財団法人労働科学研究所ホームページ出版労働の科学57巻4号
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57巻(2002年)

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表紙集

57巻4号

<表紙版画>高橋幸子「春爛漫」

特集:学校と教師の危機

 全てのブラジル国民が,セレソン(サッカー・ブラジル代表)監督になれるといわれるほど,同国民はサッカーに対して一家言もつという。同様に,教育の問題は,日本人にとって1億総評論家となれる数少ない話題の一つといえるだろう。誰もが,みずからの経験から議論に参加することができる。そして,それらの意見は,きっとすべて正しい。
 しかし,教育現場の混乱・危機は想像以上に進んでいる。2人に1人の教員が,仕事をやめたいと思ったことがある(特集2:樋口けい子「学校をやめたくなる教職員はなぜ多いのか」),病気休職の教師の4割が精神性疾患(特集3:新井肇「教師バーンアウトの『なぜ』と『どうする』」,特集4:田中聡明「教員のメンタルヘルスについて」)――という衝撃的といっていい現場からの報告を踏まえたうえで,冷静な議論をしなければならない。
    ◇    ◇    ◇
「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが,希望だけがない」
「〜という国で,希望だけしかなかった頃とほとんど変わらない教育を受けているという事実をどう考えればよいのだろうか〜」
 村上龍の小説『希望の国のエクソダス』(文藝春秋,2000年)で,80万人の集団不登校をよびかけた主人公の中学生が,国会で語る一場面であるが,このような想いは,誰もが感じているのではないか。
 特集1(久富善之「学校と教師の困難・危機と希望」)においては,このことが明確に整理されている。
    ◇    ◇    ◇
 さて,では次代を担う児童・生徒たちに“希望”を示すために大きな影響力を発揮できる教員のこころを健康に保つには,どうすればよいのか。いずれの報告も共通して,教員と子ども・保護者・地域・同僚間でのコミュニケーションの大切を指摘している。
 この中で“地域”とは何か? 特別なNGOなどではない。私であり貴方だ。すべての人々が1億総監督として,1億総日本代表プレーヤーとして参加し,教員と学校の信頼を回復することが求められているのではないか。

目次

特集:学校と教師の危機

<俯瞰(ふかん)>暉峻淑子:学校というところ
樋口 けい子:学校をやめたくなる教職員はなぜ多いのか
久冨 善之:学校と教師の困難・危機と希望
新井 肇:教師バーンアウトの「なぜ」と「どうする」
田中 聡明:教員のメンタルヘルスについて

<話題>吉田 喜久雄:一般環境における化学物質リスク
<高齢者のバリアフリー(1)>八田 一利:バランス能力と転倒
<談話室>肝付 邦憲:中公新書ラクレ15 読売vs朝日,社説対決50年を読む
<キーワード>田中 江里子:大うつ病/松元 俊:睡眠禁止帯
<海外だより>吉川 徹:紛争の地,ネパール王国をゆく
<参加と工夫:快適な自治体職場づくり その16>安藝 肇:全員参加の職場づくり―コミュニケーションの円滑化
<ILOの安全保健アジア地域技術協力(1)>川上 剛:労働安全国際重点計画
<労働科学Q&A>越河 六郎:メンタルヘルスと「管理者」の役割
<ノクトビジョン>西村 太志外:新入社員の対人関係と組織適応―職場内外の重要他者との対人関係と組織コミットメントが職務への関与度に及ぼす影響―
<社会の目>中野 裕美子:単身赴任者の妻の就業継続と仕事観―聞き取り調査からみえるもの―
<書庫散歩>一冊の本から考えること(18・最終回)野沢 浩:田中宏「在日外国人」<岩波新書>を読み考える(その2・了)
<music>しかのあきこ:みなさん、癒されたいですか?
<books>おとなのADHD―社会でじょうずに生きていくために―(大西明宏)/IT革命とメディア(菅理江)/脳は絵をどのように理解するか―絵画の認知心理学(福田真実)


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