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2003年1月 月例研究会(東京1/28・大阪1/25)
講師:
飯田 裕康(財団法人労働科学研究所 研究部 技能行動研究グループ グループ長・主幹研究員)
関 由起子(群馬大学医学部保健学部看護管理学講座 講師, 財団法人労働科学研究所 特別研究員)
「医療事故防止への組織的対応 −注射事故を中心に−」
医療機関における事故防止対策(マニュアル等も含めて)の多くは、看護職員の注意義務事項の列挙に偏る傾向が見られます。複雑多岐にわたる看護業務の中に、注意義務のみを個人的な努力目標として掲げるだけでは、それが実行される可能性は極めて少ないのが現状です。
エラー発生に関わるヒューマンファクターの知見に基づいて日常業務の遂行実態を分析し、情報伝達経路や手段あるいは責任分担等、医師・薬剤師・看護師・その他の業務連携を再検討する中で、人的なエラーの発生を未然に防ぐ方法を総合的に提示し、医療機関として事故防止に取り組む際の基本的な方法も論議したいと考えております。
2003年3月 月例研究会(東京3/13・大阪3/10)
講師:木村 菊二(財団法人労働科学研究所 名誉研究員、医学博士)
「有機ガス用吸収缶の破過あるいは残存能力を推定する手法について」
吸収缶の破過を推定する方法として、一般的に破過曲線図から求める方法が示されている。しかし、この方法では環境空気中のガス濃度などがわからなければ適用は難しい。
吸収缶はガスを吸着することによって質量が増加する。この現象を利用して、作業終了後に吸収缶の質量を求めて、その値から吸収缶の破過あるいは残存能力を推定することが可能であるものと考え、幾つかの作業現場において実測を試み、かなりの確度で実用に耐えるものと考えられる結果を得た。この手法と実測例などを紹介する。
特別月例研究会(東京5/22・大阪5/29)
講師:鈴木 安名(財団法人労働科学研究所 特別研究員、医学博士)
「管理職のためのメンタルヘルス入門と応用」
メンタルヘルス対策は、昔の結核対策のような早期発見という戦略だけでは通用しません。私は心療内科医の臨床医ですが、内科医でさえうつ病を見落とすこともあります。管理職が、部下の心の不調を発見するために医学知識を持つ、というのは理屈では理解できても実際は大変だと思います。
やはり米国の健康職場モデルの戦略を、日本にも当てはめるべきでしょう。それは、心の健康な職場は生産性にも優れているという発想に基づいています。今回は管理職のメンタルヘルス入門と応用編すなわち健康職場の野心的な実例紹介と解説を行います。(実例は、生産性の高い上場企業と中小企業です)
第101回労働科学セミナー(5/12)
「睡眠時無呼吸症候群と安全対策」
今年の2月26日、山陽新幹線で運転士の居眠り運転が明らかになり、昨今の国民の安全認識の高まりもあって社会的に大きな関心をよびました。当初は、この事件の原因が運転士の「気の緩み」によるものとされましたが、その後、“睡眠時無呼吸症候群(Sleep
Apnea Syndrome; SAS)”という病気が原因であると訂正されました。
睡眠学の領域でよく知られた病名である睡眠時無呼吸症候群は、この事件を契機にわが国の多くの人が知ることになりました。今後は、運輸や巨大プラントの運転員など、常に安全に業務を遂行しなければならない労働者やその管理者を擁する組織は、この病気に関するより詳しい知識、安全に影響する疲労や眠気といった人間の機能についての知識を持つ必要が求められています。
1.睡眠時無呼吸症候群に対する国土交通省の通達について
岩田 剛和(国土交通省自動車交通局総務課安全対策室 課長補佐)
2.睡眠時無呼吸症候群の病態と治療効果
鈴木 雅明(世田谷睡眠呼吸センター 院長、専門=睡眠障害耳鼻咽喉科)
3.安全を踏まえた睡眠時無呼吸症候群対策の方向性について
佐々木 司(労働科学研究所 研究部 主任研究員、専門=睡眠衛生学)
2003年7月 月例研究会(東京7/9・大阪7/8)
講師:伊藤 昭好(財団法人労働科学研究所 教育・国際協力部 部長、労働安全・衛生コンサルタント、医学博士)
「職場で役立つ騒音対策のヒント」
職場の快適化を図るうえで,最後に残された課題として騒音対策がよくあげられます。これは対策のコストパフォーマンスがあまりよくないことが一つの原因と考えられます。やはり,現場の騒音対策の基本は,当初から「静かな機械設備を導入すること」には間違いありません。とはいえ,現状でやかましい職場環境を放置して,作業者に防音保護具を支給しているだけでは全く芸がありません。
現場の騒音対策を工夫する上で,役立ちそうなヒント集が,欧米で出版されています。その邦訳は絶版となっていたのですが,再び日の目を見るはこびとなりましたので,当日資料としてお配りいたします。それを素材にして,現場の騒音対策を見直してみたいと思います。産業医の先生方が,職場巡視で現場へアドバイスする際のヒントとしてもお勧めします。
