中期研究戦略2010と2009年(平成21年)度研究活動の自己評価
中期研究戦略 | 2010年度の取り組み | 主要な研究課題 | 2009年度の研究活動の評価
(昨年度(2009年度)の研究戦略と2008年度研究活動の評価)
労働科学研究所の中期研究戦略2010
私たちは産業界の健全な発展、働くすべての人の安全と健康、働きがいのある人間らしい仕事を支える学術・技術応用分野におけるニーズを的確にとらえ、基礎データづくり、問題解決のための方法とツールの開発・提供を継続して行い、安全・安心で、豊かな労働生活づくりへ貢献することを目指します。
- 働く人たちの多様性に注目し、労働力特性に即したニーズ分析と課題解決法の提案を行います。特に、新しい労働負担のあり方の解明、適正なワークライフ・バランスの調整、働き方改革などに取り組みます。
- 改善策の提案に結びつくリスク評価法の開発・提供に力を注ぎます。そのため、人と人・もの、人と組織・設備・環境との多様なインタラクションを現場条件に即して解析します。
- 産業界における安全・保健・職場環境の三位一体アプローチの深化と実践ならびに産業安全保健分野における中核人材の育成に努めます。
2010年(平成22年)度の取り組み
私たちは研究事業と、教育・国際協力事業を2大柱として、企業、団体、労働組合、個人の方々からの支援をうけつつ、産業安全保健分野の学術成果を提案することによって産業界、労働界、学術界の健全な発展に貢献していきます。そのために、以下のような活動を実践しながら、2010年(平成22年)度は、4つの主要な研究課題と取り組み、研究、実践成果を上げるよう努めます。
- 民間企業と協働をすすめ、現場ニーズに即した受託研究を推進します。
- 産業界において安全・保健・職場環境の三位一体アプローチを実践できる中核人材の育成を積極的にすすめます。
- メンタルヘルスと慢性疲労研究の統合化を図り、労研らしい研究と実践的な取り組み手法を提案します。
- 「REAL(Roken Ergonomic Assessment & Learning)」方式の製品評価や職場診断コンサルティングを実践し、企業の安全保健レベルの向上、生産性の向上、人材育成に貢献します。
- 国内外の学会活動へ積極的に参加するとともに、学術誌「労働科学」への投稿論文数を増やすことで、年4号の刊行(季刊誌)から、年6号(隔月刊)に増刊、定着化を図ります。
- グローバル化のもとで研究成果を教育・国際協力活動に生かします。
- ホームページ、出版活動によって、産業界、労働界へ安全保健情報の発信に努めます。
- 産業界、労働界との情報交流を積極的にすすめるために窓口の充実を図ります。
- 産業界の要請、ニーズに即したコンサルティング活動を強化します。
なお、以上のような活動を効果的にすすめるために、PDCAサイクルの確保に配慮するとともに、労研版事業仕分けをすすめ、財政状況の改善を図ります。
2010年(平成22年)度の主要な研究課題
- 安全文化評価ツールの一層の普及と成果の論文化
- 慢性疲労対策に関する研究の進展と成果の論文化
- 医師ならびに看護職の過労と労働条件の改善
- 外国人労働者における労災・職業病リスクの解明と予防対策の確立
私たちは2010年(平成22年)度のこれらの取り組みのプロセスと成果を年度内に自己評価し、次年度に結びつく活動とします。
2009年(平成21年)度の研究活動の評価
私たちは毎年、研究活動の自己評価を行い、次年度の研究計画に反映します。
財団法人 労働科学研究所は研究事業と教育・国際協力事業を2大柱として、産業界・労働界・学術界の健全な発展に貢献するよう努力した結果、研究面では、1.安全文化評価ツール(SCAT)を多領域の産業分野に適用し、安全研究ならびに産業界の実践において成果を上げました。従来の組織内安全文化評価とともに、協力会社との関連など、組織間の評価が可能になるような方法の開発をすすめました。2.運輸業における労働条件と過労、安全に関する研究をさらにすすめることで、健康起因事故の解明をすすめ、健康管理マニュアルの作成に貢献しました。3.外国人労働者における労災・職業病リスクの解明と予防対策の確立を目指した研究チームを発足させました。また、教育面では、1.産業安全保健エキスパート養成コース第8期、第9期を計画通り実施することで、科学技術振興調整費の支援事業を終了しました。今後、産業界からの協力を得て、中核人材育成の自立プログラム案の開発に努めました。2.産業界との連携によってヒューマンファクタ教育をはじめとする、多様な教育活動を実施した。3.作業環境測定士登録講習を計画通り実施しました、などの成果を上げることができました。
2009年 (平成21年)度の取り組みとして9つの活動(評価対象は6活動)と、4つの研究課題を掲げたが、それぞれの課題についてつぎのように自己評価を行った。評価結果を次年度の研究運営に反映させるよう努力する所存である。
6つの活動
活動内容 | 自己評価 | コメント |
現場ニーズに即した受託研究の実施 | C | 労研に対する現場ニーズは小さくないが、産業界における未曾有の不況の波を受け、所全体の受託高は近年にない低水準にとどまった。 |
産業の安全保健に関する中核人材の育成 | S | 科学技術振興調整費の支援を受けた「産業安全保健エキスパート養成コース」は数多くの成果を残し終了した。今後、本養成コースを継続するとともに、人材育成に関する新企画を発足・推進する。 |
学術活動の活性化 | B | 「労働科学」誌は外部投稿に支えられ、2010年1月から年間4号刊行体制から6号へ回復することができた。今後、研究員の論文投稿に一層の改善が必要である。 |
安全保健情報の発信強化 | A | 新型インフルエンザ情報の発信が産業界、学術界から好評を得、HPへの訪問回数が急速に増加した。また、近年の研究、実践の集大成をめざした産業安全保健ハンドブック刊行に向け、執筆依頼を開始した。 |
産業界、労働界との窓口の充実 | B | 維持会を中心に窓口の一本化を図ることや、HPに維持会専用ページを設けるなどサービス向上に努めている。今後、個別企業、労働組合などへの訪問回数を増やすよう計画中。 |
コンサルティング活動の強化 | B | 2009年11月に「REAL」方式の製品評価や職場診断コンサルティングを開始した。成果を期待している。 |
4つの研究課題
研究課題 | 自己評価 | コメント |
安全文化評価ツールの一層の普及と成果の論文化 | A | 産業界の協働による貢献は引き続き顕著。組織内の安全文化評価とともに、組織間評価にも活用の方向を拡げている。論文化が課題。 |
慢性疲労対策に関する研究の進展と成果の論文化 | B | 特定奨励研究費の獲得に失敗したことを含め、労研慢性疲労研究と研究成果の普及について再考が必要である。 |
医師ならびに看護職の過労と労働条件の改善 | A | 医師については、個別の取り組みに終わったが、看護職については大型の調査研究がすすみ、成果と改善策は社会の注目も集めた。 |
外国人労働者における労災・職業病リスクの解明予防対策の確立 | B | 厚労科研の支援を受け、研究チームが発足した。現在、研究スキームと現場の協力体制づくりを行っている段階で、まだ、具体的な成果はこれからである。 |
自己評価
S:計画以上の成果が得られている。
A:計画通りの成果が得られている。
B:計画通りの成果は得られていないが、一部、評価のできる成果がある。
C:評価のできる成果は少ない。
2010年6月
財団法人労働科学研究所 所長 酒井一博















