財団法人労働科学研究所ホームページ出版労働の科学58巻1号
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58巻(2003年)
1号目次

表紙「七色の猿」 drawing by itaru itard

特別企画:労働科学研究所創立81周年記念講演会・誌上採録

<俯瞰(ふかん)>前原 直樹:今こそ,公平で公正なルールづくりが求められている
前原 直樹:企業と組織の社会的な役割と責任 〜働きがいのある仕事と職場をめざして〜
得本 輝人:信頼される企業・社会づくり 〜労働組合の役割〜
本林 理郎:よき企業市民として 〜その責任と役割〜

<ノクトビジョン>有園 博子:職場のよりよい人間関係づくりのために 〜メンタルヘルス活動のひとつの手法“ピア・サポート”〜
<産業医学いまむかし(1)>野村  茂: 労働科学の目で
<社会の目>吉村 臨兵:入札・委託契約制度と社会的価値
<地球サミットから10年 地球市民めざして(2)> 角田季美枝:日本企業の「持続可能性」って何? −−「持続可能性報告」と「社会的責任投資」
<現場の産業保健ノート(8)>堀江 正知:労働衛生法規とリスクコミュニケーション
<Talk to Talk >肝付 邦憲:自然の理に触れる
<人事部門における障害者雇用方策(5)>水谷 一生:アクセシビリティサイトの構築
<IT産業の舞台裏 その5>サトウヨシフミ:聞いてるだけじゃ……
<インタビュー>編 集 部:“失敗学”の確立へ「失敗学会」設立 〜畑村洋太郎氏に聞く〜
<保護具なるほど博物誌(6)>耐熱保護衣の巻(田中通洋)口絵
<cinema>リストラされた父親が権力社会に立ち向かう −−『ジョンQ−最後の決断』(百瀬しのぶ)
<books>リスク解析学入門−環境・健康・技術問題におけるリスク評価と実践−(原 邦夫)/実践のエスノグラフィ(粟津俊二)

今こそ,公平で公正なルールづくりが求められている
前原直樹

 労働科学研究所は,81年前に倉敷労働科学研究所として創設された。1936年に解散したが,翌37年には本拠を東京に移し,日本労働科学研究所として研究活動を再開している。この研究所も敗戦により1945年9月に解散したが,その年の11月には財団法人労働科学研究所として再開されている。その後1950年に名称を変更したが,1952年7月には財団法人労働科学研究所に復帰した。昨2002年は,この名称に復帰してから50年目であった。
 このように労働科学研究所の経営主体や名称は変更されてきた歴史はあるが,その一貫して変わらない研究スタイルとして,時代時代の働く人々の仕事と生活をめぐる諸問題の解決および人間的で合理的な仕事のあり方の追求を目標として,働きがいがあり,安全で,安心できる,健康な職場づくりと,そして労働生活の質的な向上をめざしてきた。
 労働科学研究所創立の2年前(1919年)に国際労働機関(ILO)は設置されているが,ILOは21世紀の目標として「ディーセントワークの確立」を掲げている。ディーセントワークとは,“安心して働くことができて,きちんとした収入が得られて,まともな老後生活が送ることができる”ということを意図していると考えられるが,短い日本語訳は当てられていないので,私はこの語に対して,“働きがいのある仕事”という表現で説明している。これには,価値ある仕事,人間らしい仕事,安心して働ける仕事という意味を含めている。ILOはこのディーセントワークの実現に向けて四つの目標(権利,職〈雇用〉,保護・保障,対話)を設けているが,このためには公正で公平なルールが必要であると主張している。
 現在の社会経済的な仕組み,競争的な社会の中でも,最低限のルールが必要だ――という認識であろう。“ルールがない日本”といわれて久しいが,わが国の場合は公平で公正なルールをつくることが欧米以上に必要になって,また重要になっていると思っている。
 高齢者が再び職場に戻り,そしてあふれる。
 あらゆる年代の女性たちが職場にいる。
 障害者も一定の割合で職場で働いている。
 そういったこれからのわが国の職場の姿を想定した場合に,“公平で公正なルールづくり”をいかに行っていくかが政労使に問われてくる。
 そして,労働科学研究所には,21世紀の初頭の研究目標として,“働きがいのある仕事と職場”をめざした研究をどのようにするかということが,問われていると考えている。
 本誌新年号にあたって,特別企画として昨年行った労働科学研究所創立81周年記念講演会を誌上採録した。わが国の産業と労働,さらには社会のありかたを今一度考え,21世紀型の働きがいのある仕事,そして職場をいかにつくり出すかということを共に考える場となれば幸いである。
(まえはら・なおき=労働科学研究所・所長)



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