1. 医療従事者の安全と健康
1)血液媒介病原体による職業感染
医療従事者が安心して働く上で欠かせないのが、仕事が原因で罹患する感染症(職業感染)予防対策です。採血など患者の検体を取り扱う医療行為や、静脈注射など病棟や外来で行なわれる医療行為、手術などの侵襲的な医療行為などでは、血液・体液採取に用いる針やランセット等の鋭利な医療器材によって皮膚損傷を生じるころがあります。その結果、患者の血液・体液の中に含まれる病原体(血液媒介病原体)が体内に進入し、職業感染を生じる場合があります。
このような血液媒介病原体による経皮的曝露後の感染は、少なくとも100年前から医療従事者の間で知られています。文献上最も古い事例はウイーンの医学校に勤務する医師が、病理解剖の時の切創がもとでレンサ球菌による敗血症で死亡した事例です。100年後の現在、細菌、ウイルス、原虫など、30種類以上の病原体の経皮的伝播が報告されています。なかには吸引細胞診に用いた針で針刺しをして、腫瘍が伝播した事例さえ報告されています。
血液媒介病原体のうち、急性・慢性肝炎の原因となるB型肝炎ウイルス(以下HBV)とC型肝炎ウイルス(以下HCV)、後天性免疫不全症候群(エイズ:AIDS)を引き起こすヒト免疫不全ウイルス(以下HIV)の3つは、医療従事者において特にその罹患率と死亡率が高いと知られています。これらの血液媒介病原体への曝露対策、およびその感染の成立を阻止することが重要です。
このページでは、日常的に発生している血液媒介病原体への曝露のうちで、特に医療行為全般に関連した針刺し切創と、その予防対策について取り上げます。また、このページでは最近の職業感染対策の動向を踏まえ、「針刺し事故」を「針刺し切創」または単に「針刺し」と呼びます。
2)職業性感染におけるハザード(危険源)
血液媒介病原体による職業感染について労働衛生管理の考え方をあてはめてみると、職業性感染におけるハザード(危険源)は、患者の血液の中に含まれる病原体(血液媒介病原体)である。これら病原体であるHBV・HCVに感染すると、急性肝炎を発症し一部は慢性化(では80%以上)する。引き続き、慢性持続性肝炎、肝硬変、肝癌の発生という経過をたどり、長期にわたる重篤な健康障害を引き起こす。HIVは血液中のリンパ球の破壊を通して、ヒトを免疫不全状態に至らしめ、感染後の自然経過では10年前後で死亡する。これら3つの病原体は、別の表現で言い換えれば、生物学的健康障害因子である。
厚生労働省により公表されている労災補償状況(平成5年〜11年)から、職業性C型肝炎は年間50名前後が新規に発生しているとみられる(表1)。HBVへの感染リスクは、効果的な予防ワクチンが開発されていることにより、その感染リスクはほとんど低減可能とされている。職業性B型肝炎に関しては、効果的なワクチンの開発と接種率の向上により、ワクチン接種を受けた抗体保持者では新規の発生はみられない。ワクチン未接種者では、散発的に針刺し切創による職業性B型肝炎が発生している可能性もあるが、正確なデータは不明である。労災補償等のデータとして確認できる職業感染事例は、氷山の一角と考えられ、診療所や中小規模の病院など、職業感染に関する情報が届きにくい医療従事者の存在や、正確な職業感染の統計が日本にないことを考えると、針刺し切創等により職業感染に苦しんでいる医療従事者はかなりの数に上ると予想される。米国疾病予防センター(the Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の報告では、年間38万件以上の針刺し切創が生じている。日本では年間45〜60万件の針刺し切創の発生が推定されている。
表1 日本におけるHCV職業感染労災認定医療従事者数
医師 |
看護師 |
臨検技師 |
その他 |
計 |
|
|---|---|---|---|---|---|
| 平成5年度 | 8 |
36 |
- |
0 |
44 |
| 平成6年度 | 4 |
59 |
- |
1 |
64 |
| 平成7年度 | 6 |
45 |
2 |
6 |
59 |
| 平成8年度 | 8 |
38 |
4 |
6 |
56 |
| 平成9年度 | 4 |
52 |
2 |
1 |
59 |
| 平成10年度 | 4 |
44 |
0 |
