財団法人労働科学研究所ホームページ出版労働の科学58巻6号

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58巻
6号目次

表紙「鷹匠」drawing by itaru itard

特 集:ハンディのある人たちと働く  〜「障害者基本計画」を受けて〜

<俯瞰(ふかん)> 万人を「適材適所」で:椎谷 正
厚生労働省障害者雇用対策課:「障害者基本計画」と「重点施策実施5か年計画」 〜雇用・就業分野を中心に〜
朝日 雅也:障害者雇用の課題
田中江里子:障害者雇用の成功例 〜キヤノンの取り組み〜
米山 勝己:障害者雇用のポイント 〜コンサルタントの観点から〜
城所 克嘉:〈特別寄稿〉「障害者を雇う企業を支援します」 〜「NPO法人 障害者雇用部会」設立にあたって〜
中村 健二:〈特別寄稿〉鹿児島における精神障害者の苦労

<産業医学いまむかし(6)>野村 茂:産業結核の今昔
<現場の産業保健ノート(12)> 堀江 正知:産業保健活動と地域保健活動の連携
<トピックス>藤田 博仁:ホームレスの実態と特別措置法の意義
<労働者の健康増進策のニューウェーブ(2)>小澤多賀子 ほか:高齢者における筋力トレーニング
<新しい働き方を探る(4)>水野 基樹:心理的契約
<社会の目>吉岡 庸光:社会的責任投資への期待<下>
<AV/IT時代のヒューマンインターフェース(5)> 齋藤 真里:ユーザー要求分析の実際と役割
<庫内気流最適化設計開発うら話(3)>小口 康明:ペルチェ素子による除湿
<集中連載 >本 節雄:「組織」を考える・3
<保護具なるほど博物誌(11)>放射能保護具の巻(田中通洋)
<cinema>定年退職したサラリーマンの心の旅―『アバウト・シュミット』(百瀬しのぶ)
<music>トロと音楽鑑賞(しかのあきこ)
<労働科学のページ>
 オフィス労働のIT化と労働者の疲労(佐々木司)/視覚障害者用道路横断帯の標準的敷設法に関する研究(1)(大倉元宏 ほか)/個人曝露粉じん濃度のリアルタイム表示および警報システムの開発(村田 克ほか)/産業用安全帽の通気性能試験に関する検討(伊藤昭好 ほか)/熟練旋盤工の技能・技能獲得過程について−研究課題の提案−(粟津俊二)
<books>〜最新科学がついに解明〜 宇宙には意思がある(野沢 浩)

巻頭言<俯瞰(ふかん)>万人を「適材適所」で:椎谷 正

 このところ,障害者について,「自立」,「社会参加」という言葉がよく使われる。「自立」の有効な手立ては「働く」ということであろう。働くことによって社会の役に立っていることが実感でき,またそれによって所得が得られるのなら二重の喜びを得られる。働くというなかで最も多いのは,企業で働く,つまり雇用されるということであるが,企業からすると,目下の厳しい経済情勢のなかで,あちこちから,やれ新規高卒者を雇ってほしい,いや新規大卒女子も雇ってほしい,高齢者も,障害者も雇ってほしいといわれ,とてもそんなに雇えませんよといいたいところであろう。
 ただ障害者については,障害者と聞いただけで雇用に二の足を踏む企業が多いように思う。しかし,人事について,企業はよく「適材適所」という。それは,この仕事をするにはこういう能力が必要だから,そういう能力のある人をそこに使うということであろう。そうであれば,本来,健常者だから使い,障害者だから使わないという考えではないはずである。また,何々の能力がないからというのではなく,それぞれの人の持っている能力に見合った仕事をしてもらうということでもあろう。それぞれの障害者の持つ能力を見もせずに使えるところはないといわずに,ぜひ障害者の能力を見てほしい。私どもの協会は,長年にわたり障害者の技能競技大会(アビリンピック)を開催している。障害者の技能向上の励みになると同時に,障害者がどのような技能をもっているかを企業の人に見てもらいたいからである。
 そうはいっても実際に障害者を雇うと健常者を雇う場合には必要のない経費がかかるという声がある。市場経済における競争では不利になりかねない。この障害者を雇う経費を企業が共同して負担し,公平な競争をしようという趣旨で設けられたのが,納付金,調整金の制度である。企業の雇用する従業員総数に占める一定割合(雇用率)を障害者とし,雇用率を満たしていない企業は未達成の人数に比例して納付金を納めていただき,雇用率を上回る障害者を雇用している企業にその上回る人数に比例して調整金を支給することによって負担の公平を図ろうとする制度である。
 また,企業内で障害者雇用のために施設,設備を整えるために必要な費用の一部を助成する制度もあり,さらに実際に職場で障害者をどう扱い,仕事をしてもらったらよいのかわからないといった企業には,私どもの協会から障害者職業カウンセラー,ジョブコーチを差し向け本人と企業の両方に的確な助言をする制度,また,3カ月間試験的に就業してもらい,よいとなったら雇用するというトライアル雇用制度などもある。
 そうした制度を駆使し,企業の理解と協力を得つつ,障害者が障害者ということを意識せずに働き,生活できる世の中をめざしたい。
(しいや・ただし=日本障害者雇用促進協会・会長)

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