特集:共生する職場と社会〜移住労働者の安全と健康〜
<俯瞰(ふかん)> 編集部:ダニエル・カールさんに聞く「わかりやすい日本語・わかりにくい日本語」
森 廣正 [法政大学]:日本における移住労働者の現状と課題
金 良昊 [ウルサン大学]:韓国における移住労働者の健康と安全
沢田貴志 [港町診療所]:移住労働者の医療と健康
小川 忍 [日本看護協会]:外国人看護師・介護士の受け入れ体制を整える
<特集関連トピックス>落合信寿[労働科学研究所]:「危険」な色は何色か?〜安全色のリスク認知に関する日中比較〜
<労働科学と私(47)>清水英佑:わが国の職業がん予防対策〜変異原性試験を中心に〜<話題>小山倫浩・川本俊弘:肺がんとその危険因子
<安全・環境の視点で斬る新テクノロジー (6・最終回)>村田徳治:塩化ビニルの問題点
<し・ん・ど・う の科学(11)>前田節雄:手腕振動ばく露軽減対策方法〈3〉〜防振手袋〜<企業に生かすスポーツ心理学(8)>高畑好秀:準備と命運の割合<ILOこぼれ話(20)>川上 剛:タイの中小企業と安全衛生マネジメントシステム
<知りたい てくのロジー(44)>増田忠英:交通事故を減らすために〜「衝突回避」の技術〜<米国の産業看護活動と日本の産業保健・看護の過去・現在・未来(11)>高橋悦子・錦戸 典子:産業・環境看護師の役割〈3〉〜健康増進専門家,教育者〜
<Talk to Talk>肝付邦憲:知と体験の往復運動
<大原コレクション散策>『ヴェルレーヌの「女と猫」』神原 泰・作/柳沢秀行・解説
<cinema>百瀬しのぶ:平均年齢80歳のコーラス隊「やんちゃな年金生活者たち」の感動実話――『ヤング@ハート』<からだにいい“いいからかん”料理(32)>長須美和子・小田島玉惠:野菜たっぷり! ヘルシー・ブリしゃぶ
<Information and news>編集部:ともに生きて働くために〜移住労働者への支援活動〜
<労働科学のページ>専属産業医の選任義務のない法人における人事担当者によるメンタルヘルス施策立案(鈴木安名)/包丁研ぎ動作の技術習得に関する筋電図学的考察(宮本直和ほか)/時短勤務中に発症した“Karoh-Shogai”事例における時間外労働時間(佐々木司ほか)ほか
<books>竹内由利子:調査されるという迷惑――フィールドに出る前に読んでおく本/泉 貴嗣:環境ファディズムの恐怖
<俯瞰(ふかん)>ダニエル・カールさんに聞く「わかりやすい日本語・わかりにくい日本語」
僕の出身は、米国カリフォルニア州。高校生のときに空手を勉強したくて,1977年,初めて日本にやってきました。当時は、日本といえば「ちゃんばら」のイメージしかなくて……。実際に来日して奈良をはじめとした日本文化に接して面白い国だなと思いました。また、経済的にもダイナミックになりつつある時期で、日本に明るい未来を感じました。
「日本のエキスパートになれば、チャンスがある」。そう思って大学生のときに再来日。大阪の関西外国語大学で4ヵ月学び、その後京都のお寺さんに2ヵ月ホームステイ、新潟の佐渡島では4ヵ月文弥人形づかいの弟子入りもしたんですよ。大学卒業後に今度は、文部省英語指導主事助手として山形に赴任、3年間英語の先生をしました。
一番苦労したのは「言葉」ですね。山形のあとは、東京で広告代理店に勤めたのですが、営業先で「わかりました。検討させていただきます」という言葉をもらって大喜び。「検討してくれるんだ」と言葉どおりに受け取ったのですが、それは、ノーということだとあとで教えてもらいました。僕は日本の食文化はオーケー。日本食はおいしいし、健康的。納豆も大好きで、毎日食べています。畳や布団、靴をぬぐといった住環境や習慣も抵抗がなかった。 しかし、コミュニケーションは大変。日本語は「あいまい」で、言葉の裏がありますよね。また「以心伝心」というコミュニケーション術がある。言葉で全部表現しなくてもわからせようとする術です。ヨーロッパや米国は移民が多く、みな母国語が違いますので、はっきり言葉で伝えないと誤解を招く恐れがある。「言葉」を「言葉どおり」に話すし、受け取ります。日本は江戸時代の鎖国というユニークな歴史を持つ国で、独特のコミュニケーションが育ったのだと思います。
日本語の特徴は、まず、主語をはっきり表現しない。目的語もはっきりしないことが多く、誰のことを話題にしているのかわからないことがあります。それと問いかけに対しての返事が、返事になっていない。イエスかノーかはっきりしない。「そうじゃないかと思うんですけど……」肯定と否定が繰りかえされていて、結局どちらかわかりづらいですよね。でも日本人同志だとわかる。以心伝心です。それと、日本語で独特なのが「謙遜」です。仲間や身内をほめずにけなすことには違和感を覚えました。日本人は家族愛を示すのが得意ではないのかな、と思いましたが示し方が違うんですね。「愛妻」だと思っているのに「愚妻」と言う。本当に言いたいことと正反対の言葉を使ったりする。
外国から日本にやってくると,文法と単語、文字どおりの言葉だけでも大変な思いをする。それに加えて言葉以外の間接的なコミュニケーション能力が必要となる。
そこで、外国人と一緒に働く日本人の方に提案です。@主語を意識して入れた、フルセンテンスの日本語で話す、Aあいまいな表現は誤解・失敗を招くのではっきりと表現する、B敬語、丁寧語を必要以上に使わずシンプルな日本語を話す、C謙遜はほどほどに――。
(談)
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