財団法人労働科学研究所ホームページ維持会2002年の例会・セミナー

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維持会月例研究会(例会)

2002年に開かれたセミナー・月例研究会(例会)

2002年1月 月例研究会(東京1/22・大阪1/25)

講師:前原 直樹(労働科学研究所 常務理事 所長 医学博士)
「今、求められている職場組織と労働条件と働き方-環境レポートと共にワーカーズ・レポートの公表を-

 景気が悪いから収益力=競争力が落ちた、という言い分の中、昨今のわが国ではワーカーに冷たい事態ばかりが目につく。従業員が働かないから悪いという経営者がいる一方で、「社員と株主のどちらが大切かと聞かれれば『社員』と答えます」という見事な経営者もいる。ヨーロッパでは、株主だけでなく、従業員にも、取り引き業者にも、地域住民にもやさしく、社会的な責任を果たしている企業が優良で、良い企業とされつつある。この種の動きは急速である。今や地球環境を考慮しない企業は生き残りづらくなってきたように、やがて、従業員にやさしくない企業も国際競争には勝てなくなるという日も遠くはないだろう。
 収益力=競争力をつけるにはどうすれば良いのかの答えは難しいとは思うが、最低、不安全で不健康な、またその予備軍が大量にいるような職場・企業は、総力戦で、しかも生き残り競争には適しないと言える。長い眼で見て効力を発揮し、競争に有効な役割を果たすのは"面倒見の良い職場"で、"生き生きと働くワーカー"ではなかろうか。

2002年3月 月例研究会(東京3/4・大阪3/15)

講師:関 由起子(労働科学研究所 労働ストレス研究グループ研究員)
「「ひやりハット」に注目すると事故防止策はどのように立てられるか―医療での事例の収集と分析結果から判ったこと−」

 今まで医療では,事故は起きないものとして捉えられ,事故が生じてもその多くが隠蔽されてきた。近年,社会的にも医療事故に関する関心が高まる中,ようやく医療においても事故は生じるものとして認識されはじめた。現場では事故やミス事例を教訓にしようと,患者に障害を与えることがなかったミス=インシデント事例の収集と分析を行い,事故防止対策に役立てようとしている。しかし,事例は集まったものの,どのように分析すべきかわからない,個人への注意努力にとどまらない事故防止対策が得られないなどの声が医療現場から多く聞かれる。
  そこで,医療現場で生じたインシデント事例を例として,より有効的な対策に結びつくインシデント事例の収集や分析方法について講演する。日ごろから「ひやりハット事例」に注目している方々への参考となればと考えている。

2002年4月 月例研究会(東京4/17・大阪4/18)

講師:原 邦夫(医学博士,労働科学研究所 研究部 化学物質リスク研究グループ・グループ長)
「リスクアセスメントによる化学物質管理手法」
 リスクアセスメントが重要な位置を占める労働安全衛生マネジメントシステムや新たな化学物質管理手法が,徐々に事業場に導入されはじめている。この化学物質管理手法は,従来の管理手法と比較してより現場の管理状況を踏まえたものとなっている。化学物質の健康影響のリスクアセスメントの手順は比較的明確に示されているものの,手順ごとの様々なデータのあり方,評価方法,判定方法などについては,いまだ研究途上にある。専門用語をできるだけやさしく解説しながら,リスクアセスメント研究の現状を概観するとともに,化学物質リスクマネジメントのために現場で今使える可能性があるいくつかの曝露アセスメントの手法などをやさしく紹介する。

第100回労働科学セミナー(5/28)

講師:野村 茂(医学博士,労働科学研究所 主管研究員・熊本大学 名誉教授)
   安西 愈(辯護士,安西・井上・外井法律事務所)
   越河 六郎(教育学博士,労働科学研究所 主管研究員・松蔭女子大学 教授)
   藤井 亀(医学博士,芝浦工業大学 教授・労働科学研究所 客員所員)
「職場のメンタルヘルス管理 基本研修
−予防的対応:実践コース−」
 職場のメンタルヘルス管理というと,できるだけ早期に異常者を発見して専門医の診断を受けさせ,治療を主とした対応がもっとも効果的だとされてきており,窓口となる相談室の設置など,管理体制づくりの努力も評価できます.
 ところが一方で,健康管理には相当の手当てをしていると思うのに,メンタルな面がからむ「休業率」は改善されない.むしろ,増える傾向にあるといった声も聞かれます.実に,メンタルヘルスマネジメントの一筋縄ではいかない難しさをあらわしているといえるでしょう.
 異常を自覚して相談を求める,あるいは異常が発見されたら早めに診療を受けること.これらは,病気にならない(重くならない)ようにする予防手立てとしては至極一般的な事柄ですが,二次または三次予防の段階に入っております.管理という点からすると,いわゆる“後手の管理方式”であり,病気の管理の域を出ていないとも言われかねません.
 最近の職場メンタルヘルス管理では,「予防」が強調されています.この場合は,病気になった人の治療というよりも,病気を避けるための管理であり,第一次予防の段階であって,まさに「健康な人たちの健康管理」を志向しているととれます.
 本セミナーでは,職場メンタルヘルス管理の第一次的予防対応を提案いたします.職場の健康管理はもともと生産性向上を図る施策のひとつであり,「明るくいきいきと積極的に仕事・生活に取り組める状態」を「健康」とすると,これを保持することがマネジメントの主眼となります.職場の健康度,すなわち,自分たちの実際の職場がどのような状況になっているか,それぞれの職場の「健康」を損ねる可能性のある具体的な問題点を把握することが先決です.そして,その問題の解明と改善策がとりもなおさず「予防的対応」となるに違いありません。