2003年8月 特別月例研究会(東京8/20)
コーディネーター:浅川 明子(神奈川県看護協会 会長)
パネラー:川島 みどり(日本赤十字看護大学 教授、健和会臨床看護学研究所 所長)
飯田 裕康(財団法人労働科学研究所 研究部 技能行動研究グループ グループ長・研究主幹)
「川島みどり・飯田裕康と語り合う「医療事故防止」
−インシデント事例収集に続く次のステップは何か−」
事故事例あるいはインシデント事例の収集は、多くの医療機関において実施され始めていますが、現状のレポートから得られる防止対策は「もっと注意を」の域を出ないものが多いのが現状です。さらに具体的な防止対策の立案には、事例の詳細な解析が必要不可欠とされてます。しかし、その現実的な方法や問題解決に向けての視点の選び方については、医療関連業務の複雑性から充分な検討・整理が行われているとは言えず、試行錯誤的な実践が開始されたところです。
今回は、このような状況をふまえ、医療現場での豊富な実践経験をもとに理論的な考察を継続されている川島みどり先生、および産業界での安全活動に長年従事してきた飯田裕康を中心に、現場における安全問題の具体的な解決を参加者の皆様と共に考えてみることに致しました。多くの方々の参加を期待しております。
プログラム(13:30〜16:00)
1.パネラーによる問題提起:各15分
2.質疑応答および参加者との討論:100分(休憩時間を含む)
3.パネラーによるまとめ:各10分
- 2003年9〜11月 月例研究会シリーズ企画
総合テーマ:「安全文化の虚像と実像」
- 産業事故の防止対策として「安全文化」が提唱されて久しい。しかし、その効用の程は定かではない。現在、産業現場において、様々な取り組みが模索されているが、紆余曲折の極みにあると聞く。今回、3回にわたって、労働科学研究所が取り組んで来た「安全文化」研究の具体例を紹介することによって、その虚像から実像への道筋を明らかにする。
第1回(2003年9月)(東京9/10・大阪9/26)
講師:井上 枝一郎(財団法人労働科学研究所
研究部 システム安全研究グループ 研究主幹)
「労働科学と安全文化」
産業事故の防止対策として「安全文化」が提唱されて久しい。しかし、その効用の程は定かではない。現在、産業現場において、様々な取り組みが模索されているが、紆余曲折の極みにあると聞く。長い間、産業現場で安全研究を続けてきた労働科学の考え方と、この「安全文化」という考え方を融合することによって獲得された新しい事故対策の方向性を提示する。
第2回(2003年10月)(東京10/23・大阪10/24)
講師:菅沼 崇(財団法人労働科学研究所 研究部 システム安全研究グループ グループ長・主任研究員)
「安全文化に関する最新情報の紹介」(組織や集団の心理を中心として)
本例会では、国際原子力機関(IAEA:2002年)より刊行された「安全文化の最新ガイダンス」の概要を紹介する。本ガイダンスは、特に組織や集団の心理的側面を中心として、安全文化の「発達段階の特徴」「衰退の兆候」「文化変容の手段・方法」など最新の研究成果が盛り込まれたものである。
なお、当日はこれに加えて、組織や集団が陥りやすい一般的な病理現象とその対策についても紹介する(国内事例を交えて)。例えば、みなさんは次のような命題に賛成されるだろうか:まとまりのよいチームは危険である。通常、我々はまとまりのよい集団こそが望ましいと考えているだけに、このような命題には衝撃を受ける。しかしながら、これは従来の組織心理学や集団心理学の領域では定説になっているものである。本例会では、集団規範(集団内の暗黙のルール)や集団浅慮(集団的視野狭窄現象)などの概念を用いてこの種の研究知見についても併せて紹介する。
第3回(2003年11月)(東京11/27・大阪11/28)
講師:細田 聡(財団法人労働科学研究所
研究部 システム安全研究グループ 主任研究員・博士(行動科学))
施 桂栄(財団法人労働科学研究所
研究部 システム安全研究グループ 研究員)
「安全文化の具体像」
「安全文化」という言葉はいまや一般に流布している。しかし、それを現場サイドで、あるいは管理サイドでどのように取り組めばよいか、よく分からないまま推移してきたのが実際のところであろう。我々は、このような現状を打破するため数年前から、この抽象的概念をブレイクダウンし、誰もがわかる形にヴィジュアライズすることを試みてきた。そして、その成果として「安全文化評価支援ツール」を開発するに至った。そこで、今回は、このツールの内容と適用結果を紹介するだけでなく、試みに参加者にツールを使用してもらい、その有効性と妥当性を体感して頂く予定である。
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