2 |
50 |
| 平成11年度 | 5 |
33 |
1 |
6 |
45 |
| 累計 | 39 |
307 |
9 |
22 |
377 |
出展:労働省、労災補償認定件数統計(平成5年〜11年度)より作成
HCVとHIVは、ともに効果的なワクチンが開発されていないが、HCVでは急性肝炎を発症後、早期にインターフェロンなどによる治療を行うことで、一部の症例で慢性化することを避けることができる。
HIVによるエイズは、抗ウイルス薬の開発と、多剤併用という治療方法の急速な発展により延命することが可能となった。HIV感染症は、すでに慢性疾患として認識されている。とくに、HIVは近年、曝露後予防内服の有効性が確かめられ、エイズは発見された当初に国民に抱かれた危険なイメージから、かなり様変わりしてきている。しかし、継続的な内服を行わなければならず治療継続に関するによるHIV保有者の社会生活への不適応や離職、感染成立後の本人・家族の不安・社会的差別などは依然として大きいものがあり、HIVは健康障害だけでなく、社会的にも大きな損失を生じるといえる。予防可能であったのに職業感染を生じてしまった事例を、国全体で支えてゆく必要がある(図1)。
米国では、01年6月までに57名のHIV職業感染の確定が報告されており、職業感染の可能性のある事例は137名におよぶ。日本においては確定されたHIV職業感染の報告はみていないが、漸増するエイズの流行状況と、現在の針刺し対策水準が継続した場合、針刺しによる明らかなHIV職業感染報告は時間の問題だろう。
2. 具体的な針刺し切創の発生状況
1)職業感染における「リスク」
職業性感染における「リスク」として最も重要なものは、汚染された血液や体液から医療従事者への感染の機会を作り出す「針刺し」といえる。ここ10年で、針刺し事故のリスク分析が進み、発生状況がわかってきた。10年前の病院では、針刺しの原因は不注意であり、その対策は「しっかりと注意して処置にあたる」、ということが当然のように看護師長からいわれていた時代もあった。しかし、いつ、どのようなときに、だれがどこでどのように職業感染になっているかが科学的に調査研究された結果、針刺しは決して注意では防ぐことができないことが明らかになったのである。図2は翼状針による針刺しの様子のイラスト。
2)針刺し切創発生状況の国内外の現状
日本においては、1992-1994年、1997-1999年にかけ地方公務員災害補償基金が実施した針刺し事故調査や、先に紹介した厚生省の研究班(班長:木村哲、東京大学))によって実施された全国エイズ拠点病院における大規模な針刺し事故調査などにより、針刺しの発生状況の詳細な分析と、針刺し切創受傷リスク分析がなされてきた。
たとえば、100床当たり針刺し切創は4件発生し、の報告率は22%以下で、実際には100床当たり18件以上起こっている。HIV(エイズ)陽性血液へのばく露は88件、HCV(C型肝炎)陽性血液は7,708件、HBV(B型肝炎)陽性186件。注射器によるもの3,227件、翼状針2,427件、縫合針1,175件など、それぞれ日本の針刺し切創発生状況の特徴が明らかになった。また、実際にだれが事故を起こしているかをみると、看護師が3分の2、医者が3分の1だった。しかし、実際に働いている医療従事者を分母にとってみると、100人当たりの発生件数は、医者は3.1件、看護師は3.4件。発生リスクそのもので言えば、看護師も医者も同じように針刺し切創を起こしているということが明らかとなった。
一方、針刺し事例に関する国際的な研究のなかでは、米国で1992年に開発された針刺しサーベイランスシステム(EPINet:エピネット)の役割は極めて大きい。 図2には、EPINetによる日米の針刺し切創発生状況の比較を示した。針を使ったあとに、針にキャップをする際の受傷(リキャップとよばれる)が日本は米国に比し圧倒的に多い。図2は、左から時間軸に器具が袋から取り出され、廃棄処理されるまでの過程を示している。使用された後、危険な針が多数の手により廃棄される過程で、針刺しが起こっているのである。このことから、使った後、すぐに針先がガードされれば、そのごの廃棄にいたる過程での受傷は予防できる。もちろん、最初から針を使わないシステムを採用することで、針刺しのリスクを減少させることができる。
