財団法人労働科学研究所ホームページ出版労働の科学60巻4号
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60巻(2005年)
5号目次

表紙「世田谷線」
スナヤマエミコ

特集:社会的責任と安全・健康

<俯瞰(ふかん)>CSRは企業が担う社会的使命 北城恪太郎
坂 清次:安全衛生面での社会的責任の果たし方
山室栄三:グローバル企業における社会的責任と安全衛生の視点 〜外資系企業の立場から〜
原田 靖之:化学物質のリスク初期評価支援ツールについて
浅井 茂利:労働組合の視点から見た安全衛生対策におけるCSRの役割

<産業医学いまむかし(28)>野村 茂: 関西の産業医学のこと
<労働科学と私(5)>黒田 勲:過酷環境における最大機能維持
<海外だより>内藤方恵:ボパール大惨事から20年〜国際会議参加記〜
<インタビュー>編集部:マネジメントシステム確立への意志を決定づけたボパール事故〜小木和孝・労働科学研究所主管研究員に聞く〜
<From Lab(5) >メンタルヘルス研究グル−プ:こころの健康づくりを応援
<学会レポート>城 憲秀:国際シンポジウム「中小企業とインフォーマルセクタにおける産業保健」
<知りたい てくのロジー(2)>浅見文孝:プラズマディスプレイ
< 労働の科学 Q&A> 篠宮真樹:ろ過材および送気ファンをマスクの面体に内蔵した呼吸用保護具とは?
<新しい働き方を探る(14)>水野基樹:キャリア・アンカー
<労働衛生コンサルタント事務所の窓辺(18)>木田 哲二:長時間残業
<シリーズ・環境問題と社説(8)>肝付邦憲:環境汚染と生産管理

<巻頭コラム・二十一世紀は「心」の世紀(5)> 林雄二郎: 社会的ソフトウェア
<cinema>百瀬しのぶ:生きることは権利であって義務ではない――『海を飛ぶ夢』
<information and news>労働科学研究所維持会特別月例研究会「オトコの働き方を変える 〜男女共同参画社会への道〜」
<Letter to the Editor>玉井 良男:94歳になるある産業医の人生
<books>水野有希:福祉工学の挑戦 ―身体機能を支援する科学とビジネス―


<俯瞰(ふかん)>CSRは企業が担う社会的使命

 「官から民へ」のスローガンのもと、小泉首相は構造改革を進めているが、改革が思うように進まない一因に、企業不祥事が止まないことを指摘する声がある。世の中では、「企業というものは儲けを優先し、反社会的行為に走りがちだ」と少なからず思われてしまっているかもしれない。
 企業は社会の一員として社会に何をもたらすために存在するのか、という問いに対して、私たち企業人は、今一度真摯な気持ちで考え直す必要があるのではないだろうか。
 企業は「社会とともに」あるもので、企業が存続し、持続的に発展していくためには、社会的責任を全うして社会から信頼される存在にならなければならない。法令を遵守することはもちろん、情報公開を徹底し、優れた製品やサービスの提供によって価値を創造することや、環境問題への取り組み、社員の安全衛生についての配慮、地域社会への貢献――などを通じて、企業が社会的責任を果たしていくことが豊かな社会を創ることにつながるのである。
 CSR(企業の社会的責任=Corporate Social Responsibility)は、単に法令遵守(悪いことをしない)という義務・責任だけではなく、社会に対してよいことを行うという、企業が担うべき使命と言えるかもしれない。
 CSRへの取り組みは、優秀な人材を惹きつけるという観点からも重要な要素になっている。ある程度経済的な豊かさを手に入れた人々にとって、働くということは、単に生活の糧を稼ぐことだけにとどまらない。それ以上に、自らの可能性に挑戦し自己実現を図り、「達成感」を得ることが働く意味として重要になってきている。企業には、自己実現を図ろうとする人たちが活躍できる優れた労働環境を提供することも求められている。
 日本IBMでは、お客様やお取引先にご満足いただき、信頼いただけるための「お客様満足度向上」にも力を入れているが、それを支えるのは「社員」であり「人」である。よい社員がいる、集う、創出できる、ということが不祥事をなくすためにも、社会から受け容れられ親しみを持たれる企業になるためにも必要である。
 お客様のご満足(Customer Satisfaction)と社員の満足(Employee Satisfaction)が確立されているような企業は、株主にも満足いただけるような、成果が伴ったよい経営ができていると言えるのではないだろうか。社会がより豊かになるような価値を生み出し、提供することができる人材を育成することは、企業が社会に対して果たすべき使命の一つであるといえよう。
 日本で働く6300万人のうち、約8割の人が職場とする民間企業は、豊かな社会を築くための原動力となる、非常に重要な社会の一員なのである。われわれ企業人は、自ら襟を正し、光り輝く日本社会を構築するため、一層努力して社会的使命を果たしていかなくてはならない。
(きたしろ・かくたろう=日本アイ・ビー・エム(株)代表取締役会長、(社)経済同友会代表幹事)



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