2002年6月 月例研究会(東京6/26・大阪6/28)

講師:伊藤 昭好(工学博士,労働衛生コンサルタント,労働科学研究所 教育・国際協力部 部長)
「リスクアセスメントを軸にした安全衛生教育の進め方」
 当研究所では,研究部におけるこれまでの研究成果と産業現場での実践に基づき,職場の安全衛生教育にも取り組んできた。その中で,教育トレーニングの過程で参加者に何らかの行動を促すような課題を与えること,その課題の実践結果に基づきグループ討議を活用してフォローアップすることで,高い教育効果を獲得できることを把握してきた。また実践課題にリスクアセスメントを取り上げることで,参加者の安全衛生意識の向上に貢献し,さらには安全衛生マネジメントシステム導入に活かせる教育トレーニングの企画にもつながることがわかってきた。これまでの研究所の教育・国際協力部における安全衛生教育トレーニングの実施例を中心に紹介したい。

2002年8月 月例研究会(東京8/27)

講師:南 正康(日本医科大学衛生学公衆衛生学教室 教授,労働衛生コンサルタント・産業医学指導医,労働科学研究所主管研究員)
「東京サリン事件について」
 この問題は勤労者の問題でもある。1995年3月20日に東京サリン事件は起こったが、サリン及びその副生成物である有機リン化合物に被曝されたのは地下鉄で通勤途中の男と女の勤労者であった。此所で男と女と敢えて述べたのは同じ勤労者でも女性の方が有害物被曝後に仕事をやめた者が8割近くに昇るからである。種々の症状が出現して仕事に支障があると仕事をやめなければならなくなる状況となるのは女性なのである。このあたりをもう少し関係者は考慮せねばならないと考える。
この事件はテロリズムでありこれを起こした者達は所謂カルト集団であった。東京での有害ガス中毒による死者は被曝後1ヶ月以内に死亡した者は12名であり、この時病院で何らかの処置を受けた者は警察の発表に依ると5510人であった。なお、この前年に起こった長野県松本市でのサリン事件では311名が病医院で何らかの処置を受け7名が死亡した。各々の死者の割合は、東京が0.217%で松本が2.25%であり、このニ者の割合の間には、危険率1%以下で有意差があり、松本の死者の割合が高い。松本の場合、より急性毒性の強い物質へ被害者が被曝された可能性が高いと考えられる。何故なら患者さんの被曝後起こるであろう種々の臨床症状や患者さんの被曝後の生活の質とも深く係わる問題だからである。
 何れにせよ我々社会医学を実践する者はどの様な物質に被曝されたかを手許にある被曝患者の試料から推定する必要が有ると考えた。このあたりを詳しくお話ししよう。

2002年10月 月例研究会(東京10/11・大阪10/18)

講師:井上 枝一郎(関東学院大学人間環境学部 教授,労働科学研究所主幹研究員)
「安全文化をどう具体化すればよいのか」〜評価ツールの適用から教育まで〜
 今、「なぜ安全文化」なのかを考えてみたい。
 現代社会をリードし、また、我々の日常生活に密着もしている産業、例えば、自動車、医療、原子力発電、食品、等々の産業組織において毎日のように、ミス・エラーの発生とその後の対応の拙さが報道されている。かって、勤勉さと技術力の高さを世界に誇っていた日本の産業組織のスピリットは一体何処に行ってしまったのであろうか。
 今回の例会では、かかる疑問を通奏テーマとし、組織の現状を的確に把握する診断ツールの内容(当研究所による新開発版)と、すでに診断を実施した企業組織の結果を紹介する。  加えて、診断後の対応策の一つとして、これも新開発の教育プログラムとその実施結果をも併せて紹介したい。「自らの組織を診断してみよう、と考えた組織は、その時点ですでに安全文化のレベルを一歩先行させたことになる」という含蓄のある言葉を思い出して頂けたら幸いである。

特別月例研究会(大阪11/19・東京12/4)

講師:越河 六郎(教育学博士,松蔭女子大学 教授,財団法人労働科学研究所 主管研究員)
   藤井 亀(医学博士,芝浦工業大学 教授,財団法人労働科学研究所 客員所員)
「職場のメンタルヘルス−予防的対応−」
 このたび、CFSI(蓄積的疲労徴候インデックス)のマニュアルとして、「労働と健康の調和」を刊行致しました。
 CFSIは「勤務と生活と健康に関する質問」のことです。内容は、ふつう誰でも経験しているような疲労感や心身の違和感等を尋ねております。それらの「体験の有無」を答えてもらうわけです。
「健康は各個人の問題ではあるが、職場の健康管理というときには、当該職場の組織・制度や労働実態との関連をより直接的に取り上げるべきだと考える。健康管理の予防的視点とはまさにこのことであり、広く、人事・労務管理の段階でもある。さしあたって、管理対象となる実際の職場の様子、すなわち、健康の維持、モラールの向上に差し障る要因があるかないかを調べる必要がある。CFSIはそのための一つのスケールとして作成したものである。… 本書は、本来の予防的健康管理につながる具体的な考え方を提案しようとしている。」(「労働と健康の調和」まえがきより)
今回の研修では、「労働と健康の調和」をテキストにして、CFSIの職場での使い方を演習していただきます。
   1.「CFSIの概要、調査の実施、結果のまとめ方」  担当:藤井
   2.「応答パターン判定の実際・事例研究」     担当:越河
   3.「メンタルヘルス・予防的管理への活用」    担当:越河・藤井


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