その他、職業感染を生じるリスクには、予防措置が存在するB型肝炎ワクチンの未接種、HIV血液曝露後の予防内服薬の未投与、C型肝炎発症後の適切な治療の未実施などが挙げられるが、いずれもこれらは医療現場における労働災害の認識不足と、事業主(病院長や設置者)の責任体制の不明確、院内の労働安全衛生方針の欠如、労働安全衛生管理体制の不備、健康管理室や病院の職員向け産業保健スタッフの不足、安全器材などの効果的な予防対策の未普及、労働作業環境、労働条件、医療従事者への職業感染に関する教育・トレーニング不足などが背景にあるといえる。さらにいえば、血液媒介病原体への曝露リスクが高い医療機関への勧告をさけてきた、旧労働省通達など国の法的な側面からの医療従事者安全対策施策不備もあげられよう。
3)予防対策の優先度が高い針刺し切創
「採血」は血液を吸い上げた中空針を使用するために、血液媒介病原体の伝播リスクが最も高い医療行為のひとつである。米国のHIV職業感染51症例のうち、驚くことに半数近い22例(43%)が採血手技に関わるものであった。また、経皮的曝露後のHIV伝播のリスクファクターに関する症例対照研究の結果、1)深い傷だった、2)器具に見えるほど血液が付いていた、3)動脈や静脈に留置されていた、4)曝露源の患者の末期的状態などは、特に血液媒介病原体への伝播リスクが高いことが知られている(表2)。リスクファクターの高い項目は、いずれも採血に関係が深い。これは、「採血」に関連した針刺しによって伝播されるウイルス量が、他の針刺しより多いと推測されるからである。
| 表2 HIV感染血液の経皮的曝露後のHIV伝播のリスクファクター$ | ||
| リスクファクター | オッズ比 |
(95% CI) |
| 深い傷 | 15 |
(6.0-41) |
| 器具に見えるほど血液が付いていた | 6.2 |
(2.2-21) |
| 動脈や静脈に留置されていた針 | 4.3 |
(1.7-12) |
| 曝露源の患者の末期的状態 | 5.6 |
(2.0-16) |
| ジドブジンの曝露後の使用 | 0.19 |
(0.06-0.52) |
| $Cardo et al., New Engl J Med 1997; 337:1485-90. CDCによるCase-Control Study |
||
また、院内の医療用廃棄物処理システムは、院内清掃業者を含む医療施設の職員全員における皮膚損傷のリスクに重大な影響を及ぼす。廃棄システムの安全性に影響する2大因子は、1) 廃棄容器の設置場所と数、2)耐刺通性である。針刺し切創の多くは、近くに廃棄容器がないため、1)針にリキャップする、2)リキャップしていない針をトレイなどに入れて取り扱う、3)トレイから廃棄ボックスに捨てる、4)投入口から器材がはみ出ていたなどの場面で、針刺し切創が発生する。廃棄容器に注射器から針を取り外すなどの解体器がある場合、手順等が増え針刺しリスクを高めることが知られている。
3. 実行性のある針刺し切創対策
1)予防対策に関する国内外の現状
院内における針刺し切創対策を進めていく際、国内外の最新の医学的な知見を参考に、公表されているガイドラインに沿った対策を進めることが肝要である。その際、平成17年2月に「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」厚生労働省の通達は極めて重要である。
その中で職業感染防止の項目で針刺し切創防止に関して、少なくとも4つの対策が掲げられている(表3)。
この通達が出された背景には、日本において、ここ10年で現場の各方面から予防対策の研究成果、実践が次々と報告されてきて、針刺し切創に有効な対策の確認が行なわれてきた状況がある。
| 表3 厚生労働省医政局指導課長「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」 |
| 1)使用済みの注射針に再びキャップするいわゆる「リキャップ」を原則として禁止 |
| 2)注射針専用の廃棄容器などを適切に配置する |
| 3)診療状況等必要に応じて、針刺しの防止の配慮した安全器材の活用を検討する |
| 4)B型肝炎ワクチンの接種 |
