財団法人労働科学研究所ホームページ出版労働の科学60巻4号
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60巻(2005年)
4号目次

表紙「街角の四月(東京ネクタイ会館)」
スナヤマエミコ

特集:個人情報と健康情報

<俯瞰(ふかん)>労働者の健康情報をめぐって 保原喜志夫
杉浦英樹:法律家が答える 健康情報の取り扱いQ&A
堀江正知:産業保健専門職による労働者の健康情報の保護
甲田茂樹:職場への健康手帳の導入とその課題
中桐孝郎:労働者からみた対応法
落合孝則:健康情報をマネジメントする 〜企業の健康管理センターでは〜
五十嵐千代:産業保健スタッフとしての健康情報の取り扱い方と役割

<慢性疲労研究に挑む〜脳科学研究の新展開を迎えて〜(1)>佐々木 司: 労働科学研究所が進める「慢性疲労」研究
<社会の目)>高梨 昌: 若年雇用問題の所在と対策
<産業医学いまむかし(27)>野村 茂: 産業皮膚科学のはじめ
<労働科学と私(4)>井上和衛:農業労働研究〜「早老」から「近代化」へ〜
<知りたい てくのロジー(1)>久武雄三:液晶ディスプレイ技術とユーザーの視覚
<From Lab(4) >ヒューマンケアサービス研究グループ:私たちは「医療」「介護」「教育」分野の研究グループです
< 労働の科学 Q&A> 山田比路史:水洗可能なろ過材の洗濯方法は?
<労働衛生コンサルタント事務所の窓辺(17)>木田 哲二:春です〜心境の変化〜
<トピックス>酒井一博:サマータイムの導入でうるおいとゆとりのある生活構造の変革

<巻頭コラム・二十一世紀は「心」の世紀(4)> 林雄二郎: 天工開物
<cinema>百瀬しのぶ:ドイツW杯優勝が労働者階級の父子の絆を再生する――『ベルンの奇蹟』
<information and news>ワークサイエンスニュース
<労働科学のページ>作業関連性筋骨格系障害に関わる計測と評価の手法(瀬尾明彦)/蒸気・ガス状化学物質の職業性曝露濃度推定数理モデルの検証(原邦夫・熊谷信二・山室朗・小野真理子・武田繁夫・ 野口淳平・中明賢二)/国連GHS勧告を利用した職場での化学品管理の方法(原邦夫・中明賢二)ほか
<books>編集部:リスクアセスメント実践技術の解説―危険源同定からリスク見積もり・評価と安全性の妥当性確認まで―


<俯瞰(ふかん)>労働者の健康情報をめぐって

新法の目的
 「個人情報の保護に関する法律」(新法)が、4月1日から施行される。新法は、個人情報の有用性に配慮しつつ、コンピュータの濫用から個人の権利・利益を守ろうとするものであって、事業者(使用者)が労働者の健康情報を取り扱う際には、その健康保持のために健康状態を把握する義務と、不必要に労働者個人のプライバシーが侵害されないように保護する義務との間での均衡を図ることが求められる。
定義など
@プライバシー権には、他人に知られたくない個人情報を秘匿する権利と、これを本人がコントロールする権利とが含まれる。
A新法では、過去6ヵ月間のどの日にも取り扱う情報量が5千人分を超えない事業者は、規制の対象となる情報取扱事業者とはならないが、それ以外の事業者も、労働者の健康情報が特に機微なものであることから、情報取扱事業者に準じた適正な取り扱いをすべきものとされている。
B新法の「個人情報」に該当するものとしては、労働衛生の分野では、安衛法に規定する、産業医が行う労働者の健康管理等を通じて得られる情報、作業環境測定結果の評価に基づいて実施される健康診断の結果、一般・特殊・臨時健康診断の結果およびそれについて医師などから聴取した意見と就業上の措置、心と身体の健康づくり(THP)を通じて得られた情報、および労災保険法に定める二次健康診断等給付に関する情報がある。
 それ以外の健康情報としては、健保組合が実施する保健事業(人間ドック等)を通じて得られた情報、療養の給付に関する情報(受診記録、診断名など)、医療機関からの診療に関する情報(診断書など)がある。
 労働者の健康保持増進を目的とする場合以外にも、欠勤の原因疾病に関する届出などがあり、これらも保持されるべき健康情報である。
 なお、カルテ、診断書、看護記録などデータベースの構成要素である手書きのデータなどにも義務規定が適用される。
健康情報の取り扱い
 事業者は情報の利用目的を特定し、原則として、本人の同意なしに、目的外の利用および第三者への提供をすることができない。たとえば、健康診断の結果を解雇などの勤怠の評価や生命保険契約の資料として使うことや、事業者が外部の医療機関や健保組合から労働者の医療情報を収集することも、本人の同意なしには、禁止される。外部医療機関や健保組合などからみると、事業者は第三者となるからである。本人からデータの開示、訂正、利用停止などを求められた場合には、その理由の説明に努めなければならない。事業者は、苦情処理その他事業場内での情報処理のルールを定めなければならない。
(ほばら・きしお=天使大学教養教育科・教授)



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