特集:労働安全衛生マネジメントシステムをテーラーメイド!
<俯瞰(ふかん)>OSHMSの効果と留意事項 荒川輝雄
福成雄三:JISHA方式適格OSHMS認定取得の意義 〜住友金属におけるOSHMS整備〜
木田哲二:ローベンスレポートからプライムシステムへ
西野方庸:OSHMS構築の向こうに何があるか
川上 剛:安全衛生マネジメントシステムの小規模職場への応用 〜アジアの労働現場における自助努力支援ツールとして〜
特別企画:労働科学研究所創立83周年記念シンポジウム・パネルディスカッション誌上採録
安全・健康文化の構築に向けて 〜労働科学は何をすべきか〜
<労働科学と私(2)>木村菊二:粉じんとともに〜測定と対策を求めて〜
<産業医学いまむかし(25)>野村 茂:鉱山医学回顧
<産業保健の新潮流 〜自主・自律の時代へ〜(11)>森 晃爾:「共通の言語」と自律的産業保健活動
<From Lab(2) >労働ストレス研究グループ:職場の疲労・ストレス実態の評価と改善策を検討するグループです
<トピックス>橋本健二:増加するニートと日本社会の未来 〜新しい集団層の出現 数十年先の対策を〜
< 労働の科学 Q&A> 篠宮真樹:呼吸追随型電動ファン付き呼吸用保護具とは?
竹田 透:「労働者」にとっての自律的産業保健<4> 〜今後の事業場における健康管理と自律の意義〜
<シリーズ・環境問題と社説(7)> 肝付邦憲: 探訪者として憂える中国環境問題 〜「環境の世紀への提案B ―中国は同じゴンドラの仲間―」をよむ〜
<ノクトビジョン> 島村 伊織ほか: 立位での作業姿勢への対応
<新しい働き方を探る(12)> 水野 基樹: キャリアカウンセリング
<話題>辛島 光彦:仕事前の音楽によりパフォーマンスアップ
<巻頭コラム・二十一世紀は「心」の世紀(2)> 林雄二郎: 情報技術の進歩と個性化の進展
<cinema>誰もが胸に抱いている故郷への思いと初恋の痛みを描いた傑作――『故郷の香り』(百瀬しのぶ)
<information and news>
「労働安全衛生マネジメントシステムの導入と安心・安全な企業経営」開催のお知らせ
ワークサイエンスニュース
作業環境測定士登録講習会のお知らせ
<books>
遠藤幸男:小林多喜二とその時代 ―極める眼―
<俯瞰(ふかん)>OSHMSの効果と留意事項労働安全衛生法を考える 荒川輝雄
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入に関して、「えっ、またマネジメントシステム(MS)やるの?」という声が現場から返ってきた、ということを事業場の安全衛生スタッフの方から聞くことがある。MSに対する心理的な抵抗感の表れである。
MSという言葉を聞くと、認証取得を目的とする、そのために文書や記録をたくさん作る、短期間でMSを仕上げようとするので忙しくなる、という3点をすぐに連想しているということである。そういうことは絶対にない、ということではないが、これらはOSHMSに関する「思い込み」であり、別の見方もできる。
まず、OSHMSを導入する目的を考えるときには、二つの効果を区別しておく必要がある。一つは、導入(構築、運用)そのものによる効果であり、もう一つは、認証取得による効果である。
前者に関しては、導入した事業場のトップは、トップの思いの安全衛生活動への反映、安全衛生管理の技能の伝承、リスクアセスメントによるリスクの低減、システム監査に基づく見直しによるスパイラルアップなどの効果を実感している。また、厚生労働省が公表した大規模製造事業場における安全管理の自主点検結果では、OSHMSを構築し、運用している事業場とそうでない事業場とでは、労働災害の発生率に3割以上の差があることが明らかになっている(年千人率で3・91と6・15)。
認定取得の効果としては、事業場トップは、第三者の客観的な評価による新たな課題の認識、認証取得による取り組みへの自信、安全衛生への積極的な取り組みの外部への情報発信と会社のイメージアップなどの効果を実感している。
「思い込み」の2番目の文書作りに関しては、いきなりすべて文書化する必要はなく、とりあえず必要最小限でよい。たとえば、リスクアセスメントなど新しく取り組むものから実施手順や実施基準を作っていく。
また、3番目の大忙しということに関しては、事業場としてOSHMSのあるべき姿を描き、そのうえで取り組み事項に優先順位をつけ、段階的に順次取り組めばよい。2年あるいは3年かけてじっくり取り組むという方法である。もちろん、やるからには機運の盛り上がったところで、半年〜1年の間に一気呵成にやる、というのもよい方法である。
現在、厚生労働省は、労働安全衛生法の改正や行政上の「優遇措置」などOSHMSの導入を促進するための環境整備の検討を進めている。
また、日本経済団体連合会は、企業の社会的責任(CSR)に積極的に取り組むという観点から「企業行動憲章」を改定した。その中の第4条が従業員に関する事項であるが、その実行の手引きには、「OSHMSへの自主的取り組み」が明記された。
OSHMSの効果やこのような情勢も踏まえて、OSHMSに関する「思い込み」を排して、積極的な取り組みが求められている。
(あらかわ・てるお=中央労働災害防止協会・技術支援部長)
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