| *医政指発第0201004号平成17年2月1日、職業感染管理の項目より抜粋 |
名古屋市のある中規模病院の針刺し件数とHCV汚染針刺し件数の13年の推移からは、安全対策に関する歴史をみることができる。この病院においては、1989年は4件の針刺し件数であった。1990年にはHCVの感染例も報告されている。HCVの存在が明らかになり、HCVの抗体検査ができるようになったのは90年ごろからである。その後、92年まではHCV抗体陽性者が多くなってきているが、HCV感染症の存在とその職業感染の危険性が認識されてきたものと考えられる。危険性の認知がなければ、針刺しは報告されていなかったのである。93年に専門部会が立ち上がると、報告率は倍増し、それまで隠れていた針刺しが報告されるようになってきた。院内の安全衛生意識の向上とともに、具体的な対策として、94年には6種の安全器材の導入が行われ、それらを徹底的に使いこなした結果、現在では針刺しの報告件数が大幅に減った。
2009年現在、多くの安全装置つき医療器材が国内に流通しています。それぞれの器材の特徴よ、利点と欠点を理解して利用することが重要です。製品の安全器材カタログは職業感染制御研究会のホームページから、また、それぞれの医療器材に関する添付文書は厚生労働省のウエブページから検索、ダウンロードできます。厚生労働省医療機器の添付文書情報検索ページは→こちら
2)優先度の高い針刺し切創予防対策の採用
採血は針刺し切創予防対策の優先度の高い医療行為である。表2でも紹介したように採血時の針刺しは、ひとたび発生すればその職業感染リスクが高い。従って、針刺し切創の受傷リスクを低減するために、1)採血器具、2)採血手順、3)採血を実施する環境、4)実施者の採血手技の習熟度、5)院内労働安全衛生管理体制と感染管理体制の見直し等、に注目する必要がある。
採血作業手順と採血環境整備では、採血後のリキャップ禁止を徹底し、使用後の器材は、すぐに廃棄容器に器具ごと廃棄する。したがって、使用後の器具をすぐに捨てられるよう、鋭利器材用の耐刺性廃棄容器を採血作業場所近くに設置する、もしくは持参する必要がある。カートに鋭利器材用の廃棄容器を設置するなどは、ベッドサイドに置ける針刺し防止に大変有効である。具体的な作業方法の改善として、手渡しをしないで廃棄する「使用者廃棄の原則」、一患者一トレイなどの適切な医療手技の確保も必要である。
また、採血管への分注時に針刺しが発生しやすいため、採血はできる限り真空採血を推奨する。患者状態によって真空採血が困難な場合に、通常採血を実施した場合でも、分注時はスライド筒付き注射器などの利用や、採血管スタンドなどの利用も検討する。採血時の採血ホルダーの使用は単回使用とする。採血針の再使用は、手順が増え、針刺しリスクが高まるからである。さらに、作業ごとで、採血が行ないやすい姿勢が取れるよう、作業スーペースの確保や、ベッド台の高さの調整などを工夫する。作業に適した明るさの確保をする。中央採血室などでは、採血者が肘の高さで採血がさきるよう台を調整する。手袋の利用は、針刺し発生時の摂取量を最大50%減少できる。
3)作業方法と安全器材設計の役割
現在では、採血に関するあらゆる種類の器材に、針刺しを防止するための防御設計が工夫されている。日本では、静脈採血時の針刺し原因器材は、使い捨ての注射器の針(41%)、翼状針(31%)、真空採血セットの針(20%)の3種類であるが、翼状針、真空採血セットに関しては、安全装置つきのものが市販されている。米国の報告では、自動前進型鈍針のついた安全真空採血管セットを用いると、従来の採血管より損傷の発生率が76%低下し、スライド式の安全装置つきの翼状針を用いると損傷の発生率は25%低下し、日本の東大病院でも、安全装置つき翼状針の導入は、針刺し減少に効果的であった。特に、翼状針によるリキャップ時、ゴム栓などへの穿刺時の針刺しの減少が著明であった。医療場面に応じ、積極的な安全装置つき器材の活用が必要である。図には針刺し切創対策の重要ポイント5つを整理した(図4)。
4)包括的な針刺し対策
