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58巻 10号目次
特 集:創造的余暇を過ごそう!
<俯瞰(ふかん) >仕事と余暇: 越河 六郎
森下 高治:働く人のストレスと余暇の効用
森 恵美子 ほか:新時代の余暇と沖縄のゆとり
三瓶あづさ:高齢化に伴う余暇充実の必要性
大西 明宏:観光資源のバリアフリー化 〜清里のペンションの一事例から〜
奥村 敏明:男たちに勇気と喜びを与えたラグビーと知的障害者
<産業医学いまむかし(10)>野村 茂: 工場鉱山衛生調査室の誕生
<ポイント> 馬目 太永: 問題飲酒とストレス
<ノクトビジョン>田淵武夫 ほか:高齢者介護従事者の長期就労の条件と労働負担
<新しい働き方を探る(6)>水野 基樹:インセンティブ・システム <ロンドン見聞録(2)>鷲谷 徹:ロンドンの夏
<AV/IT時代のヒューマンインターフェース(7)>齋藤 真里: 個人情報とユーザーインターフェース
<男女共同参画社会に向けて(2)>飯塚 佳与子:第2次千代田区男女平等推進行動計画の新たな取り組み
<労働者の健康増進策のニューウェーブ(4)>鰺坂 隆一:高齢者の運動とメディカルチェック
<防災シミュレーショントレーニング(3)>平能 哲也:「トレーニング」実施企業実例紹介
<Letters to the Editor>宮崎 修行:『現代環境会計』をめぐって…2?゙方に』(百瀬しのぶ)
<cinema>日常を脱け出して旅に出た中年男が得たもの −『月曜日に乾杯!』(百瀬しのぶ)
<労働科学のページ>プッシュプルブース換気装置の換気性能(金原清之 ほか)/介護保険制度と農山村の高齢者福祉問題−新介護システムは如何にして「社会保障改革の橋頭堡」たり得たか−(栗田明良)/高年齢VDT作業者の作業実態と疲労自覚症状(鶴原亜紀 ほか)/睡眠不足と安全の関係についての文献的資料(小松英海)
<books>豊かさの条件(鬼丸朋子)/北里柴三郎と緒方正規 ―日本近代医学の黎明期―(堀口俊一)
<information and news>ワークサイエンスニュース
巻頭言<俯瞰(ふかん)>仕事と余暇: 越河 六郎
上の者から声をかけて,一杯飲み屋に行かないかと誘っても,「仕事があります。それを片付けたい。どうしても飲み会に行かなければなりませんか」と断られることが多いという。ソフト開発,システム運用管理などを主業務とする情報サービス会社の社長さんの嘆きである。
誘ったほうは,息抜きというか,ストレス解消にもなろうかと思ってのことだが,今の若い人達はのってきません。世代の違いでしょうかね。酒場でウサを晴らすよりも,パソコンの前に座っているほうが楽しいという人もいるから,なるほど時代の変化かもしれない。しかし,「今晩飲めるぞ,その前に仕事を済ませておこう」といった,あの雰囲気はどこへ行ったのだろうか。
忙しく残業が続く。裁量労働時間制をとったとしても,納期という厳然たる時間枠が設定されている。これは当たり前のことであって,目標を達成するまでは緊張が解けないのも現実である。さらに,知的ワーク化という労働の展開も著しく,勤務時間内だけで仕事が進行するとは限らない。頭脳はいつも仕事のことを考えている。仕事の時間と仕事以外を区分することはできない。開発といった仕事などでは,電車の中であろうと,極端に言えば,睡眠中でもアイデアの出現を期待していることにもなる。
職務の内容にもよるが,仕事(労働)時間の管理は,勤務拘束時間内だけでの事柄ではなくなっている事例も少なくない。
「余暇」は,社会的な役割を含む「仕事」と自分の生理的に必要な時間との合間としてとらえると考えやすい。もともと余りの時間などはないからである。この「合間」の過ごし方が人それぞれの人生の豊かさ,その大きな部分を表現するものものではないだろうか。
日常の生活の中に「余暇の時間」がほとんど見いだせないとか,睡眠時間すらまともに取れないといった極端な例は別としても,仕事の時間が「勤務・拘束外の時間」を制約していることは事実である。また一方,労働時間と裏腹の勤務間隔時間の設定に余裕があるとしても頭の中はいつも仕事ということもある。このような場合,すぐ労働時間管理の不備が問われるわけだが,そう簡単なことではない。勤務外の時間は拘束されない時間であり,過ごし方は本人の自主性に任せられた性格を持っている。したがって,管理という概念は当てはまらないことになるからである。
労働時間管理の延長線で「余暇」を考える場合でも,労働時間は「余暇時間」を枠づけるということはあっても,その中味まで管理するすることはできない。強いていえば,管理ではなく指導・教育の問題として考慮すべき点は残ると思う。
(こすごう・ろくろう=松蔭女子大学・教授,労働科学研究所主管研究員)
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