| 労働の科学 労働科学 書籍・雑誌のご注文&ご案内 |
59巻(2004年)
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<俯瞰(ふかん)>職場における健康づくり 鎗田圭一郎
武藤 孝司:理論に基づいた職域ヘルスプロモーションの展開
三島 徳雄ほか:健康相談に対する解決志向アプローチの活用
野田 治代:職域における「こころの健康保持増進」システム構築
桝元 武:「健診前1ヶ月チャレンジ」の試み
白石 尚子:健康診断後の全社員面談 〜積極的介入による健康開発の試み〜
<産業医学いまむかし(22)>野村 茂:職業労働と耳鼻咽喉疾患
<産業保健の新潮流 〜自主・自律の時代へ〜(7)>竹田 透:「労働者」にとっての自律的産業保健<1> 〜自律的健康管理と新しい健康概念〜
<トピックス> 安間 武:早期立法化が期待される欧州の新化学物質規制REACH
<話題>内藤 堅志:医療における事故・紛争の現実と第三者機関の設立 〜シンポジウム「なくそう医療事故たかめよう患者の権利」に参加して〜
<木をみて、森をみる(5)> 諏訪 良子:五輪の感動と健康サポート
<シリーズ・環境問題と社説(5)>肝付 邦憲:環境問題を問い続けるための背景を問う<4>
<特別寄稿>鹿野 淳:ユーロ2004観戦記 〜ポルトガルの働く人々〜
<労働衛生コンサルタント事務所の窓辺(13)>木田 哲二: 学会レポート(……夜の) 〜日本産業衛生学会その2〜
<cinema>21世紀の『東京物語』――『珈琲時光』(百瀬しのぶ)
<information and news>
労働科学研究所実務セミナー<いますぐ使えるメンタルヘルス対策>
作業環境測定士登録講習会のお知らせ
寄付金のお願い
ワークサイエンスニュース
<books>村田 克:感染症とたたかう― インフルエンザとSARS ―
「健康」とは何でしょうか。
WHO(世界保健機関)の健康の定義はよく知られていますが,実際には健康に対する考えは千差万別なのではないでしょうか。ある人は病気でないことを,またある人は大した症状がないことを健康と考え,またある人は生き生きと生活できることを健康と呼ぶかもしれません。人はその立場や置かれている社会的境遇により健康についてさまざまに考え,それはまた個人でも時の流れとともに変化するのだと考えます。このように健康観は個人によってさまざまであり,働いている人の多くは,自分をあまり不健康だとは思っていません。産業保健スタッフは健康診断結果で判断しがちですが,検査値に若干の異常があっても元気に働いている人はたくさんいて,それゆえに健康管理に行き詰まりを感じている産業保健関係者も少なくないのではないかと思われます。
それでは,自分をあまり不健康だとは思っていない人の健康づくりを推進するためにはどうしたらよいのでしょうか。トータルヘルスプロモーションプラン(THP)では労働者一人ひとりが「自分の健康は自分で守る」というセルフケアの考え方を身につけ,それを実践することを目標としてきました。そしてそこには当然セルフケアを支援する事業主の役割が強調されていたはずですが,セルフケアだけが一人歩きしているのが現状なのではないでしょうか。
まず事業主が社員の健康づくりに関する指針を表明し,セルフケアを支援する。通勤時や昼休みにウォーキングやジョギングをする社員が気軽に活用できるシャワー施設やスポーツ施設などを設ける,社員食堂の献立にカロリー表示をするなどのハード面の対策を進め,健康管理体制を整備し,計画・実行・評価・改善がスムーズに進んでいけば理想的だと考えます。
健康管理のソフト面を実際に企業で担当するのは,産業医,保健師,衛生管理者などですから,個々の健康観や価値観に見合ったテーラーメード(個人に合わせて作られた)の健康づくりプランを提供するためには,産業保健スタッフがさまざまなスキルを身につける必要があります。通常日本では労働安全衛生法に規定された健康診断や健康測定が広く行われていますので,これを出発点とするアプローチが多いかと推測されますが,この出発点に関してもさまざまな工夫が可能です。いずれにしましても,このソフト面に血を通わせることが産業医,保健師などの大きな役割だと考えます。
今回の特集では,ヘルスプロモーション理論の職場展開の方法やさまざまな工夫を凝らしたアプローチのしかたを5人の先生に執筆していただき,産業医や保健師などによるポジティブ・アプローチ実践の参考となるように,そして何より参加する人がポジティブになれるような取り組みをご紹介していただきました。何となくマンネリ化してしまった健康づくりの一助となるかとも期待します。
(やりた・けいいちろう=マツダ(株)健康推進センター・産業医)