医療従事者の労働環境改善に関する院内労働安全衛生管理体制や、職業感染対策に取り組む感染制御チームの存在の有無などは、各病院の針刺し対策水準に関係が深い可能性がある。院内で発生している針刺し切創事例をサーベイラインスして、結果に基づいて対策を検討することが必要である。また、針刺し後には、適切な曝露後防止策を講じる必要があり、ワクチン接種、曝露後フォロー体制など整備が必要といえる。医療従事者の労働安全の視点に立った取り組みが必要である。
院内感染管理対策として、針刺し切創に取り組む姿勢も重要である。とくに、標準予防策(Standard Precautions(SP))の推進が要である。Standard Precautions(SP)の概念は、(1)血液、(2)“目に見える”血液を含むかどうかにかかわらず、全ての体液、分泌物、排泄物、(3)傷のある皮膚、(4)粘膜、など湿性生体物質を全て感染陽性として扱うことです。従来と大きく違うのは、医療行為前に感染症を確認するための検査は行わないこと、全ての患者に適応することである。その内容は (1)手洗い、(2)手袋の着用、(3)その他の防護具の着用、(4)針刺し切創対策の4つに大きく分けられる。院内の感染完治チームと協働で、職業感染管理に取り組むことが重要である。
4. 参加型職場改善のすすめ
地に足がついた針刺し切創対策が進むためには、現場を巻き込む効果的な院内研修の実施も重要である。針刺し対策は医療現場における健康障害防止対策を考えるうえでの極めてシンプルなモデルである側面を持っている。詳細な事例分析により、安全な医療器材の使用、適切な廃棄システムの確立が明らかな効果を生むことがわかってきた。それらの安全工学対策とともに、実際の現場の労働者を巻き込んで安全対策に取り組んでいくことが重要である。そのためには、針刺し予防につながる実践的な教育・トレーニングが必要不可欠である。表4には、地方公務員災害補償基金(愛知県支部等)で実施している参加型針刺し切創予防対策研修モジュールの例を示した。このプログラムはWIDENプログラム(ワイドウン、と読む)と呼ばれるものである。WIDENとはは、WIDEN: Work Improvement Dialogue for Eliminating Needlestick injuriesの頭文字をとって名付けられている。実際に院内で研修を行なう際はモジュールを組み合わせ、それぞれのグループ討議の課題と研修対象集団を決め、実効性のある対策を行なうことが重要である。これまでに、1)90分の院内研修用プログラム(講義+KJポストイット)、2)3時間の管理者・リンクナース・リスクマネージャー研修プログラム(講義、事例検討、KJポストイット)、3)一日研修(講義、模擬職場巡視、事例検討、チェックリスト演習)、4)感染管理認定看護師研修プログラム(エピネット日本版の使い方、講義、演習のサンドイッチ2日研修)が開発されている。詳しくは労働科学研究所の吉川(t.yoshikawa@isl.or.jp)まで。
| 表4 参加型針刺し切創予防対策研修モジュールの例 |
| 1,血液媒介病原体と職業感染リスク |
| 2,最近の針刺し切創事例の現状と対策総論 |
| 3,事例から学ぶ針刺しサーベイランスの基礎 |
| 4,針刺し対策ビデオのよい点・改善点から整理する針刺し切創対策 |
| 5,効果的な安全器材の紹介と導入のポイント |
| 6,師長の悩み相談と院内へのフィードバック方法 |
図3には、ある病院で行なわれている参加型研修の様子である。働き易い労働環境作りのために、現場の知恵を交流するグループ作業は、とても生産的である。
5. 最後に
医療従事者の安全対策を進める上では、科学的根拠のあるデータと、病院上層部の理解(トップマネジメント)とが極めて重要である。針刺し対策を通して、お互いの経験を交流しながら、各病棟のからの成功事例から学び、幅広い改善視点から、すぐに取り組んでいける対策を進めることが重要である。職員にとって働きやすい環境作りをすすめることが、患者へのサービス向上にもつながる。針刺し切創対策を通じた医療従事者の健康と安全の確保が進むことを願ってやまない。
(ご意見等は 財団法人労働科学研究所 吉川 徹(よしかわとおる)t.yoshikawa@isl.or.jp までよろしくお願いします
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針刺し切創
医療事故
2005年5月18日作成,2009年4月16日最終修正