特殊事情ではない。 (表14)(自抄)
栗田 明良. 多様化する土地利用型「個別経営体」の営農実態 −埼玉県下における大規模米麦経営農家のケース・スタディから−. 1994; 70(11): 511-529. keywords=個別経営体, 土地利用型農業, 離職就農者, 大規模専業経営, 大規模兼業経営, Individual farm management body, Land-extensive agriculture, Re-entrant farmer retired from a wage-eraning job, Large-scale full-time farming, Large-scale part-time farming
農業労働力の高齢化が進む中、生産基盤の脆弱な土地利用型農業部門の再構築を目指して、効率的・安定的な「経営体」の創出が急がれている。しかし、いわゆる新政策が提示した「望ましい稲作経営」の担い手として「個別経営体では10〜20ha程度」の経営規模に到達すること自体が必ずしも容易でない上に、個別経営体への展開が期待される大規模米麦農家の実像は多様を極め、いわば“大規模兼業農家”とか“大規模高齢農家”と呼ぶ方がふさわしいケースも少なくない。1994年1〜3月、埼玉県下の大規模農家22戸を対象とした聞取調査の結果である。(表8)(自抄)
西田 有子, 島 正吾, 加藤 保夫, 長岡 芳, 谷脇 弘茂, 栗田 秀樹, 大谷 尚子, 井出 祐子, 浅田 恭生, 田村 昭彦, 南 晴洋, 帥 開平(Shuai Kai-ping). じん肺者における血清IV型コラーゲンの動態とじん肺進展度との関連性. 1994; 70(11): 530-538. keywords=IV型コラーゲン, 窯業じん肺, III型プロコラーゲンペプチド, アンギオテンシン変換酵素, ヒアルロン酸, Type IV collagen, Ceramic workers' pneumoconiosis, Type III procollagen peptide , Angiotensin converting enzyme , Hyaluronic acid
窯業じん肺者80名(PR1:19 ,PR2:18,PR3:19 ,PR4:24)、対照者21名(肝機能異常者除外)について血清IV C,PIIIP,HY,ACE,LDHを測定した。病型別IV C値は、対照群の114.4ng/mlに比べて、全じん肺群で133.5と有意に高値を示し、(PR1-2)群の段階から、対照群より有意に高値を示し、高度進展(PR3-4)群では横ばい傾向をみた。異常値出現率は、対照の0%に対してPR1(26.3%), PR2(27.8%), PR4(16.7%)およびPR1-4(20.0%)群で有意に高率を示した。PR2群のPIIIP、PR3群のACEは対照群と比べて有意に高率であった。HY、LDHはいずれの病型においても対照群との間に有意な差はなかった。(図1・表5)(自抄)
松藤 元. ゴム加硫労働者のCS2中毒. 1994; 70(11): 539-546. keywords=ゴム工業, 二硫化炭素中毒, 労働衛生史, Rubber industry, Carbon disulfide poisoning, History of labour hygiene
コロンブスの第二次探検隊が西インド諸島で見付け、ヨーロッパに運ばれた天然ゴムの欠点は、19世紀の40年代に発明された加硫法によって除かれ、ゴムはタイヤなどに大量に使われるようになった。アメリカで発明された熱加硫法ではイオウが用いられたが、ドイツやフランスで採用された冷加硫法ではCS2が使われて、労働者にCS2中毒が生じた。しかし加硫以外の方法が考案され、1930年代からは合成ゴムが製造されて、ゴム労働者のCS2中毒は姿を消した。(表7)(自抄)
小木 和孝. 「労働科学」70巻とこれから. 1994; 70(12): 567-568. keywords=労働科学, 機関誌, 労働, Science of labour, Periodical, Work.
機関誌「労働科学」は、1924年の第1巻1号から1994年12月で第70巻12号を迎えたる70巻の長い歴史を記念し、70巻12号までの全論文・資料目次を付録として、フロッピー・ディスクに収めて読者に提供する。
70巻の内容をみると、「労働科学」誌が、わが国における労働と労働生活研究のあゆみをそのままに反映してきたことが、よく知られる。全70巻に含まれる研究論文・資料は2,975編、著者は延べ数で5,313名の作品である。
本機関誌は、労働科学と関連諸分野のこれからの課題、研究方向を考えあう上で、現場で行われている具体的な動きにそくした研究にできるだけ焦点をあわせながら、読者と寄稿者とともにこれからも歩んでいくことを期している。(自抄)
高橋 誠, 北島 洋樹, 伊藤 昭好. VDT作業者の健康に及ぼす影響要因の解析. 1994; 70(12): 569-584. keywords=VDT作業, 健康影響, 質問紙調査, 重回帰分析, VDT work, Health effects, Questionnaire survey, Multiple regression analysis.
VDT作業者の健康とその影響要因の因果関係構造を明らかにするために必要な諸変数の検討を行った。旅行会社のVDT作業者を対象にした質問紙調査のデータの主成分分析結果から得た焦点調節機能低下、眼痛症状、頸肩症状、手腕症状を表す4因子の尺度値を目的変数として、対象者の属性やVDT使用状況(業務量)の各量的データ、および画面表示文字の照明環境・作業場と一般環境・VDT機器の操作性・職務特性に関する各因子の尺度値を説明変数として重回帰分析を行った。男性の予約・照合・検索作業群とデータ入力作業群を分析した結果、VDT作業タイプによっても、また、焦点調節機能低下や眼痛症状といった症状群によっても健康影響の原因となる変数は異なるであろうことが示された。(図6・表8)(自抄)
労働科学編集委員会. 労働科学論文情報ファイル −添付フロッピーディスク−について. 1994; 70(12): 585-589.
労働科学研究所. 「労働科学」総目録 第65巻1号(1989年)〜第70巻12号(1994年). 1994; 70(12): 590-599.
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