財団法人労働科学研究所ホームページ出版労働の科学58巻8号

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58巻
8号目次

表紙「ペンギン」drawing by itaru itard

特 集:睡眠時無呼吸症候群と安全対策

<俯瞰(ふかん) >産業安全と労働衛生の一体化:木村 嘉勝
岩田 剛和:睡眠時無呼吸症候群に対する国土交通省の対応   
鈴木 雅明: 睡眠時無呼吸症候群の病態と治療効果
佐々木 司:安全を踏まえた睡眠時無呼吸症候群対策の方向性

<産業医学いまむかし(8)>野村 茂:工場法制定の前後
<話題> 佐藤百合子:NPO設立の現状と問題点 〜キャリア・デザインの視点から〜
<労働者の健康増進策のニューウェーブ(3)>松田 光生:生活習慣病の予防と運動 〜運動による動脈硬化の予防
<男女共同参画時代に向けて(1)> 西田 一美:女性役員就任が「特別なこと」から「当たり前」な時代へ
<防災シミュレーショントレーニング(1) > 平能 哲也:従来の「防災訓練」との違い
< 新しい働き方を探る(5)>水野 基樹:ポータブル・スキル
<AV/IT時代のヒューマンインターフェース(6)> 齋藤 真里:安心感のあるユーザーインターフェース
<トピックス>堀井 秀之:「社会技術」のめざすもの<下>
<ロンドン見聞録(1)>鷲谷  徹:バス運転手の喜び
<IT産業の舞台裏 その8>サトウヨシフミ:品質管理って……(2)
<cinema>ブルジョワ家庭の崩壊と主婦の自立を描く −『エデンより彼方に』(百瀬しのぶ)
<music>イラク戦争が音楽家たちにもたらしたもの(しかのあきこ)
<books>現代環境会計(編集部)
<information and news>ワークサイエンスニュース/緊急! 安全衛生実践セミナー「国立大学の大学法人化と労働安全衛生法」開催

巻頭言<俯瞰(ふかん)>産業安全と労働衛生の一体化:木村嘉勝

 労働災害や職業性疾病の推移について全国の統計でみますと,2001(平成13)年の労働災害による死亡者数は1,658人,休業4日以上の死傷者数は12万5,918人でピーク時(1961年)に比して 4分の1に,休業4日以上の死傷年千人率は13分の1(1956年)に,職業性疾病は4分の1(1972年)に減少しています。労働災害などの発生が減少しているなかで,さらに安全で健康的で快適な職場づくりを進めるためには,労働災害や職業性疾病の発生件数による安全衛生水準の評価から,職場のリスクの低減による評価へと重点を移す必要があります。
 労働災害の根本原因としては,安全管理体制や安全衛生管理活動の欠如がありますが,現象面では,機械設備,作業環境などの「不安全な状態」と「作業者の不安全な行動」が重なったときに発生します。アークによる強烈な光線の周辺への漏洩,粉じんや有機溶剤のばく露,騒音の環境下で作業,ストレスや不安を抱えている場合などでは,作業者は集中力が低下して不安全行動する確率が高まります。また,作業者が高血圧,糖尿病などの持病があれば,仕事の種類によってはそれが要因となって,結果として不安全な行動につながることがあります。
 このように,作業環境の衛生面での水準や作業者の健康状態は,作業者の「不安全な行動」を誘発するおそれがありますことから,今後の労働災害防止対策は安全対策の充実のみならず,労働衛生設備対策や健康管理対策への十分な配慮が不可欠となります。安全担当者は作業環境の衛生管理の面,作業者の健康状態,メンタルヘルスなどを,一方,衛生担当者(産業医を含む)は機械設備の不安全な状態での作業に気を遣いながら仕事を行うという精神面のストレスや不安を軽減するために,安全対策に十分に考慮する必要があります。
 また,厚生労働省は,1999(平成11)年4月に「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」を公表しており,このシステムを導入する事業場が増加しています。このシステムの運用にあたっては,労働安全マネジメントは安全担当者が,労働衛生マネジメントは衛生担当者が担当して大きな役割を果たすことになりますが,このためには両者の緊密な協力関係が求められています。
 以上のことから,これからの事業場における安全衛生管理活動は,安全担当者は労働衛生関係,衛生担当者は安全関係について研鑽して,安全担当者と衛生担当者がそれぞれの専門性を生かしつつ,お互いの壁を取り払い「産業安全と労働衛生の一体化」を進めることが重要となりつつあります。
(きむら・よしかつ=中央労働災害防止協会・常務理事)

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