「労働の科学」最新号
65巻(2010年)
3号目次
特集:男女平等のための働き方を考える ~国際女性デー100年~
俯瞰(ふかん)
小宮山洋子[衆議院議員]:女性の社会参画と真のワーク・ライフ・バランス
伊藤セツ[昭和女子大学名誉教授]:国際女性デー100年,なお不調和な労働と生活
暉峻淑子[埼玉大学名誉教授]:男も女も豊かに働きたいのに
東海林智[毎日新聞社]:女性労働に見る貧困の構図
片岡千鶴子[日本労働組合総連合会]:働き方の改革で,「ワーク・ライフ・バランス」の実現をめざす
赤堀正成[労働科学研究所]:男女賃金格差を考える
労働の鳥瞰・虫瞰(2)
高橋祐吉:非正規雇用の行方
トピックス
木下壽國:孤独死と向き合う〈上〉
働く視覚障害者への支援 ロービジョンケア(2)
工藤正一:国の視覚障害者に対する雇用支援施策と制度紹介
企業に生かすスポーツ心理学(24)
澁谷智久:注意を知る
海で働き海で生きる(3)
大橋信夫:家族の手紙と電話
ILOこぼれ話(35)
川上 剛:私のチーム~リーダーシップとマネジメント~
オランダだより(12)
長須美和子:ジャパニーズ・ディナー
Talk to Talk
肝付邦憲:黒子
知りたい てくのロジー(60)
増田忠英:オフィスで立体が造形できる時代に~「3Dプリンター」の技術~
産業安全保健エキスパート養成コースNEWS
産業安全保健エキスパート養成コース~第8期受講者の声<1>~
大原コレクション散策
『竹窓裸婦』梅原龍三郎・作/柳沢秀行・解説
Cinema
百瀬しのぶ:家族を守るため,危険な仕事に手を染めていくふたりの母親の物語――『FROZEN RIVER』
からだいい“いいからかん”料理(48)
長須美和子・小田島玉惠:Cyril(シリル)のシャルロット・ケーキ!
Books
肝付邦憲:経営にカウンセリングを活かす――インテグラル産業カウンセリング
俯瞰(ふかん):女性の社会参画と真のワーク・ライフ・バランス 小宮山洋子
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)ということばを、毎日のように、耳にするようになりました。これまでの働き方が、家庭での生活と調和がとれず働きすぎで、女性が家族的責任の9割近くを担っている現状で、このワーク・ライフ・バランスが実現しないと、いくら男女共同参画、男女は平等と唱えても、女性が働きがい、生きがいを持って生きていくことはできません。そういう意味からは、これまでの政権が行ってきた、仕事と子育ての両立支援のためのワーク・ライフ・バランスも必要だと思いますが、これは、狭い解釈です。
真のワーク・ライフ・バランスは、性別や年齢にかかわらず、働く人すべてが、仕事と生活の調和をはかりながら、自分らしく心豊かに生きていく、ということです。人が生きていくには、報酬を得る労働である仕事のほかに、子育て・介護・家事といった家庭での活動があり、その他にも、地域活動やボランティア活動、さまざまな勉強や趣味など多くの活動があります。そのすべての活動と賃労働である仕事との調和のとれた生活ということなのです。
少子化で、子育てしやすい環境を作るためにワーク・ライフ・バランスといわれるようになった、ひとつの理由は、育児休業の取得率が、2007年度には89%とされていますが、働いていて妊娠した女性は7割が辞めた後の9割、全体の3割弱しかとっていないのです。妊娠した女性だけに特別の権利は、厳しい雇用情勢の中で使えず、すべての人にとっての仕事と生活の調和ということが必要になったのです。
ワーク・ライフ・バランスを実現するには、均等待遇(同じ仕事には、同じ報酬)の法整備が必要です。この法律ができれば、家族が必要としているときには短い時間働き、そうでないときはフルタイムで働くなどライフサイクルに合わせた働き方ができます。均等待遇の法整備を進めるには、企業にとって、妊娠・出産で女性が辞めないほうが得、ということがないと難しいと思います。2008年に、内閣府の男女共同参画会議のワーク・ライフ・バランス専門調査会が、女性が働き続けたほうが、企業にとって得、という調査結果を発表しました。従業員が出産で退職し人員を補充するケースより、就業を継続し育児休業を取得して短時間勤務を行うケースの方が、中規模企業で16万円、大企業では22万円、得という結果になっています。
このワーク・ライフ・バランスを実現するためにも必要ですし、正規と非正規雇用の格差など、公平公正な働き方を作り出すためにも、均等待遇の法整備は喫緊の課題です。ところが、省庁再編で巨大な厚生労働省になり、国会の委員会も厚生と労働が一緒になっています。厚生の分野の年金問題や後期高齢者医療制度など医療問題が大きな課題となっているため、なかなか労働の審議時間がとれません。常に労働問題を審議する小委員会を設けるか、巨大な厚生労働省を分割するなど、国民の視点に立った省庁再々編が必要なのではないでしょうか。
(こみやま・ようこ=衆議院議員)















